ただいま朝の7:13。凍夜に割り当てられた部屋のカーテンの隙間からほんのりと柔らかい光が差し込
む。外で吹く風は海が近くにあるためとても冷たい。
 普段の凍夜ならこの時間寝ぼけ眼を擦りながら朝食を作っているが、ゴールデンウィーク中の今日はもち
ろん休日なので時間に追われることはない。目覚まし時計の無機質な音もなければ、平日の朝に送られてく
る冒頭が鶏の絵文字で始まるメルマガもない。
 凍夜は日曜日のサラリーマンみたく昼までゴロゴロするはずだったのだが、それはドアの向こう側にいる
3人によって阻止される。夢をまだ見ている凍夜はまだ気付いていない。人間どんなに祈っても災難は降り
かかることを。今日もまたその災難が身に降りかかることも。
 「………………」
 「………………」
 「………………」
 凍夜の部屋から見たドアの向こう、つまり廊下では3人が仁王立ちしており誰も言葉を発さない。
 季節は5月のはずだがここだけはタイムスリップをしたかのように極度に気温が冷えていた。猛吹雪の中
マンモスが走っている姿が思い浮かぶ。
 「2人ともこんな朝早くどうしたの?今日はもうちょっと寝ててもいいんだよ?わ、私は別に凍夜の寝顔
をじっくり見たいとかそんなのじゃなくて、あのバカは寝起きが悪いから幼馴染の私が面倒だけど、仕方な
~く起してあげようっていう親切心から来ただけなんだけどね」
 最初に口を開けたのは玲奈だった。親友の菜月と敵の緋莉を睨んでは遠まわしに部屋に戻れと促す。
 「何を言っているんだ有澄?お前もゆっくりと寝たらどうだ。昨日あんなに皿を割ったから疲れているだ
ろう。あ、違うか。あれは故意にやったのではなく事故だったか。まああそこまで行くとどちらでも同じに
見えるがな」
 「ぬぅあんだって~っ?」
 緋莉は玲奈を見下ろしながら淡々と毒を吐く。その毒は鋭利な刃物に変わり玲奈の心臓をグリグリと抉る
が、眉間に皺を寄せ眉毛を逆八の字にする玲奈にとってはおもちゃのナイフにしか見えないのか。刺さる刃
物を次々と抜き出しては地面に叩きつける…………ように思うのは菜月だけではないはず。
 「なんだ、こんな簡単なことも理解できないのか?仕方ない、もっと優しく言ってやる。お前は」
 決定的なとどめのセリフを緋莉が言おうとした瞬間、菜月が身を挺して2人の間に入り込む。
 「はいはーい、ストップストップ!!もう2人ともこんなとこで争わないでよ。どうせ私たち凍夜君を起
こしに来たんでしょ?だったら3人入ればいいじゃない」
 「「菜月は黙ってて(くれ)!!」」
 「はぁーっ!?」
 大人な意見を言った菜月だが冷静さを失った2人には馬の耳に念仏。仕舞いには怒号を浴びるはめになり
さすがの菜月もこれにはキレた。
 「もういい!わかったよ!」
 (いいもんいいもん、黙ったまま凍夜君の部屋に入ってやるんだから!)
 菜月がドアノブに手を付けた瞬間、両肩に重みが掛かった。
 「「そこ抜け駆けしない!!」」
 身体に掛かるのは手の重さだけではなく禍々しいオーラ。
 逃げられない。戦うしかない。この世に平和なんてもとから存在しない。なぜならその平和のために人は
他人を殺すから。行くんだ、菜月。逃げちゃ駄目だ……逃げちゃ駄目だ……菜月、行っきマース!!
