アットウィキロゴ
 

ツルとカメ-6

  • 作者 ロボ氏

第6話『剣』

 リィタが仲間になったが、一つ問題が発生した。と言っても不満を抱いているのは虎蔵
だけなのだが。それは元々世話焼きな性根を持つ彼が、今のリィタの生活を知ってからの
ことだ。幼い外見が娘と被ることも原因だったのだろう。
 リィタは魔法幼女の姿になってからも独自に様々な技術を開発し、それを売ることで、
生活費を稼いでいた。年齢を見なければ珍しいことではないが、いかんせん今のリィタの
体は年端もいかない子供である。そんな彼女が一人寂しくホテル暮らしをしているという
現状が、気になって仕方が無かったのだ。昔からの付き合いであるリリィは妹のそのよう
な部分を理解しているのか、安否さえ確認出来れば良かったらしく反応は以外とクールな
もので、特に気にしている様子は無かった。薫も似たようなもので、無理に引き留めよう
とはせず、あくまでも当事者の問題として扱っているようだった。
「元の年齢だってまだ14だろ? それなのに、独り暮らしはどうよ? あ、それチー」
「んー、でもいきなり元のように二人暮らしをしろってのも難しい話じゃない?」
「ヘドロさん、随分とリィタの肩を持つんですね……いやらしい」
「私は一人でも生きていけます。それとチーは無理です、ポン」
 と、これがそれぞれの言い分だ。
 開発課の研究室の中心、四人は麻雀をしながら話し合っている。他の局員は真面目に仕事をしながら、そんな四人を興味深そうに眺めていた。リィタ
の基本は自由業、悪く言えば無職で、他の三人も最近は忙しかったので有給を使い、こう
して休んでいるのである。何故わざわざ研究室の中で麻雀をしているかと言えば、親交を
深めるという新商品のテストも兼ねてのことだ。するだけで体の各所のコリが取れたり、
健康になったりするというコンセプトを生かした一品だ。もう3徹をしているというのに
四人の顔色が健康そうなのは、その為である。
「何とかならねぇか。もう今日の夕方には娘が林間学校から帰ってくるんだ、その前には
結論したいんだがなぁ。お、上がった、メンタンピンドラ2で親満だ」

 ぞれぞれから5000点棒を受け取り、千点ずつ返しながら虎蔵は首を傾げる。どうすれば
良いのか、考えた。ラス親だから続行するか、というようなものではない。どうすれば誰
もが納得出来るか、というものだ。
「例えばよ、リィタ。俺んとこ来るのはどうだ?」
「だ、駄目です!! そんな羨ま……ヘドロさんの家になんて!! 何が起こるか!!」
 そんなに信用が無いのだろうか、と溜息を吐く。最近は態度も軟化をしてきたと思って
いたのだが、勘違いだったようだと落胆した。それどころか酷くなっているな、と苦笑を
虎蔵は浮かべ、リリィからの睨むような視線を受け止める。
「私は、構いませんけど。でも、多分苦しむのは虎蔵さんだと思いますよ」
 リィタは牌を積んでいた手を止めると、真剣な表情を浮かべて虎蔵を見た。こめかみを
撃ち抜くように自分の白銀色の髪を指差して、
「どうして私の髪がこんな色なんだと思います?」
「そりゃあ」
 少し考え、
「俺が変身したとき、被ったらマズいからだろ」
 その答えに白い目を向け、リィタは舌打ちを一つ。
「真面目に答えて下さい」
「月の魔女の血族、ってのは違うな。マジに答えると、テロメアの問題か?」
 言ってから、後悔する。出来れば考えたくなかった問題だ、これに肯定の答えが返って
くれば残酷な答えが出されることになる。普通に考えて、受け入れるべきではない答えが。
 果たして、リィタは頷いた。
 これで証明された、もうリィタの先が決して長くはないことが。
「魔法幼女になったばかりの頃は、虎蔵さんの変身時のように金髪でした。ですが今は、
このように全て白髪へと変わっています。意味は分かりますね?」
 リィタがそれぞれに視線を回すと、誰もが苦い顔をした。

