ジ・アニメ > 1981年10月号

みどころ

つじつまが合わないけど...(押井守)


もう徹底的にハチャメチャというか、八方破れなものを考えています。ストーリーなども、一応、一話完結形式ですが、いわゆる起承転結的な終わり方はとらずに、例えば、“起" のところで終ったり“承"のところで終ったり、あるいは“転”で終ったりします。要するに、つじつまが合うといった話は登場しないのです。ですから、この「うる星やつら」については、通常の目で、感覚で見ようとしたらおかしくなるはずです。ま、作る側も、こうしたユニークなアニメははじめてですし、チャレンジする気持でやっていますが、でき上ったものを見ますと、かなりおもしろいですので、ますます自信をつけています。内容も、できるだけ中味の濃いもの、ということで30分でできるものを15分ものに縮めました。

●ダイジェスト●

うわさのラムちゃんだっちゃ!(episode 1, 9/14)
あたるは学校の帰り道、突然現われた黒ヌリのロールスロイスにた連中に連れ去られたが、すぐ家に戻された。戻ってみると、町は自衛隊が出動して大騒ぎ。宇宙人が攻撃してくるというのだ。やがて、町の上空に巨大な宇宙船が現われ、そこから宇宙人のラムちゃんが降りてきた。

町に石油の雨がふる!? (episode 2)
ラムちゃんの魅力にすっかりまいってしまったあたるのクラスメイトの何人かが集って“ラムちゃんを地球へよび戻す会”をつくった。そして、あたるならラムちゃんを地球によび戻せるに違いないと、試験の答案を見せてあげる、カワイイ女の子を紹介する、という条件をつけて頼み込むが…。

はちきれんばかりのエネルギー可愛らしさとお色気で味つけ。ギャグのパワーが命です。(落合茂一)


今回の企画は、“アニメで何をやろうか”ではなく、“この作品だからアニメでやりたい”という発想でスタートしたものなんです。アニメでも、もっといろんなことができるんじゃないか、アニメの“ひろがり”というものに賭けてみたい、という気持でスタッフ一同非常に燃えているんです。この作品の基本に絶えず満ちているのはエネルギー。家庭という日常的な場に端を発した事件があっという間に町内にひろがり、地球全体を巻きこみ、惑星間を飛びかっちゃうみたいなエネルギーですね。だからギャグもパワーが命です。かわいらしさとおいろけもバッチリ。テレビという場で、いろいろな制約をくぐりぬけてどこまで表現できるが。これは僕らの冒険なんです。

ワープ思考のトンでるアニメ。 SF・スーパーギャグコミックの迫力を満喫してください!(岡正)


僕はかねがね“これ、おもしろいから”って言い続けて来たんですよ。あえて「ワープ思考」と僕は言ってるんですが、つまり前後の脈絡なしにおもしろいコマが飛び出す、瞬間瞬間のおもしろさですね。そのギャグの完成度という点において、この作品は絶対だ、と思ってるんです。リズム、スピード感という点においても、なにか新しいアニメにしたいね。今までのアニメが4ビートなら、「うる星」は8ビートでいきたい、なぜ今「うる星」かと言えば、今の時代が要求しているものって、軽さ、明るさ、ナンセンスだと思う。この作品はぴったりなんだよね。この作品は、屈折してる部分もあると思うんだ。女性はかわいらしいけど、女の子のいやらしさ、っていう点も残酷なくらい描かれてるしね。それにくらべてあたるって、バカだけど、かわいそうでね。もう踏んだりけったりで……あたるはもっとかわいく描きたいね。で、テッティ的にいたぶって 「あたるくん、かわいそう!」って見てる女の子に言わせてみたい。あ、なぜ今「うる星」か、もう一つあった。今の時代って、女性上位なんだよねっ絶対に!
最終更新:2024年10月23日 19:57