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西国人+整備士+舞踏子+魔術的舞踏子 - (2007/07/12 (木) 04:43:13) のソース

<p>要点:・砂避け、日焼け対策された服装・エキゾチックな人材・灰色の髪(<a href=
"http://www23.atwiki.jp/ty0k0/pages/56.html">西国人</a>より継承可能部分)</p>
<p>・整備道具・手袋・ツナギ・太陽系総軍軍服風・ハイヒール・魔女の帽子・太陽系総軍軍服魔女風</p>
<p>周辺環境:・交易路・涼しい家・巨大な港・蜃気楼・オアシス(<a href=
"http://www23.atwiki.jp/ty0k0/pages/56.html">西国人</a>より継承可能部分)</p>
<p>・整備工場・軍艦・甲板</p>
<table cellspacing="1" cellpadding="1" border="1">
<tbody>
<tr>
<td> </td>
<td>体格</td>
<td>筋力</td>
<td>耐久力</td>
<td>外見</td>
<td>敏捷</td>
<td>器用</td>
<td>感覚</td>
<td>知識</td>
<td>幸運</td>
</tr>
<tr>
<td>西国人</td>
<td>0</td>
<td>-1</td>
<td>0</td>
<td>0</td>
<td>1</td>
<td>1</td>
<td>1</td>
<td>0</td>
<td>0</td>
</tr>
<tr>
<td>整備士</td>
<td>0</td>
<td>-1</td>
<td>0</td>
<td>0</td>
<td>-1</td>
<td>1</td>
<td>1</td>
<td>1</td>
<td>-1</td>
</tr>
<tr>
<td>舞踏子</td>
<td>
<p>-1</p>
</td>
<td>0</td>
<td>0</td>
<td>1</td>
<td>1</td>
<td>0</td>
<td>2</td>
<td>-1</td>
<td>0</td>
</tr>
<tr>
<td>魔術的舞踏子</td>
<td>
<p>1</p>
</td>
<td>
<p>1</p>
</td>
<td>
<p>1</p>
</td>
<td>2</td>
<td>2</td>
<td>3</td>
<td>3</td>
<td>3</td>
<td>2</td>
</tr>
<tr>
<td>計</td>
<td>0</td>
<td>-1</td>
<td>1</td>
<td>3</td>
<td>3</td>
<td>5</td>
<td>6</td>
<td>3</td>
<td>1</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>
*整備士は整備行為ができ、この時、整備判定((器用+知識)÷2)を×3.38(評価3)補正することを選択出来る。補正を選択した場合燃料2万tを消費する。<br>
*舞踏子はI=D、RB、艦船のパイロットになることが出来る。<br>
*舞踏子はコパイロット行為が出来る。<br>
*舞踏子はオペレーター行為が出来る。<br>
*舞踏子が居る場合、ヤガミ、ドランジ、アキの戦闘力は×3.38(評価3)される。</p>
<p>*魔術的舞踏子は詠唱戦行為ができ、この時、あらゆる判定は×1.50(評価1)される。<br>
*魔術的舞踏子はパイロット行為ができ、この時、あらゆる判定は×3.38(評価3)される。この時燃料2万tを必ず消費する。<br>
*魔術的舞踏子は人騎兵のパイロットになることが出来る。<br>
*魔術的舞踏子は、ヤガミ、ドランジ、アキを守る場合戦闘力は×2.25(評価2)される。</p>
<p>
→次のアイドレス:森精華(ACE)、名整備士(職業)、テストパイロット(職業)、小さい舞踏子(職業)、元気な舞踏子(職業)、<strike>魔術的舞踏子(職業)</strike>、魔法少女(職業)、ヤガミ妖精(職業)、魔女(職業)</p>
<hr>
<p><font color="#6666FF">くぅくぅと、甲高い海鳥の鳴き声が港に響き渡る。<br>
<br>
NOW LOADINGの表示がされた巨大スクリーン。その左右には巨大なスピーカー。<br>
<br>
真っ白な布で飾られたステージの下では、にゃんこたちが開始を今か今かと待ちわびながら、またたびおせんにかつぶしキャラメル、牛乳などを売り歩いている売り子をあっちこっちで呼んではてんてこまいさせている。<br>
<br>
壇上には、長テーブルの上に、三角のネームプレートと、マイク。ケーブルはこんがらがらないよう、あるいはにゃんこたちがじゃれて遊ばないよう、丁寧にまとめてステージや床と同色の布で隠してあった。<br>
<br>
ざわざわざわ…<br>
<br>
会場が一際ざわめき始めた。階段を昇り、2人のフィクショノートが長テーブルに着いたのだ。<br>
<br>
「さーあやって参りました、本日はようこそレンジャー連邦の国民のみなさま、ならびに観光客の皆々様方!<br>
 これより魔術的舞踏子フェスティバルの開催を宣言したいと思います!」<br>
<br>
ふぁーんふぁらふぁふぁふぁっふぁふぁー、ふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁー!<br>
<br>
ぱーーーん!!!<br>
<br>
若い方の男が口を開く。同時に、盛大なファンファーレとBGMが、資源猫士楽隊の手により吹き鳴らされた。やたらにもったいぶった、賑々しくも、お決まりの、これがないと始まらないといった心地よい軽薄さが、お祭り騒ぎのオープニングを飾った。<br>
<br>
紙ふぶきとクラッカーまで炸裂し、真っ白いステージの上をこれまた賑やかす。同時に、ばららっと垂れ幕が会場の左右に立てられたゲートで開かれ、『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル』のきらびやかな金字が踊る。こちらにも、もちろん紙ふぶきとクラッカー。<br>
