『暗黒刑事ヘドロの魔法幼女大作戦』-1
降り頻る雨の中、走る者が居た。
「た、助け……」
雷が一瞬周囲を照らし、その姿を明らかにする。走っていたのは女性、その首輪の色で
Dランクの罪人だということが分かる。仕事帰りなのか、濃紺のスーツ姿にヒールの高い
革靴を穿いている。それ故に走り辛く、逃げているというのに速度はあまり出ていない。
長い距離を走っていたのだろう、全身は濡れており肩が上下に揺れていた。
「ここまで来れば、もう」
轟音。
女性の脇を何かが高速でかすめ、髪が僅かに千切れ飛んだ。だが女性には、それを気に
する余裕など無かった。恐怖が限界に達したのかその場に座り込み、音が響いてきた方向
に視線を向けた。腰を擦るようにして後方に下がり、涙をながして薄く浮かぶ小柄な影を
見る。それが、先程から女性を追い詰めていた者だ。
「もう、鬼ごっこは終わりです」
雷が鳴り、周囲を再び照らす。
声の主は、まだ小さな少女だった。但し普通の少女ではない、機械人形と呼ばれている
アンドロイドだ。一般の家庭にも普及している存在であり珍しいものではないし、女性も
それだけならば逃げなかっただろう。
ならば、何故逃げているのか。
「お願い、撃たないで」
そう、少女の背中には大量の砲門が展開していた。数にして約三十を越える程の、動く
要塞と言っても過言ではない程の量だ。鈍く金属の反射をした黒い砲身が向けられたこと
により、女性は更に後ろへと這ってゆく。
だがそれも、無限に続く訳ではない。
「ひっ」
まず女性の手指が壁に当たり、続いて背に冷たいコンクリートの感触が当たる。
「さようなら」
少女の背後、金属が噛み合う鈍く低い音が連続で鳴った。
ビルの影で表情をはっきりとは確認出来ないが、僅かに見えるものでも意思を理解する
ことが出来た。女性は、その光景に身を震わせる。
口の端が歪み、吊り上がるものを人は嘲笑と呼ぶ。
「い、嫌あぁァ――――ッ!!」
直後、天を揺るがす程の大轟音が響いた。
報告書に目を通し、虎蔵は吐息した。
「これで五人目か、犯人は何を考えてやがるんだオイ」
短く刈り込んだ髪を掻きながら、背もたれに体重を預けて天井を仰ぐ。中年になる体は
鍛え抜かれているが、年齢相応の重量を持つ。使い込まれた椅子は体重に負け音をたてて
軋み、悲鳴をあげていた。虎蔵とは長年の付き合いであるそれは今にも壊れそうになって
いるが、虎蔵自身が限度を心得ているので壊れてしまうことはない。
「ヘドロさん、真面目に仕事して下さいよ」
「その呼び方ァ止めろ」
ヘドロ、と呼ばれて虎蔵は部下を軽く睨んだ。
虎蔵は第5監獄都市管理局捜査課のベテランであるが、ヘドロという呼び名が付いたの
は最近のことである。全部で百まである監獄都市管理局の人員数はかなりのものになるが、
その中で特に優秀な成績を稼いだ者は上位局員と呼ばれるようになる。その上位局員の中
には更に分類があり、仕事上は問題が無いものの、精神的に問題があると判断された者は
暗黒局員と呼ばれるようになる。更には、課によって更に細かく分類される。例を上げる
ならば、この虎蔵だ。暗黒局員であり、捜査課に所属している虎蔵は暗黒刑事という称号
を与えられたことになる。また暗黒局員には個性を表す二つ名が付いていて、虎蔵の場合
は先程後輩が呼び掛けた『ヘドロ』というものになる。
虎蔵はヘドロのように汚くもなければ、粘着質な捜査をするタイプという訳でもない。
ヘドロと呼ばれる理由は、日頃行われる彼独特の行動にあった。
「さて、少し一服するか。卓也、お前も少し休め」
虎蔵は報告書をデスクの上に投げ出すと、その代わりにポケットから煙草を取り出した。
