チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム(Ⅲ) パソコンゲームの楽しさを伝える本




うる星やつら
~恋のサバイバル・バースディ~

●対応機種:PC-9801シリーズ(3.5',5′ディスク)
      PC-8801SRシリーズ(5′ディスク)
      X1シリーズ(5’ディスク)
      FM-77シリーズ(87年末発売予定)
      MSX2(3.5′ディスク/ROM)
●価格:6,800円
(MSXROM版のみ7,800円)
●発売日:1987年6月5日
●発売元:マイクロキャビン
510三重県四日市市安島2-9-12
0593(51)6482

アニメを題材にしたAVGでは、最高の完成度!!

めぞんのつぎは、やっぱりうる星!

 マイクロキャビンが「めぞん」をだしたときから、イヤな予感はしてたんだよなあ。そう。小学館と仲良くなってつぎは『うる星』のAVGをだすんじゃないかな〜って予感だ。エッ、なぜそれがイヤな予感なのかって?じつは、何を隠そう、ボクはそれまで一度も『うる星』のマンガを読んだことがなかったからなんだ(高橋留美子大先生、ごめんなさい!)。わりとシリアスな「めぞん」は大好きだったけど、どうもギャグっぱい『うる星』は好きになれなかったんだよね。
 でも、あれだけの熱狂的ファンを持つツウなマンガとして有名な『うる星』がAVGになった場合、原作を知らずしてとてもじゃないがゲームを解くことはできそうにない。それでは、あの名言「私に解けないアドベンチャーゲームはない!」がウソになってしまう。てなわけで、『うる星』の発売が広告で紹介されると同時に、ボクは覚悟を決めて『うる星』のコミックを読破することにした。
 そしてそして、買ってきました。『うる星やつら』全37巻。読みつづけること約3日ようやく全巻を読み終えることができたんだ。読んでみてようやくわかったね、なぜ『うる星』がこんなにも人気があるかっていうことが。ギャグの中にも繊細に描かれた心理描写、そして、ときどきでてくる思わずホロリとさせてくれる巻・・・。イヤー、「食わず嫌い」って言葉は本当にあるんデスネ。感動したボクは、もう一度全37巻を読みかえしてしまったんだ。『うる星』のAVGがでるのを〝イヤな予感〟などと言ってた自分が恥ずかしいっ!

メッセージの多さが一番のウリ!


 すでに『めぞん一刻』を手がけているマイクロキャピンだけあって、この『うる星やつら』もAVGとしての完成度は非常に高い。高いというのは、英語で"high"。その名詞形と言ったら?ハイ、そうだね、"height"だね。オッといけないベーマガ編集部には受験生が多いので、ついつい問題をだしたりしてしまう。悪い癖だ。
 その完成度の高い『うる星』の中で、もっとも驚かされるのが、そのメッセージ量の多さだろう。昔のAVGをやったことがある人なら知っているだろうけど、2~3年前のAVGには、じつにメッセージの貧弱!なものが多かった。正しいコマンド入力以外に対しては、何を入力しても「それはできません」「もっと他のことを考えてみてください」としか返ってこないという具合いにだ。コマンド選択方式というタイプがでてきてからは、多少それも解消されたかのように見えたが、まだまだボクとしては納得のいかない作品が多かった。
 そしてできたのが、この『うる星』。この作品は、メッセージ量という点に関しては、AVG史上No.1と言っても決して過言ではない。たとえば、まったく進行に関係のない場面で「ラム 話す」と入力しても・・・
「終太郎はやさしいっちゃよ。ダーリンも、もっと終太郎と仲良くするっちゃ」
「それじゃ了子ちゃんと仲良くしてもいいんだな」
「それとこれとは話が別だっちゃ」
──てな感じで、まるでコミックを読んでいるかのようなメッセージが、つぎからつぎへと表示されちゃうんだ。
 メッセージの総量は、テキストサイズで約150キロバイト。大もとになったシナリオだけで、薄いプリンタ用紙にして厚さ15cm以上にもなるというから驚きだ。なにしろ、ひと昔前なら、150キロバイトもあったらけっこうまともなAVGが作れただろうからね。『うる星』のコミックを読んでいる人なら、たとえ原作が解けなくても、このメッセージを見てるだけで十分楽しめるっていうもの。さらに、ツウな人なら、このセリフがコミックスのどの巻のどのセリフのアレンジなのかを探してみるのもおもしろいかもヨ!

グラフィックも一層パワーアップ!

