Le souhait理緒編2
ハロ「ふぅ」
いい日和だ。
とは言ってみたものの、そうでもないな。
全く、君はいつも空気が読めない。
まあ下手に晴れてくれるよりは涼しくていいんだけどな。
などと考えつついつものように登校しているわけだが・・・。
今日はツンが居ない。
なんでだろうな?いつもはあの角に居るのに。
いつも待ち伏せされてる筈の俺が、今日は待たされる側だった。
いつものように仁王立ちしてたり、携帯いじってたり、踵をとんとんしたり、オナニーしながら俺を待ってる筈なのに。
俺がその角にさしかかった時は、『あ、今日は居ないな』ぐらいで禄に待たずに通り過ぎたわけだが。
まずかったかな。
次からは気をつけよう。
ま、今更戻るのもアレだしな。何より男らしくない。
鞄を負い直す。
ブーン・・・
ハロ「蕪雲か?」
振り返ると、黒い高級車がこちらに向かっていた。
ハロ「車の音か・・・」
理緒が来てツンが来ないということは何かあったな。
車は俺の目の前で停まり、ドアが開いた。
すると中から緋柳さんが現れた。
ハロ「あ、おはようございます」
緋「おはようございます、遥様」
そう言って、深々と礼をした。
どうせなら『御主人様』と呼んでもらいたい気がしないでもない今日この頃です。
ハロ「でも今登校中なんで、『屋敷に来てくれ』ってのはダメですよ」
緋「存じ上げております。今日は、別の用事があって参りました」
ハロ「別の用事?」
緋「はい。この度の理緒御嬢様の熾惺学院ご編入に伴いまして行われますパーティーのご案内を・・・」
ハロ「はい?」
緋「ですから、理緒御嬢様の熾惺学院ご編入の件に伴いまして・・・」
ハロ「はいいいいいいい!??!!??1」
緋「何度も申し上げますように、理緒・・・」
ハロ「あ、もうわかりました。すいません何度も」
理緒が熾惺学院に編入!?
一体、どういうことだ?そこまでして俺を追う理由があるのか?
いや、何も俺を追うために熾惺に編入しに来たと決まったわけじゃないだろう。
緋「・・・では、午後七時頃にお迎えに上がりますので」
まだイエスともノーとも言ってないんだが、さりげなく強引だなこの人。
ハロ「あ、待った」
緋「はい?」
ハロ「まさか俺一人じゃないですよね?招待されるの」
緋「はい、一応遥様のしがらみの方々にも招待状をお出し致しました」
しがらみって何だよ。
緋「では、私はこれで・・・」
そう言って緋柳さんは車に戻り、俺の前から去っていった。
緋柳さん、自分で車運転するんだな。
ってそんな事考えてる場合じゃないぞ。
おj・・・理緒が編入!?
ツン「ハロ!ハロ居る!?」
教室の戸を荒っぽく開け、ツンが現れた。
蕪「残念ながらハロは銀河の塵と消え」
ツン「うるさいのよ!」
蕪「うべらっ!!」
毒「親分!」
朝から騒がしいやつらだなあ、と机に頬杖をついて思う俺であった。
ハロ「ツン、遅かったな。どうかs――」
ツン「知ってる!?アレよアレ!!」
ハロ「アレ?ああ・・・」
ツン「理緒が編入するって・・・どういうこと!?」
ハロ「あ、ああそっちか。そんな事俺に聞かれてもわかるわけないだろ。俺だってさっぱりだ」
ツン「・・・・・・」
ハロ「ん?」
ツン「『そっちか』って何よ」
ハロ「気にするな。で、何で今日は遅かったんだ?」
ツン「ま、別にいいけど・・・朝起きたら、郵便受けに招待状が入ってたのよ?」
ツンに招待状が届いてるってことは、ほぼ全員に届いてるな。