<br>
わーーー…!!!!<br>
<br>
ぱちぱちぱちぱちぱちと盛大な拍手が巻き起こる。犬ではないが、尻尾うねうね、大喜びだ。<br>
<br>
それがおさまるのを待って、たっぷりの間のあいだに満足そうにみんなの笑顔を見ていた2人はマイク片手にしゃべり出す。<br>
<br>
「実況は私、レンジャー連邦に居着いて早半年の城華一郎(じょう かいちろう)と」<br>
「解説は拙者、ぶらり携帯参加者ビッテンフェ猫でお送りするでござるよ」<br>
<br>
わーーー…!!!!<br>
<br>
再び盛大な拍手。今度はおさまるのを待たずに進行を開始した。<br>
<br>
「さて、藩王の『ごめんなさい魔女っこ舞踏子がいっぱい見たいだけです。と言うわけでみなさん奮ってご参加下さい!いろんな魔女っこ舞踏子で私に夢と潤いをお願いします!』といういかにもこの連邦のリーダーらしい発言から始まった今日のイベントですが…」<br>
「実に最高でござるな」<br>
「どうですかビッテンフェ猫さん、イグドラシルの要点を満たすため会場はここレンジャー連邦東都の港付近に設けられた特設会場なわけですが」<br>
「潮風が気持ちいいでござるよ。ここに来るとサバイバルレースの時のつりを思い出すでござる」<br>
「つり自体は北都でしたねー。改装された倉庫でのアスレチック、今でも覚えてますよ」<br>
「そりゃ華一郎殿はあの時の書き手でござるからなあ」<br>
「はははそれはさておき紹介行きましょう、まずはエントリーナンバー1番、新進気鋭の凄腕技族、萩野むつきさんデザイン、どうぞー!!」<br>
「流した!?」<br></font></p>
<p><font color="#6666FF"><img alt="" src=
"http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000195M.jpg"></font></p>
<p>(絵:萩野むつき)</p>
<p><font color="#6666FF"><br>
ドラムロールと共にスクリーンに表示されるのは、当のむつき本人。なぜかサボテン片手に、寄港していた軍艦の甲板に立っている。<br>
<br>
『はい、こちらリポーターの山下です。今日はいい天気で、サボテンくんもとっても喜んでいるみたいです』<br>
『みなさん、はじめましてー!<br>
 新国民の萩野むつきです、よろしくお願いします!』</font><font color="#6666FF"><br>
<br>
おおー、と、どよめきが上がった。<br>
<br>
「これはのっけからクオリティが高い!<br>
 太陽系総軍らしさと魔女っこらしさが見事に融合したデザインだァーーー!!!」<br>
「塗りがなんとも艶やかでござるな。主役のむつき殿がよく映える、魅せる構図でござるよ」<br>
『ブラシツールだけで描きました、余計なものを使うと時間がかかっちゃうのでどんどんやっつけちゃいます!』<br>
<br>
ぐっ!っと笑顔でガッツポーズする姿がなんとも可愛らしい。海風が、はたはたと長い袖とマントを揺らしなびかせた。現場カメラマンの虹ノが、ささっと逃さず撮影する。<br>
<br>
「いやー実に素晴らしいですね、次はエントリーナンバー2、蝶子さんのデザインです!!」<br>
<br>
ばーん!</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><img alt="" src="http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000210M.jpg"><br>
(絵:蝶子)<br>
<br>
「おおーっと、これは連邦の藩王大好きっこ・浅葱さんと、藩王、藩王自身でしょうか、これはなんと会場にいない藩王がじきじきにモデルになっていたァーーッ!!」<br>
「国民的イベントの開会を拙者たちが担当していた理由はこれでござったか!!」<br>
<br>
興奮しながら映し出された絵に実況を加える2人。つばきがマイクに飛んでいるのもお構いなしだ。<br>
<br>
「これは…むつきさんが乗ってる船の舳先でしょうか、スカートのデザインが2パターンと、なんともアダルティ&エキサイッティングなスリット美あ~んどミニの美学!!」<br>
「舞踏子に黒ガーターは欠かせないでござるな、うむ!!」<br>
「ちなみにガーターについては藩王本人が欠かせないといってましたから欠かせないのでしょう文句ありません、さーあ現場の冴木さん!?」<br>
『はい、こちらリポーターの冴木です。藩王の風に揺れるスリットがなんというか強烈です』<br>
「魔女らしいパープルをあしらったのも素敵ですね。腰のあたりがしっかり太陽系総軍で、絶妙なアレンジ具合といった模様です」<br>
「ちなみに申し遅れたでござるが、このページ、実はレンジャー連邦の記念すべき100番目を飾っているのでござるよ。魔術的にも実に縁起のいい事でござるな」<br>
<br>
おおー、と、文族らしい解説がここで初めて入ることにより会場がどよめいた。<br>
<br>
「藩王、記念すべき100番目のページにコメントを一言!」<br>
『愛ですよ、愛!』<br>
『藩王らぶー!』<br>
『きゃー!?』<br>
<br>
どた、ばったーん!<br>
<br>
ハプニングは、起こすも見るもお任せ、ソックスハンター青海のカメラがすかさず2人を追って動く。蝶子に浅葱が飛びついて、どったんばったんもつれあっている。<br>
<br>
おおー、と、なんか違う意味でも会場がどよめいた。藩王があわてて手をくるくる回し、進行してと合図を飛ばす。<br>
<br>
「はい次に行きましょう、エントリーナンバー3!」<br>
「華一郎殿のデザインでござるな」<br>
「はい恥ずかしながら文族の私が今回特別に参加させていただきました、ええいちきしょうどうとにでもなれ、カメラどうぞー!!」<br>
<br>
ぱっ。</p>
<p><img alt="" src="http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000202.jpg"></p>
