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Le souhait last_escape

  • 作者 79氏

一階廊下。
「話の内容はわからなかったけど、ハロ君たちのグループと合流したほうが良さそうね」
「はい。地雷などのトラップの位置がわからないぶん、固まって移動するであろう彼らは危険です」
日透はとりあえず外の木陰の隅に隠しておいた。テレビがあるなら、妹に情報が伝わって、ヤケを起こされる
とかなわないからである。
「何ボーっとしてるのよ、渋沢」
「ゲーム、か・・・。まあいい。そうするなら早く電話だ。お前なら番号知ってるだろう」

同じく、一階廊下。窓際の長い廊下。
「由梨ちゃんとしのたは休み時間になるとこの先の水のみ場の辺りに居る」
毒男に導かれるまま、俺たちは一階廊下を歩いている。
「?毒男は学年が違うからここの水のみ場には用は無いだろ」
智途が言う。
「そこは愛でカバーだ」
と俺。
「そうなのか?」
「そうだお。現に漏れはいつでも智途様の傍に駆けつけるお」
「そう言えばそうだな」
「・・・(^ω^ )」
とんとん、と蕪雲が俺の肩を叩く。
「何だよ?」
「なんか智途様に殴られて会話が終わらないと物足りないお」
「それは俺も思った。まあ非常事態なんだから我慢しろ」
どの道、変態か。
「あれに見えるは!」
毒男が指差す先には、縛り上げられている由梨としのたが居た。口にはガムテープが貼られている。
俺はそれを見て、直感的に気付いた。
智途も、由梨もしのたも、心の読めない俺じゃなくて、読まれている筈の蕪雲や毒男にしかわからない
場所に捕まっていた。その蕪雲や毒男も、俺がいつも立ち寄る部室に居た。つまり、俺の心が読めなくても、
今の俺たちの行動は完全に予測可能だ。
つまり、あれは罠だ。
「待て、毒男!」
駆け出す毒男を追いかける。
智途も、必死に首を振る二人の意を汲み取り、気付いて走り出す。
蕪雲は、ただ智途の後を追うだけだが走り出した。
走る毒男の右手を何とか掴み、足を軸に回転するように後ろに放る。それを蕪雲が見事にキャッチ。
だが、当然バランスを崩す俺。追いついた智途が、倒れ込む俺を抱えるようにして支える。
「ナイス連携d――」
ドン!!
轟音。
音に気付いた時には、体が浮いている事に気付いて、すぐに床に叩きつけられた。
何とか上体を起こす。舞う土煙。ぱらぱらと崩れる、壁や天井。側壁なんかは完全に穴が開いていて、
鉄心が剥き出しになっていた。派手にやってくれたな。本当。
「ゲホ、ゲホッ。みんな、大丈夫か?」
「何とか。まあ、ちょっとやってしまったけど」
飛び散った破片で、智途は二の腕の辺りを五センチほど切られていた。
「智途ざま゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!゙!゙」
「お、俺のせい・・・」
うろたえる毒男。それを見て、智途はフッと笑って返した。
「男ならこれくらいでうろたえるな。こんな傷、舐めておけば治る」
腕白少年か。舐めて治る傷でもないし。
「もう罠は無い筈だ。とりあえず二人を助けて、智途は水飲み場の水道で傷を洗ったほうがいいな」
俺は一応適当な事は言ってみたけど、もし毒男を引き止めなかったら、と思ってぞっとしていた。