 決意したその瞳からは電撃系魔法が出て2人を威嚇するが、玲奈たちからもバチバチと火花を散らして電
気の三角形が完成した。

 「ぬぅ~…………」
 「むぅ…………」
 「きぃ~…………」
 お互いがお互いを睨み始めて10分が経過した。3人の身体から放たれる威圧的なオーラは留まることを
知らず、外へ溢れ出し、近くの木でチュンチュンと歌っていたスズメも今はいない。邪気が届かないとこに
でも飛び立ったようだ。
 先ほどまで静かだった海は荒々しく風も強い。強風を叩きつけられる窓ガラスはミシミシと悲鳴を上げて
いる。
 「…………………………さむっ」
 呑気に寝ていた凍夜も寒気に目を覚ます。布団を蹴っ飛ばして身体を出しているから寒いのかと勘違いを
するが、首から下はちゃんと布団に包まれており露出している肌は顔だけ。
 「ふぁあ~~……今何時だ?…………まだ余裕じゃん……寝よ」
 知人の家だろうが関係ない。眠いものは眠いのだ。たとえもう起きた方が良い時間だとしても眠ければ寝
る。修学旅行では教師の放送で起きるのではなく、同じ班の人間に起される凍夜は睡眠に関してはマイペー
スだ。
 「……………………アレ?」
 の○太君のように寝るのが早い凍夜は二度寝など0.5秒あれば夢の世界に旅立てるのだが、今日に限っ
て目蓋が閉じない。しかも背筋に悪寒がゾゾゾと走る。
 すっかり眠気が抜けてしまった凍夜は水を飲もうとベッドから出てスリッパに足を入れた。今まで暖かい
布団に包まれていたからか、冷えたスリッパは足を伝い脳に刺激を与える。
 扉の向こうで何が起こっているか知らない凍夜は寝起きの目を擦りながらドアノブに手を伸ばし、開けた
瞬間、ほんの瞬間。数cmのわずかな隙間から濁った空気が勢い良く身体に当たる。その風は凍夜の身をす
り抜けるのと同時に睡魔を吹き飛ばし、どんよりと部屋一面に広がった。
 驚いた凍夜はすぐに扉を閉め、自分の目を疑うように瞳を擦る。ドアという一枚の壁越しに広がっている
戦場の存在にはまだ凍夜は気付いておらず、その戦に出兵している玲奈らも凍夜が起きていることは知らな
ずに不吉オーラを出している。
 「あのバカは私がちゃんと起すから2人は部屋に戻って!」
 「いーや、有澄には任せられない!ここは私が行く!」
 「ダメダメッ。どうせ2人じゃ凍夜君を満足に起せないよ。私が凍夜君を華麗なるテクニックで優しくあ
だるてぃーに……」
 まだ男性経験がないわりにファッション雑誌から仕入れているアッチの知識は、数学の公式や英単語より
多い菜月と比べ玲奈と緋莉はあまり詳しくない。一応興味はあるが羞恥心が大きくそういったページをまと
もに見れない。
 もちろん今も菜月の冗談にさえも顔を赤くさせるという過剰な反応を示している。
 「いや、そこはツッコんでほしかったんだけど……」
 2人が先ほどまでの勢いを減速というより、ブレーキを踏んで停止してしまい赤く俯いているのを見て菜
月もなんだか恥ずかしくなってきた。
 「と、とにかく!凍夜は私が蹴りでもなんでもして起すから安心して菜月たちは部屋に戻ってっ!」
 (えっ……俺蹴られるの?何故に?何で?つーか、もう起きてるんだけど……)
 その標的はすでに目を覚ましてドア一枚挟んだすぐそこにいることにはまだ気付いていない。

 (いっそのこと俺から廊下に出た方がいいかな……?でもそしたら文句言われそうだしなぁ。「何勝手に
起きてんのよ!空気ぐらい読みなさいよ、ばかっ!」みたいな?)
