書名

日本遊歩記

書誌情報

  • 出版社(叢書・シリーズ名)
    • 沖積舎
  • 発行年月日
    • 2000年11月30日
  • 版型 造本データ ページ数
    • 四六判 上製 247ページ
  • 定価
    • 2800円
  • 装丁
    • 鹿窪政文

目次

  • Ⅰ 日本の旅人の系譜
    • 旅人のロマネスク 9
      • 旅人の木 9
      • 菅江真澄のこと 12
      • 佐渡に死す 15
      • 方外の友 19
      • 冒険者の旅 22
      • 路通 25
      • 武者修行 28
      • 長塚節の旅姿 31
      • 坊つちやんと松山 35
      • 博多に死す 38
      • 水戸黄門漫遊記 41
      • 俳人と旅 44
      • 江戸の四宿 47
      • 清河八郎の江戸日記 51
      • 井伏鱒二と南方 54
      • 神々の国の旅人 57
      • 飛騨の匠と円空 60
      • 画家の旅 63
      • 西行法師 67
      • もう一人の西行 70
      • 鴫立庵と東光庵 73
      • 吉川英治の旅と文学 76
      • 宗祇『白河紀行』 80
      • 安吾の『新日本風土記』 83
    • 都市伝説としての〈東海道五十三次〉 87
    • 江戸の西行たち 100
    • しぐれてゆく山頭火 110
  • Ⅱ 日本の街を歩く
    • はるかな、なつかしい場所 123
    • 本と出会う旅 129
    • 宮澤賢治とモダン都市東京 131
    • モダン・シティ名古屋の序章 136
    • 埋もれた城下町・名古屋 142
    • 大阪文化筋違い 157
    • モダン都市は大阪港にはじまる 159
    • モダン都市神戸ふたたび 166
    • 伝統とモダンが共生する西陣 170
    • 関門海峡――海峡都市への十章 176
    • モダン都市博多 186
    • 古伊万里のはるかな旅 191
    • 新潟の駅舎建築 202
    • 橋の風景 206
    • 佐渡行きの船にのる 210
    • 佐渡へと続く海の道 214
  • Ⅲ 武蔵野散策
    • 晴耕雨読の空間 223
    • 新・武蔵野論
  • あとがき 244
  • 初出一覧 247

あとがきより

私は旅をするのが好きなだけでなく、旅について書かれた文章を読むのが好きであり、また旅について書くことが好きだ。いや、私にとって、旅をすること、読むこと、書くことは別なことではないのだ。読むように旅をし、旅をするように書きたいと私は思う。ちょうど、三つのことが一緒になったような本をつくりたいと思い、この本をまとめた。

第一部の「日本の旅人の系譜」は、歴史的な、または伝説的な旅人たちについて語ったものだ。

第二部「日本の街を歩く」は、私の旅日記である。あらためてふりかえってみると、私は〈都市〉、特に一九二〇年代の〈モダン都市〉にまず魅せられている。『モダン都市東京』(中央公論社 一九八三)、『モダン・シティふたたび―一九二〇年代の大阪へ』(創元社 一九八七)で東京、大阪のモダン都市を歩いた私は、それ以外の街にもモダン都市がある、と確信するようになった。この章では、名古屋、神戸、博多などを旅した。

第三部「武蔵野散策」は、ごく身近の、旅ともいえないかもしれない日常的な小さな旅への、私の最近の関心を示している。国木田独歩が『武蔵野』を書いて、一世紀が過ぎた。私もまた、もう一度、独歩の道を歩きなおしてみたい。

この本を『日本遊歩記』としたのは、ワルター・ベンヤミンがパリの路地に見出したフラヌール(都市の遊歩者)にヒントを得ているが、私自身の歩き方からもきている。

私にとってそれぞれに大事な旅の物語を、読み直し、このような本にまとめてくれたのは堀切直人さんである。長い友情に深く感謝する。そして、出版は沖積舎の沖山隆久さんにお世話になった。

主な初出

『旅』『描かれた五十三次』展カタログ『男の隠れ家』『トランヴェール』『別冊家庭画報 宮澤賢治をもっと知りたい』『Nagoya発』『大阪人』『SOFT』『産経新聞』『L&G』『FS』『FRONT』『太陽』『交通設計』『かながわの橋』『JAFMATE』『アルゴ』『日本及日本人』

補記

最終更新:2007年03月22日 20:26
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