「お祭:SS集」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

お祭:SS集 - (2011/12/12 (月) 21:10:14) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

#image(obi-1-1.jpg) *目次.各種中継-各国からの参加風景 #contents **10:世界忍者国 からの参加風景 ***SSその1:「いつもの準備風景」(作:結城由羅)  実は、世界忍者国には特産品が多い。リワマヒ国には負けるものの、共和国の中で上位の農業国として、特産品の開発にこれまで力を入れてきた。主力のトウモロコシと固有の果物ベマーラ以外にも、米やそれから作られる清酒、そして人狼領地を特産地とする小麦やそれから作られるビール、牛・豚・鳥の肉やそれらを加工したハム・ソーセージ類、美味しいものが沢山ある国なのである。 「あーいい匂い」  お祭りがあるというのではるばるレンジャー連邦までやってきた世界忍者国のエド・戒が、トウモロコシの粉を水で溶いたものを鉄板に丸く流し込みながら、それが焼ける香ばしい匂いにうっとりとしている。この薄く焼いた皮で、色々なものを巻いて食べるクレープのような料理は、昔からFEGなどで好まれていた。 「こっちもいい匂いですよー」  人狼領地特産のホルスター・インという名の牛の肉――そのロースの部分をタレに付けた物をやはり鉄板でじゅうじゅう焼きながら、よだれの垂れそうな顔で弓尾透がエドに声をかけた。この焼いたものを、レタスやスライスしたトマトと一緒にエドが焼いている皮で包んで売る予定なのだ。 「今日は共和国中から人が来るからねー  じゃんじゃん焼いてねー」  お祭りには目のない藩王結城由羅がうきうきと楽しそうに指示を飛ばしている。 「ん、これはなかなか…」  その横では、白銀優士が役得とばかりにベマーラブランデーの試飲をして、舌鼓を打っていた。ベマーラブランデーは代用燃料の開発時に副産物として生まれたもので、現在藩国でイチオシの新特産品である。すでに羅幻の商人が目ざとく見つけて、大量に買い付けていったが、尋軌などはさらにその販路を伸ばそうと考えているらしい。宣伝のために試飲コーナーブースが作られ、グルメが趣味な白銀がここを担当することになっていた。 「飲み過ぎちゃダメですよー」  いつものように経理担当としておつりの準備などをしながら、川流鐘音がそちらへ釘を指す。 「やー痛んでないかチェックしてるだけですよ」  白銀の補佐としてブースについているみはえるが、頬をほんのりとピンクに染めながら、言い訳がましく声を返してきた。 「荷物こっちですかー?」  人狼産ビール「WOLF BEER」の缶が詰まった段ボールを多段に積んだキャリーカートを松永がごろごろと引きずってきた。 「あ、こっちに倉庫あるから、お願いー」  配送の指揮は摂政の久堂尋軌が一手に仕切っている。常々国内の配送をしている彼の手腕はプロ級である。 「こっちこっちー」  荷物の管理をしている可銀が倉庫からひょっこりと顔を出して松永に手を振った。その後ろでは、荷物を抱えた松葉と徒理流が慌ただしく走り回っている。 「パネル展示コーナーの設営はほぼ終わったぞ」  今回は技術紹介のパネルコーナーを担当している濃紺が、いつものようにクールに顔を出す。 「ちょっどうして俺の格好はこんなんなんですか!」  準備にばたばたする皆の元へ、上ずった声を挙げて神崎零が飛び込んできた。皆の視線がそちらに集中し、そして固まる。 「…似合ってると思うのねう」  初めに口を開いたのは由羅だった。それに周囲が三々五々頷く。 「似合ってます」 「似合ってるな」 「ばっちり!」  くぅが、野菜をすさまじい勢いで切りながら、いい笑顔で親指を立ててみせた。そのはずみで、野菜がこぼれそうになるのを、逢瀬みなおが慌ててボールで受ける。 「似合ってないですよ!!!!」  神崎がその姿――メイドの衣装でぶるぶると震えた。 「えーかわいいのに」 「その格好もなかなかだな」 「…えっと、給仕されたいです…」  お皿を準備している優羽カヲリにほんわかと言われて、神崎はがっくりと肩を落とした。カヲリの後ろでは、あんぐら2と匪がこの国にはよくあること、とスルースキルを全開させて、黙々と皿を並べている。 