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ツルとカメ-30

  • 作者 ロボ氏

「会長、また部室が」
「はいはい」
「変態の大群が」
「いつものことだろ」
「エニシ先生の」
「言っておきます」
 生徒会長の職についてからというもの、ひっきりなしに注文が来る。予想はしていたが
これ程とは思わなかった。中にはどうでも良いと思えるものも混じっているが、千差万別
意見を引き受ける以上は全てを等しく扱わなければならない。こうしているとホウ先輩が
どれだけ偉大なことをしていたのか分かる、会長に立候補してから何度も思ったことだ。
苦情の処理や悪い部分の管理、それだけではない。その他にも予算の編成や各活動に対し
チェックを入れて、許可を出したり何やらしたり、息つく暇もないとはこのことだ。以前
はゆったりと時が流れていた放課後も、今では一瞬の内に過ぎ去ってしまう。一通り意見
を紙に書いて提出してもらうようにしているが、それでも中々の量だ。
 全ての書類に目を通してみると、あることに気が付いた。
「なぁ、ミチル」
「ん?」
 部費の使用目的の検査を頼んでいたミチルに声をかけると、間の抜けた声で答えられた。
どうやら既に終わって暇を持て余していたらしい。普段やることは馬鹿なものが多い癖に
頭は良いらしく、こちらは助かっている。
 助かっているが、
「お前に対しての苦情が何だか多い気がするんだがよ」
 そう、ミチルの数々の暴走は生徒会長として無視をするには不可能な数になっていた。
勿論全体に比べたら一割にも満たない数だが、こうして忙しい状況では少しでも問題点を
減らしたいと思うのだ。ミチルを取り敢えず人間の姿であることを条件に生徒として編入
させたのだが、いかんせん元は野生の動物。人間の生活を長年見てきたと言っても、基本
が出来ていなかった。ここの生徒も野性的な部分が多いが、それも一定のルールに従って
行動をしている。ミチルの場合は、それが出来ていない。
 例えば昼休みの学食での事件だ。非常に混むので競争率が高く、他の生徒を退ける為に
殴るのまでは暗黙の了解となっているのだが、ミチルは過剰になっている。亀なので気が
長いと思うことなかれ、あまりの混雑ぶりに、他の生徒を片っ端から殴り倒してしまった。
退けるのではなく、文字通り一人ずつ殴って、ダウンさせてしまうのだ。こんなことは、
あの『暴君』でもやらない。生徒会長になって知ったことだが、『暴君』は寧ろ人よりも
ルールを守って生活していた。意外な事実だ。
 それだけではない。
 それだけならば注意をするだけで済む話だが、問題の大部分は魔法の暴走にあった。
「何とかならんのか?」
「そう言われてものぅ、こればかりは」
 やはり駄目なのか、と思い溜息が溢れてくる。これは悪意がある訳ではない、というの
は分かっている。何しろ勝手に起こってしまうから暴走なのだ、だから注意をしても何の
意味もない、というのは頭では理解しているつもりだ。だが事態は洒落にならない方向に
展開するかもしれない、そんな不安からつい尋ねてしまう。
 僕個人の話をするのなら、もう引き返せない場所まで来ているからだ。
「うぁ、思い出しちまった」
 思えばあれは一週間前、一真とヤってしまったことだ。男の幼馴染み二人と関係を持つ
なぞ、社会の倫理が許してくれないだろう。穴兄弟、竿姉妹なぞという言葉が世の中には
あるが、竿兄弟などという反社会的にも程がある単語を作ってしまっては、いくら何でも
堂々とお天道様の下を歩けない。それにかなり気不味かった。一真は特に気にした様子は
無かったようだが、あの後僕は暫く一真と目を合わせることが出来なかった。同じような
体験をした水樹は何が起こったのか気付いていたようで、そちらにも避けられていた。

