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Torcularis Septentrionalis

Torcularis Septentrionalis*1 (ο Psc)

:【読み仮名】[トルクラーリス・セプテントリオーナーリス]
:【仮和名】トルクラリス・セプテントリオナリス
:【出典】 /BSC
:【語源】ラテン語
:【系統】ギリシア傍系
:【由来】同星の位置の記述の誤訳

星名研究家のアレン?は、イデラー?の解説*2を踏襲するかたち*3で、1515年に出版されたラテン語版『アルマゲスト?』の刊本において、"Torcularis septentrionalis*4" と見えるとしている*5。「プトレマイオスの星表」における、この星に同定されている魚座第20星の位置の記述には "Antecedens super nodum torcularis seprentrionalis*6" とあり*7*8、確かにリーテンシュタイン?版『アルマゲスト』ではそうなっている*9。しかしながら、ラテン語で torcular (torcuralis は属格形)はワインやオリーブ・オイルといった酒や油を搾り取るための器械(圧搾器)あるいはそれらを貯蔵する施設(貯蔵庫)を指しており、これでは「北側の圧搾器(または貯蔵庫)にあって結び目に先行する(星)」となってしまい、まるで意味が通じない。その一方で、フラムスティード?版の「プトレマイオスの星表」のように、アラビア語からではなくギリシア語から翻訳されたものを見てみると "In Lino Boreo a connexu praecedens" となっており*10、これなら「結び目より先行し北側の紐にある(星)」という意味になる。

ここで、アラビア語からの訳本で torcular となっているところが、ギリシア語からの訳本では linum (lino は奪格形)になっている。これなら、この星は魚座の図像となっている二匹の魚をつないでいる紐のうち北側のものにあり、その結び目にあたるα星の北東にある*11ので辻褄が合っている。
最終更新:2018年07月09日 01:57

*1 "T" も "S" も大文字。

*2 Ideler (1809): p.206.

*3 「パクる」ともいう。

*4 "T" は大文字、"s" は小文字。

*5 Allen (1963): p.343.

*6 >"T" も "S" も小文字。

*7 Ideler (1809): ibid.

*8 Kunitzsch (1990): p.126

*9 Liechtenstein (1515): p.85.

*10 Flamsteed (1729): p.16.

*11 これは星図上での位置関係。実際日本を含むヨーロッパの中緯度地方では、魚座を眺めるには南側を向くことになるので、ο星はα星の北西に見える。この食い違いをなくすために、天体観測では「先行する」という言い方をする。