Le souhait ウィッシュ編8
夏が終わろうとしている。
気は早いが、大晦日が来ればウィッシュと出会ってからちょうど一年が経過する事になる。
一年前は予想だにしていない状況だよな、今の俺。
『願いの精』なんてファンタジックなものに会いに行こうとしているんだぞ?
しかも夜に、お忍びのように、ほぼ毎日。
そいつが寂しがる事のないように、だとさ。
俺が超優秀な預言者で、このことを予知したとしても『いや、なんでもない』で片付けちまいそうな事だ。
剰え神聖な存在かもしれないそいつに俺は幾度と無く・・・いやいや。
ちょっとテンションがおかしいようだ。
落ち着こう。
ハロ「はー・・・」
夜空を見上げる。
小学校で習ったことがあるような星座が見えた。
あれを見る限り、今は夏?なんだろうか?何を表すのか全く覚えてないな。
ウィッシュは知ってるかな?
何かあいついっつもボーっと空見上げてるし。
だからといって詳しいわけじゃないよな。せいぜい開いた口に虫が入ってきて咽るのがオチだ。
と、口を開け夜空を眺めながら、俺は神社に至った。
ウィッシュは縁側に座って、祈りを捧げていた。
こういう時ウィッシュは本当に集中しているので、俺が近付こうがわからない。
そのためいつもいつから居たのかと驚かれるのだ。
どんなことがあっても、お祈りが欠かされる事は無かった。少なくとも、俺の見てきた限りでは。
俺はウィッシュと少し距離を取った辺りの縁側に座り、同じように祈りを捧げた。
今から祈ってウィッシュに届くかはわからないが。
ウィッシュが人間になれますようにと。
…今は慣れたからさらりと言うけど、結構お花畑な願いだよな、これ。俺は五歳児か。
ウ「んー・・・」
ハロ「ん?」
ウィッシュが唸り声をあげたのでそちらを振り返る。
しかし真剣に祈りを捧げるウィッシュの姿があるだけだった。
ハロ「(独り言かな?)」
もしくは寝言とか。
こんな縁側で寝ないでくれよな。風邪引かないとは言え。
俺は少し気になったが、再び向き直した。
ウ「あ!」
ハロ「おう、終わったか」
ウィッシュは縁からぴょんと飛び降り、俺に歩み寄った。
ウ「来てくれたんだ」
ハロ「昨日も来ただろ」
ウ「うん。一昨日も来たね」
ハロ「うん、まあ。別にそこまで遡らなくてもいいんじゃないか?」
ウ「だって嬉しいもん」
無垢な笑顔を浮かべるウィッシュに、俺は少し照れくさくなった。
ウ「じゃ、中入ろっか」
ハロ「ああ」
ハロ「・・・しかし、こんな事ちまちまやってて意味あるのかな」
ウ「ほえ?」
ハロ「『ほえ?』じゃない」
ウィッシュには人の願いを叶える能力がある。
まあ、だからこの神社に精霊として存在しているわけだけど。
ウィッシュの願いを俺の願いとして叶えられればと、俺は祈りに来ているんだけど・・・
願いは一向に叶いそうにない。
ハロ「俺の願い、届いてるか?」
ウ「うん。聞こえるよ」
ハロ「叶いそうか?」
ウ「うーん・・・」
俺も願い事態に矛盾はあると思う。
だって人間になったら願いは叶えられないわけだから、パッと人間にならないと中途半端になってしまう。
理屈で考えられない領域だからなんとも言えないけど、やはり無理なのか。
ウ「やっぱり、まだ自分勝手なのかなって思うよ。このまま私がここ離れちゃったら、願いは叶わないし」
ハロ「代わりの人柱も今は居ないからな」
ウ「うん・・・」
ウィッシュは、半ば諦めているのかも知れない。
ハロ「そうか。・・・」
そう思うと、俺の心に途方も無い寂しさが滲み出てきた。
結局、ウィッシュは居なくなるのではないか。結局、俺は何もできないのではないか。
常に否定し続けなければならない当然の考え方を否定できなくなるから。
想像はしたくない。
だが、実際は彼女でさえそれを望み始めている、と言うのか?
