私がスキャンダルに興味を持ったきっかけはケネス・アンガーの『ハリウッド・バビロン』と出会ったことであった。
これまで、コリン・ウィルソンやポリングなどによるスキャンダル集は書かれている。それは面白いスキャンダルのアンソロジーであるが、歴史として書かれたものではない。スキャンダルによって世界史を語ることができるだろうか。スキャンダルは人間の歴史とともにあるとしても、それぞれの時代の中で、歴史的に変化していくものとして語れるだろうか。私はそのことをやってみたいと思った。
今回の長旅の、私のぼろぼろで汚い旅日記の読みにくいノートをまとめてくれた編集者、丁寧に調べてくれた校正者の方たちどうもありがとう。そして人間の愚かしさと高貴さをたどったこの世界史を読んでくれる人が、大いに楽しんでくれることを願っている。