何気に個人情報割れてるし。
ツン「だから、本当かどうか確かめにあいつの屋敷に行ったのよ」
ハロ「で、どうだったんだ?」
ツン「誰も応答しなかったけど・・・」
ハロ「意図的なイジメだな」
毒「それよりもまず、編入と言う事実について今を検討しようではないか」
何でこいつに話の確信を突かれなきゃいかんのだ。
蕪「つまり、漏れとお嬢の間にフラグが立つかどうかを最優先で検討すべきだお。是か非か」
ツンと顔を見合わせる。
ツン「そりゃ無いわね」
ハロ「そりゃ無いな」
蕪「・・・フラグ立たんのならどっか行っちまえお。椅子缶樽辺りに消えればいいお」
ハロ「そんな事言ったらぬっ殺されるぞ」
ツン「とにかく!とにかくよ!」
ツンは腕を組んで言う。
ツン「あいつの編入だなんて絶対ダメ。許さない!」
ハロ「別にお前の許可なんて無くても」
ツン「絶対汚いやり方で編入する気よ。裏口入学よ。試験だって免除に決まってるわ」
ハロ「それはあるな」
し「もし、もしですけど」
しのたが深刻な雰囲気で言う。
し「もしその人が先輩と同じクラスだったら・・・」
ツン「ダメよ!ますますダメ!考えうる最低のパターンじゃない!そんなの遺憾よ!」
遺憾って。
ハロ「で、お前いつから居た?」
し「『意図的なイジメだな』あたりからです」
ハロ「ああ、そう」
野次馬め。
しかし、しのたが言う事もあながち外れちゃいないかもな。
毒「でも、そんなに警戒すべき人なん('A`)?この前もノリで拉致っただけかも知れんし」
じゃあ俺は小さい頃からノリで拉致られ続けてきたというわけか。
ハロ「いや。警戒度は最大のレッドにまで引きあがるだろう」
バタン
緋「どうぞ、足元にお気をつけて御降り下さいませ」
理「ありがとう、緋柳」
緋柳に手を取られ、優雅に車を降りる。
理「ここが熾惺学院ですの?」
校舎を見上げる。
曇天に校舎は栄えこそしないものの新しく、近未来的なデザインで広い校舎。
悪くは無いわ。
理「これから、理緒と遥君の夢物語が始まりますのね?」
緋「色々、障害が見受けられますが・・・」
理「なあに?あのツインテールに私が屈するとでも?」
緋「いえ」
理「あんなの、ただちょっとうるさいだけよ。何の問題もありませんわ」
ハロ「なんだか騒がしいな」
トイレから教室に戻ると、皆が窓にへばりついて騒いでいる。
教室に入るなり、ツンが駆け寄る。
ハロ「来たか?」
ツン「う、うん。まだ見てないけど」
外車だ、あれは誰だ、とバカ騒ぎしている生徒たち。
あれを払いのけて見る気は無いな。面倒だし。
ハロ「さ、次は古典の授業だ。てんてーが来る前に授業の準備しないと」
ツン「やけに冷静ね」
ハロ「ふっ、大人だからな」
「『「江口遥君はいらっしゃいますかー?」』」
と拡声器のバカでかい声が外から聞こえてきた。
ゴン
思わず机に頭をぶつける。
喧騒に包まれていた教室が一転、耳を衝くような静寂に包まれ、全員の視線は俺に集中していた。
のが、見なくてもわかる。
顔上げることができないだろ。
全員「エエェエエェェエ工エェエエエ工工工工!!?!?!?!?」
A「お前、どうやってあんな御嬢様と知り合ったんだよ!!」
うるせえ、名前無いくせに。
B「俺に譲ってくれ!って言うか俺と付き合ってくれ!」
死んでも嫌だ。
蕪「自分だけいい人生歩みやがっていつかぶっ殺してやるお」
混ざるな。
って言うかお前だけ殺意が凄いな。