 この前、ベーマガのイラストレーターのくりひろ氏と話をする機会があったんだけど、そのとき彼は「『うる星』の絵だけはベーマガに書きたくない」と言っていた。オッと、ここで勘ちがいしてもらっちゃ困る。彼はもともと『うる星』の初期の頃からのファンのひとなんだ。ではなぜ『うる星』の絵を書きたくないと言ったのか?
 「だってさ、どんなにうまく書いたってやれどこどこの線がちがうだの、やれデッサンがおかしいだの、文句をつけられるにキマってるんだ。『うる星』ファンのマニア度は、数あるマンガの中でも1,2を争うくらいで、高橋留美子の絵じゃないと批判せずにはいられないんだから」
──なるほどねえ、なんとなくわかるような気がするなあ。でも、そうした観点から考えてみた場合、このソフトのグラフィックは、じつに気合いが入っている。100枚以上のグラフィックを、ボクのようなシロウト(?)にはほとんど原作と見分けがつかないくらい、完璧に仕上げてるんだもの。これならおそらく、マニアのかたがたからもマル印がもらえるんじゃないかな。
 ただ、予定ではこのソフトに、画面だけを順番に見てい「CGモード」というのがつくはずだったそうなんだけど、それがなくなってしまったのが、ちょっぴり残念(でも、そのかわりに、おもしろいオマケがついてたけどね:60ページ参照)。

4とおりのマルチ・エンディングを採用

 このゲームは、面堂家の庭を舞台に繰りひろげられるんだけど、なんとご親切なことに、はじめから庭内の迷路マップがついてくる。つまり、マッピングの必要がないってワケ。
 そのかわりといっちゃナンだけど迷路内をキミ(あたる+ラム)の他にもおなじみのキャラクターたちがうろついていて、バッタリと出会っちゃうこともあるんだ。温泉マーク、スケバン3人娘、真吾なんてツウな連中もでてきて、まさにうる星ワールドってカンジ。そうした連中と、ときには仲良くしたり、ときには戦ったりしてうまくやっていかないと、了子ちゃんの待つゴールへたどり着くことはできないんだ。本来なら宝箱の中に入っているはずのアイテムをある人物が持っていってしまったり、もたもたしていると先にゴールされてしまったりと、こういうアイデアは新しいね。
 オマケに、このゲームでは、4とおりのマルチエンディングを採用。いかにも「うる星」らしいエンディングもあれば、アッと驚くエンディングも用意されている。一度ゲームを解き終えたあとでも、すべてのエンディングを見るまでチャレンジできるから、こういった配慮はやはりうれしい。
 でも、“マルチ・エンディング”っていっても今のAVGの場合、どうしても「ラストのところがちょこちょこっとちがう」って程度で終わっちゃうんだよね。この「うる星」でも、その感はぬぐえなかった。どうせなら、ゲームの中盤ぐらいからストーリーが大きく分かれてほしいとは思うんだけど、プログラム的な面を考えると、2、3本のAVGを作るのと同じ労力が要求されることになってしまう。マルチエンディングに関しては、AVGはまだまだ模索的段階にあると言えるだろう。
 まぁ、この『うる星』では、一番見るのが難しいエンディングは、ラストに<FIN>と表示されるから、そこんとこヨロシク!
 P.S.<FIN>のあとには、オモシロイものが···

これが画面割りだ!

ブルース・リーのお面をかぶった人を見て、ある人が叫びました「仮面はリー!」

話し相手やアイテム。まわりの状況などが表示されるサブのグラフィック画面。

メインのグラフィック画面。絵がコミックスからぬけでたよのがうれP!

コマンド表示部。もう1画面分あるので、見落とすことのないように。

このゲームの主役、テキスト表示部。150キロバイトにも及ぶメッセージが表示されるゾ!


プロローグ

「ごめんくださーい!」
 手紙の束をかついだ黒子が、諸星家をおとずれた。
「よー、黒子。久しぶり。」
 あたるは興味しんしんに応対した。
その横にラムがいる。
「了子お嬢さまのメッセージをおとどけにあがりました。」
「わっ、誕生パーティの招待状だ!」

 明日は私の15歳の誕生日。つきましては明朝10時より面堂部分館において、バースデイパーティを催します。
 余興として、楽しいゲームを企画しましたので、お友だちもお誘いの上、ふるってご参会ください。面堂了子

「なおゲーム優勝者には、了子さまから熱いキッスがおくられます!」
 黒子があたるにそっと耳うちする。
「かならず行くって、了子ちゃんに伝えて。」
 彼はにこにこ顔で答えた。
「うちもいっしょに参加するっちゃ!」
 ラムがあたるに飛びついた。

「優勝者にキッスだと? ゆるさん、ゆるさーんっ!」
 終太郎が了子にわめいた。
「やーね、おにいさまったら。じつの妹に嫉妬なさって…」
「するか、アホらしい!」
「そうだわ。トップのご婦人には、おにいさまがキスなさったら?」
「...ラムさんも参加されるのか?」
「鬼っ娘ですか? 諸星さまといっしょに来られます。」
 横から黒子が告げる。終太郎はひとしきり顔をほころばせて笑ったあと、急に真顔にもどって黒子に命じた。
「サングラス部隊をただちに分館前に集合されろ。」
「なにをなさるのおにいさま?」
「知れたこと、諸星をむかえうつ用意だ。明日こそやつを亡き者にしてくれる!」