「なんでいつもこんな格好ばっかり……」  神崎の後ろから現れた真神貴弘が、やはりとてもいい笑顔でその肩を叩いた。 「それが、お前の運命だ」 「ちがああああう!!!」  さらに後ろから現れたすでにばっちりメイド服を着こなしたソーニャが神崎の首根っこを掴む。 「あきらめるのねう」 「いやだあああああ!!!」  そんなある意味いつもの情景を、なかだいがにこにこしながらカメラに収めていた。 /*/  そして祭り当日、世界忍者国ブースにとてもかわいい女装メイドがいるというのが話題になったという。 ***SSその2:「世界忍者国その女装の歴史」(作:桂林怜夜、編:結城由羅) ――女装。  遥か昔、女性でしか参加できないイベントの為に、藩国の男性全員が女装したのが世界忍者国における女装の始まりであった。それは懐かしくもレンジャー連邦に関わるイベントだった。  しかし、本格的に広がったのはハンターキラウィッチのアイドレスの登場からである。このアイドレスを着用するためには、男性は女装しなければならない―――――という事情があったからなのだ。  そう、世界忍者国の女装は初めは友誼の為に、そして次は仕事の為だったのだ。 そして今。 「チーフ、今度のお祭り用に女性のメイド服の注文が入りました!」 「うむ。アイドル用はSサイズ、女性用はMとLか。30着ずつくらいか?」 「そうですね。今回もメンズが30着ほどです」 「わかった。いつも通り女性用は藩王サイズ、男性用は神崎サイズで見本を送っておいてくれ。ご贔屓にしてもらってるサービスだ」 「わかりました。サービスですね」 ・・・・・というわけで、25%ほどが女装用になっているのであった。  尚、裏ご神体としてロジャー子像が国のどこかに隠されているらしく、男性が女装する際には、こっそり同じ服を着せ、任務の無事な成功を祈願するらしい。 #image(obi-2.jpg) **15:ナニワアームズ商藩国 からの参加風景 ***”ら・みゅーじっくおぶらぶふぇすた”の観光物産の部 お祭りを楽しむ、にぎやかな雑踏の中、賑わいに負けじと力強い客寄せの声が聞こえてくる。 「さあさあ、よってらっしゃい、見てらっしゃい。ナニワ名物、たこ焼きだよ!」 ピンポン玉くらいの大きさの半球状の窪みが幾つも並ぶ鉄板の上に刷毛で油を引いていく。 「お子さんのオヤツからビールのあてまで何でもござれ。是非一度ご賞味あれ」 紅ショウガ、細切れのタコに万能ネギが入ったクリーム色の生地を豪快に鉄板に流し込むとジュージューと景気の良い音と共に湯気が立ち上る。 「たっぷりのソースとお好みでマヨネーズもいけるよ」 屋台の周囲に生地が焼ける香ばしい香りが広がる。頃合いを見計らってアイスピックのような金具を半球の窪みに差し込み、クルリと回す。 するとたこ焼きが次々と引っ繰り返されて狐色に焼けた生地が顔を出す。 注文を受けると慣れた手付きでひょいひょいと発泡スチロールの容器に取り分けると刷毛でたっぷりとソースを塗り、青のりと鰹節をパラリ。 湯気で鰹節が踊り、爪楊枝を添えてイッチョ上がり!! 「へい、まいどあり。あ、お嬢ちゃん、中の生地はあつあつなんで火傷に気を付けて食べなよ」 「さあさあ、焼き立てのあつあつだよ~。一口食べれば寒い冬でもほっこり温まるよ~」 「あ、そこのおにーちゃん。お酒のツマミにもやしの酢漬けはどうだい?結構いけるよ」 「へい、まいどあり。今後も是非ご贔屓に!」 力一杯に客寄せをやっていると &big(){『みんなー!楽しんでるー?』} &big(){”ワーーーーーーーーーーー!!”} ステージの方からアイドルの元気溌剌とした声と観客の賑やかな歓声が屋台まで聞こえてくる。 &big(){『今日は素敵なイベントに参加させて頂きありがとうございます。微力ながらも歌とダンスで頑張らせて頂きます!!皆さん是非楽しんで行って下さい!』} &big(){ナニワの民らしき声「「「マ・リ・アちゃぁぁぁぁぁぁん!」」」} くう、あいつら楽しそうだなあ。あのときグーじゃなく、チョキを出していれば・・・ 今頃他のやつに店番任せて俺もあそこでマリアちゃんの応援に参加できたのになあ。 と心の中で思わずぼやく屋台のオヤジ。 &big(){”ワーーーーーーーーーーー!!”} &big(){『それでは一曲目、”春風と・・・』} リズミカルなメロディラインにのって弾むような歌声が流れてくる。 