雨
ザ――――――・・・
雨が降っている。
下校時刻には止めばいいなと思っていたけど、運命とはなかなか意地悪だ。
私はただ呆然と立ち尽くし、暗い空を睨んでいた。
ハロ「あれ?あそこにみえるのは?」
ハロだ。後ろからハロの声がした。
ツン「・・・わざとらしい」
ハロ「やっぱりツンだ」
ハロはおもむろに傘立てから傘を取り出して、外に向かって傘を開いた。
ハロ「ツンは帰らないのか?」
ツン「傘、ない・・・」
ハロ「そうか・・・」
相合傘になっちゃう・・・かな。そんな、子供じゃないし、意識する必要なんて・・・
ハロ「じゃ」
ツン「え!?ちょっと!!」
ハロ「ん?」
ツン「『ん?』じゃないでしょ!傘無いの!困ってるの!!」
ハロ「あーぎゃあぎゃあうるさいな、ホラ、入れてやるよ」
ツン「(ぎゃあぎゃあって・・・)」
そう言い返そうとしたけど、ハロの傘がフッと私を覆ったとき、なんだか・・・言えなくなった。
ツン「と、当然よ」
ハロ「(なんだコイツ・・・)」
雨が降り注ぐ道を歩く。
なのに、
ハロ「(なんでこいつ、少し間隔あけて歩いてるんだ?)」
なんか俯いてるし、喋らないし、なんかあったのか?
ハロ「もうちょいくっつけよ。左肩に雨当たってないか?」
ツン「じゃあ傘の位置下げてよ。風に流された雨が当たってるんだから」
ハロ「いやお前の背が低いのがいけないんだ」
ツン「な・・・!ハロが高いんでしょ」
ハロ「傘の代わりにふきの葉っぱでも差してたほうが似合う」
ツン「そんなに小さくない!傘貸しなさい!」
ハロ「いやだ」
傘を移し、わざとツンの頭を雨天にさらす。
ツン「あ、コラ!」
傘を奪おうとかかってくる。だが、軽くかわす。
ツン「ちょっ・・・」
面白いのでもう一度かわす。
ツン「このっ!」
ハロ「あ」
ツン「どうだ、盗ったもんね!」
そういうと、ツンは走り出した。
ハロ「まさに 外道」
急いで後を追った。
お互い疲れてきたところで鬼ごっこは終了した。
傘はどうにか奪い返したが、今から再び鬼ごっこする体力は無い。
傘を持っているはずなのに、お互い濡れている。
ハロ「だから、最初から側に寄れって言ったろ・・・」
ツン「・・・ゴメン」
・・・なかなか会話が弾まない。走り回って疲れたからか。
田舎の道は長い。そして閑静だ。
雨が地面に叩きつけられる音だけが響いている。
ハロ「これって相合傘だよな・・・」
ツン「は!?///・・・そ、そうだけど今更・・・っていうか、だから何!?(最初からそう思ってたけど・・・)」
ハロ「いや、だからさっきまで嫌がって俺に近づかなかったのかなぁ、と」
ツン「え・・・そんなんじゃなくて、決して嫌じゃない・・・っていうか、―ってぃぅヵ・・・」
ハロ「あ、なんだ、違ったのか」
ツン「・・・・・・ん」
・・・・・・。
ツン「雨が降ってないとできないし・・・」
ハロ「は?」
ツン「な、なんでもないわよ!」
と言って走り出そうとするが、傘下からは逃げられない。
ツン「う~・・・///」
などと唸ってじたばたしている。
ハロ「はいはい落ち着け落ち着け。俺は何も聞いてないから。な?」
ツン「なんかその言い方ムカつく!」
ハロ「いってえ」
本当にどうでもいいかもしれないけど、
さっきからその少ない胸が上から覗けそうなんだが。
うちの制服が透けないようになっているから自我の崩壊を呼び起こすほどのあれは無いが、油断はできない。
走り回ったせいで雨に濡れた制服が貼り付いているようになっていて、って何を観察しているんだ。
ツン「ねぇ」
ハロ「ふ!?」
ツン「(『ふ』?)なんか喋ってよ」
ハロ「あ、いや、いいお天気で」
ツン「・・・どこが」
いや、いろんな意味で。
ツン「まったく・・・少しは気ぃ遣いなさいよね」
再び前を向いてくれた。
ツンからいいにおいがする。曲がりなりにも女の子なんだな(暴言)。
いつもより近くにいるからか、何か意識するところが多い・・・
ツン「ね・・・」
再び振り向いたので、あわてて目を合わせた。
ツン「・・・どこ見てたの?」
ハロ「・・・ツ、ツンの端正なその姿勢を」
ツン「・・・・・・」
怒らせちまったかもしれない。
ハロ「(えーと・・・)・・・」
ツン「やっぱり」
ぎく(擬音)
ツン「昔と変わらないね」
ハロ「あ、ああ、そう・・・かな?」
ハロ「じゃあな」
ザ――――――・・・
雨が降っている。
下校途中は止まなきゃいいなと思っていた。
私はただ窓を覗き込み、あいつの後姿を目で追っていた。
運命とはなかなかいい奴だな、って思った。
最終更新:2007年08月03日 16:21