ふっとジョブ

  • 作者 初代スレ604

 俺こと副主公人(ふくす きみひと)は、ぼーっとしながらある人物を見ていた。
「離れなさい!」
「なんで、アンタにそんなこと言われなきゃなんないの。ねぇ」
「ハロもニヤケ顔ダメ!!」
 教室の後ろで月岡と長岡が江口を取り合っている。
 俺は最近、ある理由があってよく江口を見ていた。
 某掲示板に書かれているSS。そこに江口らしき人物をモチーフとした作品があるのだ。
 そこに書かれている江口を中心とした人物郡。それは俺の知る彼の友人たちに完全に当てはまる。
 つまりはノンフィクションと言うことだ。
「もしそうなら、うらやましいをとっ越して、恨めしいぞ」
「なにブツブツ言ってんのよ」
 突然背後から声をかけられる。
 聞き知った声なので特に驚きもせず、ゆっくりとそっちを見る。
「ナノ」
 そこには腐れ縁の友人の伊水士菜々乃(いすいし ななの)が立っていた。
 決して幼馴染とは言わない。そんないいものでもないし。
 俺と同じ日に同じ病院で生まれ、家が隣で、小学校から今の今まで同じクラスだなんて、明らかに人生の確立を無視した女だ。
 これを腐れ縁と言わずして何を言う。つうか、もう勘弁してくれ。
「ツンたちのこと見てたの?」
「まぁな」
「仲いいよね」
「だな」
 俺はまた視線を江口の方に戻す。
 後輩に妹まで現れて混乱を極めていた。ざまぁみろ。
「にしても、なんであんなツンデレっぽいのばっか集まるんだ?」
「ツンデレ?」
「普段ツンツンしてるけど、二人きりになるとデレデレになる人」
「ふぅん。じゃあ、私もそうかな?」
 ナノは確かにツンだ。
 口調もきついし、少なくとも俺以外の男共とまともに話をしているところを見たことが無い。
「お前にはデレがないだろ。ツン。もしくは鬼嫁。って相手居ないから鬼だな。鬼女だ鬼女」
「・・・死にたい?」
 空手をやってるこいつが言うと洒落にもならん。
「ごめんなさい。あ、俺になんか用事あったんじゃないのか?」
「そうだった。先生から明日は6時から朝練だからなって伝言たのまれた」
「げ。マジかよ。朝型だからなぁ、あの人」
 俺は野球部に所属している
 顧問が今年度で退職だから、学生よりも力が入っている。迷惑なことだ。
「なぁ、明日も起こしに来てくれないか?」
 朝の弱い俺はナノによく起こしてもらっている。
 普段ならなんとかなるのだが、朝練となれば目覚ましでも起きる自信はまったく無い。
「また私を目覚まし替わりにする。おばさんでもいいじゃない」
「親父もお袋も3時に家出るの知ってるだろうが」
「はいはい。私も朝練あるから起こしてあげるわよ」
「サンキュ~」
 他の男たちにとは違い、ナノは俺には結構やさしかったりする。
 まぁ、大きく見ればツンデレと言えなくもないかな。
 ん。なんか、股間の辺りがもぞもぞする。
 昨日出してないからかな。
「起きた?」
 ん?ナノの声。あぁ、そういや昨日起こしてくれって頼んだっけか。
「おはよ。ナノ、さんきゅ~」
「うん」
 けど、この痛いような気持ちいいような感触は。
「はい終了。ん~。弟より反応よくないなぁ」
 ナノは俺の両足首を持っている。
 ナノは俺の両脚の間に入っている。
 ナノは自分の足を上げている。
「何してた?」
「ん?電気アンマ」
「おい」
 思わず即効で突っ込んでしまった。
 寝ぼけてたのも一発で吹き飛んだぞ。
「だって、弟にこれやると一発で起きるんだもん」
「弟って、小学生だろうが!」
「そだよ」
 この女は。
「あのなぁ・・・ガキじゃないんだし。それに、それって足コキだよな」
「足こき?」
 ナノが首をかしげる。
 そりゃそうか。そんな言葉を知ってるわけないか。
「ちょっと耳かせ」
 俺の口元に耳を近づける。
 お、シャンプー変えたな。一丁前に大人の香りって感じだ。
「ゴニョゴニョ。で、足で、ゴニョ」
 ナノの顔が見る間に真っ赤に変わっていく。
 当たり前か。
「ば、バカじゃないの!!そんなの、なんで思いつくかな!!」
「なんでって」
 まさか江口が月岡にしてもらっているからともいえず。
「愛かな」
 何を口走ってるんだ。俺は。
 けど、その一言はナノに相当な衝撃を与えたらしい。
「あ、愛って・・・私、だよ?」
 耳まで真っ赤にして俯き、モジモジと手と体をよじっている。
 う。普段、男勝りなこいつがこういうことをするのってギャップあって萌えるんですけど。
 は!?これか、これがツンデレ萌えなのか!?