 こう言っているのだ。
 外見こそは不老だが、組織全体の劣化が激しいものであると。
 『首吊り』事件の際に魔法幼女になったのであれば、まだ二年しか経っていない。その
間に白髪になったということは、その二年間が通常の人間でいうところの60年程も経過を
したことになる。残る寿命は一年と少し程しか無いということだ。もしかしたら、もっと
少ないかもしれない。それはとても、残酷な答えだ。
「一時的にとはいえ、こんな重荷を背負って生きることになるんですよ?」
 数分。
 虎蔵は悩み、結論した。
「構わねぇよ」
「ちゃんと考えましたか!? 格好付けるだけじゃ済まない話なんですよ!?」
「そうよ、虎蔵ちゃん。後で苦しむのは」
 虎蔵は二人を睨み、煙草を取り出して火を点けようとし、
「うわ、何だ!?」
 局員の一人がテスト走行していた防火用のセキュリティロボ『マッチ』の全力水噴射を
受けて吹き飛ばされる。立ち上がろうとする虎蔵に追い討ちをかけるように『マッチ』は
股間のホースから水を連射、慌てて局員が止めようとしたがうっかり転んだ表紙に背中の
スイッチを『ノーマル』から『キャノン砲』に変えてしまい、水の勢いに負けた虎蔵の瞳
から光が少しずつ失せてゆく。手足はとっくに脱力してしまっていた。
「と、虎蔵さん!?」
「俺は大丈夫だ。それよりも、何が重荷だ? ふざけんなよ!!」
 叫びながら立ち上がったが、今度は水流が股間を強打。目を大きく見開き悶絶しながら
倒れる虎蔵を見て、薫や男の局員が股間を押さえた。自分が撃たれた訳でも無いが、各所
から悲鳴に似た声が漏れてくる。
「虎蔵さん、生きてますか?」
「平気だ。えぇと、どこまで言ったっけな? そうだ、重荷だ。それは違うぞ、リィタよ。
お前も何だよ、そんなに自分を卑下しやがってよ。生きてるんだろ? 人間なんだろ? 
だったら胸を張って、自分をしっかりと見つめてやれ。それはお前にしか出来ないことだ」
 涙目になっているリィタの髪を撫で、笑みを向ける。
「それだけ守ってりゃ、それ以外のことなんざ大したこたぁねぇよ」
「何だか、アツいですね。でも、そんなのも嫌いじゃ……ひゃあ!!」
 不満そうなリリィの手によって『キャノン砲』から『超新星爆発』まで切り替えされた
極悪な威力の超水流が、再び虎蔵の股間を撃ち抜いた。

 ◇ ◇ ◇

 大事そうにヤキソバの材料を抱えて歩くリィタが、こっそり手を伸ばしてきた。虎蔵が
それを握ってやると、リィタはどこか擽ったそうな、嬉しそうな顔をする。
「まるで、お父さんみたいですね」
「構わんさ、娘になっ……あんにゃろう」
 言葉を途切らせて睨んだのは、すぐ隣にあった公園の広場だ。サユリもよく連れてくる
場所だが、今は昼を少し回った時間帯。居るのは談笑をしている奥様達だけだが、様子が
普通ではなかった。どこにでもある風景のようだが、決定的に違う部分がある。
 動いていないのだ。
 笑みを浮かべてベンチに座っているので最初は呑気なもんだと思って見ていたのだが、
声が聞こえてこないのが違和感の始まりだった。おかしそうに振り上げられた腕は空中で
固定され、口も動いていなければ瞬きすらしていない。決定的だったのは体から立ち上る
煙だった。遠目だったので視認はし辛いが、目を凝らして見ると白い煙が彼女達やベンチ
から発せられている。まるで、炎天下の下で放置された氷のように。
 快音。
 銃声が空から響き、一人の体が粉々に砕け散った。それは連続して響いて、次々と奥様
の体が砕けてゆく。繊細な硝子細工が割られるように。
「おい、行くぞ」
「はい。ヤキソバタイムを邪魔した罪を、償わせてやりましょう」
 虎蔵は腕輪を、リィタは指輪を構えて同時に叫ぶ。
『FullmetalTiger:Enter;』
『MoonBrea:Enter;』
「「我ら悪を切り裂く正義の剣、魔法幼女只今参上!!」」
 変身は一瞬、魔法幼女となった二人は公園の中心へ飛び込んだ。
『来たか、魔法幼女!! 幼女が二人とは、これはこれで中々な眺めじゃのう!! 幼くない
女どもを見たストレスが一気に解消されるわい、どれパンティもついでに見せてみい!!』
 突然現れた飛行船の巨大モニターから、Dr.ペドはセクハラ根性全開の発言。リィタは
頬を染めてスカートを押さえたが、虎蔵は鼻で笑った。外見は幼女でも中身は中年の男だ、
パンツを見せろと言われても痛くも何ともない。憐れな年寄りだ、と思うだけだ。魔法の
ステッキからブレードを伸ばして、虎蔵は身構えた。