一本くわえて火を点け、美味そうに煙を吸い、吐き出してゆく。続いてパソコンの開いて
いるウインドゥを全て閉じると、一つのフォルダを開いて中の画像を展開した。
「可愛いなぁ、こん畜生!!」
映っているのは娘であるサユリと、今は亡き妻のセリスだった。第四惑星の血を引いた
セリスは当然小柄な体だが、強い存在感を放っている。ずば抜けた美人という訳ではない、
体のラインも平均程度だが、浮かべている笑みは見た者の多くを惹き付けるものだ。
それを眺め、虎蔵は大きく煙を吸う。
「セリス、サユリ、俺は今日も頑張っているよウヒヒヒヒ」
「あぁ!! また虎蔵さんがヤバい目になってる!!」
そう、問題は虎蔵の瞳だった。先程報告書を読んでいたときは活力に満ちたものだった
のだが、今はまるでヘドロのように濁りきっている。仕事は優秀で人格にも優れ、周囲の
評判も良い。だが家族の写真を見ると、愛情が深すぎるあまり別の世界にトリップをして
しまうのだった。これが虎蔵が暗黒局員に指定された理由であり、ヘドロと名付けられた
所以である。他は完璧とも言えるだが、これが虎蔵唯一の欠点だった。
普段ならば軽く小一時間はトリップしているのだが、今回は違った。画面が小さく歪み、
画像がぼやけて消えてゆく。虎蔵のパソコンだけではない、全ての端末が同じ状態異常を
起こしているし、窓の外を見れば広告用の巨大なテレビなどもブラックアウトをしていた。
虎蔵は慌てて再起動をさせようとしたが、操作を何も受け付けない状態だ。
「くそ、どうなってやがる!!」
『元気かね、諸君?』
声が飛んできたのは、パソコンからだ。長髪の老人の口の動きに合わせ、監獄都市全て
のスピーカーからしわがれた声が響いてくる。虎蔵はその声を聞き、舌打ちをした。娘の
画像を消されたからではない。いや、それも半分を占めているが、もう半分はこの老人に
対して持っている強い感情だ。虎蔵は、この老人の名前を知っている。
「Dr.ペドめ」
老人の名前はDr.ペド、名前だけならこの第5監獄都市に住んでいる者で知らない者は
居ない程の有名人だ。ランクはBと大したことはないが、その罪状は差別殺人という惨い
ものだ。無差別ではなく差別、過去にDr.ペドは弟であるDr.ロリと共に年齢が12歳以上
の女性を連続で殺していた。筋金入りの幼女愛好者である二人は、幼くない女性の存在を
許すことが出来なかったのだ。事件はDr.ロリを殺したことで一先ず落ち着いたものの、
Dr.ペドを逃がしてしまっていた。しかもその際にDr.ペドは団欒していた家族を襲い、
幼い娘は無事だったが母親の方は殺されてしまったのだ。
それが、虎蔵の妻のセリスだった。
間に合わなかった後悔が、今でも虎蔵の胸に強く残っている。Dr.ロリを殺したのは、
虎蔵自身だ。しかしそれ故に恨みを買い、更には時間を取られてしまったせいで妻の死に
立ち会うことが出来なかった。最後に見た妻の姿は、棺の中のドレス姿だ。
「ブッ殺してやる!!」
「ヘドロさん、随分荒れていますね。これだから変態中年は嫌いなんです。少しは栄養を
取って頭を働かせたらどうなんですか? それとも、それを考えられない程馬鹿ですか?」
ドアを開き、一人の少女が入ってきた。長く伸ばした金髪に、青い瞳。厚手のセーター
にジーンズというラフな組み合わせの上に、白衣を着ている。飛び級をして大学に入り、
幼くして卒業した天才児。開発部に先日入ったばかりの、リリィ・ムーンブレアだ。
その姿を見て、虎蔵は先程とは別の意味で眉根を寄せた。常日頃から悪い意味で絡んで
くるリリィの姿は、今は見るのも嫌だった。Dr.ペドと白衣姿が被っているし、彼女が口
