『ヘルプミー、ランダムお姉ちゃん』
わたし
姉尾ノゾミ、9歳!今日はボランティアで街のゴミ拾いにきてるの。みんなは偉いねって褒めてくれるけど、わたしの動機はいつだって私利私欲!ゴミはとっても汚いし、吸殻とか間違っても触りたくなんかないけど、自分のためにがんばってるんだ!だって、良いことをすると……。
ほら!わたしの手の中に、コインが現れた。これはシスコインっていって、わたしの能力に使えるんだ。このクソ重いガチャガチャを背中に背負ってるのだって、ちゃんと意味があるんだから。いちおうキリのいいとこまでゴミ拾いして善行を成立させちゃえば、あとはわたしの時間だ。
背中のガチャコンを下ろして、正面から向かい合う。深呼吸する。胸が高鳴る。ガチャを前にした時のこのドキドキって、絶対良い予感だと思うの!今日こそは何もかもうまくいく気がする。今度こそ出会えるんだ。最高の、お姉ちゃんに。
やっと会えるね、お姉ちゃん……。わたしは目を閉じてコインに願いをこめるように握りしめた。そして意を決して、目を開けて、投入口にコインをセットして、爆発音がして、振り返って、魔力の暴走と吹き飛ぶ街の人々を目の当たりにした。
吹き荒れる緑色と赤色はこの世ならざる破壊的なクリスマスカラーを演出していて、すごく恐い。3月にそんな事してもサンタさんはこないのに。誰だろうと思って見ると、よく知った特徴的な耳が見えた。
番長Gの人だ。
エルムルン・エクド・エイジア=エヴァグリン。
エルムルン・エクド・エイジア=エヴァグリンさんは魔力を暴走させるって聞いたことがある。 エルムルン・エクド・エイジア=エヴァグリンさんも本意じゃないのかもしれないけど、このままじゃ、街がめちゃくちゃに……さっきのゴミ拾いが無駄になっちゃうよ!
せっかく掃除したゴミが散らばってくのってかなりげんなりするし、正直モチベに響くんだ。街の人たちもとっても困ると思うの! わたしは手の中のコインを見る。こんな時、お姉ちゃんだったら。理想のお姉ちゃんだったら絶対助けてくれる。コインをセットする。レバーを回す。助けて、お姉ちゃん!
ガチャガチャ……ポン!
ま、まさかこうくるとは……。
わ、わあ~!おいし~い!わたしはお姉ちゃんを嬉々としてかき込む。子供はみんな、カレーライスが大好きなんだ!料理がとっても得意なお姉ちゃんのおかげで、お腹一杯になったら、なんだかゴミ拾いなんかどうでも良くなってきちゃった。かーえろっと。
……。家に帰って、わたしはため息をついた。食べ終わったときには、お姉ちゃんはなぜか、いなくなっちゃってたんだ。美味しいのもいいけど、わたしの理想のお姉ちゃんは、ずっと一緒にいてくれる、そんなお姉ちゃんなんだ。だから、待っててね、お姉ちゃん。明日こそ、絶対会えるから。
『ヘルプミー、ランダムお姉ちゃん』おわり。
最終更新:2015年03月23日 20:51