ハロ「だー!うるっせえ!片っ端から黙れ!自分でもびっくりするくらい黙れお前ら!!」
そう言って席を立ち、
「『「はーるくーん!聞こえてますかー?」』」
群衆を押しのけ、窓から顔を出す。
ハロ「何だコラぁ!!拡声器まで使うやつがあるか!!」
理「いやですわ、遥君たらあんなに大勢の前で私にラブコールを」
緋「おそらく違うかと・・・」
理「今、参りわすわねー!」
ぶんぶんと手を振って応える。
C「昔の女?」
D「昔の女よ・・・」
ツン「・・・ハロ!何とかして侵入を阻止するのよ!」
ハロ「どうやって」
し「さあさあ盛り上がってまいりましたですね!」
蕪「いよいよラブコメっぽくなってきた気配」
毒「でもその舞台に俺らは立ててるかどうかが懸念」
ツンに手を引かれ、再びモブを切り抜ける。
ハロ「お、おいどこ行くんだよ!?」
ツン「とにかく――きゃっ!?」
?「何ごt――!?」
教室を出ようとしたその時、何者かにぶつかってしまった。
ハロ「あ、てんて・・・!」
東「いたたた・・・気をつけい!まったく朝から・・・!///」
ぶつかって転げたてんてーの着物は少しはだけていた。
てんてーはすぐにそれに気付き、すぐに袖で覆い隠して着物を直した。
ツン「ちょっ・・・ハロ!今見たでしょ!」
ハロ「見てない!って言うかてんてー自体小さすぎて見えないしな」
東「失礼な事を言うでない!いいから席に戻れ!」
てんてーは扇子を振り回して怒っている。全然怖くないが。
ハロ「ツン。まあ何とかなるさ、席に戻ろう」
まだ起き上がらないツンに手を差し伸べる。
ツン「・・・わかったわよ」
ツンは俺の手を握り、ばつが悪そうに立ち上がった。
し「なんだか本当にラブコメですねー」
毒「まあこのSS自体誰かがパニック起こすとラブコメっぽくなる傾向があるしな」
蕪「ちょwwwwww」
ぺちん
東「こりゃ!おぬしは別のクラスであろう?さっさと戻れ!」
し「す、すいません」
東「我党たちも席に着け!ほーむるーむを始めるぞ!」
てんてーは手のひらに扇子をパンパンと打ちつけ、着席を促した。
がたがたと席に着き始める生徒たち。やけに従順である。
俺もツンも大人しく席に着く。
ハロ「まだ、朝だったんだよな」
ツン「なんか疲れたわ。パーティー行くのやめない?」
ハロ「いや、あの」
理「・・・では、皆さんよろしくお願いします」
自己紹介を終えた理緒は、礼儀正しく礼をした。
再会後はまともに自己紹介なんてされなかったから、今改めて聞くとそうだったな、なんて思い返されるところもあった。
数年ぶりとは言えあくまで『再会』だし自己紹介される必要は無いんだけど本当は。
怖くて直視できなかったツンの様子をそっと伺う。
ツン「ハロの隣の席だったら轢くハロの隣の席だったら轢くハロの隣の席だったら轢く」
怖。
同じクラスにこそなってしまったが、俺の隣の席にはならなかった理緒。
不幸中の幸いといったところか。俺にとってもツンにとっても。
で、肝心の席は何故か蕪雲の隣。
理緒は見た目はいいし金持ちだから、早速クラスのやつらからちやほやされている。
ハロ「ま、初対面ならな」
と思わず呟く。
だが、そんな理緒には目もくれない男がただ一人居た。
そう、理緒の隣の席のあいつである。
理「あ、理緒といいます、よろしくお願いします」
蕪「さっき聞いたお」
そう、蕪雲である。
智途様一直線である彼にとって、他の女は『それ以外』としか捉えられないのである。