を開くと碌な言葉が出てこない。普段ならば軽く流せる筈の中年への聞き慣れた罵倒は、
今回は流せそうにない。
なので無視をしようとしたが、
「何だコリャ?」
突然目の前に腕輪を突き出され、つい尋ねてしまった。
「ヘドロさん、Dr.ペドが憎いですか?」
「当然だ!!」
同族嫌悪、と言われたが、怒りを無理矢理に理性で抑え付ける。
「俺は娘と、その友達が好きなだけだ。あんな変態とは違う」
妻が生きていたのならば、それも加えていた。と虎蔵は付け足した。
「ヘドロさん、これは開発途中のものです。ですが、使いこなせれば必ずDr.ペドを倒す
ことが出来るでしょう。それに、これは多分ヘドロさんにしか使いこなせません」
「上等じゃねェか、使いこなして変態を倒してやる」
『虎蔵君、やる気になったようだね? さぁ、妻を殺された怒りがどこまで通用するかな?』
「首を洗って待ってろ変態爺!!」
ふんだくるようにリリィから腕輪を取り、虎蔵は駆け出した。
「この辺りの筈だが、くそ」
虎蔵は小さく舌打ちをする。
「どこに居やがる変態!!」
見回すと、人影が見えた。しかし老人のものではなく幼い少女のもの、悪い偶然に苦い
表情を浮かべて虎蔵は少女の側へ歩み寄っていく。幾らも経たない内に、周囲は激戦地に
なるだろう。そうなれば子供の体力では逃げ切ることは難しいし、守りながら戦うことは
更に難しい。Dr.ペドは変態だが、その圧倒的な戦闘力は一度戦った虎蔵の身に染み付い
ている。勝てるかどうかも怪しい相手だ、周囲をフォロー出来る余裕などある訳がない。
怯えさせないように身を屈めて視線を合わせ、笑みを浮かべる。
「お嬢ちゃん、ここは危ないから」
『Enemy:Lock;(外敵確認)』
突然の言葉に黙る虎蔵を横に、少女の言葉は続く。
『DragneelSystem:Enter;(戦闘システム起動)』
『MetalBarrel:FullOpen;(竜砲全門展開)』
言葉と共に、少女に変化が起きた。
「畜生、変態ロボか!!」
背中のリュックを突き破りながら金属の筒が無数に伸び、鈍い音をたてながら展開し、
一瞬で大量の砲門が完成する。それだけではない、袖口やスカートの裾などの、存在する
ありとあらゆる空間の入口から砲身が伸びてゆく。数えて四十超過、金属の針山にも似た
姿は十秒前の面影など殆んど存在しなかった。視覚を取る為か唯一変型していない頭部や
胴体を除けば、全てが黒い金属の色に染まっていた。竜の声に似た駆動音を全身から発し、
黒の機械人形は全ての銃口を虎蔵に向けた。
『GetSet;(砲撃準備完了)』
「マズ」
『FIRE;(発射!!!!)』
轟音。
空間を赤く染める程のマズルフラッシュが起こり、着弾点に黒煙が噴き上がる。普通は
蜂の巣になるどころか、骨の欠片の一つすら残らない程の大破壊。それをしても尚、少女
は砲撃を連続した。休むことのない連射を繰り返し、ついには空間ごと崩壊させる。
そこで漸く射撃を止めると、少女は口を開いた。
『Dr.ペド、任務完了しました』
『そうか、ご苦労。意外とあっけなかったが、ローリーちゃんの力を持ってすれば』
「持ってすれば、何だって?」
ローリーが驚きに振り向くと同時、黒煙が晴れて中から人影が現れる。
それは、幼女だった。
年齢にして六歳程だろうか、慎重は低く、手足は短く、起伏の存在しない体型だ。だが
それに似合わないシニカルな表情を浮かべていて、それが虎蔵だと物語っている。
体を包むのは簡素な白いワンピースだが、それの上には桃色の装甲が展開してドレスの
ようになっていた。胸から両肩、肘から先、腰回りから膝下、膝から爪先までを覆う装甲