ウ「ね、ハロ」
ハロ「ん?」
俺はそんな悲憤を抑え、平静を装ってウィッシュのほうを向いた。
ウ「手、合わせて」
ハロ「手?」
俺は言われたとおりに軽く手を合わせた。
するとウィッシュはその上から、小さな手で俺の手を包んだ。
わけがわからないが、ウィッシュは目を閉じた。
特に何が起こったわけではない、が、時が止まったかのような不思議な時間があった。
ウィッシュは手を離した。
ハロ「??なんだったんだ今の?」
ウ「ちょっと、おまじない」
ハロ「おまじない?」
ウ「こうやって近くで手を触れ合える事って、実は幸せな事だと思うんだ」
ハロ「ああ、そうだな」
俺は深く考えずに返事をした。
ウ「別に、えっちなことすることだけが幸せじゃないって――」
ハロ「待てコラ。何気に俺がけだものとして幸せを説かれてるような気がするんだが」
ウ「冗談だよ」
ハロ「確かに俺は頻繁にウィッシュを求めたかもしれないが、それは上の都合で・・・」
ウ「上?」
ハロ「要するに俺にも反省すべき点があったと」
ウ「あ、そうなんだ」
全部『要するに』でまとめてしまえば何でも納得してしまうのがウィッシュだ。
ウ「ん~・・・」
ウィッシュは目を擦って眠そうにしている。
ハロ「なんだ?疲れたのか?」
ウ「ちょっと気合入れて祈りすぎたかも・・・」
ハロ「そうか、ゆっくり休め」
精霊でも疲れることがあるらしい。
行為の後でも消耗してたりするからな。
ウィッシュの場合、電池が切れたようにコテンと眠ってしまうから後片付けが大変なんだよな。
いい加減巫女服の着せ方も覚えたしかなり手馴れて・・・駄目だ俺orz
元々幼い体だからなぁ。
まずい。妄想に耽る所だった。
今日しなかったのにこんな所で溜めてどうするんだよ。
家に帰って床に就いたときに由梨が俺の部屋に枕抱いて入ってきて『おにいちゃん、・・・
まずい。妄想に耽る所だった。
今日しなかったのを言い訳に妹としてどうするんだよ。
ちょっとテンションがおかしいようだ。
落ち着こう。
その日、由梨は俺が帰った頃には既に眠っていましたとさ。
翌日。
俺は夕食を摂った後、いつものように由梨に後ろ指を差されながら家を出た。
今日も晴れだ。
雲ひとつ無く、満天の星空が俺を出迎えた。
しかし、今日は風が無く少々蒸し暑い。
ハロ「今日はどうしよう・・・」
思わず呟く。
待て。別に、えっちなことすることだけが幸せじゃない。
でも拙者健康な男児であるゆえ、事項の上では優先の位にあることであって。
はい、すいません。
でもウィッシュだって喜んでるし・・・いや。
あれは慎んでくれって事じゃないだろうか?