電話があって、トラップが少ないだろう屋外(中庭)で、俺たちは最強三人組と合流した。
「智途ぉ!怪我してるじゃないの!痛いの?痛いの?飛んでいかないの?」
慌てた様子ながら、雪花さんはどこからか取り出したガーゼとテープでしっかり処置を始めていた。
「お嬢様は?」
「すいません、まだ・・・」
無表情な筈の緋柳さんの表情が、少し曇ったように見えた。
「毒男」
渋沢さん。
「('A`)?」
「帰るぞ」
全員が無言になった。
「・・・いや、危険かもしれないけど、俺は知らないフリして帰ることはできない」
「そうか」
その言葉を特にどうというわけでもなく、渋沢さんはまたタバコを咥えた。
「日透は私たちが何とかしたわ」
「何とかしたんですか!???!!」
「はい。現在、十二時五十二分です。残り約二時間で二名。これまでのペースでいけば達成は容易ですが
彼の言った事とその妹の動向を考慮に含めますと、何とも言えません。急ぎましょう」
「『彼の言った事』?」
「そうだ」
渋沢さんが口を開いた。
「『爆弾は遥にしか解除できない』と言っていた。何か心当たりはあるか?」
「これのことかな」
爆弾を解除する鍵を取り出す。
「これは、俺以外の人には見えないと言ってました」
雪花さんが近付いてきて、鍵(のあるらしい空間)を見る。
「ほんとだ。あるんだけど、ハロ君以外の目には光を反射しないわ。触る事はできるけど」
俺は非現実的な事に慣れてるからどうと言う事もないけど、って言うか見えてるから不思議でもなんでもない
のかもしれないけど、やっぱり不思議なんだろうな。おそらくこれも、意識に干渉する能力の一部。

「由梨ちゃん、大丈夫だった?気絶してたけど」
「え?うん。あはは・・・私、おっきな声とか音は苦手で。しのたんと話もできないし、やっぱり怖かったかな」
「『心当たりがある』って私たちを導いてくれたのは毒男なんだぞ」
智途が口を挟む。
「よせやい俺なんかよせやい」
「そうなんだ。ありがとう!」
「・・・や、何・・・まあ当然のことだ」
「ツレデレ(^ω^;)?」
「でも腹立ちませんかあの女!縛った上に口にガムテープ!ボクもう息苦しくて・・・」
「私はテニス部の部室だった。放っておいても熱中症で死んでしまうぞ」
「ひどいですね!」
蕪雲や毒男も悪態垂れるとか死ぬかと思ったとかそういうこと言えよ。マジ現金だったぞ。

「ここからは義理とかそういうのは要らない。後二人なだけに、トラップには十分気をつけるべきだ。即ち」
一服し、タバコの煙を大きく吐く。
「遥と緋柳以外は学院の中に入る必要は無い」
酷なようだが、本気で殺す気の爆弾トラップを体験した以上、その言葉は否定できなかった。
「おにいちゃん・・・」
「大丈夫だって。ちゃんと帰ってくるから」
ぽんぽん、と由梨の頭を優しく叩く。
「智途先輩、いいんですか?ボクたち、このまま引き下がっても」
智途は俯き、ぎゅっと二の腕を押さえた。
「仕方、ないことだ」
「・・・じゃあ私たちは、安全なところへ避難しましょう」
その光景を横目で見ながら、雪花さんは提案した。
「そうだな」
渋沢さんは咥えていたタバコを捨て、足で踏み消した。
不安そうに俺を見ながら連れられていく面々と、目を合わせていた。
ツンとはもう朝から顔を合わせていない。残り時間が何分だから、とかそう言う事は言えない。
誰にも大切な人が居て、誰でも大切に思われているんだから。
「遥様、行きましょう」
「・・・はい」

時刻は、十三時半頃。
「待って下さい。そこはトラップです」
「ここもか!」
俺には何もわからないが、緋柳さんには地雷の位置がわかるらしい。
…輝青院家ではたかがメイドにどんな訓練をさせているのだろう?ちょっと恐ろしい。
「それ以前に、そこは女子トイレです」
無表情で指摘するのが怖い。
「つらい思い出のあるところに閉じ込めたり、楽しい思い出のあるところに罠を仕掛けたり、そういう
嫌がらせが多かったからさ、理緒もこういう所に閉じ込められてないかな、と」
でも俺の教室がスタート地点で、そこには居なかったし、あと所縁のあるところってどこだろう。
「生徒会室、かな?」
生徒会室には所縁は無いと思うが、しのた救出で行く必要の無くなったそこに意表を突いて隠すかも。
むしろ所縁があるのは生徒会室というよりも、生徒会室にあるようなゴージャスなソファー(基本的に
生徒会室は豪華空間)なのだ。まだ純真だった俺にあんな事やこんな事したのはその上で。
「では、行きましょう」
理由を聞かれなくて助かった。

生徒会室の扉を開ける。
目に入ったのは、縛られてソファーに座っている理緒と、生徒会長の席に座っている――ヒナミ。
ドン!!