は正しく魔法少女の姿、手にはしっかりとマジカルなステッキが握られている。
「って、何じゃこりゃァ!!」
『これが新装備の力です』
可愛いデザインの鳥が飛来し、背部装甲と連結。吹き出した白い光が翼を作り上げた。
「何のつもりだ? この瞬間すら嫌がらせか?」
『勘違いしないで下さい、魔法中年。これはDr.ペドの攻撃を防ぐ為に選ばれた、合理的
な姿なのです。装甲の形も、戦闘向けに極限まで絞り込まれている超設計です。ピンク色
というのは、特に意図はありませんが』
「嫌がらせかよ。それに、何で俺にしか使えないんだ?」
『良い年をした大人が魔法幼女になるのは精神的にキツいので、ヤバい精神構造のヘドロ
さんにしか使えないと私の独断で決定したんです。気分はどうですか?』
「最悪だ!!」
『お喋りは終わりだよ?』
更に連続して射撃してくるローリーに対し、虎蔵は回避行動を見せた。
後方への跳躍。
ローリーは回避してみせた虎蔵に驚いていたが、それ以上に驚いていたのは虎蔵だった。
普通に後方に移動したつもりなのに、弾けるような動きと速度で回避出来たからだ。思考
をトレースしたような無駄のない動き、肉体稼働限界によるラグが全く無かった。下手を
すれば全盛期よりもスムーズに体が動き、思考と同じ速度で体が反応する。
「凄ェな、オイ」
『肉体は、かの『暴君』と同じ構成です。更には手元のステッキでベクトルの操作をして
いるので、本来以上の運動を可能にしています。無駄など、全く存在しません』
虎蔵は素直に感心した。
「やっぱお前、天才なんだな」
『な、何を急に!! 馬鹿なことを言ってないで、仕事に集中して下さい!!』
突然荒くなった声に疑問を抱きつつ、太い柱の陰に身を移す。開発途中だと言っていた
から当然のように稼動時間にも限度はあると思うが、虎蔵自身にもスタミナの問題がある。
どちらも限度があるし、それがどれ程あるのかも分からない状態で戦うのは無謀だからだ。
「おい、何か武器は無いのか?」
『ボタンが三つ縦に並んでいると思いますが、それの一番上を押して下さい』
細音。
一瞬変化が無いと思ったが、ステッキを軽く回して理解する。ステッキの先端からは、
両刃のブレードが伸びていた。最初に気付かなかったのは刃が薄すぎたせいで、その事実
が斬った場合の威力を、虎蔵に視覚的に伝えていた。
『特殊なセラミックの単分子ブレードです。切味は凄いですが、横からの衝撃に弱いので
注意して使って下さい。残りの二つのボタンの説明は、追ってします。それと不味い状況
になりました、変身のタイムリミットが計算よりも早く、残り三分になっています』
「上等だ、そんなにかからねェよ」
『どうしたどうした!? これで終わりかね? 見える、見えるぞ!! ぴっちり閉じている
ロリマンコが、小さくてプニプニな可愛い手でいやらしくクパァと開く姿が!!』
「変態め」
さて、どうしたものかと考える。
虎蔵の使う守崎流古武術は、防御という概念は存在しない。作られたきっかけは、初代
『殺虎』が三匹の虎を相手にしたときのものだからだ。当たることが死に直結する状況で
作られたものの為、相手の攻撃は全て回避するという考えが基礎となっている。しかし、
その状況は現在当てはまらない。当たることが死に直結、という部分は同じだが、攻撃の
種類がまるで違う。相手が生物ならば間接の限界による空間が出来たりするし、殆んどの
重火器に共通する弾切れによる隙も、大量の砲門という形で補っているせいで期待をする
ことは出来ないだろう。何より、弾幕がそのまま壁となっているので空白がない。
「せめて飛び道具、いや煙があれば」