俺はくだらない事で悶々としながら神社へと向かった。
縁側にウィッシュの姿は無かった。中に居るのだろう。
俺は裏側に回り、戸をノックした。
しかし、返事は無かった。
ハロ「(寝てんのか?)」
俺はそおっと戸を開けた。
ハロ「ウィッシュ?」
流石に寝てるのを起こすのはまずいからな。
どうしよう?姿だけでも確認して帰るか?それともこのまま引き返すか・・・。
そう思っていたのだが、体は前者の方向で動き始めていた。
しかし、見る限り、ウィッシュの姿は無い。
寝所にも無い。況してや外にも居ない。
どこにも居ない。
ハロ「こんな夜遅くにどこほっつき歩いてんだあいつは?」
このままでは不法侵入とかで訴えられても已む無しな状況だな。いったん出るか。
結局、神社のどこにもウィッシュの姿は無く、俺は仕方なく神社を後にした。
きっと、ウィッシュにも何か用事があるのだろう。
…しかし、会えずに何もしないで帰るってのは悲しいもんだな。夜道を一人とぼとぼと。
急に残暑が暑く感じられてきた。
ハロ「残暑が、厳しいざんしょ・・・」
よし、涼しくなってきた。
だが実際はどうだ。
その日だけではない。
その次の日も、その次の次の日も、その次の次の次の日だって、ウィッシュは居なかった。
どこにもだ。
ようやく俺は気付かされた。
――ウィッシュの失踪を。
急に夢から現実へと無理矢理引き出された俺は、何もすることができなかった。
ほとんど何もしていないのと同じだった。
放課後は毎日神社を捜索するが、その姿は無い。
気付くと、縁側に座って放心していた。
左を向くと、地面に放り投げられた鞄が横たわっていた。
俺はふらふらと歩き、それを拾ってまた縁側に座った。
ハロ「・・・・・・」
ため息も出ない。
夜の神社の縁側で一人、がっくりとうなだれて座っているだけで、『帰り』を待つ状態でもなかった。
ハロ「・・・して」
どうして、居なくなってしまったんだ。
どうせ、すぐ帰ってくると思っていたのに。
人間になろうって約束は諦めてしまったのか?
ずっと一緒だって言ったのに。
あれは嘘だったのか?
俺はどうすればいいんだ?
教えてくれ。
酷い。
嫌だ。
こんな所で終わるのは嫌だ。
勝手に来て、勝手に消えちまいやがって。
何が『自分勝手な感じがして嫌』だ。
いつの間にか、俺の頬に涙が伝っていた。
最低だ。
最悪だ。
俺を独りにするな。
どうせだったら俺も連れて行ってくれればよかったのに。
消えるなら俺も消えればよかったのに。
ウィッシュが居ない。
どこにも居ない。
姿が、声が、ウィッシュがやがて記憶から薄れていってしまうのが怖い。
忘れるのが怖い。
でも戻ってこない。
……。
――それから一週間が経ったが、ウィッシュが戻ってくる事は無かった。
ハロ「ウィッシュ」
ハロ「遊びに行こう」
ハロ「お前が好きそうなところ見つけたんだ。ちょっと遠いけど、金なら俺が出すから」
ハロ「今日は忙しいか?なら仕方ないけどさ」
ハロ「お前が祈ってるとこ、見てていいか?」
ハロ「最近、変わった人来たか?変な願い事とか無かったか?」
ハロ「なあ、ウィッシュ・・・」
激しく、処理しきれないほどの感情が止め処無く湧き、せめぎ合い、俺の精神は限界に達していった。
ハロ「・・・・・・」
ハロ「・・・・・・」
ハロ「・・・・・・」
ハロ「・・・・・・」
ハロ「・・・・・・はッ」
ハロ「ははははははははははははッ!」
ハロ「くっくっく・・・ははははははッ!!」
ハロ「あ、ぁあ、あ・・・」
ハロ「・・・・・・」
ハロ「・・・・・・」
駄目だ。
もう駄目だ。
何も見えない。
何をしたらいいのかわからない。
どう贖えばいいのかわからない。
何も無い。
ようやく、今俺の居る所を把握した。
いつか、ウィッシュが俺の手を包んでくれた、あの部屋だ。
あの部屋だ。
ハロ「――」
俺はその場に倒れこんだ。
ツン「ハロ、今日も休みなんだ」
机に頬杖をつき、隣のあいつの席を一瞥する。
蕪「風邪でも引いたのかお?」
毒「電話するよろし」
ツン「それがね、携帯家に置きっぱらしいのよ。何度掛けても出ないし」
蕪「何のための携帯だお(;^ω^)」
おかしい。
絶対におかしい。何かあったんだわ。
ユリ「秋奈先輩」
突然、由梨ちゃんが教室に入ってきた。
ツン「授業始まるわよ?どうし・・・」
ユリ「おっ、おにいちゃんが、帰ってこないん、です」
ツン「・・・え?」
ユリ「私、どうしたらいいか・・・!」
由梨ちゃんの目が涙で滲む。
ツン「ハロ・・・」
帰ってこない?どういうこと?