埃舞う中を、ヒナミは笑いながら私と擦れ違い、走って行った。
入り口付近の床に爆弾が仕掛けてあったらしい。自動ドアの電磁波かと思ったのが迂闊だった。
「遥様?」
割れた窓ガラスから煙は逃げていき、晴れた視界に見えた光景に、私は絶望した。
とっさに腕を掴んで引き下げたつもりが、十分でなかったらしく、遥様は気絶してしまわれていた。
切れた頬から流れた血が、私の頬から一滴、床に落ちた。
爆弾は遥様の持つ鍵でしか解除できず、遥様にしか見えない。
意識の回復を待つことによる時間の浪費は、遥様にとって大切な人を捜す時間に影響する。
しかも、さっき遥様が鍵を戻したズボンのポケットには、何も入っていない。
爆音に紛れた金属音は、やはり鍵の音だったらしい。
「・・・これは?」

「――はっ!」
体を起こす。ここは、生徒会室?
「遥君!理緒、理緒、怖かったですわ!」
涙ながらに抱きつかれ、そのまま力任せにソファーに沈められる。
「ぅゎ理緒!?爆弾の解除は・・・あれ?無い」
緋柳さんは手に、見えない筈の鍵を持っていた。
「血が、ついていました。それで見えました」
「そうか、よかった。って、今何時!?」
理緒が生徒会室の時計を眺めて答える。
「十三時五十分ですわ。遥君が気絶していたのは、ほんの五分程度でしたわ」
「あと、一時間・・・!理緒、そろそろどいてくれ。俺は行かなきゃ!」
理緒にはわかっていた。今ここで俺を行かせてしまうのは、どういうことなのかを。
いくら俺が普段は言いなりでも、こういうときだけは頑固になるのも。
だから、理緒は黙って体を離した。
「遥様!一人では――!」
最後まで聞くことなく、鍵を取り、ソファーから跳ね起き、どこへとも言わず一目散に生徒会室を駆け出た。
ソファーにへたり込む理緒。その頬に、涙が伝った。
「止めるなんて、できるわけありませんわ。だって、理緒は、遥君のことが好きですもの・・・」

熾惺学院、グラウンド。
「お嬢様は助かったらしい」
そう言って、渋沢は携帯をしまう。
「そっか。じゃあ後は、ツンちゃんだけなんだ」
沈黙が広がる。
あと一時間あるか無いか。それが皆の心に重くのしかかった。
熾惺学院が粉々になるかもしれないこと、ハロとツン死んでしまうかもしれないことが、だんだん
現実味を帯びてきた。
「おじさん」
「ん」
「あのさ、ハロはあれでも、俺の大切な友達なんだ。だから、その、協力してやって欲しいんだ」
「・・・」
「姉さん」
「はーい!ねえ渋沢、帰りは窓飛び降りでいーい?」
聞いて、渋沢さんは微笑し、タバコを踏み消した。
「そのほうが性に合う」
言い終わるかというところで、二人は校舎に向かって駆け出して行った。

