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390 :トライアングル☆ツンデレ・紅毛の舞編①:2011/01/02(日) 00:14:45 ID:iKsfg11Y
「ねー、ユウちゃん?」
 突然聞こえてきた声に総毛立つほどびっくりした。
 次に、同じ空間内に人間が居ると思い至り、瞬間だけ安心したのも束の間、幽霊か何かかと思い直して今度は鳥肌が立った。
 しかし状況把握に努めると、ただ声が聞こえたのは子供の声だった。
 高校生が子供だとするなら僕もまだ子供であるが、その前提があったとしてももっと子供っぽいと言える声だった。
 声変わりするにはまだまだ遠い、数年はかかりそうな高い声。小学校低学年か幼稚園生か・・
 推考。―――ふむ、どうやら僕は夢を見ているらしい。この声は察するに女の子のようだ。
 場所は日本ではよく見かける洋風を意識したつくりの部屋。家具を含むインテリアも同じく。
 特殊なのはそれらの配色が淡泊であるというところ。
 雪が降っている訳でもないのに窓の外が真っ白。家の周りが画用紙で覆われているよう。
 女の子の顔には見覚えがある。
 舞をデフォルメした容姿。女の子には舞の面影がある。
 ここは数年来訪れてないが舞の住む家、そこにいる舞そっくりの女の子。
 この光景が過去のものであるなら、女の子は舞本人。そして隣に同じくらいの年の男の子。“ユウちゃん”って呼ばれてる所からして多分僕。
 今は名前を呼ぶのも嫌みたいだが、昔舞は僕をユウちゃんと呼んでいた。

「なんだよマイ・・」
「ユウちゃんって好きな女の子はいるの?」
「もくひけんをおねがいします。」
「だーーめ!もくひけんはゆるされません。」
「えーーっ!!じゃあ、じゃあいいだしっぺのマイからいえよ~」
「ユウちゃんのバカーー!!女の子にそんなはずかしいことをきくなんて・・・」

 チビ舞は後ろを向いて耳まで真っ赤である。そして小さい僕はそれを見てオロオロしている。情けないぞチビ僕。

「・・・ごめんよ、ごめんよマイ・・」

 チビ僕は必死でチビ舞の機嫌をとるように肩を揺さぶる。するとチビ舞はクルッと振り返り満面の笑顔でチビ僕に飛びつく。

「ユウちゃんだいすーーき♪」
「マイーーずるいぞぉ・・・」

 恐るべしチビ舞完全に手玉に取られてるなぁ僕。しかしチビ舞積極的過ぎる・・・

「ユウちゃんあたしのこと好き?」
「・・・ああ。」
「みよちゃんより?」
「あやちゃんより?」
「ああ・・・」
「ほかのだれよりも?」
「ああーー!!」



391 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:18:55 ID:iKsfg11Y
「じゃ・・じゃあマイのことおよめさよにもらってね。」
「わ、わかったよ。」
「うれしい・・」

 結婚の約束までするハメになってるぞ、なんとゆう優柔不断な僕。
 実際あの頃は好きな女の子とかはいなかった。確かに舞は幼馴染みの大切な存在で舞が笑うと僕も笑えるし舞が悲しいと僕まで悲しかったけれど、それは異性を好きとゆう感情とは違う。
 まあ、今だから分かることかもしれないなぁ。

 スリッパの音が入り口方向から聞こえた。チビ舞から視線をそちらへ向けると、妙齢の男性が一人立っていた。
 はっきりした年齢はわからない。しかしオヤジより若いのは間違いない。ジェイクと比較すると微妙。


「あ、パパーー!!」

 おじさん・・チビ舞がパパと呼ぶところからしてこの人は舞の父親。たたたっ、とチビ舞が駆け寄ってくる。自然とおじさんの相好が崩れた。
 腕に飛び込む舞をキャッチするおじさんとは少し離れた場所にいる僕。確か舞の家は母親が女医で父親がフリーライター。家に遊びに行くといつもおじさんが居た。

「おじさん、こんにちは。」
「やあ、裕一郎君いらっしゃい。
 おじさんも丁度休憩時間だから一緒にお茶とお菓子にしょう。」
「うん、パパ。ユウちゃん一緒にいこう。」
「はい。」

 ーーピンポーン
「あれ?玄関のチャイムが・・誰かお客さんかな?パパが見てくるから舞は裕一郎君と一緒に台所で待ってなさい。」
「「はーーい。」」

 この場面は・・まさか・・まさか

「君達はなんだーーうわあ!!」
「なに!?今玄関でパパが・・・
 ユウちゃんーー!!」
「マイ行ってみよう!」

 幸せな家庭を壊す一瞬の悲劇ーー
 思い出した。あの日舞の家に密入国の外国人武装強盗団が入ったのだ。行くんじゃない!チビ舞、僕。
 そう・・玄関に二人で行ったら、おじさんが倒れていて三人組の男が立っていた。