ツン「わかった。落ち着いて。また後で話しましょう」
ユリ「は・・・い」
一体何が・・・。
毒「由梨ちゃんを泣かすほど心配させるとは邪知暴虐。必ずやこの俺が」
ツン「話ややこしくなるから後にしてくれる?」
毒「・・・('A`)」
ユリ「実は・・・」
放課後の教室。
そこには私と由梨ちゃんが二人だけ居る。
ユリ「けっこう前、おにいちゃんが放心した感じで帰ってきて、それから毎日どこかに出かけて・・・」
ツン「・・・出かけて?」
ユリ「二日前から、帰ってきてないんです」
帰ってきてない?
私にはとても信じられなかった。
なんで早く教えてくれなかったのか――怒鳴ってやりたくなったけど、今はそれどころじゃないから。
それに・・・なんだか、怪談話を聞いているようで、不気味だった。
ツン「捜すわよ」
ユリ「え?」
ツン「捜すのよ!駄目よ。そんなの駄目。絶対に駄目!」
ユリ「先輩・・・」
ツン「あんたも、ハロが居なくなったら嫌でしょ!?捜すのよ!ハロが行きそうなところはどこ?」
ハロ「・・・・・・」
いつまで経っても、俺は空虚の中に居た。
目は開いてるのか、閉じてるのかよくわからない。
涙は出ているのか、止まっているのかよくわからない。
わかる必要は無い。
何もしたくない。
そんな空虚を、彼女は乱暴に打ち砕いた。
ゴリッ
倒れている俺の頭を踏みつける足。
ハロ「(誰だ・・・)」
俺は意識を取り戻した。
足は、俺の頭蓋を踏み砕かんとばかりに体重を乗せてくる。
ハロ「誰だ」
?『誰?』
――声。
誰の声にも反応しなかった。しかし久々に聞いた、懐かしい声。
ハロ「ウィッシュ?」
恐る恐る尋ねた。
ウィッシュならこんな事はしないからだ。
ウ『そうだよ。君の好きなウィッシュだよ?』
ハロ「・・・ふざけやがって。お前は違う。誰だお前は!」
ウ『そんな事言うと、私"また"消えちゃうよ?』
ハロ「――!」
その言葉が嘘かどうか確かめる前に、俺は凍りついた。
ハロ「・・・待て」
ウ『冗談に決まってるじゃん。大好きな君の事、私が放って行くとでも思った?』
ウィッシュ?は足を離した。
俺はゆっくりと起き上がり、胡坐をかいた。
目の当たりにしたウィッシュは、やはりウィッシュではなかった。
姿こそウィッシュそっくりであるものの、元の金色の部分は赤く染まった・・・
赤髪、赤眼のウィッシュが目の前に立っていた。
その瞳は、元の優しさは全く感じられず、さながら蛇のような鋭さを放っていた。
俺は驚きのあまり、しばらく声が出なかった。
"何がウィッシュを変えたのか"と。
俺は赤髪のウィッシュが本物かどうかということを最早、疑いもしていなかった。
まがい物とはいえ、『ウィッシュ』が俺の心を突き動かしつつあったからだとも言えただろう。
ウ『私が居なくて、寂しかった?』
ウィッシュが口を開いた。
答えなければ。
俺は動かなくなった脳を無理矢理動かし、返事を考えた。
ハロ「ああ」
ウ『そっか』
何がおかしいのか、ウィッシュは嘲笑を浮かべて俺を見つめている。
やはり、こいつは違う。
だが、離れる事はできない。もう壊れたくない。
ウ『じゃあその涙は感動の涙なんだ?』
涙・・・?