これについて立式すると、魅力基本値(100)美人(×5)金持ち(×3)・・・智途様じゃない(×0)=0といえる。
毒「蕪雲がめちゃめちゃ硬派に見える件」
ハロ「錯覚だがな」
ツンは気分を害したのか、早退してしまった。
昼下がりになって、生徒たちのほとぼりもようやく少しづつ冷め始めたようだ。
俺は柄にもなく図書館に来ていた。
チト「ハロ、か?」
そこには智途が居た。
チト「珍しいな」
ハロ「まぁな。ここは静かでいい」
智途が使っている机の向かい側に深く腰掛ける。
ハロ「いつも来るのか?」
チト「ああ。・・・今日は特にな」
ハロ「すまんね、うちの幼馴染が」
チト「幼馴染なのか?」
ハロ「そうなんだ。許してやってくれ」
チト「あんな幼馴染が居たなんて話、私は聞いてないぞ」
智途は面白くなさそうに言う。
ハロ「封印したい過去そのものだからな、あいつは」
チト「なら、いい」
お前も現金なやつだな。
チト「私はそろそろ失礼しよう」
ハロ「もう?」
チト「頃合だからな・・・」
意味深な言葉を残し、智途は早々に立ち去っていった。
ハロ「??」
理「遥君!」
ハロ「おわっ!?」
理緒が背後から俺の首に腕を回してきた。
ハロ「あれ?俺こんなに茶髪ロングだったっけ」
理「・・・それは理緒の髪ですわ」
理緒は体を離した。
ハロ「どうだ?この学校は」
理「悪くないですわね」
ハロ「厳しいな」
理「でも、どこにでもマイノリティーは居るものですのね」
蕪雲のことか。
ハロ「でも、よく――」
キーンコーンカーンコーン
ハロ「やっべ、ビッグベンだ!教室戻らな!」
理「そうですわね。全く、あわただしい日ですわ」
その原因の九割九分九厘九毛はあなたにあるんですけど。
学校が終わると、理緒は緋柳さんの迎えですぐに帰ってしまった。
何か準備があるのだろう。
俺はいつもどおり部活をしているが・・・そろそろ五時半だ。
ハロ「今日は早めに帰るわ」
Alt+F4でパソコンを終了させ、席を立つ。
し「え?今何時ですか?」
ソファーに座り雑誌を読んでいたしのたが時計を確認する。
し「あー、微妙に早いですけどボクも帰ります」
雑誌を閉じ、部室の本棚(ほぼしのたが占領)にそれをしまった。
蕪「じゃあ漏れも帰るお。もう一人ぼっちは嫌だお」
なんだその今までずっと一人だったみたいな言い草は。
ハロ「何だ何だ、みんなして」
し「『何だ何だ』じゃないですよ。パーティーですよ?パーティー」
蕪「不本意だけど智途様との予定も無いし行ってやるお」
予定、あった事無いだろ。
し「パーティー、どんな感じなんでしょうね?」
のんきなやつだ。
そんな感じで、三人でくだらない話をしながら帰宅した。
ユリ「ねえねえおにいちゃん、これ似合うかなあ?」
こいつものんきなやつだ。
ハロ「似合うんじゃね?」
ユリ「もう、見てから言ってよ!」
妹とは言え、女の仕度は長いな。
ソファーに腰掛け、テレビを見ながら由梨を待つ。
そろそろ七時なんだけどな。
ユリ「あ、おにいちゃん録画は?」
ハロ「ばっちりよ。って言うか早く準備しろお前」
ユリ「だってパーティーなんて初めてで何着て行ったらいいのかわかんないもん!」
ハロ「なんでもいいよ」
ユリ「だってみんな綺麗なカッコしてくるんでしょ!?なのに私だけジャージなんて嫌だよ!」
ハロ「じゃあ避けろよジャージ。むしろ冗談だよなそれ?」
ユリ「あー、どうしよどうしよ!おにいちゃんも選んでよ!」
なんで怒ってるのに楽しそうなの?