時間が無い。
理緒を捜すために立ち寄った場所に、ツンは居なかった。
しかもどこに爆弾が仕掛けられているかもわからない。一人で飛び出してきてしまったことを後悔した。
「どこなんだ・・・ツン」
「教えてあげよっか」
声に振り向くと、ヒナミが居た。
「ツンちゃんの爆弾は特別製でね、もし外せたとしても後で爆発するから気をつけてね。それも、凄い爆発」
「ツンはどこだ」
楽しそうに語るヒナミに、激しい怒りを抑えて聞いた。
「君の教室。移動させたの。思い出深いでしょ?最後はそこがいいかなって思って。ドラマチックじゃない」
最後まで聞かずに階段を駆け上がった。
「ふふ・・・物語は、ちゃあんと主役が死んで終わったほうが、すっきりするじゃない?」
ヒナミは大きな声を出して笑った。

今俺が駆け上がった階段は、罠だったかもしれない。今俺が駆けている廊下は、罠に繋がっている
かもしれない。もう十センチずれて走っていたら、地雷の餌食になっていたかもしれない。
それでもいい。早くツンに会いたい。話をしたい。朝、あの角でまた会って、一緒に学院に行こう。
「ツン!」
教室の扉を開ける。
「ハロ!」
ツンはいつもの自分の席に固定されていた。即座に縄を解く。
そして、抱き合った。抱いたツンの後頭部を一回だけ撫でて、言葉はまだ出てこなかった。
「はやく爆弾を解除して出よう!」
鍵を取り出す。
探すが、首輪にある筈の鍵穴はどこにも無い。他の人についていたものとは全く別物だ。黒い輪だ。
接合部が線のように見えるだけで、他には何にも無い。無理に外そうとするならば、きっと爆発する。
「ね、ハロ。これ爆弾だから、早く逃げたほうがいいわよ?」
自分が何を言っているのかわかっているのかいないのか、ツンは微笑んでそう言った。
「何、言ってんだよ?どこに逃げんだよ?バカ言うな」
教室の時計は、十四時四十分を指す。
「私、ハロに会えてよかった」
「はーいわけわかんないこと言わないの。ツン、君失格」
「真面目に聞きなさいよ!だってこの爆弾、外れないのよ!?」
「聞いてるよ!」
怒って言い返した俺に、ツンはすこし驚いたようだった。
「でも、こんな所で終わるのなんて嫌だろ。ちっちゃいときからずっと一緒で、色々あったけど、今まで
ずっと一緒に居て、俺がこんな所で引き下がる男じゃないっていう事、わかってるだろ。普段はそりゃ、
だらしなくて優柔不断で頼ってばっかだけど、でも好きな人を守りたいと思うことぐらいできる!」
「・・・」
ツンは何も言わず、俯いてしまった。
俺も心の中では、こんな窮地に追い込まれるまでに今の言葉を言ってやれなかった事を嘆いた。
時間は過ぎていく。
あと八分では、この広い学院の玄関まで走って行くことは、殆ど不可能だ。
足音がした。
ヒナミか、と思って見てみたら、それは予想外の人物だった。
「し、渋沢さん?」
ふぅ、とタバコの煙を吐く。ちなみに、学院内は禁煙だ。
「時間が無い緊急事態、私の場合は窓から飛び降りて帰る。そのほうが私には性に合う」
俺とツンは何を言っているのかわからず、呆然と続きを待った。
「そう言えば、この学院にはプールがあった。懐かしいな。飛び込みを練習した時代は、私も若かった」
言い残し、渋沢さんは窓からひらりと脱出して行った。
「ハロ、時間が・・・!」
時計を見たツンが慌てだす。あと三分も無い。
その時、教室の俺の鞄から、ふわりと紙切れが飛んできた。ウィッシュからもらったお守りだ。
お守りは優しい光に包まれ、そして消えていった。
その時、黒い首輪はペキ、と音を立てて外れた。
――首輪は『もし外せたとしても爆発する』。その事を思い出した俺は、ツンを無理矢理お姫様抱っこ
して、窓に向かい、日透の机に乗って、窓を開けた。
眼下にはプール。ちなみに、ここは三階。勢いが足りなくてプールサイドに落下しようものなら、である。
「え、あんた、本気?」
「成功したら拍手ヨロ」
しかも助走は二歩だけ。意を決して、アルミサッシを思いっきり踏みきって飛んだ。
「おー!いけたか、これ!?」
「きゃあああああああああああああ!!」
ぅゎ内臓が浮く気持ち悪い気持ち悪い気持ちわ
近付く水面。そして――
ザッバァアアァアァアン・・・!!
飛び散った水滴が、雨のように降り注ぐ。何とか両者、水面に顔を出した。
その時だった。
ものすごい轟音とともに、俺たちの教室は炎に包まれ、窓は跡形も無くなっていた。
ガオンッ、と、元椅子がプールサイドに落下。その威力に、俺たちはしばしボーっとしていた。
「スタント無しだぜ・・・」
ようやく呟いた言葉が、それだった。その後、ツンから強く抱きしめてきた。
「ハリウッドスターみたいなことして!」
「ちょおまごぼばごぶべば」
というか、沈められた。
「ぶはっ!」
「私も、ハロの事、好き。一緒に居たい!」
「そんな素直なツン、ツンじゃないやい!」
「じゃあ、なんて言えばいいの?」
何だろう。
「『そんなに好きなら仕方ないわね、明日からもずっと一緒に居てあげるから!』とか?」
「何それ」
お前の真似だよ!!!