<p>(絵:城華一郎)</p>
<p><font color="#6666FF"> </font></p>
<p>うおー、と、生粋の文族であった華一郎が技族業務に携わったことで、これまた会場がどよめいた。<br>
<br>
『お久しぶりです』<br>
「似てなァーーーーーい!!!<br>
 レンジャー連邦の摂政・砂浜ミサゴ嬢だァーーーーッ!!」<br>
「なるほど、開会式に藩王がいないのに代理でミサゴ殿が来なかったのはこういうことでござったか!!」<br>
<br>
右手には『魔術的舞踏子入門』という厚めの本が握られており、左手には、アイドレス・パ整子の名物であった巨大レンチの名残りか、小さなレンチが握られていた。<br>
<br>
「これは東都の整備工場内ですね、あーーっと後ろに見える軍艦の舳先にはひょっとしたら藩王たちが見えるかもしれないがー!!」<br>
「いやむつき殿たちの乗っていたのは平らかな空母型の船でござったから、これはまた別の船でござろう」<br>
<br>
恥ずかしさのあまりやけっぱちのテンションで実況する華一郎。珍しくも顔が変に赤い。それを横から冷静な解説でつっこみを入れるのは、いつもボケ役のビッテンフェ猫。珍しいもの尽くしである。<br>
<br>
『こちらはリポーターの双樹です、城さん、これだけ描ければ充分ですよー!』<br>
「ちなみに私、素で絵がかけません! 子供の自分は図工の時間に画伯とか呼ばれてました、アプロー時代に建国しようとした時もクレヨンの落書きでお茶を濁そうとしていた男です!」<br>
「それはそれで味でござるな」<br>
『私も色鉛筆でいっぱい絵を描いてましたよ』<br>
「胸元に蝶を、胸には星をあしらい連邦らしさと魔術っぽさを演出してみました。マントの裏地が赤いのは、マントの裏地はやっぱり赤だろーという信念からです、舞踏子らしさは大分微妙ー!!!<br>
 さあ私のことは忘れてどんどん次に行きましょー!」<br>
「ああもったいない」</p>
<p> </p>
<p>ばつんとスクリーンが切り替わった。どうやら前日に撮影したらしい、夜の映像が流れてほうっという声が会場に上がった。</p>
<p> </p>
<p>「続きましてはこちら、油断したな双樹くん、このSS内でリポーターだからといって参加していないなんてルールはないのだよ!」</p>
<p> </p>
<p><img alt="" src="http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000205M.jpg"></p>
<p>(絵:双樹真)</p>
<p> </p>
<p>
同じく文族にして、携帯参戦のフィクショノート、双樹真のもの。これは、モデルは誰だろうか…顔は隠れていて不明だが、箒を片手に、いかにも魔術的である。</p>
<p> </p>
<p>「魔法陣でござるな。確かにこれは欠かせない要素!」</p>
<p>
「今回はアイドレスの登録というよりは藩国イベントの風情でありまして、普段は文族やってる人も気合い入ってます。長い三角帽が雰囲気を引き立ててますね。魔法陣に書かれてる文字、これですよこれ、この魔術っぽさがマニアにはたまらない!」</p>
<p> </p>
<p>えー、えへん、えへんと、華一郎が咳払い。スクリーンも再びNOW LOADINGに戻るのを、一同は誰からともなく顔を見合わせ不思議そうにした。</p>
<p> </p>
<p>ビッテンフェ猫が立ち上がり、てく、てく、てく。</p>
<p> </p>
<p>「……?」</p>
<p> </p>
<p>
ぐい、とヒモを引っ張ると、じゃじゃーん!という効果音と共に垂れ幕があっという間に入れ替わる。続いて、うぃーん、と、ステージの真ん中らへんが開き、下からなにやらせり上がって来た。試着室のようなものと、なにやら布のかぶせられた塊である。なにやら一段高いお立ち台のようなところには、にこにこ微笑んだマグノリア女史も立っている。</p>
<p> </p>
<p>その、マグノリアが、さっと布を取り払った。</p>
<p> </p>
<p>うおおおおーーーーーっ!!!!</p>
<p> </p>
<p>一際大きな歓声。そこにはこれまでスクリーン上で紹介されてきた数々の衣装が豪華に飾り立てられて並べてある。</p>
<p> </p>
<p>「さーあこの後は、国民の国民による国民のための、各種デザイン魔術的舞踏子の衣装コスプレコンテストだーッ!!」</p>
<p>「飛び入り参加OKでござるよ、この場に集まった皆も是非カモーン!」</p>
<p> </p>
<p>垂れ幕の表示は『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル・一般国民モデルコンテスト大会』に入れ替わっていた。</p>
<p> </p>
<p>わー…!!</p>
<p> </p>
<p>
にゃんこたちが押し寄せ、続々と、魔術的舞踏子の衣装を着飾り、スクリーンに映し出されていっては、おー、とか、わー!とか、そのたびに歓声が巻き起こる。</p>
<p><img alt="" src="http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000203M.jpg"></p>
<p>(絵:萩野むつき)(要点:整備士単独)</p>
<p> </p>
<p>「やれやれ、みんなお祭り騒ぎが好きなんだから…」</p>
<p>「いいことでよ。ゲームなんだから楽しいのが一番ですね」</p>
<p> </p>
<p>整備士が、2人、会場の様子を眺めながら笑っていた。</p>
<p> </p>
<p>こうしてレンジャー連邦の魔術的舞踏子が、和やかなうちに発表されていったのだった……(了)</p>
<p>(文:城華一郎)</p>
<hr>
<p><font color="#009900">彼女等はある意味、男達よりも、漢らしかった。<br>
<br>
ある者は、世界の危機だと聞けば、即座に戦場に出陣し、<br>
<br>
ある者は、へたれが危機だと聞けば、すぐさま、あんこを持って走り去り。<br>
<br>
またある者は、金色の龍の背を追ってどこまでも。<br>