 そこでうだうだと悩んでいたのが間違いだった。すぐにベッドに戻り狸寝入りでもしていればやり過ごす
ことができただろう。

 玲奈がドアを開けた。

 躊躇せず勢い良く開けたのだがその目の前にいた凍夜には空気に舞い上がる塵も、玲奈のサラサラと靡く
髪の毛も、目と目が合い驚いて開かれる瞳も、口も、スローモーションに感じた。
 とても気まずい空気が流れる。女子3人は先ほどまでの会話全てが聞かれていたのかと思い、口を開いた
まま赤面して「あう、あわわ」などと情けない声を出す。
 「ぐ、ぐっもーにん……なんつって」
 「アンタ……グッモーニンじゃないわよ……いつから起きてたの?」
 玲奈は怒りを沸々と表し凍夜に詰め寄る。右手をグーにして。
 「え~っと……凍夜君大好き!結婚してぇん、はぁとぐらいから」
 玲奈は黙ったまま凍夜の胸ぐらを掴み、緋莉に負けず劣らずの右ジャブ→ジャブ→ストレート→裏拳の4
コンボを繰り出そうとしたが
 「ちょっ!?おまっ、待て!冗談、ジョーダンだって!」
 必死になって謝るので止めた。
 しかし眉間に寄せる皺は戻さずに凍夜を威嚇している。
 「で?実際のところどこから聞いていたんだ?」
 緋莉も詰め寄りプレッシャーを加える中、菜月は1人頬をぽりぽりと掻きながらうわあ、こりゃヤバイな
ぁなどと思っていた。所詮殴られるのは自分ではなく他人なので余裕を持っての高みの見物。
 「え~と……言わなきゃダメ?」
 「イヤなら言わなくてもいいわよ。ただそうすると、どこからともなく拳が飛んできますけど?」
 「強制っすか……」
 「どうする?答える?それとも……」
 圧力に屈した凍夜は意を決して口を開くことにした。正直に答えても拳は飛んできそうだが。
 「なんつーか、誰が俺を起すか揉めてたとこから、かな。具体的には菜月がadlutで優しく起してく
れるとか……期待していいですか?菜月さん」
 「や、ヤダなー凍夜君。あんなの冗談だって、期待なんてしないでよぅ」
 まさかあの馬鹿げた会話が意中の相手に聞かれていたなんて思わなかった菜月は、両手をパタパタと振っ
て顔の熱を冷ます。
 だが彼女の身体から熱はすぐに引いてくれない。それどころか玲奈、緋利にも移ってしまったのか顔が十
分なほどに熟れている。
 「なぁ、玲奈。正直に話したんだからもう離してくんない?」
 「…………ダメよ」
 「which!?」
 「……だって聞いちゃったんでしょ……?あんな会話聞かれたなんて恥ずかしいもの……ゴメンね凍夜。
お願いだから……死んでっ!!!」

 腹の底から出された台詞は女の子には似合わないモノ。
 死んでなんて使われる覚えなどないのに!そんな思いを込めての
 w=ワテがなぜ死ななきゃアカン!?
 h=人が折角正直に言ったのに!
 i=一体俺が何をしてってんだ!
 c=違うだろ!?
 h=フツーに考えて悪いのはあんなとこで話してたお前らだろ!!
 だった……のだが
 「凍夜、whichの意味は“どっち”だ。ここではwhy(なぜ)が正しい。あと発音がおかしいぞ」
 使う英単語を思いっきり間違えていた。
 「そんなのどーでもいいっ!緋莉、頼むから玲奈をなんとかしてくれよ!!」
 住宅地なら迷惑極まりないほどの大声を上げて助けを求めるが緋利は首を横に振る。そして絶望を与える
かのごとく、地を這うような声を出した。
 「残念だが凍夜、私もできればあの会話を忘れてほしい。だからすまない。悪いが星になってくれ」
 正直者は馬鹿を見る、とはまさにこのことか。求められた答えを言ったら責められた。じゃあ嘘を吐いた
ら?あの状況下で嘘なんて吐けるか。確実に死亡エンドだ。正解なんてなかった。嘘を吐いても馬鹿正直に
答えても殴られるのには変わらないらしい。
 意を決した、と言えば聞こえはいいが実際のところ“諦めた”と言った方が正しいだろうか。目を力強く
閉じ思い浮かべるのは青い春。
 (せめて童貞を捨てたかった……!)