 空から、コタツが降りてくる。
 中から出てきたのはパジャマの上にドテラを着た、眠そうなに目を半開きにした幼女。
先程の銃声は手に持ったライフルによるものだろう。どのような仕組みかは分からないが、
これで砕いたことは間違いない。リィタもスカートを押さえていた手を離し、彼女を睨み
身構えた。ここから先は、照れなどしていたら殺される。
『まんず宜しく、あだすは花子。さ、行くべさ』
『DragneelSystem:Enter;』
 言いながら花子はコタツに再び潜り、
『WorldOfWhite:Open;(銀世界展開!!)』
 言うのと同時に、周囲を巨大な陰が包んだ。
 雪が降る。
 コタツが飛び上がった先を見れば、その発生源が見える。広場を埋める程に巨大な装置
から、大粒の雪が降りてきていた。しんしんと周囲の音を消しながら、それは静かに降る。
「リリィ、聞こえているな!?」
『何ですか、人がせっかく煮込みうどんを食べようと』
「敵だ!!」
 その一言で伝わったらしく、息を飲む音が通信機越しに聞こえてくる。早く壁を出せ、
の声に返事が来て、瞬時に虎蔵とリィタの周囲に光の壁が展開した。間一髪といった所で
雪を防いだが、銀世界の文字通り周囲に雪が積もってゆく。
『敵の能力は?』
「雪が降っ……凍りやがった!!」
 周囲を見て、雪の効果を知った。
 雪が有り得ない速度で蒸発しているのは立ち上る水蒸気で分かったが、それ以上に驚く
ものがあった。どんな液体にも気化熱というものが存在する、蒸発する瞬間に大きな熱量
を持っていくという現象だ。この雪はその熱量が半端ではないのだろう、瞬く間に周囲の
樹々や遊具が凍り付いていた。何もかもが氷で覆われた正真正銘の銀世界、言葉の本当の
意味はこちらだったのだ。
『どうだね、虎蔵君。許容熱量が少なく、沸点も低い。そして気化時は莫大な熱量を奪う、
最高の液体だ。これでバナナも瞬間冷凍、形も崩れずにロリマンコに突っ込むことが可能
なのだよ!! 崩れて周囲に付いたのを舐めるのも良いが、やはり丸ごとバナナだよなぁ!!』

