まだ初日ですよ 〜言葉の魔法はもうすぐ いい思い出となって消え去る〜
あれは我々25期が三年の夏合宿。そう、25期執行部、最後の大仕事である。
場所は斑尾の聖地・ホテルクラウドベイ。パンサーにとって最初で最後の宿舎であった。
合宿一日目。到着してほどなくして雨が降ったため、我々は飲みに全精力を注がざるを得なくなる。
その夜は、死者続出であった。廊下で寝ゲロする者。部屋のユニットバスの風呂の中で全身ゲロまみれになってくたばっている者。その横の便器に顔をうずめたままぴくりとも動かない者......
この参劇を目の当たりにしたホテルのオヤジが放ったひとこと............
「お客さん、まだ初日ですよ!?」
普通の宿舎なら、ごんギレされてもおかしくない状況なのに、この店員は薄ら笑いすら浮かべながらこう言ってのけたのである。「初日でこんだけやってくれるんだから、このあといったいどうなるんだろう?わくわくするぜ。」とでも考えたのだろうか。この言葉を聞いたとき、我々は、何か力量を試されている、もっと頑張らなければ!という気持ちにかられたのである。
これ以後我々は、日常で、誰かがヘマをやらかしたときや、己の気持ちを奮い立たせたいときなどに、『○○さん、まだ初日ですよ!』と、呪文のように口にするようになったのである。
〜 完 〜