 などある種余裕ある考え。ただこんなことを口にしていたらもっと酷いことになるだろう。
 「バイバイ……凍夜」
 「さよならだ……凍夜」
 2人が同時に別れを告げ同時に拳を振り下ろした。躊躇うこともなく。
 その瞬間だった。
 ~~~~~~♪
 この場に不似合いなクラッシク音楽の着信メロディが流れた。天の助けがあってか凍夜に振り下ろされた
2つの拳は彼の頭上、髪の毛に触れるところで止まり、凍夜はほっとため息を吐きながら力強く閉じた目を
開ける。
 この場の空気を壊した音楽の出所は緋莉のポケットからで、彼女は聞き慣れた曲を流すKY(クズ野朗)
と話すべく通話ボタンを押した。
 「………………もしもし」
 100人中100人が彼女は不機嫌だと言い切れるほどの声とこめかみから血管を浮き立たせ通話のKY
(かなり、ヤバイ人)を威嚇する。だがそんなもの浩二に通用するわけない。
 「ぐっもーーーーにん!!!あかりん!!はーわーゆー!?あいむ、ふぁいん!Oh、いえすいえす!」
 などと朝っぱらから薬中のようなハイテンションで実の娘の血管を増幅させる。無駄に元気良く話すため
周りにいる凍夜たちの耳にはもちろん声が届くわけで
 (うわぁ、朝からテンション高っ。つーかキモっ)
 と、自分の評価を下げてしまう。
 「何のようだ馬鹿親父…………?」

 「朝から馬鹿親父だなんてパパ…………ゾクゾクしちゃう(はぁと」
 ピキピキピキと緋莉のこめかみにまた1つ血管が現れ、携帯電話を握る手は力を解放しすぎてコントロー
ルできないのか小刻みに震えている。殴りたくて仕方ないのであろう、実の父を。
 表情も女らしい顔を残しつつ鬼の形相になって周りを怯えさせる。その証拠に
 「これ以上下らないことを言うならばキルぞ」
 *1
 『キル』の一言でこんなにもリアクションを取ってしまう。
 先ほどまで凍夜を亡き者にしようとした玲奈さえもこんなに驚いて、3人仲良く緋莉から距離を取り肩を
抱き寄せながらビクビク怯えた。
 「ヤダなぁ緋莉。私はお祝いを言うために電話したんだよ」
 「お祝い?」
 「あぁそうだ」
 緋莉はその意味が解らず首を傾げた。凍夜たちも身を寄せつつそのお祝いのことが気になり、耳を再度電
話の方に傾ける。
 「お祝いって一体何だ?祝われることなど何もないぞ」
 通話口から浩二の咳払いが聞こえ、部屋の空気が一瞬張り付いた。
 「お祝い……というのはな……」
 ゴクリとその場にいた全員が息を呑む。
 「緋莉が真の女性になったってことだ!!!」
 「……は?」
 意味が解らない。私は元から女だ。何を今更。ついに脳が腐ったか、やれやれ。などと思う緋莉。凍夜た
ちもサッパリで頭にクエスチョンマークを描く。もう5月だもんな。頭の中にも花が咲いてお花畑になって
もおかしくないか、あの人の場合。
 「は?って緋莉、昨夜凍夜君とベッドの上でイチャイチャ、にゃんにゃんしたんだろ?」
 「ぬぁ!?」
 立て続けの予想外な言葉に驚き顔が赤くなる。
 もちろん浩二の声は凍夜の耳にまで届いており先ほどまで願っていた事実無根発言に声を失い、玲奈は何
がなんだか解らずにパニくり、菜月は羨ましそうに指を咥え緋莉を見つめていた。
 「えっ!?嘘よね凍夜!凍夜が緋莉と昨日の夜……その……い、イチャイチャしてたなんて。私絶対認め
ないからねっ!」
 「信じていいんだよね!?凍夜君ならちゃんと私を誘ってくれるもんね!?」
 「何もしてねーよ!そして誘わねーよ!」
 「ぶーぶー」
 大声で騒いでいるので浩二の方にも聞こえているはずなんだが
 「男は初めてだろうがなんだろうが痛くはないんだが……」
 フィルターが体内に備わっているのか、それとも自分の世界に浸かりすぎて何も聞こえないのか凍夜の声
