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マキアート君の - (2011/06/22 (水) 02:51:29) のソース

マキアート、と名前を呼ばれた気がして目が覚めた。
時計を見ると、0540。

「20分か・・・うーん」

セットしためざましは0600。もう少しこのまま丸まっていようか迷ったけど、うっかり寝過ごすのが嫌なので起きることにした。
もそもそとふとんから這い出し、ベッドから降りようとして・・・ごちっ。
落ちた。

「いてててて」

しまった僕としたことが・・・昨日は人型のまま寝たんだったのに。夢の中では猫の姿だったから、つい猫の体の感覚で動いてしまった。寝ぼけてるな。



僕はここレンジャー連邦で、猫士をしている。国民番号は06-xx002-xx。
マキアートという名前は、この国の猫士として登用された時につけてもらった。
由来は、僕の眉毛。正しくは、眉毛に見える部分。
白毛の多いブチ猫の僕の、目の上にきれいに二つ並んだ灰色のブチ模様を見て、
「あらあらー凛々しい眉毛がかっこいい猫士さんですね!素敵なそのブチにちなんで、マキアート、なんてどうですか?」
と対面数秒で決定した名前だけど、まあ気に入っている。
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水を使って顔を洗う。歯を磨く。着替える。猫のままならやらない、人間の朝の動作。正直めんどくさいけど、それでも私生活までなるべく人型義体で過ごすようにしているのは、義体の感覚に絶えず慣れるためだ。
この国の猫士はあまり多くない。それでも戦闘に、病院に、警察に、人手を省いていい所はない。いつどこに配属されても、僕は力を発揮したい。
そりゃあ猫の体のままでも仕事はこなせる。けど、職場の機器類は人が使うことを前提にされたものがほとんどだから、やっぱり人の体の方が効率よく動ける。
だから僕は、できるだけ義体を使って過ごしている。もちろん猫だから猫の体の方が自由に動けて好きなんだけど。まあつまるところ、僕は日常の不自由を我慢してもいい程度には、この国と仕事が好きなのだ。

もちろん恥ずかしいからそんなの誰にも言わないけど。



朝の支度を終えて、鏡の前に立つ。
服装よし、猫耳よし、尻尾よし。特注でつけてもらった、ブチ型の眉毛、よし。

「よし、かんぺき」

大きく一つ伸びをして、今日も人型少年猫士の僕の1日が始まる。


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