感動?感動した感覚は無い。むしろ恐怖に近い。
既に一緒に多くの時間を過ごし、たくさんの思い出を築いてきたウィッシュが、目の前に居て居ない。
居るのに、全然居ない。
ハロ「・・・あ」
俺はウィッシュに対して言う言葉が見当たらなかった。
俺は・・・俺はウィッシュをウィッシュであると完全に信じる事にした。
ハロ「お帰り、ウィッシュ。寂しかった」
ウ『さっき聞いた。それより、今はそれどころじゃないでしょ?』
ハロ「・・・え?」
ウ『私が何だかわかる?』
ハロ「ウィッシュだ」
ウ『そう。でも私は裏側の方』
ハロ「裏側?」
ウ『ウィッシュの中の"罪悪感"。それが無いと思ってないでしょ?』
ハロ「人間になる事へのためらい・・・」
ウ『そう。私の中でそれが勝って、私は結局今のままで居る事を望んだんだよ』
ハロ「・・・嘘だろ?」
ウ『嘘じゃないよ』
ハロ「ふざけるなよ」
ウ『君よりふざけてないけど』
ハロ「ずっと一緒だって誓ったじゃないか!」
ウ『そんな事もあったなあ・・・』
ハロ「・・・・・・」
俺はまた言葉を失った。
立てた誓いが、俺の目の前で尽く崩れていくのを感じた。
ウ『そう言えば』
ハロ「?」
ガッ
ウィッシュは俺を蹴倒した。
ウ『私、よく君におもちゃにされてたっけ』
ウィッシュはしゃがみ込み、右足の裏をそっと俺の股間に当てた。
ハロ「や、やめろ、ウィッシュ・・・」
ウ『どうかな?本当は願ってもないチャンスでしょ?』
そう言いながら、足でズボンの上から竿を扱き始めるウィッシュ。
ハロ「あ・・・ぅ・・・」
ウ『ほら。どうせ溜まってると思ってたんだ。禄にオナニーもしてないでしょ?』
ハロ「駄・・・やめろ・・・」
俺はウィッシュの足首を掴んだ。
ハロ「やめろ、このままじゃますます元には戻れなくなるぞ・・・」
ウ『今更何の脅しにもなってないんだけど?』
ウィッシュは制止を振り切り、更に足の動きを早めてくる。
それと同時に、押さえる手の力が抜け、手が離れてしまう。
ウ『じゃあ、何回寸止めして欲しいかな?』
抵抗力を失った俺のベルトを容赦無く外していきながら、そう言った。
言葉遣いは変わらない。だが、優しいようで恐ろしい口調。
ハロ「(ウィッシュが・・・面影を失くしていく・・・)」
俺は酷い絶望感を覚えた。
ウ『ふ~ん、そういえばいつもこんな棒で私の事いじめてたよねえ』
下着まで脱がし終え、露出したそれを指でつつきながらそう言った。
ウ『ま、いじめ返すのは後にして、とりあえず一回抜いておくね』
ウィッシュは両足でしっかりと挟んできた。
俺は覚悟した。
ウ『あはは、何だか君が従順で面白いよ。それそれ!』
ウィッシュは早めのペースで扱き始めた!
ハロ「が、あぁ・・・ウィ、ウィッシュ・・・!」
ウ『うわ、すごい滑るね。やっぱ足でされるなら誰でもいいんだ?』
ハロ「ち、ちが・・・!離して・・・!」
ウ『やだ』
ハロ「あ、あ・・・」
な、何で俺がウィッシュに責められてんだ?