「おじさん・・・」
「あ!パパが・・」
「コドモカ、ドウスル。」
「ヤルシカアルマイ。」

 パパーー!!と必死に駆け寄るチビ舞に男が刃物を向ける。危ない!と思ってチビ舞の前に立ちはだかり目を瞑る僕。
 唐突に舞が悲鳴をあげた。あまりの声量に顔を顰めた。すると、小さな声が耳に入り込んできた。声のする方向、舞の居る方向へと目を向ける。
 横たわる舞は頬を押さえていた。
 血が両手を染めている。顔中に紅い血糊が付いていた。



392 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:22:38 ID:iKsfg11Y
 手から、肘から垂れていく鮮血がフローリングの床を汚していく。
 そう、庇ったはずの舞が逆に僕を庇って傷ついたのだ。

「チッ、オンナノガキカラサシチマッタ。」
「フッ・・ドチラニシテモ、オナジコトダ。ツギハオトコノガキダ。」

 次はお前の番だといわんばかりに包丁の刃を僕に向ける。その時僕は茫然自失になり、ただ立ち尽くすのみであった。
 早く動けよ!イライラするな・・僕。
 男の刃物が僕に迫る。その時僕の前におじさんが立ちはだかる。

「ああ・・!!
 に・・げろ・・・まい・・ゆういち・・ろう・・くん・・・」
「おじさーーん!!」
「いやあぁぁあーー!!」

 おじさんの腹部から出る大量の血・・手も顔も何かも真っ赤だ。フローリングも壁も視界さえも赤く染まる。
 そう、あの日僕は守られるだけだった。舞から、おじさんから。その後近所の人が不審に思って通報したらしく警官隊が駆けつけた時は男達は慌てて逃亡していた。
 その後舞は一年間学校を休んで、僕も精神科の病院に通院する日々が続いた。
 正直この間の記憶はあまり無い。舞のお袋さんは元々仕事人間だったが、事件後悲劇を忘れるように仕事に没頭して家にほとんど帰らなくなった。
 舞も女の子で頬に目立っ傷故か気づいた時はもう近隣でも名の知れたヤンキーと成っていた。 

 そう・・僕が弱かったせいで。



393 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:26:17 ID:iKsfg11Y
「ーーーーて。」
 ん?姉さん?
「起きて、起きて。」

 おや珍しい。寝ている僕を起こしに来る人間がいるなんて。
 姉さんなら起きてなんて緩いことは言わない。関節技かベッド上での豪快な投げ技で一発覚醒だ。然るに断じて姉さんではない。
 声からして、僕の肩を揺すぶっているのは女の子らしい。
 貴重だ。あまりに貴重すぎる。嬉しすぎる。もう少し幸福感を噛みしめていたいので狸寝入りしよう。

「もう、いいかげんに起きろーー!!」

 バチ!パチパチ!な!?全身にピリッとした痺れが伝わり強制的に覚醒させられる。目の前に居るのは金髪の少女!ファム何でここに?その手に持ってる怪しい物体は?

「おはようユウ。もう、早く起きないと遅刻するでしょー」
「おはよう。いや、君がなんでここに・・それと手に持っているのは?」
「ネーが起こしてきなさいって、あ!これ?これはスタンガンよ。」
「おい!ショック死したらどうするんだ。」
「別に大丈夫よ!いちばん弱い電流ながしたし。」

 ああ・・ちなみにネーとは姉さんのことね。おねえさんとはイギリス人には発音し難いのか、最初はオネェと呼んでいたが、姉さんが私はオカマじゃ無いのよ!ってことでネーと成った。
 しかし護身用のスタンガンで起こすとはとんでもない奴だ。所で着替えたいので早く出てって欲しいんだが・・

「ファム、着替えたいんだが。」
「それは良いんだけど、なんでふとんから出てこないの?」
「いや・・・・・」
「あやしい。」

 ファムはジト眼をしながら僕から布団を剥ぎ取ろうとする。いや男には事情とゆうものが(下半身的に)

「えい!」
 バサーッ。げ!布団が・・・
「あははははは」
「・・・・・・」
「ファム?」
「ユウ・・股間が腫れている。」
「は!?いや、生理現象だし。」
「見せて!」
「何を・・ってアホか!」
「病気かも・・べ、別にしんぱいなわけじゃないんだけどね。」
「ファム、性格変わりすぎ!」

 見せろ、見せないでギャアギャアと押し問答をやっている。こいつワザとか?それとも天然か?性格変わりすぎだろう?
 そう思ってると我が家の最強実力者がやって来た。

「あのね!二人とも早く食事に来てくれないかな!片付かないんだけど。」
「姉さん・・・」
「ネーたいへんよ!ユウの股間が・・」
「はあ?粗チンがどうかしたの・・・」
「ユ、ユウの股間が・・は、はれてるのよ。」



394 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:29:44 ID:iKsfg11Y
「朝の勃起でしょー。あんた本当に箱入りねぇ。イギリスには性教育は無かったの?」
「性教育って、らんしとかせいし・・あ、あったけど、あまりきょうみがなくて。
 って・・・えーーー!!あれのこと!」
「いや、だから早く出てくれないかなぁと・・」
「ユウのエッチーー!!」