まあ過ぎた事はしゃあないか。こうなったら、みんなの分まで頑張ってビシバシ売りまくるぞー! &big(){「お土産には日持ちする怪獣バターや怪獣チーズがお勧めだよ。そしてお祭り気分を満喫したい、そこのにーちゃん!」} &big(){「着心地バッチシ、ちょっとした防寒にもなるナニワ特製の法被に、ライブ会場には付き物のペンライトもあるよー。」} &big(){「更に今日はめでたい祭りの日!出血大サービスで今ならたこ焼き4人前を買ってくれたお客さんには法被かペンライトのどちらか1つを無料サービスだよ!!」} ステージに負けない元気な声で屋台のオヤジの声が辺りに響き渡る。 #image(obi-2.jpg) **23:キノウツン藩国 引っ込み思案だった只の少女が、ひょんな事からアイドルになり、やがて旅立ってからいくつかの日々が流れた。 ―今、私は共和国に帰ってきた。 きっかけは先日届いた兄さんたちからの手紙。 いつものように怪我や病気はしてないか、寂しくはないかと長い長い決まり文句の後に、私宛の手紙が届いたから同封しておく。と、付け足されていた。 封筒には懐かしい事務所のマーク。ああ、まだこの封筒なんだなあって少し嬉しくなった。 中にはレンジャー連邦さんで行われるお祭りへの協力要請と、飛行機のチケット。あと社長さんからのメッセージがあった。 『―という訳で久しぶりにステージに立つ気はないかね?問題なければ連絡をしてくれたまえ』 『追伸。今回の要請は“彼”からの君へのメッセージでもある。 相変わらず何も言葉にしない男だが、今の君を見せてやりなさい』 答えは決まっている。 すぐに荷物を纏め、私は機上の人になった。 控え室に置かれていた花束や、プレゼント。 ファンの方達からの復帰祝いの中に、ぽつんと置かれていた差出人のない手紙。 中にはたったの一言。 『お前のトップを見せてみろ』 と、書かれているだけ。 思わず笑みが零れる。そう、いつもこうなのだ。 必要な事も言葉にしない。自分で考えろ、と突き放す。 きっと根性がひねくれていて意地悪な顔をしているのだろう、と思う。見たことないけれど。 すう、と息を吸って吐く。 最後のライブから世界旅行に旅立って色んな事を経験した。 暁の円卓で見た凄いギタリストさんと巫女の舞。 詩歌ではたくさんの歌い手さんに圧倒されたり。 辛い事や悲しい事もたくさんあったけど、一つだけ分かった事が プロデューサー、私、自分の刀をやっと持てた気がします。 誰にも見えないけれど とても小さくてすぐに折れてしまいそうだけど それは私の心に確かにある。 私が今までやってきた事、柔術や歌や踊りが、私の刀なんだって。 私は、私の刀でどこかの誰かを助けてあげたい。 辛い事や悲しい事があっても、ほんの一歩でも前に踏み出す切っ掛けになってあげたい。 それが私の、私だけが出来るイアイドだから。 「聞いてください、私の歌―」 (SSここまで) 観光物産SS 「お帰りなさいませご主人様お嬢様、キノウツン伝統の焼き菓子はいかがでしょうか。お茶請けによし、お土産によし、ぜひご覧になってくださいませー」 毎度おなじみメイドが呼び込みを行う焼き菓子の出店。 試食用のお茶やお菓子はそれなりに捌けているようだ。 そろそろ裏へ取りに行こうかな、と思っていた金髪のメイドの元に、裏からのっしのっしと追加分を運んでくる赤毛のメイド。 「おす」 「うす、キッチンどうよ?」 「人数少ないからきつい。そっちは?」 「同上」 「ですよねー」 「しかしこー」 「うん?」 「ものものしいよねー」 ぐるり、と周りを見れば他のブースに比べて明らかに警備が厳戒なキノウツンブースの出店である。 ちなみに他の出店より遠くに作られているのも、治安上の理由だ。 「安全のためではあるよね。あたしらのためなのか他の人のためなのかはわからないが」 「しょうがないんじゃないの。私達が悪いんじゃないとはいえ」 「むう、しかしこのままにしておくというのもキノウツンメイドとしては敗北を認めるようでちょっとイヤン」 「ないわー、死語ですらないわそれー」 笑顔で仲良く机の下で足を蹴りあう二人。喧嘩も見えない場所で優雅に行わねばならないのが悲しいサガか。 「すいませんお菓子ください」 「ありがとうございます。1つ2にゃんにゃんになります」 お客様の声に素早くスマイル。