<br>
<br>
ここレンジャー連邦の舞踏子とは、理性や方法論で動くのでは無く、<br>
<br>
その場の衝動であり感情、もしくは『愛』と云った物によって、その体を突き動かしていた。<br>
<br>
愛する者の為ならば、自分の生死も問わない、<br>
<br>
<br>
正に、『武闘娘!』<br>
<br>
<br>
そして彼女等は更に進化を続げる。<br>
<br>
今の自分達に満足する事無く!更に努力を続ける彼女等!<br>
<br>
<br>
「自分達に足りないものは何か?」<br>
<br>
「今、自分達に求められているのは何か?」<br>
<br>
<br>
その答えこそが、そうご存じ『魔術的』であった。<br>
<br>
<br>
今までは、パイロット中心だったこの国が遂に飛び道具(なのか?)、『魔法』に手を伸ばすことに為ったのであった。<br>
<br>
ファッションは人それぞれ独自の『魔女っ娘!』が、レンジャー連邦では次々と生まれていった。<br>
<br>
皆、競い合い、切磋琢磨して『魔女っ娘!』へと成長して行った。<br>
<br>
アイドレス世界に今新たな戦い方が始まる。<br>
<br>
レンジャー連邦の新たなる戦力によって!<br>
<br>
<br>
文責 ビッテンフェ猫<br>
*<br>
<br>
<br>
「よし!設定文出来たでござる。後は『城 華一郎』殿に見せて、OKがでれば時給が上がるでござるな。ウッヒィヒィヒィ。」<br>
<br>
<br>
<br>
『城 華一郎』に提出。<br>
<br>
<br>
城華一郎は深い、深ぁーいため息をついた後、言った、<br>
<br>
「フェ猫さん、あなたは根本的な処を間違えています。<br>
『魔術的武闘娘』では無くて『魔術的舞踏子』ですよ。」<br>
<br>
「(´゚ω゚`)・・・。」<br>
<br>
「判りました。フェ猫さん、少し『魔術的舞踏子』について私と一緒に勉強しましょう。」<br>
<br>
「Σ(゚Д゚)はっ、はい。」<br>
<br>
<br>
そして後に彼は『城 華一郎』と共に『魔女っ娘舞踏子フェスティバル』の司会を努める事になるのであった。</font></p>
<p><font color="#009900">(文:ビッテンフェ猫)</font></p>
<hr>
<p><font color="#993333">頭にはツバのついた三角帽子。<br>
<br>
服は舞踏子と同じ太陽系総軍軍服風…なのだが<br>
軍服より帽子に合わせたいわゆる魔女寄りと言うべきか<br>
軍服のような裾がきっちりとした物よりは少し崩れた服装である。<br>
<br>
<br>
その見た目は限りなく魔女っ娘。<br>
<br>
黒猫を友にして<br>
海を望む甲板よりホウキにまたがり空に飛び立つ<br>
そんな風にも思わせてくれるそんな格好である。<br>
<br>
その姿は魔術的舞踏子と呼ばれた。<br>
<br>
<br>
<br>
レンジャー連邦の魔術的舞踏子も基本はその格好である。<br>
<br>
基本と言うのは各々が服装をアレンジしているからだ。<br>
<br>
それはレンジャー連邦の伝統である未婚者のヘソ出しや<br>
砂を避ける為のマントも含めた地域の特色だけではない。<br>
<br>
藩王の一つに指定しないという言葉(単に色々な魔女っ娘が見たいとの噂もあるが)に<br>
国民達がいちにもなく賛同した結果であった。<br>
<br>
<br>
帽子と服装だけなシンプルな魔女風もあれば<br>
呪文を唱えて変身するようにしか見えない魔女っ娘や<br>
魔法世界の王女風など様々だ。<br>
<br>
<br>
魔術的舞踏子達が思うそれぞれの魔女っ娘<br>
それがレンジャー連邦での魔術的舞踏子の容姿である。<br>
<br>
<br>
ただその魔女っ娘達はえてして<br>
<br>
“愛の魔女っ娘”<br>
<br>
古来からの魔女の悪のイメージ<br>
例えば怪しげなリンゴ<br>
例えば呪いの言葉<br>
<br>
レンジャー連邦の魔女っ娘達はそれを善に<br>
そう愛の実と祝福の言葉とするのである</font></p>
<p><font color="#993333">(文:遊佐 呉)</font></p>
<hr>
<p> <font color="#FF6666">魔術的舞踏子。<br>
共通するのは黒いつばの三角帽子。<br>
後は太陽系総軍軍服魔女風としかいいようのない個々に改造された服装。マント、樫の杖に水晶玉、箒にタロット、はたまたアニメで見るようなマジカルステッキ。</font></p>
<p><font color="#FF6666"><img alt="" src=
"http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000216M.jpg"></font></p>
<p><font color="#FF6666">(絵:楠瀬藍)<br>
傍らには使い魔の代わりか、黒猫に鴉、犬のように鳴く猫、猫士。<br>
思い思いの格好に道具、統一感のないハロウィンの様な集団。<br>
これがレンジャー連邦の魔術的舞踏子である。<br>
<br>
舞踏子の常人離れした感覚がさらに進化した姿の一つが、この魔術的舞踏子といわれている。<br>
整備士、パイロット、舞踏子と、整備工場にて手袋にツナギをきて整備道具を手に整備をし、軍艦に乗ってはI=Dを駆り戦ってきた舞踏子。<br>
およそファンタジーとは程遠い進化を遂げてきた、魔術的要素には縁のないレンジャー連邦の舞踏子達ではあったが魔術を使う素質だけはあったのだ。<br>
魔術を使う野に必要なことを知っているだろうか。魔術的知識、魔力、道具。確かに重要だがもっと必要なものがある。<br>
それが想い。愛する人を想う力。舞踏子達はそれぞれが想い人への愛を胸に戦いに挑むのだ。<br>
その想いは発達した感覚と相まって、見えないものを視、聞こえないものを聴き、先の未来を予知し、そして奇跡を起こす。<br>
愛の力によって不条理な現実を打ち破る。<br>
彼女たちの想いはただ一つ、それは愛する人のために戦うこと。<br>
