巫女は清楚と限らない!?
俺の両親は宗教に入っている。別に変な宗教でもなければ犯罪だってしていない。だから
俺は小さい頃から御神殿にお経を唱えたりする姿をよく見てきたし、家族の誕生日には神社に
行って、御礼をしていた。
そのため俺は般若心経を唱えることが出来る。普通の高校生は出来ないだろうけど、家の
環境が環境のため簡単に覚えることが出来たのだ。
俺は神様を信じている。まぁ両親の影響だけどな。
「無事に大学に合格出来ました。ありがとうございます」
雨宮桐人は賽銭を入れ手をパンパンと叩き、神様にお礼をした。内容は桐人の言葉から
簡単に解るだろう。桐人は受験を終えた。桐人は推薦受験のため一般の受験生より早く
終わった。
季節は秋。境内には色を付けた葉がヒラヒラ舞い散り、赤や黄色の絨毯のようになっている。
「あんた、また来たの!?」
お祈りが終わり自宅に帰ろうとした桐人の目の前にいたのは、誰が見ても解る白と赤を身に
纏った巫女が立っていた。その少女の手にはレ○レのおじさんが持っているような大きい箒。
「おう、今日は大学合格の感謝をしに来た」
「へぇ~あんたでも大学に受かるんだ。その大学ってどこ?」
「塔鏡大学に受かったぜい!」
桐人は七海にピースサインを見せた。塔鏡大学は名門中の名門で数年浪人して受ける人も
いる大学だ。その大学を推薦で合格を勝ち取るのは正直、天才でも奇跡が必要になる。
「う、うそ!?塔鏡大学ってあの!?何でそんなところに行くのよっ!?」
「いや何でって聞かれても…高1のときから狙ってたし、それに俺の目標だし」
「私もその大学行くために勉強しなきゃならないじゃない!」
「ここ以外でも別に良いだろ」
「何言ってんのよ!?あんたと同じ大学じゃないとダメなの!!」
「お、おい、それって…」
七海は顔を赤くさせ、すぐに自分が何を言ってしまったのか把握した。
「変な勘違いしないでよねっ!も、元から私もそこに行きたかっただけなんだからね」
「はは、そっか。そうだよな」
(違う。ほんとは桐人と同じ学校に行きたい。ただそれだけなのに何で言えないんだろ……)
七海は桐人を見かけてすぐに恋に落ちてしまった。いわゆる一目惚れだ。年寄りしか来ない
この神社に七海と同じ世代の人は全く来ない。だからか、七海は桐人が神社に訪れると必ず
目で追ってしまう。
勇気を出して声を掛けるには相当な時間を費やした。鼓動をいつもの何倍も速めて声を掛けたが
桐人は最初素っ気無い返事をするだけ。その日からは七海は桐人が訪れるたびに話しかけるようになった。
いろんな話をするために。自分を見てもらうために。だが性格が邪魔をし素直になれないことが
障害となっている。
「なんだったら教えるぞ、勉強」
「えっほんとに!?嘘じゃないよね!」
「こんなことで嘘なんか吐かねえよ。もう試験ないから別に良いぞ」
「…じゃあお願い」
「おう、まかせとけ」
頭の良い桐人にとって人に勉強を教えるのは造作もない。1つ年下の七海が受験生になるのは次の年。
再来年には同じ門を潜っているのだろうか。それは神のみぞ知るのだろう。
秋風に乗り木の葉が舞い落ちる。例年より寒い冬は七海だけ暖かい冬になりそうだ。
最終更新:2007年11月23日 00:18