2秒でスマイルを作れなければメイド学校ではしばかれたのだ。 「じゃあ10個ください」 「10個お買い上げですね」 横で手早く袋に詰められていく。受け渡しにもにっこり笑顔。嘘も偽りもない笑顔を向けるのがメイド魂だ。 「ありがとうございます。熱いのでお気を付けくださいませ」 受け取ったお客は再び雑踏の中へと消えていく。 「で、どうする?」 「やるしかないでしょ。あたしらにはあたしらにしかできない事があるはずだ」 「とりあえずはおもてなし?」 「他にあったら聞こうか」 「…ないわね」 「よっしゃ、メイド学校卒の実力見せてやろうぜ!」 「おうよ!」 がし、と腕をクロス。メイドの戦いはこれからだ! #image(obi-2.jpg) **25:羅幻王国 ■1:無限の手札はこの時の為に~Swamp set.DarkRitual,Necropotence!  輸送の国の朝は早く、夜は遅い。  良い仕事という物はやろうと思えば無限に出来る物であり、その体力と精神の及ぶ限りにおいて自らの智謀と手腕を信じて執り行う主義の人間は敬意を持って『ビジネスマン』と呼ばれる。それには老若男女の区別無く、商機を逃さず全力を以って商うが如しであった。  そしてここに、羅幻王国で最も働いているであろう人間の部類の中の一人。 「オマツ、リ。オマツ、リ、リ――」  なにやら奇怪な鳴き声を放つ不定形生物のゃぅだが、よくよく見てみればいつもの羅幻王国摂政、蓮田屋藤乃である。但し、その血走った目のクマと魂の抜け切った顔は尋常ではない。本来はかなりの美女であるが故に妖気漂わせる姿は貞子もかくやの超ホラー。メチャクチャ怖い。 「……ゲン・コー」  どっかのローマ帝国映画か弁当争奪ライトノベルか。地の底深く呪いの響きを以って成るその暗黒言語は何の事は無い、単なる修羅場中の妄言である。  12月の半ば。リアル蓮田屋は冬コミ修羅場中である。今回の制作物、化●語合同誌のPV作成真っ只中である。しばらく言動がPLもPCも危うくなるのはお察し下さい。いあ、ホンマすいません。マジだばだばしてるんです今現在進行形で!!!!!!  ――まぁ、あれです。  きっとプレイヤーの悪影響を受けて、はすたぁお姉様も修羅場中なんです。  それで自分もレンジャー連邦まで陣頭指揮を執ってお祭に行こうとしたところを部下に『まあ待て落ち着け(技術)』されたんですよ。全羅幻王国が泣いた。 「行きたかったですわー水着も用意したのにーめそめそめそ」 「はいはいそーですねー。残念ですねー。仕事しましょーねー」  この女。歳も立場も考えず、てめぇでアイドル登録しようとしていたに違いない止めた部下の人たちグッジョブ!! 「六商社から『発令』の要請と、学園の【善マッド】老夫婦から機材搬出申請来てます」 「これとそれをあれに判子とサインを」 「本件大使としてアズキ嬢に要請して先行してもらいました。ドクター無畏が保護者的な意味で同行してます」 「ドリルお嬢など若手の【冒険商人】たちはとっくに出向いてる報告がありますんで各種追認願います」 「あれとこれをそれに判子とサインを」  でろでろになった摂政の顔にも容赦なく、彼女の部下にして手足たる機関の精鋭は誠に手際よく対応を組み上げていく。  もっとも、それはいつその時が来ても良い様に準備万端整えておいた摂政の事務対応能力でもある。 「えーと、それでは。藩国全域に『発令』を行う。指示は只一つ(order is only one)同胞たるレンジャー連邦を支援せよ。商機を逃すな、全力を以って商え。『code:カートレボリューション』発動」  そして原稿(現実)に戻る。  /*/ ■2:絶妙の差配は今こそ此処に~endBefore.IcyManipulator Tap,WinterOrb!  お祭り好きの人間というのは何処にでも居る物で、お堅い立場にある人間ほどイザという時はっちゃけ易いという社会心理学の論文があったり無かったりするものだ。現に筆者の恩師も学園祭でいい歳ぶっこいた教授のクセに白衣でオンステージしちゃうアレな想い出があったりするのだが、ここにもアレな白衣が2人。 「フゥーハハハハハ! 世界爆破のマァッドサイエンティィィストッッ、レンジャー連邦に降臨!」 「厨二病、乙」 「どうした、ひぃー↑ しょー↓ よぉー↑ 何か言いたい事でもあるのかぁー?」  解せぬ。  