 Dr.ペドがふざけた発言をしている間にも、雪は止まらない。空を見上げれば花子が顔
とライフルの先端だけをコタツから出して、こちらを狙っているのが見えた。動けない今
の自分達は、格好の標的だろう。ライフルの威力は分からないが、押し切られる可能性が
ある。虎蔵はリィタを抱えて大きく跳躍した。
 銃声。
 頬を霞める銃弾の熱さを感じ、理解する。
 高い温度を持った弾丸により熱量を与えられ雪の気化は一気に加速し、更にその銃弾が
撃ち込まれたことによる衝撃で相手は砕け散るのだろう。回避をしようにも雪は満偏なく
降っているし、避けられるものではない。言うなれば、この大天蓋の下全てが絶対領域。
しかも今の理屈で言えば、Type-Fの重装甲でも防げるようなものではない。
「面倒な敵だ」
「いつものことですがね」
 吐息をして、リィタは両腕を空に向けた。左右の腕に備え付けられたパイルバンカーの
射出機構が唸りを上げて起動し、ギアの摩擦によって巨大なガントレットが赤熱化する。
白銀の杭の砲台となったリィタを見て虎蔵は目的を理解し、ステッキの第三ボタンに手指
を沿えた。チャンスは一瞬、杭を撃つ瞬間に光の壁を消さなければいけない。その瞬間に
雪に体が触れないように、装甲を解除して壁にする為だ。
「リリィ、俺の合図でTigerWallを切れ」
『了解です』
 パイルバンカーの唸りはまだ止まらない。天蓋に届く為の力を蓄える為にギアは何度も
組み変わり、各部に回転を蓄えてゆく。刺さるだけでは駄目だ、突き破り、破壊するべく
エネルギーを増幅させてゆく。ガントレットはもはや赤熱を通り越して白く輝き、焼ける
腕の痛みにリィタは表情を苦痛のものに歪めている。それでも止めずに、ただひたすらに
続けているのは月の魔女としての誇りのようなものがあるからだろうと思う。空の騎士の
血族と先日リィタは言っていたが、虎蔵にはそれがどのようなものか分からない。しかし
意味と誇りは理解出来る。空に浮かぶ月のように、人を優しく照らし守るものなのだ、と。

 鈍い音をたてて、唸りが止んだ。
 陽炎に揺らめく大気の中で、リィタは虎蔵に視線を向けて、
「準備、完了です」
「よし、今だ」
 壁が消え、
『MoonStriker:Open;(月帝砲展開!!)』
 二本一対の杭が撃ち出される。
 一瞬後には音速の数倍の速度で飛んだ杭が、天蓋の中心を撃ち抜いていた。穴から晴天
の空が見え、差し込まれた日の光が周囲を照らし出す。溶けた氷が加速度的に公園を凍り
つかせているものの、雪はこれ以上降ることはなくなった。
「うわ、寒ぃ!! だが、このままキメるぞ」
『そうはいかんべぇ!!』
 花子はコタツ板の上に立つと、半開きになっていた目を見開いた。
『WhiteAxel:Open;(雪風展開!!)』
 コタツ布団が開き、中から出てくるのは先程と同じ雪だ。速度と指向性を持つそれは、
先程のように広い範囲ではないものの的確にこちらを狙ってくる。狭い吹雪は猛烈な勢い
で大気ごと凍らせ、日光によって溶けた空気が竜の鳴き声に似た音を響かせる。
 問題はそれだけではない、壊した天蓋が降下を始めていた。このままでは周囲の建物が
押し潰されたり、溢れた溶液が飛散してしまうだろう。もしそうなってしまったら被害は
決して少なくはない、これでは花子を倒したとしても本末転倒だ。Dr.ペドの本来の目的
は幼女以外の女性を全てこの世から消すこと、それが実行される。
『私に考えがあります。ヘドロさん、新装備です』
『Type-P:Enter;(矛盾装備展開!!)』
 虎蔵とリィタの装甲が弾け、服装が変わる。
 二人のワンピースは、虎蔵が赤、リィタが白のチャイナドレスに。パワーアシスト用の
太いアーム装甲が背部から腕部にかけて合致し、脚部には移動用の大型バーニアが着く。
それぞれの腕に収まるのは、巨大な剣と盾だ。