学院全体が爆発する事は、最強三人組が学院長の像の中にあった起爆装置を解体したため、免れた。
そのために長年無傷だった学院長の像が無残にも叩き割られたことは、全体の被害からすれば軽い。
問題の紺野兄妹だが、パトカーの中で二人とも消えるように姿を消したそうだ。
人間ではなかったのだろうか?
あとでウィッシュにその事を聞いてみた。
「わかんないけど、たぶん、熾惺学院が建ったことで潰された塚か何かの崇りかな。そういうこと、
たまにあるみたいだよ」
などと、何気に怖い事を言っていた。
読者の殆どが忘れていたであろうお守りがあの場面で役に立つとは思わなかったから、通常の三倍は
ウィッシュにお礼を言った。
崇りに抜かれた俺って一体。そんなの時効だ。気にするな。
爆弾の撤去、校舎の補修の関係で、俺たちはちょっと早い夏休みとなった。
というわけで、俺は自宅にツンを招き、冷房の利いた部屋でテレビを見ながら、のんびりと過ごしていた。
ツンは立ち上がって、俺のベッドの上に座った。
「ベッドシーン?」
「そうよ。あんたの好きなベッドシーン。早く来なさい」
ツンはそう言った後、目を伏せて言った。
「私、ハロが来てくれるまでの間とても怖かった。もうこんな事もする事無いのかなって、思って。だから、
…何よ?」
「いやいや」
「何ニヤニヤしてんのよ。真面目に聞いてる?」
怒ったツンの唇を奪い、二度、三度とキスをする。
「あんな非常事態に、そんな事考えてたのが俺だけじゃなくて良かった」
かあっと、ツンは顔を赤くする。
「ばっ、バカ!あんたは非常事態じゃなくてもいつも考えてるじゃない!私の場合は偶然・・・!っていうか
色々考えた後に出てきたわけであって・・・!///」
意味不明なジェスチャーを交えながら必死で弁解するツン。
「はいはい・・・」
また、唇を奪う。今回は長く、深いキス。
舌を舐めあい、唇を吸い合い、俺はゆっくりとツンを倒していった。
ツンはたたんでいた足を伸ばし、俺はその服のボタンに手を伸ばしていた。
ツンにしては珍しくマグロ状態だ。
恥ずかしいのか、服を脱がしていく俺と目を合わせないように目を伏せて、赤面したまま。
「んっ・・・///」
ブラも外し、その柔らかい乳房に口をつける。ツンはわずかな嬌声を漏らした。
左の乳房に当てている右手には、心臓の鼓動がよく伝わってきた。熱くなっていく胸を揉みほぐす。
「あっ、ハロ・・・///」
その抑えたような、思わず漏れたような声が、俺をますます興奮させる。
あまりツンがドキドキしすぎているためか、それに触発されるようにますます夢中になっていく。
下のほうに手を伸ばす。
まずはスカートを脱がす。続いて、その下も。
脱がす時に糸を引くほど、そこは濡れていた。物欲しそうに愛液を漏らしている限りなく淫靡な
それを見ているうちに、俺は理性が削られていった。目を離せずに、ただベルトを外し始める。
「今日は、ハロでいっぱいにして・・・よね?」
脱ぎ終わると、痛いほど勃起したそれを秘所にあてがう。濡れきったそこへのペニスの侵入は、
実に容易だった。
「あ、ああぁっ!///」
ツンの強気な顔は快楽に乱れた。
「もっと、ハロ、近くに・・・!///」
差し出されたツンの両手を取り、抱き合った。
華奢なツンの肢体を全身で感じながら、俺は本能に任せて動く。
膣内の襞の感触がペニスに絡みつき、奥へ奥へと吸い上げるようだ。
気持ちよくて、だんだん射精しそうになってくる。
「あっ、はろ、いい、はろで、いっぱいにしてぇ・・・!///」
だんだん呂律が回らなくなってくるツン。
「う、あ、もう、・・・だめかも」
「へっ?あ、じゃ、しゃっさと、出しなさ、よっ・・・!///」
最後に思いっきり突き上げ、ツンの奥深くへと射精した。
「あっ、ぁあっ、出てる、ハロの・・・///」
どくどくと注ぎ込まれるそれを、ツンは震えながら受け止める。
ようやくおさまり、ペニスを引き抜く。と同時に、精液がどろりとツンの中から太ももに垂れていった。