もうわけがわからない。嘘であって欲しい。全部嘘で。元のあの日に戻りたい。
ウ『じゃ、そろそろ出るよね?』
言われるとおり、俺にはもううずうずとこみ上げて来ていた。
これ以上擦られたら本当にイってしまう。
ハロ「やめて・・・ウィッシュ」
ウ『やだ』
ハロ「くっ――!」
ウ『あ!』
ウィッシュの足に先端を挟みこまれたまま、俺は勢いよく射精してしまった。
ウ『ほら、足に中だし。もう君は当分これで十分でしょ?』
べとべとになった足袋を俺に向ける。
ハロ「ふ、くっくっく・・・」
ウ『な、何?』
ハロ「はっはっはっは!」
ウ『どしたの?おかしくなったの?』
ハロ「全然、悔しくもなんともない。やっぱりお前はウィッシュだ。俺の空虚を埋めてくれる」
ウ『わけわかんないんだけど』
ハロ「全然寂しくないんだよ。何言われても、何されても。ありがとう。戻ってくれて」
ウ『足コキされて満足したの?』
ハロ「さ、ウィッシュ、お前を元に戻す手立てを考えるぞ」
ウ『その前にきれいにしてよ』
再び足を差し出すウィッシュ。
ハロ「う・・・そこまでやるのか」
ウ『独りで満足するのってずるいよね?』
開き直った俺でも相当の屈辱だぞ・・・。
ウ『あはは、くすぐったい』
ハロ「(・・・くそ)」
そういうわけで、ウィッシュは俺の元へ戻ってきた。
姿かたち、性格こそダークになったものの、俺にとってはウィッシュに変わりない。
けど、これで満足する気は無い。
ウィッシュが自分から暗○面を見せてくれた事で、より正直に向き合えるような気がしてきたから。
すこし前向きすぎるような気もするが、これはきっと一度どん底まで落ち込んだからだな。
何より。
ウィッシュはあの時、あのまま野垂れ死にそうだった俺の前に現れてくれたじゃないか。
必ず元に戻してやるからな、ウィッシュ!
どんなに傷付けられようと、蔑まれようと、誹謗・中傷・殴る・蹴るの暴行を加えられようと、だ!
天気は快晴。
素晴らしいね。ただ、ちょっと腹減ったかも。
おお、もうすぐ我が家だ。
ユリ「あっ!おにいちゃ~ん!」
由梨が涙を浮かべて走り寄って来て、そのまま抱きついてきた。
ユリ「よかった、よかったぁ~!」
咽び泣く由梨の頭を優しく撫でてやる。
ハロ「心配かけたな」
ツン「ハロ・・・」
ハロ「あ、ツン・・・」
玄関の前には、何故かツンが立っていた。
ツン「三日間も、どこに居たのよ?」
ハロ「神社だ」
ツン「・・・は?神社?」
ハロ「ああ。俺悪霊に取り憑かれてしまってな、そこを通りかかった霊媒師さんが三日かけて祓って―」
ユリ「悪霊!?」
露骨に体を離すな、由梨。
ツン「本当の事言わないと・・・」
ハロ「わかった。家で話そう」
今日は日曜日だったらしい。
ツン「前に一回だけ会った事あるけど、あの子ね。ふーん」
ツンはグラスの氷をストローでかき回しながら、不機嫌そうに言った。
ちなみに、あまりにファンタジックなゾーン他いろいろを省略して話した。
要するに『付き合っていた巫女さんにフられヨリを戻すのに数日かかった』と伝えた。
ユリ「もう、そんな事であんなに落ち込まないでよね!」
ハロ「はは、ごめん」
省略しないほうが良かったかな。
ツン「なんか、拍子抜けしちゃった。私帰る」
ハロ「え?あ、うん、ごめん、わざわざ」
ツンはすたすたと帰ってしまった。
後でちゃんと謝ろう・・・。
ユリ「ねえ、今度その子と会わせてよ」
ハロ「はい!?無理無理!」
ユリ「恥ずかしがらなくてもいいじゃん、いつも家に誰か連れてくるくせに。もしや本命?」
本命ですけど。
ハロ「いや、色々芳しくないから今度な」
神社。
ウ『ちっ・・・』
最終更新:2007年08月04日 08:21