と、いう命題の彫刻を体現したかのような老婦人(白衣)が、老紳士(白衣)を半眼で睨みつける。もちろんじーさまの方は怯む様子も無い。  老紳士の名はヴァーハイト博士。老婦人の名はロート教授。  羅幻王国の誇る機械工学と脳物理学の専門家である善なるマッダーの老夫妻であった。  旧知のアズキ嬢のコンサートを実地運用兼ねて補佐すべく、という理由でこの【善マッド】老夫婦は3次元映像装置や立体機動ステージなどの様々な奇跡ガジェット(という名の発明品)を学園研究所から搬出して来た訳では有るが、本来のお祭りというイベントを楽しんでは成らぬと言う訳では無い。あくまでも彼らは技術責任者であり機材はとうに部下である現場のスタッフに任せて有った。  そもそも研究に明け暮れた青春時代から壮年期に掛けてまるで余裕が無かった結婚生活に申し訳なく思った老紳士が、上手い事名目を作って(ここらへん摂政の入れ知恵っぽい)老婦人を連れ出したのではあるが、何の事は無い。  ばーさまを楽しませに来たはずだが、じーさまの手綱をばーさまが管理誘導している始末である。 「フゥーハハハハハ! らぶ焼きだぞー、もんじゃだぞー、アイドルだー」 「こいつわー」  少年の様な瞳の輝きでレンジャー連邦を満喫する老博士に、老婦人は結婚後何千回目かの溜息を付いた。  だがその瞳は青春時代と変わる事の無いと気がついているだろうか――長い年月の前に2人の絆は深い信頼を―― 「フゥーハハハハハ! 射的には輪ゴムを毎秒100連射する我が奇跡ガジェット565号機『ガトリンガー』で――!」 「だから信頼できないんだ!」  年甲斐も無くぐーで殴りました。  /*/ ■3:智謀の手腕は斯くあれかし~upkeep pay.IllusionOfGrandeur,Donate!  露店市の人間というのは独自のネットワークを持つ物で、いや待てそれは一体何処から聞いて来たと、ツッコミどころしか無いフットワークで祭の前日には店構えをコミケのシャッター前サークルの設営レベルで展開し始めたりし無かったりするものだ。現に筆者の知る内々の祭でも胡散臭い金髪のにーちゃんの小店が何故かいるものだが、ここにもアレな金髪ドリルが一人。 「オーッホッホッホッホ! リリィフェル・マイルフィック、レンジャー連邦に降臨ですわ!」  金髪縦ロールの水着美女の名はリリィフェル・マイルフィック。  元アイドルにして現いくつかの企業を経営する女会社社長であった。ほとんど紐なエロ水着なのは相変わらずであったが。 http://www15.atwiki.jp/idress_idol/pages/72.html#id_eb2380d2  つーか、発言レベルがさっきの老マッドズと一緒か。何かわざわざピックアップしてめんどくさい奴らをレンジャーさんに輸出しているような気がしてきたぞ。今の内に筆者はお白洲で正座していた方が良いのかもしれない。申し訳ありません蝶子さん城さん、彼らは他意も悪気も無いんです。 「で。また水着売りっすかね」 「P、貴方も遠慮が無くなって来ましたわね」  彼女の他にも似たような露天商や行商の【冒険商人】たち(もちろん水着などでは無い、食品や民芸品などの真っ当な品々だ)が、連邦行政と折衝し、定められた区画に売場を展開し、現地の法律と自らの流儀に従って商売を構築し始めている。  忠臣者の元プロデューサー現番頭(以下、便宜的にPと称す)にメンドクサそうに返すリリィ様だが、Pとしては内心ハラハラドキドキである。正直、Pも筆者と同じく『彼女がハシタナイ』って外国で捕まるんじゃねぇかなと、心配して仕方が無い。 「私には野望がありますのよ」 「後輩のアイドルに良からぬ影響を与える事ですかね」 「それは、共和国を、そしてNWを、子供たちの笑顔であふれさせる事ですわ!」  ボヤキのPに対して、謳う様に躍る様に夢を語るお嬢様の有り様は、流石に元アイドルであったと相応しいカリスマを覗かせた。  彼ら【冒険商人】その商才は天下万民の為にあるべし。その気高き理想、正に然り。 「いやだから。子供の笑顔で、なぜ紐水着」 「殿方相手にワタクシの水着でしなだれ掛かれば、出生率の上昇などVの字上昇」 「生々しい話だなオイ!」  でも効果あるらしいよ。 #image(obi-2.jpg)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: