書名
日本遊歩記
書誌情報
- 出版社(叢書・シリーズ名)
- 発行年月日
- 版型 造本データ ページ数
- 定価
- 装丁
目次
- Ⅰ 日本の旅人の系譜
- 旅人のロマネスク 9
- 旅人の木 9
- 菅江真澄のこと 12
- 佐渡に死す 15
- 方外の友 19
- 冒険者の旅 22
- 路通 25
- 武者修行 28
- 長塚節の旅姿 31
- 坊つちやんと松山 35
- 博多に死す 38
- 水戸黄門漫遊記 41
- 俳人と旅 44
- 江戸の四宿 47
- 清河八郎の江戸日記 51
- 井伏鱒二と南方 54
- 神々の国の旅人 57
- 飛騨の匠と円空 60
- 画家の旅 63
- 西行法師 67
- もう一人の西行 70
- 鴫立庵と東光庵 73
- 吉川英治の旅と文学 76
- 宗祇『白河紀行』 80
- 安吾の『新日本風土記』 83
- 都市伝説としての〈東海道五十三次〉 87
- 江戸の西行たち 100
- しぐれてゆく山頭火 110
- Ⅱ 日本の街を歩く
- はるかな、なつかしい場所 123
- 本と出会う旅 129
- 宮澤賢治とモダン都市東京 131
- モダン・シティ名古屋の序章 136
- 埋もれた城下町・名古屋 142
- 大阪文化筋違い 157
- モダン都市は大阪港にはじまる 159
- モダン都市神戸ふたたび 166
- 伝統とモダンが共生する西陣 170
- 関門海峡――海峡都市への十章 176
- モダン都市博多 186
- 古伊万里のはるかな旅 191
- 新潟の駅舎建築 202
- 橋の風景 206
- 佐渡行きの船にのる 210
- 佐渡へと続く海の道 214
- Ⅲ 武蔵野散策
- あとがき 244
- 初出一覧 247
あとがきより
私は旅をするのが好きなだけでなく、旅について書かれた文章を読むのが好きであり、また旅について書くことが好きだ。いや、私にとって、旅をすること、読むこと、書くことは別なことではないのだ。読むように旅をし、旅をするように書きたいと私は思う。ちょうど、三つのことが一緒になったような本をつくりたいと思い、この本をまとめた。
第一部の「日本の旅人の系譜」は、歴史的な、または伝説的な旅人たちについて語ったものだ。
第二部「日本の街を歩く」は、私の旅日記である。あらためてふりかえってみると、私は〈都市〉、特に一九二〇年代の〈モダン都市〉にまず魅せられている。『
モダン都市東京』(中央公論社 一九八三)、『
モダン・シティふたたび―一九二〇年代の大阪へ』(創元社 一九八七)で東京、大阪のモダン都市を歩いた私は、それ以外の街にもモダン都市がある、と確信するようになった。この章では、名古屋、神戸、博多などを旅した。
第三部「武蔵野散策」は、ごく身近の、旅ともいえないかもしれない日常的な小さな旅への、私の最近の関心を示している。国木田独歩が『武蔵野』を書いて、一世紀が過ぎた。私もまた、もう一度、独歩の道を歩きなおしてみたい。
この本を『日本遊歩記』としたのは、ワルター・ベンヤミンがパリの路地に見出したフラヌール(都市の遊歩者)にヒントを得ているが、私自身の歩き方からもきている。
私にとってそれぞれに大事な旅の物語を、読み直し、このような本にまとめてくれたのは堀切直人さんである。長い友情に深く感謝する。そして、出版は沖積舎の沖山隆久さんにお世話になった。
主な初出
『旅』『描かれた五十三次』展カタログ『男の隠れ家』『トランヴェール』『別冊家庭画報 宮澤賢治をもっと知りたい』『Nagoya発』『大阪人』『SOFT』『産経新聞』『L&G』『FS』『FRONT』『太陽』『交通設計』『かながわの橋』『JAFMATE』『アルゴ』『日本及日本人』
補記
最終更新:2007年03月22日 20:26