「あのね」 君は長いまつげを伏せたまま言った。 プールの金網に寄り掛かって青い空を仰いだ俺は、眩しさにやられ間抜けなくしゃみをひとつした。 「あの」 君は一度唇を結び、ゆっくりと白い手のひらを差し出した。 「とりあえず、返そっかそれ」 僕が着た君のスク水から、――夏の匂いがした。
基本情報
- テンプレ名:「夏の匂いがした」
- テンプレジャンル:E
概要・使い方
文末を「夏の匂いがした」と締めるSS形式。
流行った時期
元ネタ
初出は以下のツイート
「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」 「え、分かんなーい!」 「答えは、これさ」 パン、パン――闇夜の空で、色鮮やかな花火が刹那の輝きを放ちながら、僕達の体を照らし出し始めた。 「わあ、きれい……」 僕は彼女の手を握り、ゆっくりと深呼吸をした。夏の匂いがした。
上記以外の使用例
「浴衣の下って何も着けないんだろ?」
「はぁ?そんな勘違いしてるのアンタだけだよ」
でも、僕は知っている。君がぱんつ穿いていないことを。不機嫌そうに下駄を響かせ人混みに溶けていく浴衣の袖を、そっと掴んでみる。
「人の居ない所に行こう」
振り返る君の後れ毛から、――夏の匂いがした。
「知ってる?ずっと昔、あの戦争の前、月はまん丸だったんだって。もっともっと綺麗だったんだって。」 君の鮮やかな緑色の指先が、茶色くふやけた月を指さす。 「ねぇってばー」 拗ねたようにこちらを見つめる瞬膜に覆われた深紅の瞳孔に思わず息を飲んで。 君と過ごす今は、夏の匂いがした。
街の花火大会が終わり、君と二人、帰り道にある公園。
浴衣姿で子供みたいにはしゃいであたりを駆け回る。
少し疲れてその場に座り込むキミと僕。
小さな小さな、二人だけの花火大会を始めよう。
僕はポケットから取り出したライターに火を点ける
ーー夏の匂いがした。(マリファナを炙り始める)
「ピザって10回言って」「ピザピザピザ……ピザピザ」「じゃあ、ここは?」 彼が肘を指差すと、幼い頃の記憶が甦ってきた。転んで膝を擦り剥いては、手を差し伸べられた日々。でも、もう私は転んだりなんかしない。雨の音が耳を劈く中、濡れたアスファルトをしっかりと踏み締めた。夏の匂いがした。
その他
最終更新:2012年07月24日 22:29