「もう、あれは勘弁だ」
「んー、儂も何とかしたいのは山々なんじゃが」
 腕を組んで頭を捻る。
「魔法で何とか出来ない?」
 書類のファイル綴じを終えたらしいツルが、お茶を置きながら尋ねてきた。その言葉に
ミチルは渋い顔をして、湯飲みから一口飲んだ。今の話とは関係無いが、その姿はやけに
板に付いている。日本人離れした体型なのにお茶が似合っているのは、純和風エロス的な
独特の雰囲気があるからだろうか。
「どうした、乳ばかり見て? 揉みたいのか?」
 頷こうとしたが、ツルの湯呑みが今にも割れそうな程に悲鳴をあげているので首を振る。
「じゃが、揉むのが正解かもしれんぞ? 魔法の話じゃが、暴走の原因は魔力が切れかけ
なのが原因かもしれん。だから、補給をすればあるいは」
 何の話か分からない、といった表情でツルが視線を向けてきた。そのあどけない表情と
いったら、まるで汚れを知らない天使のようだ。毎晩無垢とは掛け離れた行為をしている
ものの、未だに純な存在であることを僕に教えてくれる。
 そんな天使ガールに、こいつの魔力の補給方法を教えても良いのだろうか。
 そんな疑問が頭に浮かび、考える。
「早い話が、一発キメるということじゃ。いや念のため、もう二発くらいは」
 このエロス亀め、僕が悩んでいたのにバッサリ行きやがって。
 心が綺麗なツルはどんな意味なのか一瞬首を傾げたが、意味を理解したらしく物凄い目
を僕に向けてきた。例えるのならば永久凍土の僻地、何者も存在を許さない氷の目だった。
「ねぇ、何回したの?」
「一回だけじゃぞ? キメたのは口で一発、股で一発の計二発じゃ」
 今度はミチルが睨まれる。

 そして一瞬後、ツルは久し振りに見る酷薄な笑みを浮かべた。どこまでも冷たい視線は
そのままに形の良い眉を意地悪く吊り上げ、頬は皮肉気に歪んでいる。三日月型に変形を
した口から発せられる声は、軽蔑と憎悪を多分に含んだ、人を際限なく突き放すもの。僕
がツルと付き合う以前、幼い頃から見てきたものだが、今回は意味が違う。昔のものは、
照れなどが理由で敢えてやっていたことだ。だが今回のものは、まさに取り付く島がない、
自分から遠ざかろうとするもの。僕にとっては、死刑宣告にも等しいものだ。
「良いわよ、別に。ミチルはカメのペットだし、亀同士仲良くやれば良いじゃない」
 鼻を鳴らし、僕から視線を外すとツルは適当なプリントに手を伸ばして仕事を再会する。
まるで気にしていないとでも言うように、ごく自然な様子で。
「なぁ、ツル」
「何? 私は今、とっても忙しいの」
 わざとらしく『忙しい忙しい、あら大変だわ』などと言いながら、ツルはプリントに筆
を滑らせてゆく。淡々と作業を進め、一山を終えたところで漸くこちらに視線を向けたか
と思えば露骨に溜息を吐き出して、
「あら、まだ居たの? 帰ってても良かったのに。会長様は、もっと大切な用事があるん
じゃない? 問題を減らす為に、ミチルと何発もキメなきゃいけないんでしょ?」
 吐き捨てるように言って、次の書類の山に視線を落とした。
 これは、どうすれば良いのだろうか。
 今までに無かったパターンだ、どう対応すれば良いのかが分からない。会話をしようと
しても先程のように突っ撥ねられるし、挙げ句の果てには邪魔者扱いだ。近寄ろうと立ち
上がれば鋭い目を向けられ、一歩進めばバリケードのように書類の山を壁にされる。
 ふと、突然思い出したようにツルは顔を上げた。
「カメ、味噌と醤油どっちが良い?」

「え?」
「やぁねぇ、晩御飯の話よ。カップ麺で良いでしょ? それとも」
 意地の悪い笑みを強いものにして、
「ペットフードの方が良い?」
 何て、えげつない。
 あまりの惨さに一瞬思考が停止してしまう。
 だから、気付かなかった。
「ちょっとアンタ、何してんのよ!?」
「ん? 乳を揉ませてるだけじゃ、気にせんでも良い。どうでも良いと言ったのはツルの
方じゃろう? 儂らは儂らで楽しむから、そこの仕事を片付けておれ」
 この手に当たる感触は、間違いなくミチルの乳だ。揉んだのは実に久し振りだが、言葉
にするのも畏れ多い。乳はそれぞれが素晴らしい個性を持つものだと思っているが、この
弾力は何に例えたら良いのだろうか。違う、例えるのなど愚の骨頂だ。乳は乳であるし、
ミチルの乳はミチルの乳でしかない。
「それが、真理というものか」
 理解して、次は生で触れようとした直後、
「いい加減にしなさいよ!!」
 衝撃。
 肋骨が折れ、肝臓が潰れるかと思う程の勢いで脇腹にドロップキックが叩き込まれた。
あまりの痛さに真理の先にある楽園にまで辿り着きそうになったが、慌てて意識を戻して
蹴りの主を見る。可愛い水色のパンツを丸出しながら着地したのは、頬を赤く染めたツル。
「アンタねぇ」
 ツルは仰向けになった僕に大股で近寄り、
「仮にもね」
 腹に乗ってマウントを取り、
「私の彼氏なんだから」
 頭を掴み、
「寂しい思い、させないでよ!!」
 唇を重ねてきた。
 強引に引き寄せるようにしてのものなので、前歯が当たって軽い音をたてる。だがツル
は構わず何度も口付けを続け、やがては目尻に大粒の涙を浮かべて、
「ちょっと待て、痛い痛い」
 甘い筈の口付けは、何故か頭突きの応酬へと変化していた。
「ミチル、別にカメと何発キメても良いわよ」
 ツルはミチルに例の笑みを向け、
「条件があるけどね」
 言いながら、何故か僕のネクタイを掴んで揺すってきた。



 吹っ切れた人間というのは、限界などを軽く突破してしまうらしい。今のツルの様子を
見て、そんなことをしみじみと考えてしまう。それだけ今の姿は強烈だ。
 漢字一文字で表せば『裸』、要は何も身に纏っていないマッパ状態のツルが僕とミチル
の前で仁王立ちをしていた。普段の羞恥心はどこに消えてしまったのか、胸や無毛の股間
を隠そうともせずに、超完全露出状態でこちらを見下ろしている。
 ツルが僕とミチルに出した条件は、直接補給をしないというものだった。
 分かりやすく言えば、僕がミチルを相手に射精することを禁ずるというもの。但しツル
を相手に出した後で、それを飲むのは許可するというものだ。魔力の補給には僕の精液が
必要となるのは仕方がないという理由で、3Pをするという誰も予想しない結果となった。
 ツルは考えが決まれば即行動を開始するタイプで、キリの良いところで書類整理を終え
たと思った瞬間には首根っこを掴まれていた。そのまま夕食の買い出しをすることもなく
真っ直ぐに帰宅し、リビングに放り込まれた僕が目を向けるとツルは既に全裸状態だった。
 今の状況までの経緯を掻い摘んで言うと、このようなものになる。
「脱ぎなさい、カメ」
 そう僕に言いながら、ツルは強引にシャツを掴んで脱がしにかかってくる。今の言葉は
自主的に行動しろという意味があった気がするのだが、これではまるで追剥だ。いつの間
に日本語の意味が変わったのだろうか。
「愛されてるのう」
 呑気に言いながらミチルがシャツを脱ぐと、豊かな胸が揺れながら姿を現した。親の仇
を見るような目でそれを見て、今度はミチルの服を脱がしにかかった。ツルが服を強引に
脱がせてくる、という夢のようなシチュエーションが消えたのは残念だが、ツルがミチル
の服を脱がすという状況もまた捨てがたいものがある。特に、もう何も着けていないにも
関わらず執拗に胸を責めているときなどは、世界平和という言葉の意味の片鱗を感じた。
全世界でこのようなファンタスティックな光景が繰り広げられるようになる瞬間、それは
間違いなく真の世界平和が実現するときだろう。

 まずは、小さな一歩から。
 頷き、ミチルのパンツに手をかける。
「いや、待てよ」
 安易に脱がしても良いものだろうか。ツルはもう脱いでしまっているので仕方ないが、
ミチルにはまだ無限の可能性がある。脱がさずに行為を続行して最後の最後で脱がすのか、
それとも最後まで脱がさずに終わるのか。どちらもそれぞれ趣や良さがある、択一するの
はかなり難しい問題だ。こんなときは心を落ち着かせて、自らの無意識に従うのが良い。
「清く、正しく、いやらしく!!」
「矛盾してる上に清くないわよ!!」
 ツルが何か言ってくるが、僕の心は決まった。
 ミチルのパンツを脱がすと、割れ目に舌を這わせる。ツルの愛撫で既に少し湿っており、
僅かに塩味が口の中に広がった。体を強張らせて太股で顔を挟まれるが、抵抗と言うより
興奮剤としての力の方が強い。弾力のある肉感的な感触、冷たくすべすべとした肌、その
どれもが気持ち良い。尻をしっかりとホールドして舌を奥まで潜らせ、味わうようにして
内部を責めると甘い声が漏れてくる。普段のどこかとぼけたような、クールでハスキーな
声が色を帯びていることが、より気持ちを昂らせる。
 普段はあまりしないが、わざと大き目の音をたてて割れ目を吸い、乱暴に舌を跳ね回す。
尻の穴の周囲、皺の一本一本をなぞるように舐め、ほぐすように穴の入口を舌先で叩き、
物欲しそうに動き始めた穴の中へと滑り込ませてゆく。
「カメ、そっちは、違う」
 一旦口を離すと手指で尻穴を掻き混ぜながら、拭うように割れ目に舌を滑らせる。愛液
で濡れた太股を丹念に吸い、舐め、再び尻穴から上へと舌を伸ばす。充血して固くなった
クリトリスを歯を軽くたてて噛み、次は逆に優しく舌で包んで愛撫する。

 ツルが相手ならば、この時点で既に三回は達しているところだ。ミチルもそこまででは
無いようだが、大分感じているらしい。まぁ本気でやっているので、無反応だと逆に僕が
酷く落ち込んでしまうのだが。ミチルが不感症な亀ではなくて良かったと、我ながら何か
妙な感想が沸いてくる。
 そんなことを考えながら尻の肉を揉んでいると、胸をいじるのに飽きたらしいツルが体
を起こすのが見えた。何をするつもりなのかと思っていると、
「ほら、自分ばっかり気持ち良くなってないで」
「あ、ツルは止めた方が」
 僕が言い終わる前にツルはミチルの顔を跨ぐと股間を口に近付けた。僕と向き合う姿勢
なので強気の笑みが見えるが、それも短い間だろうと思う。
「や、そこは、駄目」
 案の定、最初は余裕のある顔をしていたのだが、幾らもしない内に脱力して倒れ伏して
しまった。ミチルの股間に顔を埋めていた僕と、至近距離で目が合う。
「言わんこっちゃない」
 そもそもツルは、すぐに半マグロになるくらいに感度が高いのだ。そんな体質のツルが
テクニシャンのミチルの舌にかかったら、駄目になってしまうのは自明の理だ。僕の愛撫
で少しは体の動きも鈍っているようだが、それでも尚技術は凄いものだろう。組み合わせ
が悪かったとしか言いようがない、ツルからしてみれば殆んど皆が天敵だろうが。
 それなりに濡れてきたことを確認し、既に固く勃起していたものの先端をミチルの股間
の割れ目に当てた。馴染ませるように上下に擦っているだけなのに、とても気持ちが良い。
今にも飲み込もうと入口が軽く開閉し、気を抜けば一気に突っ込んでしまいそうになる。
 だが、入れて良いのだろうか。
 いつもの癖でこのような体制を取ってしまったが、判断に困った。ミチルを相手に出す
のはルール違反、それは行為の前に聞いていたので分かっている。だが過程の部分は特に
決めることなく速攻で開始してしまった為に、詳しい部分が分からない。ミチルはすぐに
でも入れて欲しそうな切ない瞳で見つめてくるが、この場でのジャッジはツルの役目だ。