 顔を真っ赤にしてトマトみたいに成っているファムが僕の顔面に枕を投げつける。

「ぶつ!この~ファム!!」
「ネー助けて変質者が。」
「誰が変質者だ!」

 枕を仕返しにファムへ投げ返してやろうと思ったけど、ファムは姉さんの後ろに隠れてあっかんべーをしている。
 姉さんは頭をポリポリ掻きながら大きな溜め息を一つ吐く。

「もう、あなた達いい加減にしないと遅刻してもしらないわよ!
 ファムちゃん、早く朝食を食べちゃいなさい。ユウ君はサッサと着替えて。」
「はーーい!」
「ああ・・・」

 一変した我が家の風景ってやつですか。 ファムはあれから大使館にほとんど行かなくなり食事も風呂も家で済ますようになる。日本食も結構あうようで僕が苦手な納豆すら食べるようになった。
 風呂も姉さんと一緒に入ったりする変わりようだ。元々一人っ子で箱入りで甘えん坊が彼女の本性らしく、来日時は単にツッパリ過ぎていただけのようである。
 姉さんは元々妹が欲しかったらしくて、すごく喜んでいた。ただ学校への送り迎えはいまだにジェイクがやっている。
 最初は僕と一緒に登校すると言って相当ダダをこねたが、このことはファムの父親のレコンキスタ卿の強い要望とのことで渋々従っているみたいだ。
 まあ、破られるのは時間の問題だろう。 
 ジェイクは暇になった分姉さんの練習台にされる時間が多くなった。
 勿論イギリス大使館の仕事もこなしているが・・あ!それからクラスのこと気になるよね?最初あれだけ反感を買ってたわけだし。

そのことは今から話そう。
 ざわついた教室。ホームルーム前に一人の金髪美少女が教壇の前に神妙な顔して立っている所だ。勿論ファムである。  

「今まで失礼なことを言ってごめんなさい!」

 ファムが深々と頭を下げるとクラスメートは軒並み目を丸くして押し黙ったままだ。しかし唯一人我が悪友の川上はニヤニヤと笑っている。

「いやぁ~我が友ヒーロー君の英雄的行為はみんな知ってるだろう。」

 川上の声でみんな僕の方に一斉に視線が集まる。そう事件はみんな知っている。




395 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:32:29 ID:iKsfg11Y
 川上の声でみんな僕の方に一斉に視線が集まる。そう事件はみんな知っている。
 何故ならば事件後暴力団事務所に県警が入り麻薬所持法違反で六名が検挙されたからだ。
姉さん曰わく誘拐のことは見逃してあげるけどヘロインのことは別だとゆう。
 黒河達に関しては“最初はワタシが悪かった”とファムの強い要望が有り斎藤家や大使館側は不問にすることになったが、学校には三人とも来ていない。(今は来れないだろう。)

 新聞でも報道されたし、近所の事件。大体の概要はみんな知っているわけだ。

「元来ヒーローとは英雄的行為でお姫様をダンジョンから救う。お姫様は高慢な女から一途な女に変貌してゆく。 
 そしてツンデレのお姫様とヒーローのラブロマンス及び結ばれることは神のシナリオで決められたことだ。
 今回のことは起こるべくして起こったことなのだよ。」

 川上の奴大袈裟な長弁を振るいやがって。誰もお前の妄想なんて聞いちゃあいないよ。と思ったんだが・・


396 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/02(日) 00:35:50 ID:iKsfg11Y
 ピーピーーー!!ヒューヒュー!!
「よっ!ヒーローーー!!」 

 クラス中に口笛や歓声が飛びお祭りのようなやんやの声と拍手の大騒ぎになる。
 おい!皆さん方そんな奴の与太話を何で・・ファムがまたキレるかも・・・
 心配になってファムの方を見ると、手を前で交差し、俯き加減で顔を真っ赤にしてモジモジしている。う~ん手の交差は萌えポイントが高いってーー違うだろう!!

「よーーし、そこまで!」

 え!?珍しい・・無表情、無感動、無関心の担任ミセスが口を挟む。しかも笑っているぞ!ミセスが笑ったのっていつ以来だ?勿論ミセスが教壇に立つとみんな静かになる。

「レコンキスタさん・・もう席に着きなさい。」

 ミセスはファムを自分の席に戻す。

「まあ、斎藤が立派なことをしたのは間違いないけれど彼は超鈍感で大朴念仁だ。
 ヒロインの気持ちも考えて暫く生暖かく見守るように。」

 なにーー!!ミセスがフォロー?しかし生徒に超鈍感とか大朴念仁ってどうゆうことやねん。しかも笑いながら言ってるし。これは暫く言われるなぁ・・ 
 目立つのは好きじゃ無いんだけど。
 まあ、彼女がクラスにとけ込めるなら了とするかな。







トライアングル☆ツンデレ・紅毛の舞編①終了

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最終更新:2011年01月04日 18:44