ハロ「じゃあジャージで」
ユリ「おにいちゃんのバカぁ!」
ピンポーン
ハロ「あ、来た」
ユリ「え、嘘!」
俺は由梨をほったらかしにして玄関に向かった。
玄関のドアを少し開け、
ハロ「すいません、もうちょっと待ってもらえますか」
と表に立っていた緋柳さんに伝えた。
その時、夜でも黒光りしているその黒い車の車内に、wktkしている同胞たちの姿を認めた。
ハロ「なんだ、結局お前も来たのか」
ツン「何よ。悪い?」
ツンも、それなりにおしゃれして来ていた。
俺とツンはわりと何度も見ているから感動も少ないけど、皆は屋敷の豪華な装飾に感嘆の声をあげていた。
ツン「ま、まだなんで編入してきたのか理由を突き止めてないし。勘違いしないで」
ハロ「勘違い?」
ツン「別にあんたが心配で見張りに来たってわけじゃないって事よ」
ハロ「心配だったのか」
ツン「あんたは話聞いてたの?え?」
ほっぺをつねられる。
ハロ「もげるもげるもげる!」
理「あら、皆さんおそろい?」
声の方に全員が振り向いた。
綺麗なドレスに身を包んだ理緒がその姿を現した。
し「はー、すごいですね。いくらぐらいするんですかね?」
チト「・・・すぐ品定めをするのはどうかと思うが」
ユリ「私じゃ似合わないかもなぁ」
毒「本物のメイドさんと握手してきますた('A`*)」
蕪「マジっすか(^ω^;)」
お前ら少しは注目汁。
緋「御食事の用意は整っております。こちらにどうぞ」
そういって、木造の扉を開ける。
理「では、行きましょうか♪」
次々と料理が運び込まれ、どこからかミュージシャンやダンサーまで現れた。
この人数にこれはやりすぎなんじゃないかと。
ツンもツンツンするのを忘れるくらい驚きに呑まれていた。
しかし細かいところには気を遣っているようで、料理も俺たちが食べた事の無いようなものではなく、
いつも食べているような庶民の味、要はガツガツ食えるようなものであった。
しかし、何か物足りない。
それは人数を指しているものではなく。
ハロ「緋柳さん、このパーティーは本当に、その、なんていうか・・・」
理緒のために開かれたパーティーだというのに、偉そうな人が居ない。
って言い方は変だけど、両親ぐらいは居てもいいんじゃないか?
緋「・・・向こうには、大人しか居ませんでしたから・・・」
ハロ「え?」
いつもは無表情な緋柳さんのその顔に、一瞬哀愁が滲んで見えた。
緋「やはり、同年代の方々と話すのが一番楽しいものでございましょう?」
ハロ「そうですよね」
とんとん、と肩を叩かれる。
ハロ「なんだツン」
ツン「ほら、あのこと聞きなさいよ」
ハロ「お前さっき『理由を聞きに来た』みたいな事言ってたじゃないか」
ツン「だって・・・」
次々に現れるお抱えさんたちによるマジックショーやダンスのパフォーマンス。
それを見て驚く俺たち。うまい料理に舌鼓を打つ俺たち。世間話やショーの感想を言い合う俺たち。
確かに理緒はショーを見ていなければ、料理も食べていないし、自らの装飾品についても語らなかった。
ただ、俺たちを見ていた。
微笑ましそうに、寂しそうに。
付き合いの長い俺たちだから感じ取れたのであろう。
理緒がその笑顔に至るまでにかかった時間というものを。
…その寂しさを。
――昼間の雲はどこへか消え、夜空には月が照り、満天の星空が広がっている。
夜風が、澄んだ空気を運んでいく。
ハロ「よお」
理「遥君!?」
ベランダに一人たたずむ理緒に声を掛けた。
理「みんな帰ってしまったから、遥君も帰ってしまったと思って・・・」
ベランダに寄りかかって言う。
ハロ「どうだ?久々の夜空は」
理「・・・ええ。とっても綺麗ですわ。向こうには無かった。この本物の星空も、風の音も、虫の声も・・・」
ハロ「その気持ちも無かったか?」
理「・・・え?」
ため息をつく。
ハロ「ツン、途中で帰ったろ?」