愛する人のためになるのなら魔女の力を手にするのも厭わない。<br>
愛を胸に戦う舞踏子ゆえに辿りついた姿の一つ、それが魔術的舞踏子である。</font></p>
<p><font color="#FF6666">(文:冴木悠)</font></p>
<hr>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF">・魔術法典<br>
・蝶の紋章(魔法陣)<br>
・魔術文字<br>
・魔術体系<br>
・詠唱技術<br>
・覚醒物語<br>
・詠唱陣形<br>
・詠唱術式<br>
・魔術編纂課<br>
・愛の『魔法』<br>
・魔術行為<br>
<br>
/*/<br>
<br>
1.魔術法典序章より抜粋 ~絢爛舞踏~<br>
<br>
夢見ること。希望。<br>
胸にその希望を灯していったものと再び出会うために生きる軌跡は絢爛、星の輝きよりもきらびやかで、闇は宇宙よりも遥かに深い。<br>
その舞いはだからこそ鮮やかで、その靴音は、だからこそ高らかに人の心の虚ろの中に響き渡る。<br>
<br>
/*/<br>
<br>
2.蝶の紋章(魔法陣)<br>
<br>
変身の象徴である蝶は、舞踏子にとって、愛するものとの再会を叶える強い自分になるという、魔術の根幹を成す意志の要となっている。</font></font></p>
<p> </p>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF"><img alt="" src=
"http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000211M.jpg"></font></font></p>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF">(絵:萩野むつき)<br>
<br>
/*/<br>
<br>
3.魔術文字<br>
<br>
魔術とは自然環境に左右される。そのために用いられる文字の表わすところの意味は、それゆえに、すべての地域において同じだが、異なる。同じ世界の一部だが、切り取る部分が違えば見え方はおのずと異なるのだ。<br>
<br>
西国。海。島。砂漠。オアシス。樹。魚。火山。海辺。絡み合う要素が一連の文字となり、そして魔術文字が完成された。<br>
<br>
/*/<br>
<br>
4.魔術体系<br>
<br>
母なる海をその範図の基本に持ちながら、決して甘やかな生きやさしい環境ではない砂漠という地形をも同時に孕むレンジャー連邦、その地底には熱く煮えたぎる溶岩もあれば、純水のオアシスという稀有をも持ち備え、懇々と定期的に汲み上げられる燃料資源がそこには確かに存在している。<br>
<br>
その歴史は決して平坦ではなく、だが、それゆえに団結は固いという特質を持つ。<br>
<br>
冗談のような形をした諸島のその形が意味するところはたった一つ、愛である。その名はあらゆるところに現れる遊撃者、レンジャー。その束ねは国民一人一人を州と認める誇り高き連邦制。<br>
<br>
これらのすべてが魔術体系を規定した。<br>
<br>
魔術とは積み重なった想いの表れ方であり、魔術体系とは、想いの積み重なり方そのものなのだ。<br>
<br>
/*/<br>
<br>
5.詠唱技術<br>
<br>
オペレーター行為を得意とする舞踏子たちが、詠唱という魔術的技術を身につけた時、そこに生まれたものは歌であった。魔術の始まりは言葉であり、言葉に生きた意味を、その時々に応じてより適切にこめる技術が、歌なのだ。<br>
<br>
/*/<br>
<br>
6.魔術法典終章抜粋 ~円環とらせん、魔術七階梯~<br>
<br>
意志は、人の中で言葉という名の概念になる。言葉は意志をより伝えるために歌となり、そうして現実に溢れた概念は、人の体をより歌に適したものへと変えるだろう。<br>
<br>
概念は、やがては体という器を飛び出して、今度は文字ではなく、より抽象的な、そのままの形でそのものを表わそうと、より複雑な意匠を成していく。現実は再びそれにより改変され、その技術はやがて省略を重ねるうちに、自動的なものへとなっていくだろう。<br>
<br>
自動化の果てには、意志、そのものが現実になりかわる世界が現れる。そこでは意志そのものの洗練された完成形でもある、情報がすべてを支配することになるだろう。魔術の第七階梯である。<br>
<br>
この一連のつらなりを表わしたのが魔法陣の基礎となる真円であり、その上では始まりの意志が志向した方向でのより高き次元を目指す、らせんが生じている。<br>
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7.魔術法典終章抜粋 ~第八階梯と、その向こう側~<br>
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やがて、人は情報から自分が望む現実につながる道筋を思い描けるかどうかの可能性のみを判断するようになり、そこで見た可能性がすべてを決めるようになる。見出される可能性によってのみ世界が形作られる、波打つような世界が訪れる。<br>
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可能性の絶対矛盾が生じた時、世界は自身を存続させるために、人の定めたすべてを覆す。第八階梯とは、完成に至る直前の、もっとも不安定な状態を表わす。<br>
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8.魔術法典終章抜粋 ~第九階梯考察~<br>
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人の見る可能性が調和することこそ究極の魔術であり、それは魔術の本懐である『魔法』の領域に足を踏み入れることにもつながる。これが魔術最終の第九階梯である。<br>