 虎蔵のものは柄の長さだけで1.5m、全長は6mにもなる剣、刃の部分がチェーンソー型の
ものだった。リィタのものは全長4m程もある縦長の肉厚な盾で、強度は推して知るべし。
二人の体駆には到底合わない、いや、誰も使えないような力の塊だ。
「こりゃあ」
『理論上、その剣で切れないものは存在しません。また、その盾で防げないものもこの世
には存在しません。それを元に作られました』
「確かに矛盾ですね」
 言いながらリィタは吹雪に向けて盾を構えた。
「ですが、あの雪くらいなら防げるようです」
 雪を受けても、銃弾を受けても、全く揺るがない。
 二人はバーニアをふかして飛び上がり、花子へと向かってゆく。一方向からの雪などは
恐れる必要などはない、全て盾が防いでくれる。その性能にリィタは驚きの表情を浮かべ、
そして虎蔵と目を合わせて笑みを作る。虎蔵も頷いてトリガーを引き絞ると、エンジン音
を響かせて無数の小刃が移動を開始した。虎の爪牙のようなそれは僅か数秒でトップギア
に入り、今にも敵を喰らおうと腕の中で暴れ始める。
「餓鬼は餓鬼らしく」
 パワーシリンダーをフル稼働させて暴走する刃を安定させ、腰溜めに構え、
「コタツに込もってないで遊べ!!」
 振り上げる。
『ぬあぁ、コタツの中でのスリリングなエロ悪戯がぁァッ!!』
 Dr.ペドの叫びも虚しく、花子はコタツごと両断された。飛散する溶液をリィタが盾で
防ぎつつ、二人は降下中の天蓋を睨みつける。花子は倒したが、これを何とかしなければ
今回の戦闘は終わったことにならない。寧ろこっちがメインと言っても良いくらいだ。
「どうすんだ、考えがあるってよ?」
『その剣でリィタの盾を攻撃して下さい、それも全力で。絶体的な運動速度と切味を持つ
これと、最高の防御力を持つ盾を噛み合わせれば、摩擦で』

「莫大な熱が発生、ですか」
 最後の部分を持っていかれてリリィは不満そうな声を漏らしたが、構うものではない。
「だがよ、蒸発すんのは分かるがな。物凄い寒いんじゃねぇか、俺らが」
『大丈夫です』
 何か秘策があるのかと思ったのは一瞬、通信機の向こうのリリィは冷静な声で、
『もし風邪を引いても、全力で看病します……課長が。それに馬鹿は何とかを引かないと
昔から言うじゃないですか、だからヘドロさんなら平気だと思います』
「ふざけんな!!」
 苦い表情をして通信を切って虎蔵は天蓋の真上まで上昇、装甲を切り裂いて溶液タンク
の近くまで移動する。それに続くリィタの顔も緊張に満ちていた。
 虎蔵とリィタはお互いに頷いてタイミングを確認、大きく息を吸い込み、
「「せーの!!」」
 轟音。
 盾と剣を噛み合わせながら、タンクに打ち付けた。溢れる溶液は瞬時に気化して視界を
閉ざし、パワーアームを凍り付かせるが、武器が発する熱量も負けてはいない。それで暖
を取りながら、勢いに負けないようにより強く武器を噛み合わせる。ここから先は忍耐が
勝つか体が負けるかの勝負だ、歯を食い縛って二人は耐える。
 たっぷり数十秒かけて、勝敗が決した。
 溶液が底を着いたのだ。
「よっしゃあ!! トドメだ、気合いを入れろ!!」
「『了解です!!』」
『Type-D:Enter;』
『Type-G:Enter;』
 虎蔵は高速で移動しながら天蓋を切り裂いてゆき、リィタは鋼鉄のタロットで破片を更
に細かく砕いてゆく。その結果生まれるのは無数の金属の破片達、金属で出来る粉雪だ。
雪を降らせる装置を砕き、それが雪のようになるのは皮肉なものだ、と虎蔵は思う。
「何だか、綺麗ですね」
『体にはかなり有害ですけどね』
 この光景をサユリに見せてやったら喜ぶだろうか、そして「ぱぱ超大好き!!」と言って
くれるだろうか。そんなことを考えて、虎蔵は目をヘドロのように濁らせた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年08月04日 17:42