 焦点の合っていない目で喘いでいたツルは、こちらをぼんやりと見上げると力のない、
いやらしい笑みを見せた。どうやら相当出来上がっているらしい。ツルは口の端から唾液
を垂れ流しながら僕のものに小さくキスをすると、生々しい音をたてながら手指でミチル
の割れ目を開いた。溢れ出した密が指先に絡み付き、ツルはそれを美味そうに舐める。
 これはつまり、大丈夫ということか。
 遠慮無しに一気に奥まで打ち込むと、その衝撃で達してしまったらしく、ミチルの体が
大きくのけぞった。途切れ途切れの呼吸に合わせて、連続で僕のものを締め付けてくる。
連続で腰を動かすとそれは更に強いものになり、飛び散る愛液がシーツや太股だけでなく
ツルの顔をも濡らしてゆく。その光景に、腰の動きが止まらなくなってくる。
 それだけではなく、ツルは顔に付着した体液を拭おうともせずに僕のものに舌を這わせ、
唇で甘く噛んでくる。ミチルがひたすら喘いで動けない状態なので、少し余裕が出てきた
のだろう。僕のものを口で弄びながら、ミチルの尻やクリトリスを責めている。数ヵ所に
与えられる刺激に体をくねらせながら、ミチルは精液を吸い取ろうとひだを絡ませる。
 まだ若干の余裕はあるが、ミチルから竿を引き抜くとツルの体を反転させ、とろとろに
なっている割れ目に挿入した。体の相性が良い、と言うのだろうか。ミチルの中もかなり
気持ちが良かったのだが、やはりツルに入れているのが一番しっくり来る。このフィット
感といい適度な締め付けといい、僕にはツルが一番だ。
 だからだろう。早漏だとは思いたくないが、瞬く間に射精感が込み上げてきた。どこに
出そうかと迷ったが、ツルは毎回の如くひたすら半マグロ状態で喘いでいるのでジャッジ
を受けることが出来ないし、ミチルの方も同じような状態だ。

 考え、結論し、僕はいつものようにツルの膣内に放出する。だが滅多に出来ない経験を
したからだろうか、それだけでは収まらずに抜いた後も幾らか出してしまった。ツルは目
を細めると竿にしゃぶり付き、唇でしごいて最後の一滴まで絞り出してくる。
 そして次の瞬間、驚く光景があった。
「や、ミチル、そんなに吸ったら」
 ミチルはツルの股間に吸い付くと、溢れ出してきた精液をすすり始めた。仰向けで脱力
したツルの割れ目を、愛液の名残りすら残さないというようにに吸い、音をたてて飲んで
こちらに笑みを向けてくる。僕に何かを伝えるように妖しい笑みを浮かべたまま紅い舌で
唇の周囲に着いた精液を舐め取り、やがてそれはツルの唇へと向かっていった。
 舌を絡める濃厚なキス、それでツルの口の中にあるものを絡め取って飲み込んで、幸せ
そうな吐息を溢した。その姿は、恐怖を感じる程に綺麗だった。
「のう、カメよ」
 幻想に作られた芸術も一瞬で終わり、ミチルはこちらに視線を向けて首を傾げた。
「今気付いたんじゃが、特定の相手に意思を向けずにマスをカクという手段も」
「無理だ」
 僕も最初に思い付いたことだったが、それには無理がある。
「エログッズは、ツルに禁止されてるんだ」
 脳内の相手を追求されて藪蛇になる訳にもいかず、だから諦めたのだった。
「難儀じゃのう」
「そう思うなら、少しは人間のルールを守ってくれ」
 言って、僕は溜息を吐いた。

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最終更新:2007年08月04日 17:26