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よって万物の調停者シオネの名は、この調和が成された時に出現する完成された最後の世界そのものを象徴する意味を持つはずであり、魔術の完成には、意志を完成させるための自覚が必要であるため、シオネがシオネたることの意味、その名の意味を真に悟らなければ、第九階梯には至らないものと思われる。<br>
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第九世界の実存の可能性は証明されたことがない。これはおそらく第九世界そのものが「可能性」の先にある概念の世界であるためで、実存することによってのみ、その存在を証明できるような、何かしらの困難を伴う概念によって構成されていることが予測される。<br>
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可能性の調和とは、意志による世界の変化を認めない予定調和のことではない。それはおそらく、可能性そのものをどんな困難な状況からも見出すための概念である。そのような概念なくしてすべての可能性の矛盾なき調和は文字通り不可能となる。<br>
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希望の絢爛舞踏が魔術によって再会を望む最後の相手。それは無数にいる。だがそこに、共通しているものがある。「再会そのものを望む心」である。それを人は何と呼ぶか。今代のシオネと目される人物の振舞いを見て、人はそこにある概念を何と呼ぶか。<br>
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シオネ、それはおそらく愛を意味する名。魔術の最終階梯とは、意志から始まる螺旋が最後にたどり着く、真円の終着点にして意志の根源そのもの、愛であると考える。<br>
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世界は愛によって調和する。愛の戦士=シオネ・アラダ。こう解釈することにより、愛の藩国、レンジャー連邦の魔術法典終章をしめくくる。<br>
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魔術の道において愛を忘れてはならない、魔術的舞踏子。その愛を、貫くためにあれ魔術。<br>
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9.魔術的舞踏子入門パンフレット序文抜粋 ~愛の『魔法』~<br>
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魔術はあくまで不思議を起こす術にすぎないが、その究極到達点には、それが世界そのものを成り立たせている法則を駆使する、魔法がある。<br>
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愛は現実的な力となる。前提変換や、評価値の修正、展開への影響に、それはこれまでたびたびとても極端な形で露わになっている。それはいつもそこにあるがゆえに誰も気付かない、世界の真理なのだ。きっと。<br>
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恋せよ乙女、命短し、恋せよ乙女。<br>
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愛を、その手につかまえるのだ。<br>
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ようこそ、魔術の世界へ!</font></font></p>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF"><img alt="" src=
"http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000214M.jpg"></font></font></p>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF">(絵:浅葱空)<br>
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10.魔術的舞踏子入門パンフレット抜粋 ~魔術行為~<br>
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舞踏子の未来予知は、魔術の力を得て、より前進した。未来がわかった上で、その未来に対して何をすればいいかの具体的な力を手にすることができたからだ。<br>
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経験が法則を見極める。魔術の基礎である。<br>
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11.魔術編纂課<br>
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レンジャー連邦には、今回のイグドラシル成長を受けて、魔術編纂課と呼ばれる、東都の戦術研究班と王都の学者たちが集まり、魔術的舞踏子を着用したフィクショノート自身の手によって束ねられている、専門の部署が新たに設けられた。<br>
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彼女たちは魔術法典を編纂し、魔術体系を整理、魔術文字辞典を開発、後進の魔術的舞踏子たちのために入門用パンフレットを作成、さらにはより実戦的に、詠唱戦のための効果的な陣形、効果的な基本術式の訓練プログラム研究まで担当している。<br>
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12.目覚め<br>
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魔術とは、現実を曲げて(真言的にはこの時に生じる現実との間=魔である)、想いを叶えるための術であり、その素養の目覚めには、当然それぞれの舞踏子の抱く想いが大きく影響している。<br>