『ありますよ』
「マジか!?」
『ステッキの下半分がパンツァーファウストになっています。これが二番目のボタンです』
魔法少女のステッキにしては長いと思っていた虎蔵だったが、理解する。
「見てろ、聞いてろ。これから守崎流古武術の奥技を見せてやる」
『こっちに面倒はかけないで下さいね、ウザいので』
と、インカムから陽気な手拍子が聞こえてきた。
『ヘドロさんの素敵な所、ちょっと俺達見てみたい!!』
「何だその音頭は!?」
続く一気コールの中で、呟くように、
『期待、してます』
「ん?」
『な、何でもありません!! あと三十秒ですよ!?』
分かってるさ、と言って虎蔵は前に出た。身を低く縮めた跳躍をし、背部スラスターを
全力で起動させて疾走する。翼をはばたかせて体を安定させながら身を回転、ステッキの
柄尻をローリーに向けた。狙うのは一点、防御の薄い胴体部だ。
撃つ。
ローリーは中心部に近い砲門で飛来したパンツァーファウストを撃つが、虎蔵はそれに
対して笑みを見せる。狙い通りの動きに、強引に体を起こして飛び込んだ。目標地は爆発
の中心部、丁度人が一人くぐれる分の広さで弾幕に空白が存在している。
『何だと!?』
装甲から黒い煙の糸を引きながら、虎蔵は飛び出した。
「俺の勝ちだ!!」
『それはどうかな?』
砲門の先端が開き、マニュピレーターとなって掴んできたが、
『三番目です!!』
押すと、装甲が弾け飛んだ。身に付けているのはワンピース一枚となっているが、もう
こちらに向いた砲門は存在しない。そう思い、ブレードの射程距離に踏み込んでゆく。
『甘いわ!!』
「ふたなりだと!?」
ローリーは突然スカートを捲り上げる。股間部には黒く光る巨大な砲門、30口径もある
巨大なキャノンが存在した。全長40cmのそれは、明確に虎蔵の体を狙っている。通常の体
ならば逃げられない距離、しかし思考通りの動きを可能にしている現在の体は不可能だと
思われた回避を可能にした。
「それは……」
亞音速で跳ね上げた足でキャノンを踏みつけ高く跳躍、
「邪道だろうがァ!!」
一刀両断、ブレードを振り下ろす。
果たして、刃は己の使命を全うさせた。
ローリーの体を唐竹割りに、左右に等しく分解させる。
「死ね、変態ロボ」
着地して後方に回避した直後、天に響く程の大轟音が鳴り響いた。
「お疲れ様です」
管理局の入口で出迎えたリリィに、虎蔵は腕輪を投げ渡した。先程の自分の格好を思い
出したのか、顔には苦い表情が浮かんでいる。ローリーを倒したまでは良かったのだが、
その後に爆風で飛来したローリーの破片がワンピースを切り裂いたせいで、虎蔵は変身が
解けるまでの残りの二十秒を全裸幼女の姿で過ごすことになってしまったのだった。
そんな虎蔵の表情に気付きもせず、リリィは頬を赤く染め、
「あの、守崎さん。良かったらこの後で一緒に食事でも」
「パパ、おつかれさまー!!」
「おぉう、サユリ!!」
虎蔵はリリィの言葉が聞こえなかったのか、目も向けずに娘を抱き上げた。数秒前まで
浮かべていた暗い表情は跡形もなく消え失せ、満面の笑みが浮かんでいる。勿論娘の前で
瞳を濁らせるなんて馬鹿な真似はしない、虎蔵は家族を誰よりも愛しているからだ。
「そういやリリィ、さっき何か」
「知りません!! それより、まだ仕事が残ってるんですよ!? 娘さんに構うのは良いです、
ですがさっさと残りの分を片付けて下さい!! 分かってるんですか、ヘドロさん!!」
分かってる分かってる、と言いながら虎蔵はサユリの頭を撫でた。
暗黒刑事ヘドロの戦いは、まだまだ終わらない!!!!
最終更新:2007年08月04日 16:59