 翌朝。面堂了子バースデイ・パーティの余興会場は、招待客でひしめいていた。
「みなさま、本日はようこそ。さっそく余興のご説明をさせていただきます。ゲーム趣旨はいたって単純分館大広間のパーティ会場にたどり着いていただくというものです。」
 黒子は簡単なあいさつを述べると、いきなり本題に入った。
「トップの殿方には今後一年間、了子さまのステディといて、親しい交際が許されます。」
「おお一っ。」男たちが期待にどよめいた。
「同じくご婦人には、若の熱いキッスがおくられます。」
「キャーッ。」今度は女の子の歓声があがった。
さらにパーティ会場には、豪華なお食事が用意されてます。
「やったー!」

 あたるとラムはやや遅れて到着した。南むきのどほんと構えた門をくぐる。余興スタート地点は熱気あふれていた。
「ダーリンがぐずぐずするからゲームの説明を聞くそこねたっちゃ。」
「どうせたいしたことあるまい。(ゲームの説明を聞かれてキッスのことがバレるとめんどうだからな。)」
「サクラや竜之介、わあ、コタツネコまでいるっちゃよ。」
 広場のそこここからは、ざわめきにまじってやるわ
“やるわ、やるわ。あたし、やるわ!”“がんばるぞー““負けるもんかっ”と意気ごむ声が聞こえる。
「なんだか、おもしろそうだっちゃ!」
 ラムがわくわくして言った。
「では、位置について。よーいドンッ!」
 “パパーン☆”黒子によって、スタートの合図が打ち鳴らされた。
「うわおぉーっ!」
 ”ドドドドドーッ”招待客たちはクモの子を散らすように、いっせいに思い思いの方向へ突進していった。さてさて、ひとくせもふたくせもある連中が繰りひろげるこのレース、果たしてどんな結末になることやら……!?  


面堂了子バースデイ・パーティー会場全景

 ジャーン!!これが今回のゲームの舞台となる、バースディ・パーティ会場の完全イラストマップだ!けっこう細かいところまで書きこんであるので、ゲームをプレイするときには、キミの大きな手助けになってくれること、まちがいない。落とし穴や階段、アイテム類にはとくに注意して会場内を歩き回ってみてくれ。
 ところで、コレはおそらくまだだれも知らないだろうと思うけど、じつは、このマップの中の迷路をよーく見てみるとある2文字が隠されているんだ。う~ん、このマップじゃ、ちょっとわかりにくいかな?ズバリ教えちゃおう、面堂終太郎を象徴する2文字「たこ」が隠し文字だ!左半分の迷路に「た」が、そして電飾魔境の周辺に「こ」の文字が確認できる(こんな書きかたをするとなんか心霊写真の中で「XXの場所に霊が見える!」ってノリの解説を書いてるみたいだね!。マップを作るときからこんな設定を考えてるなんて、ヤルじゃない!
 しっかし、面堂邸っていうのは、いったいどれだけ広いんだろうねえ。なにしろ、このバースデイ会場でさえ、あくまでもその庭の一部。だいたい庭の中にジャングルがあるなんてはっきり言って異常ですよ、あなた。こんな家を持ってたら、はたして面堂クンの相続税はいくらになるのかしらん?

 ここに掲載したコメント以外の文章は、マイクロキャビン社の許可を得て、ゲーム中にでてくるメッセージを小説風にまとめあげたものだ。しかも、提供していただいた設定資料も参考にしているので、容量の関係でゲームに入れることができなかった文章も含まれている。これを読んでAVG版「うる星やつら」の世界の奥深さを感じとってみてほしい。
 ただし、これがAVG版「うる星」のすべてだと思ってもらっちゃ困る。すべての内容メッセージをまとめあげようとしたら、それこそ「うる星」だけで1冊の本ができてしまうので、今回は適当におもしろそうな部分をかいつまんでみたつもりだ。もちろん、ゲームの解法に直接関係する会話表現は極力おさえてある。これ以上くわしいことは、ゲームのディスクの中で......ということにしておこう。とにかく、あらゆる場面で、あらゆるコマンド入力を試してみてほしい。意外なときに、おもしろいメッセージ・現象が見れることがあるゾ!

ダーリン、ステディってナンダっちゃ?