は届かない。
 「女性の初体験はとても痛い。私は男だからどれほど痛いか解らないがまぁ少し安静すれば大丈夫だろ。
ようやく緋莉も女になって父さん嬉しいよ。」
 あなたが死体になってくれると私も嬉しい。

 「もちろん出産費用は払うから安心しなさい」
 私はあなたの脳内がちゃんと作動しているか心配です。
 「お前は由香里似だから結構性格が変わるんだろうな、ベッドの上なら。いやぁアイツは飽きるほど求め
るから一回や二回で終わった例(ためし)がない。知ってるか?由香里の初めての男って実は……私なんだ
なあ~HAHAHA」
 子供の聞きたくない話No1の親の性生活を雄弁に語る浩二。
 緋莉その逆で怒りからか恥ずかしさからか俯いたまま。
 「そうだ緋莉、緋莉は弟と妹どっちが欲しい?まぁ別に両方でも構わないんだがなHAHAHA」
 パキッと携帯電話の側面に亀裂が入る。
 もう聞くに聞けなくなった緋莉は携帯電話を凍夜にポイっと渡し部屋のドアに手を掛けた。
 「おい!緋莉どこ行くんだ!?っていうかこれどうすりゃいいんだ!?」
 「……聞いていれば解る」
 「聞くって何を……って……行っちゃった」
 どうすんだよこれ、と思いながら携帯電話を眺める凍夜。その電話からは未だに浩二の声が聞こえ、3人
のストレスを無駄に溜める。
 だがそれも束の間、
 「いやな、緋莉。先日なんて由香里がな……って。アレ?何で緋莉がここにいるんだ?」
 「「「えっ!?」」」
 電話口からありえないセリフが出て来た。なんと緋莉は瞬間移動が出来たのです!!ってか?バーロー。
普通じゃねーよ。
 そう頭の隅で考えながら電話のディスプレイを凝視する。そこには『河原 浩二』と通話時間しか映って
いない。だが凍夜たちは画面に穴が開くかのごとく眼に力を入れて凝視する。
 「まさか……緋莉、お前……私の武勇伝(もちろん性的な意味で)が直接聞きたくなったのか~。アッハ
ッハッハッハ!!だったら瞬間移動が出来て当然だな!!!」
 「全然当然じゃないですよ、緋莉パパ……」
 菜月がツッコんだ。
 「そうだな~……じゃあ取って置きの話をしてやろう!!アレは私が大学生のときだったんだが」
 「……………………………………………………………………………………黙って……………………死ね」
 「それは夏のぶぐふぅ!!!?」
 緋莉の鉄をも壊してしまうほどの拳が空を切り裂き、浩二の右頬にぶち当たり『ゴキッ』と鈍い音を上げ
る。緋莉のバトルフェイズは右ストレート一発で終わらない。
 立ち上がろうとする浩二の顎を下から蹴り上げ、浮かぶ身体の鳩尾めがけ格闘技選手顔負けの拳とキック
の乱れ打ち。連打が目にも留まらぬ速さのためか身体が1mm落ちることなく一定の高さを保っている。
 「ゴフガハッドッッグリュッヘバッ!!!!!」
 床に落ちた携帯電話を通じて凍夜が持つ緋莉の携帯電話から浩二の断末魔が部屋に響く。
 「緋莉止めて!!緋莉パパのライフはもうゼロよっ!!」
 菜月の声が届いたのか、それとも緋莉の気が済んだのかターンエンド宣告代わりの止めの一発が浩二の顔
面にクリティカルヒット。
 「グフッ…………あかり…………もっと、お願いしま」
 ドカッッ!!
 余計な一言でターンエンドがデュエル終了になった。
 緋莉の打撃音が両方の部屋に轟き凍夜たちは身体を震わせ、緋莉は恥ずかしさと怒りや興奮で顔を赤くさ
せ、浩二は満面の笑みで倒れた……どう見ても救いようがありません、本当にありがとうございました。

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最終更新:2010年04月14日 01:13

*1 (その『キル』は電話を“切る”と“KILL”のどっちだーーーっ!!