「ナノ」
「・・・なによ」
「続きして」
「え。で、でも」
「して欲しい」
「うぅ。変態だよ、それじゃあ」
「ナノだからして欲しい」
「私だから?」
「うん」
 ナノは何かを決心したかのように一回大きく頷き、俺の足首に手をあてる。
「いくよ」
 そして、足首を持ち上げ俺の股間に自分の足を。
 うおうおうお。またも、先ほどのモゾモゾとした感触がよみがえってくる。
「これでいい?」
 小刻みに震える足が適度に刺激を繰り返し、今までに感じたことのない快感が俺を襲った。
 スカートからスラリと伸びる脚は、引き締まっていてすごく綺麗だ。
 そして、その付け根の小さな布。かすかに見え隠れするそれがさらに俺の性欲を煽る。
「ぉぉっ。んっ・・・」
 思わず声が漏れる。
「や~。変態だよ。バカ、マゾ、変態変態変態変態ぃぃぃぃ!!」
 ナノは小刻みな震えを、グニグニと踏みつけるように変えた。
 や、ナノさん。それ逆効果。
 ここで俺の悪戯心が動いた。
「え?」
 ナノが驚くのも無理は無い。
 彼女が足を休めた瞬間を狙ってズボンを下げたのだ。
 もちろん、そこにはそそり立つ俺のペニス。
「私・・・これ、踏んでたんだ」
 ナノが俺の脚から手を離し、ソレに顔を近づける。
 ちょ、それは予想外。
 息があたる。
「ナノ。ごめん!」
「きゃっ」
 ナノの顔目掛けて精液が勢いよく飛び出た。
 あの刺激の後に暖かい吐息はさすがに我慢できなかった。
「うぅ。バカ!顔にかかったじゃないか」
「だからごめんって謝ったろ」
「でも」
「ほら、拭いてやるから」
 ナノが四つん這いになって顔を俺に近づけうる。
 俺の精液にまみれたナノの顔は今までに見たことが無いほど淫靡で情欲的な顔だった。
 ティッシュで顔を拭く。
 目を閉じ、俺の前に突き出された顔は綺麗さと可愛らしさを両方備えていた。
 気づいたら俺はナノにキスしていた。
 ナノは最初はびっくりした顔で俺を見ていたが、すぐに目を閉じて俺の呼吸に合わせ唇を動かしてきた。
 1分以上。ずっとお互いを感じていた。
「・・・バカ」
「ごめん」
「謝らないでよ」
「うん」
 時計が時を刻む音だけがそこを支配した。
 それを破ったのはナノだった。
「なんで。こんなことしたの?」
 俺は首を横に振った。
「そっか」
「さっきは、わかんなかった。でも、今はわかるかな」
「え?」
「今さらかもしれないけど、俺・・・ナノが好き。みたいだ」
「好き?私を?」
 多分そういうことなんだろう。
 俺はもっとずっと昔からナノが好きだったんだ。
 けど、近すぎてそれがわからなかった。
「よかった」
 ナノがほっと胸をなでおろすように小さなため息をつく。
「願いかなっちゃった」
「願い?」
「近くに神社あるの知ってる?昔ね、あそこでお願いしたことあるんだ・・・公人とずっと一緒にいれるようにって」
 初耳だ。
 ってことはナノは俺のこと昔から・・・あれ、神社?なんかひっかかるような。
「でも、公人はツンたちの方が好きそうだったから」
 俺はナノを抱きしめた。
 もう、ナノを悲しませないと自分に誓いながら。
「ねぇ」
 俺の耳元でナノが呟く。
「ん?」
「江口くんのことうらやましいって言ってたけど・・・私一人だと不足・・・かな?」
「全然。俺にはナノ一人で十分。ううん、ナノだけに居て欲しい」
「よかった。ありがとう」
 当然ながら俺たちは朝練に遅刻した。
 どうやら、ナノは顧問に怒られてしまったようだ。
 俺の方は他にも遅れているやつが居たせいか注意程度で終わったのだが。
 昼休みの屋上。まだ肌寒いとうこともあって俺たちのほかに1グループ居るだけだ。
「ごめんな。俺のせいで怒られちゃって」
「まったくよ。はぁ、起こしにいかなきゃよかった」
 な、ナノさん?
 頬を膨らませたまま、パンを頬張っている。
「次から遅刻しそうになったら!容赦なく置いていくからね」
 そんなに厳しく怒られたのだろうか。
「ごめん」
 屋上のドアが開く。昼飯を食べていたもう1つのグループが校舎に戻っていった。
 急に肩に重みがかかる。
「ナノ?」
 ナノが俺の肩に頭を乗せて目を瞑っている。
「ごめんね。怒ったりして」
「へ?」
「なんでもない!むぅ」
 俺はナノの頭を撫ぜる。
「ん・・・公人・・・大好きだよ」

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最終更新:2007年08月03日 18:02