理「ええ・・・」
ハロ「そういうことだ」
風が頬を撫でた。
ハロ「中に入ろう」
ハロ「お前もツンもバカ正直すぎて助かるよ」
理「ふふっ、それは遥君もでしょう?」
ハロ「・・・かな?」
理「そうですわよ」
照明こそ点いていないが、大きな窓からは十分に月光が差し込み、俺たちと部屋を照らしている。
ハロ「ずっと聞かなかったんだが、ツンからの宿題でな。一応聞くが、・・・なんで突然ここに編入したんだ?」
理「遥君を追って編入してきたと言うことがすべてですわね」
ハロ「それは予想がついたけど、よく親が許したな、って」
理緒が突然笑う。
理「予想がついたんですの?酷い人」
ハロ「まぁ・・・無いかな、って思ってたくらいに俺の中で可能性の低い予想だったんだけど」
理「・・・理緒も年頃ですから、縁談が持ち掛けられましたのよ。向こうに居た時に」
ハロ「縁談、か。御嬢様だからな」
理「理緒は絶対嫌だと断りました。その理由に、『好きな人が居る』と、つい遥君を引き合いに出してしまって」
ハロ「えーと、うん、そこまでは理解した」
理「だから、こっちに来たからには、もう」
ハロ「だー!!ちょっと待った!それ、屋敷のみんなも知ってるんだよな!?緋柳さんとかも!」
理「え、ええ」
なんてこった・・・。
なんてぇこった・・・。
理「ぜ、全部理緒が悪いんですの。でも、遥君なら協力してくれるかもって、それだけが頼りで」
ハロ「きょ、協力って?」
理「結婚、ですけど。あ、でも今はフリだけでいいですのよ?今のところはそれでも・・・」
ハロ「けっっっこん!!!??!」
理「卒業までは何とか向こうに呼び戻されないように努力しますから、その間に打開策を講じましょう?」
俺が結婚?
ハロ「で、でもたかが俺の演技力じゃいつかばれるんじゃ・・・」
理「え?・・・・・・」
ハロ「え?向こうだって馬鹿じゃないだろうし正直自信無」
理「嬉しい!」
ドサッ、と寝心地のいいベッドに押し倒され沈められる。
ハロ「り、理緒!?」
理「こんなに簡単にOKしてくださるなんて・・・」
理緒は俺にしがみつき、涙を流して喜んでいる。
ハロ「いや、そういう意味じゃなくて!単に不安だから!」
だから体を擦り付けるのはよせ!
理「ぐす・・・。だってばれないようにするために理緒と結婚してくれるんじゃ」
ハロ「焦るな。俺が言いたいのはな、俺たち二人だけじゃ隠し通すのは無理だから、他に協力が欲しいって事だ」
理「・・・じゃあ」
ハロ「?」
理「なんで勃ってるんですの?」
ハロ「あ、いや、これは」
押し倒されると逆に興奮すると言うお前から与えられた属性がですね。
理「このまま理緒として子供を作るつもりじゃなかったんですの?」
ハロ「できちゃった婚なんて男にプレッシャーを与えるだけです。エロい人にはそれがわからんのです」
理「じゃあ理緒を押し返して離れればいいでしょう?」
やばい。だんだん理緒の顔がにやけ顔になってきた。
瞳の奥に"S"の気が燃え盛っているのが見えるようだ。
で、その瞳から目が離せない俺の目にはきっと"M"の(ry
理「遥君・・・理緒、ずっと寂しかったんですのよ?」
理緒が甘えた声を出して俺を切なげに見つめる。
ハロ「あ、ある程度好きにしていいけど中には出させるなよ」
って何言ってるんだ俺は?
理「くすくす・・・」
って何笑ってるんだチミは?
理「結婚する気が無いんだったら、理緒の中になんか一滴も出せませんわよ?」
そう言って、理緒は俺の下半身を露出させ始める。
ハロ「な、何を・・・」
理緒は俺の竿を右手でぎゅっと握り、扱き始めてきた。
理「いつもみたいに、こうやって擦ってればいいんですわ」
ハロ「う・・・」
理「どうせ理緒をオカズにした事あるんでしょう?」
実際あるけど・・・やっぱり女の子の手のほうが柔らかくて気持ちい・・・って待て俺!