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想いを叶えるたえの技術はある程度共通していても、その元となる舞踏子たちの服装やスタイルがてんでに異なっているのは、それが理由である。それぞれの、想いを象徴した格好でなければ力を真に発揮することは出来ないのだ。<br>
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政府はこのために特別予算を割いて彼女達の服装デザインを支援している。</font></font></p>
<p><font color="#FF6666"><font color="#6666FF">(文:城華一郎)</font></font></p>
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<p><font color="#6666FF">・波涛の詠唱<br>
・矢の詠唱<br>
・手の詠唱<br>
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詠唱の形:自由。何か言って何か身振りすればそれだけでよい。<br>
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1.波涛の詠唱<br>
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うねる衝撃。帯状に広がる。<br>
元は砂嵐をも受け止め落とすためのもの。あるいは波のコントロール。<br>
イメージは透明に近い水色な粘性の高い波。<br>
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生活圏や船を守るための祈り。大事なものを守るための祈り。<br>
大事なものを守るため、困難に立ち向かい、ついには相手と同じ力すら学ぶという、レンジャー連邦の魔術的舞踏子、原初の魔術。<br>
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波を模した、手腕や体をひらりと翻すような身振りないし紋章を使う。<br>
集団戦は雪崩式にタイミングを少しずらして波をどんどん高くするイメージ。<br>
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2.矢の詠唱<br>
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貫く衝撃。線状に伸びる。<br>
愛する人に再会するための障害を貫くためのもの。<br>
イメージは透明で大きな槍を打ち出す感じ。<br>
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魔術の力を得て始めに編み出された純粋な魔術。<br>
魔術の力によって具体的に何かの現象を起こそうと意志する、象徴的な魔術でもある。<br>
魔術的舞踏子の中間試験の課題にもなっている。<br>
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目標を指差す身振りないし狙いを定める紋章を使う。<br>
集団戦は同時一斉攻撃でタイミングと方向をぴたりとそろえて力を一点に集中するイメージ。<br>
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3.手の詠唱<br>
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見えざる壁。固定した平面として展開。<br>
愛する人の背中を支える手として編み出された。ものを持ち上げたり防御に使用することも出来る。<br>
イメージはあなた自身の手。<br>
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身振りがそのまま見えざる手壁を動かし支える。紋章は手の様々な仕草を模した意匠。<br>
魔術的舞踏子の卒業試験の課題である。<br>
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4.詠唱について<br>
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波涛/矢/手の三種類が基本。これは魔術的舞踏子の力量ではあまり複雑な魔術を行うことが出来ないという理由もあるが、それ以上に、魔術を使う状況になった際、術者が判断を迷わないようにするためである。</font></p>
<p><font color="#6666FF">(文:城華一郎)</font></p>
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<p><font color="#6666FF"><font color="#666666">お祭は、続いている。<br>
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『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル』と名付けられたそのイベントは、レンジャー連邦の軍事の要、東の都の港付近で行われており、その賑わいは、日が傾いて空がオレンジに染まる時間になってもまだおさまる気配がなかった。<br>
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「(フィクショノートの人たちって、暇なのかしら・・・)」<br>
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東の都、軍港の波止場に泊まる軍艦の甲板の上。通常勤務についていたフィクショノートならぬ一人の舞踏子の私は、甲板の手すりに腰掛けながら、いまだ熱気冷めやらぬ会場の方を眺めて、ふう、とため息をつき、そして笑った。<br>