行為の後からぐっすりだった俺は、夜、誰かが頭をつつくので目が覚めた。
「そろそろ出かけるわよ」
ツンだった。既に浴衣に着替え、髪は下ろしていた。
「祭りとかあったっけ?」
「花火大会よ」

この町が開発の嵐に晒されたとは言え、こういった土手もちゃんと残っている。
土手から見る向こうの景色は昔と違うけれども、こうして毎年花火を見に来る事は、恒例だった。
昔はよく、土手の川とは反対側のほうの林が暗くて怖いって言ってたっけ。情けない話だ。
花火は色とりどりの光彩で夜空を照らし、轟音で時を刻み、見る人の心を癒した。
「綺麗ね」
「君がね」
ぱしっ、と、持っていたうちわで突っ込まれる。
お茶目ですがな(´・ω・`)
「こうして花火が見られることも、無かったかもしれないのにね」
「おいおい、まだ言ってるよ」
「悔しいけど嬉しかったわ」
何が悔しいのか。
「学校始まったら、また弁当作ってきてくれる?」
「仕方ないわね」
「朝、あの角で待っててくれる?」
「当たり前じゃない」
「俺、もう絶対、危険な目に遭わせないから」
「・・・」
ぱたぱたとうちわで扇ぎ始める。
「でも、私はもう平気よ?危険な目に遭っても」
「え?」
「だって、あんたが助けてくれるんでしょ?」
「うん、まあ」
「おかしいわね。花火終わっちゃったわ。誰かさんが寝坊するから」
「俺、禄に見てないのに」
「せいぜい来年の花火に期待する事ね」
仰ぐ手を止める。
「・・・ハロ、私のこと、好き?」
「そりゃあ、うん。好きだ」
「『そんなに好きなら仕方ないわね、明日からもずっと一緒に居てあげるから!』」
俺は唖然とした。
「何よ、こう言って欲しかったんでしょ?///」
「・・・ああ。ツンらしい返事だな」

かくして、熾惺学院占拠事件は幕を下ろした。
いつだってデッドエンドと紙一重だった。翌日には二度と顔を合わせることは無かったかもしれない二人。
そんな二人の絆は、この事件を通して、ますます深まっていったのだった・・・。
ある暑い夏の日の事であった。

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最終更新:2007年08月17日 19:40