資本主義について
1、資本主義の説明
2、資本主義の精神
ゾムバルトは資本主義の起源を検討するにあたって、
経済の歴史がその間を動いてきた二つの
大きな「基調(ライトモチーフ)」として、
「必要充足」「営利」と区別した。この両者は、
経済活動の儀式と方向を決定するものが
人間的必要の大きさであるのか
あるいはその枠にとらわれぬ利潤の追求と
利潤獲得可能であるのかによって区別されています。
彼の云う「必要充足の経済組織」は、
一見「経済的伝統主義」と一致するように思えます。
事実として「必要」の概念が「伝統的必要」と
同じものである場合には、両者は一致します。
しかしそうでない場合には、
ゾムバルトの「資本」の定義の意味からすれば、
組織形態上「資本主義的」とみなければならぬ経済でありながら
「営利」経済の領域からはみ出て「必要充足経済」の
領域にはいるものが多いのです。
また、利潤目的として、
生産手段の購入と製品の販売という方法で、
資本を回転させるという形をとり、
依然として「伝統主義的」な性格を帯びている場合もありえます。
こうした例は近世の経済史においても例外的でなく、
むしり「資本主義精神」のつねに新たな
かつ力強い侵入のためにしばしば中断されながらも
普通のことだったと云えます。
「資本主義的」形態とその経営上の精神とは、
たしかに一般に「適合的」関連の関係に立ってはいますが、
決して互いに「法則的」な依存の関係にあるわけではありません。
それにも関わらず、正当な利潤を「天職」として、
組織的であり合理的に追求するという心情を
私たちがここで、暫定的に「資本主義の精神」と名付けるのは
近代資本主義的企業がこの心情のもっとも適合的な形態として
現れ、また逆にこの心情が資本主義的企業の
もっとも適合的な精神的推進力となったいう
歴史的理由もあるのです。
3、資本主義の将来
シュンペーターの資本主義衰退論を参考にすると
大まかに4つのことが云えます。
1、実業家階級の成功が総ての階級に対し、
新しい生活水準を実現したことが
逆説的にもかえって実業家階級の
社会的、政治的地位を掘り崩してしまったこと。
資本主義経済の歴史は「競争的資本主義」から
「トラスト化された資本主義」への発展
それとともに、新結合の担い手も、個々の天才的な企業家から、
大企業内部の官僚化された「一群の専門家」に移行してきました。
そしていまや、新結合そのものが「日常的業務となり」
その自動化が生じていると云います。
企業職能の無用化は、彼等の
社会的、政治的地位を次第の掘り崩していくが、
そればかりでなく「階級としては企業家と生死を共にする」
ブルジョアジーのそれも危機に瀕するだろう、と。
シュンペーターは逆説的にもこう主張しました。
つまり「社会主義の真の先導者は、それを説法した知識人や扇動者ではなくて、カーネギー、ロックフェラーらの一族如き人々である」と。
2、資本主義的な活動が、合理的な考え方を広げたが故に、
生産工場内の忠誠心や上下の命令服従が破壊され、
指導者のリーダーシップが有効に働く無くなったこと。
シュンペーターは、「ブルジョアジーは「元帳と原価計算」には熱中しても、「政治的に無力」であり、「自分自身の階級利益を守ることさえ覚束ない」ので、他の階級にはならなかったが、資本主義的合理性の浸透は、次第に資本主義の擁護階級と、封建社会の破壊する際に自己の進歩を阻止する障害物を打ち壊したのみならず、さらにその崩壊を防いでいる支壁も破壊してしまった」と。
3、資本主義の成功は、経済的な豊かさを実現したが、
そのお陰でもたらされた様々な発展は、
大企業の利害に敵対的な知識階級を成長させたこと。
知識階級は「批判」を生命の根源としているが、
彼等の影響が官僚や労働運動にも及ぶようになると。
資本主義に対する「敵対的な雰囲気」が
さらに全面に出てくるようになると。
4、以上の総ての結果として、資本主義社会の価値の
図式(家族財産の文明と不平等)は、
世論に対してのみならず資本家階層に対しても
支配を失おうとしていること。
それらを踏まえ、シュンペーターはこう結論づけている。
「資本主義過程は、それ自身の制度的骨組みを破壊するのみならず、また他の骨組みのための諸条件を造り出す。したがって、破壊という言葉はやはり適当だとは云えない。(一部省略)」
シュンペーターは、半世紀以上も前に没命した経済学者でありますが、
彼の独自のロジックはというものは、現在の社会における資本主義に対しても、当てはまるのではないかと個人的には思います。
アメリカのとある調査では、
資本主義より社会主義の方がマシだと回答したひとが、
多数にのぼったとの情報を目にしたことがあります。
即ちシュンペーターの云うブルジョアジーなどに対する懸念というものが、
現在のアメリカ資本主義社会に対してもアメリカのみならず
世界の資本主義国家に対しても該当するのではないかと思いました。
~資本主義について~完
最終更新:2009年04月26日 00:06