理「言っておきますけど、ここで出したら理緒のベッドもドレスも汚しちゃいますのよ?」
ハロ「!・・・あ」
それだけはまずい。
俺は、上半身を持ち上げるようにして腰を引き、必死の抵抗をした。
理「ふふ・・・逃げられませんわよ。理緒がぎゅってしてますから」
そう言うと、理緒は扱くのを早めてきた!
ハロ「ちょっ・・・待っ・・・!」
理「ん?どうしましたの?早く逃げないと汚しちゃいますわよ?」
ハロ「だ・・・め・・・」
理「ここ擦られると気持ちよくなってどうでもよくなっちゃうんでしょう?」
もたげた上半身を支える両手は、力が入らずに震えている。
早く逃げないと・・・クリーニング代はとてもじゃないが払えないぞ!って恐怖で震えてるのか快感で震えてるのか!?
理「あら、もうこんなに濡れちゃってますけど、限界ですの?」
な、なんだかもう身を任せたくなってきた・・・。
ハロ「こ、降参。許して・・・」
理「くすくす・・・可愛い♪」
って全然聞いてないし・・・!
ハロ「(もう駄目だ!我慢しきれない――!)」
理「!」
俺は結局理緒の屋敷に一泊した。
俺自身凄くへこみました。
屋敷を後にする時も、ドレスとかベッドとかどうなるんだろうと気が気でなかった。
しかも我慢させられるだけさせられたからか、最近してなかったからか、なかなか止まらなかったし。
俺は結婚するまで、って言うか結婚した後もあのような恥辱を受け続ける羽目になるんだろうか?
いや今は移ってきたばっかりだから寂しくてついやってしまっただけかもしれないし。
それで気が紛れるなら・・・って、あれ?
俺、何で理緒の事庇ってんの?
ハロ「服従しちゃダメ服従しちゃダメ服従しちゃダメ」
よし、これで大丈夫だ。
しかし、マジで理緒結婚させられちゃうんだろうか?
嘘の話じゃないだろう。
慰め方は汚いけど、それでも小さい時色々とお世話になった大切な人だ。
見捨てる、って言うんだろうか。
そんな事できないけど。結婚なんてもっと・・・。
…緋柳さんなら協力してくれるかもしれない。
一メイドだけど、それでも多くの味方が欲しい。
あらゆる手を使っていって、それでもダメだったら、その時は理緒、なんて言うかな・・・。
学校。
ツン「そう、なんだ・・・」
俺はきのう理緒に聞いたことを話した。
ツン「結婚、かぁ。ま、一応御嬢様だからね」
ハロ「同級生が結婚なんてな。法律上は認められてるけど非現実的だよ」
ツン「で?」
ハロ「え?」
ツン「『え?』じゃないわよ。あんたは結婚する気なの?」
ハロ「それは無い、と思うけど」
ツン「・・・ごめん。あんただけに判断を求められるような問題でも無いわね」
ハロ「・・・・・・」
ツン「でも、私が一つ気に入らないのは」
ハロ「?」
ツン「な・ん・であんたはその話を聞いたあとで屋敷に泊まったわけ!?」
ハロ「な、なぜそれを」
ツン「あんた今日来る方向違ったでしょうが!ちゃんと覚えてるのよ!?」
ハロ「さ、さあ何の話やら」
ツン「今更ごまかす気!?」
理「まあまあ、朝から喧嘩なんて野蛮だとは思いませんこと?」
ツン「嫌・・・フリでも耐えられない。帰ろうかな・・・」
いまいち緊張感が感じられない日々を送っていますが、
とりあえずみんな元気です。
でも理緒かツン、どちらか片方を取ったらもう片方に殺されそうな気がするので、
その時は緋柳さんをもらいたいと思
ゴッ
ツン&理「?手が勝手に・・・」
蕪&毒「)ガクブル」
最終更新:2007年08月03日 23:22