彼らが暇なわけはなかった。もともと、「りあるがー、りあるがー!」と叫ぶ人材が多い国である。その上、最近は「わかば向けって言ったのにー!」とわめく人が多いことで評判の洞窟探検やら、オーマだかアラダだかいう反則級に強いおっかない人たちとの戦いやら連戦が続いており、その準備や後処理で大変なはずなのであった。<br>
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「(タフだなあ・・・)」<br>
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実際、どこにこんな暇があったんだと驚くばかりである。「魔女っこ舞踏子がいっぱい見たいです!」とアホなリクエストをした藩王本人でさえ、昼のお披露目イベントでこの軍艦に乗った時に「こんなに大きなお祭り騒ぎになるとは思ってなかったわー」と話していた。みんなどれだけ魔女っこ大好きなんだという話である。<br>
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ごそごそとベルトに隠し付けられたポケットをまさぐれば、イベント前に配られていたお祭り用パンフレット。今日のイベントに先立つように魔術編纂課から舞踏子全員に支給された「魔術法典」、「魔術的舞踏子入門パンフレット」の抜粋に加え、複数の文族による「魔術的舞踏子とは!」という解説文が掲載されていて、サイズ的には小さいながらパンフレットであることを疑う厚みとなっていた。<br>
お祭で要点を満たそうなんてどうなるんだこの国のイグドラシル、そしてどうなってるんだこの国のフィクショノートたちの頭の中、とフェスティバルの開催を聞かされた時には思ったが、魔術編纂課が組織されてここまでの形になるまでの圧倒的なスピード、そしてこのパンフレットの厚みを見れば、彼らが真剣なのは火を見るよりも明らかだった。<br>
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「(なんともうちの国らしいといえば、らしいか・・・)」<br>
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海に囲まれていながら砂漠であり、雨が降らないのに湿度が多いためにその熱気はすさまじく、食糧生産に向かず、決して生き易い土地ではないながら、その分オアシスの湖や蜃気楼にはしゃぐ心をこの土地の人々は持っている。真に美しいことや楽しいことは、困難や苦境の中に転がっていることが少なくないことを、知っている。<br>
さすがは大真面目に、国是は愛です、とこっぱずかしいことを語る国とそこに集まった人、というところであろうか。自ら険しい道を選び、そして楽しそうに笑っている。はたから見ればそれはとっても不思議で、心に魔法がかかっているのではないか、とすら思うほどだ。<br>
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「(そういえば、「祭とは祀りであり、元来は儀式的な魔術であった」、って魔術法典の中に書いてあったなあ。夢と潤いのためにとか言ってたけど、もしかするとこのお祭、魔術的な意味のために・・・?)」<br>
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しかしそう思ったのもつかの間、魔術子たんも好きだけど普通の舞踏子ちゃんも大好きです!と叫ぶスピーカー越しの声が遠くに聞こえてきた。祭の方を見やれば、会場の巨大スクリーンには軍艦型特設ステージに乗る8人のノーマル舞踏子が映し出されている。すべて見覚えがある、フィクショノートの女性陣だ。さっきの声は、中央付近に見える藩王だろう。<br>
ああ、何か真面目な意味を見出そうとした私が馬鹿だった。多分あの人、本気で魔術的舞踏子がいっぱい見たいだけだ。<br>
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「ねえ、今から後夜祭始まるらしいよー!こっちの仕事もひと段落ついたし、私たちもお祭行かない?」<br>
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同僚の同じフィクショノートならぬ舞踏子に声をかけられ、私はもちろん、と声を返した。<br>
私だってこの連邦の一員だもの。このばか騒ぎ、決して嫌いじゃない。むしろ好き。と言うか大好き。<br>
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かつん、とハイヒールを鳴らして腰掛けていた手すりから立ち上がる。青黒い制服。ガーターベルト。どんなにその形が魔女風に変わっても、どんなに能力が違っても、その胸に愛を抱く舞踏子なのは同じこと。<br>
魔術的舞踏子、目指してみようか。私たちはフィクショノートの人たちのように職業を軽々着替えられるわけではないから、大変かもしれないけど。でも、頑張ってパワーアップして、そしたらもっとできることも増えるし、もしかしたら、楽しいことも増えるかもしれない。もしかしたら、もしかしたら。<br>
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頑張れば頑張るほど、きっと楽しいことは増えていく。<br>
魔術的舞踏子。<br>
そう、きっとこのお祭のように。</font></font></p>
<p><font color="#6666FF"><font color="#666666"><img alt="" src=
"http://8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000213.jpg"><br>
(絵:萩野むつき)<br>
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お祭は、続いていく。</font></font></p>
<p><font color="#6666FF"><font color="#666666">(文:蝶子)</font></font></p>