ゲーム中は、あるときをのぞいてほとんどあたるとラムでいっしょに行動することになる。
このスタート地点ではある物が手に入るんだけど、すぐには見つからないので、あしからず。

ラム「ここはスタート地点の広場だっちゃ。でも、もう誰もいないっちゃよ。」
広場はうっそうとした森に囲まれ赤土の地面には大勢の足あとが残っている。
あたる「これはサクラさんの足あとだ! 見よっ、この一分のスキもない足あとを。安定した重量配分、優美で洗練された美しい足形。絶対にまちがいない。」
ラム「あきれて、ものが言えないっちゃ。」
あたる「あっ、これはしのぶの足あとだ! わっ、こっちはランちゃんの! そーか、みんな来てるんだ。やったね!」
 あたるは指を鳴らして喜んだ。
ラム「うちは、いやーな予感がするっちゃ。」
 鼻すじにシワをよせて、ラムが言った。あたるはノドをはりさかんばかりの大声で叫んだ。
あたる「サクラさーん、好きじゃああああーっ!」
 すると、森から、急速に近づく“ずかずかずかずかずか”という足音があった。
サクラ「いきなり、なにをぬかすっ!」
 “ばきっ☆”
 森からだしぬけに現れたサクラは、あたるをひっぱたいてセッカンすると、再びゲームコースにもどっていった。
サクラ「まったく、いらん遠まわりをさせおって!」



まずはスタート地点で、受付の黒子に会っておこう。
黒子っていうのは、そういう名前の女の子だと原作を読むまで信じ込んでいたのは、ボクだけだろうなやっぱり。

 でかでかと『受付』と書かれたテーブルをカウンターがわりにして、道のかどっこに黒子が二人ちょこんとすわっている。学園祭の受付みたいだ。
黒子「これは諸星さま、よくおいでくださいました。では、招待状をおあずかりします。」
 黒子は招待状の提示を求めた。
あたる「招待状を? なんで?」
黒子「余興の一環ですよ。宝探しをしていただくんです。」
あたる「イッカン? 宝探し?」
 黒子は招待状を受け取ると、かわりに小さなメカをさしだした。
あたる「なんだ、これは?」
黒子「“宝箱探知レーダー”です。」
あたる「.....宝箱?」
黒子「はい。この迷路には、ゲームに必要な小道具が宝箱に入って隠されてまして。」
あたる「つまり、これで宝探しをしろとゆーことか。」
黒子「さようで。」
 黒子はうなずいた。



なぜか、かきねにうもれるようにして電話機が設置してある。ダイヤルも何もついていない奇妙な電話だ。
受話機を取ってみると、電話口にでてきたのは……。

ラム「ダーリン。これ、無線式のインターフォンだっちゃ。」
"RRR・・・・・・カチャ☆”
あたる「やっほー。来たよぉー、了子ちゃん。おまねきありがとう!」
了子「これは諸星さま。ゲームに勝って、私をうばいにいらしてくださいましね」
あたる「了子ちゃんのためなら火の中、水の中。たとえ、地獄の業火で焼かれていようと、はってでも会いに行くよ!」
了子「たのもしいお言葉ですこと。」
 了子は電話のむこうでコロコロと笑った。
“RRR・・・・・・カチャ☆”
終太郎「よく来たな、諸星!」
あたる「その声は面堂・・・・・・。なぜ、きさまがそこにいる!」
終太郎「心外だな。妹の誕生パーティに兄が出席するのをそのように言われては」
 終太郎は不敵に笑った。



「Welcome(ようこそ)」という看板が立ててあるスタート付近。おかしいぞ、面堂にしちゃあ、親切すぎる。
それもそのはず、この先は・・・・・・。

 密生した樹々のかきねに区切られた小道が、小道へとつながり、その小道はまた別の小道につながっている。
ラム「ダーリン、こんなところに
看板があるっちゃ。」
 通路わきの太い木に打ちつけられた案内ふだを見つけて、ラムが言った。
ラム「案内ふだには『Welcome』とあって、北向きの矢印が描いてあるっちゃ。うちら、歓迎されてるっちゃ!」
あたる「おかしい。面堂にしちゃあ、親切すぎる……………。」
ラム「終太郎はやさしいっちゃよ。ダーリンももっと終太郎と仲良くするっちゃ。」
あたる「それじゃ了子ちゃんと仲良くしてもいいんだな。」
ラム「それとこれとは話が別だっちゃ。」 



大きな穴が地面にポッカリと口を開け、男の集団を飲みこんでいる。
オヤ、あそこに見えるは、あたるの友だちの白井コースケじゃないかい!

あたる「落とし穴か。単純なワナにひっかかりおって。」
ラム「あわれだっちゃねー。」
 何人もの男たちが、道のまん中にあいた大きな落とし穴にひっかかっていた。脱落者の一団だ。コースケもいる。しかし、白目をむいて、のびており、ピクリともしない。
あたる「アホが。あせって、確認もせんとなだれこむからじゃ!」
ラム「ダーリン、みんなを助けないのけ?」
あたる「こんなに大勢、おれひとりじゃ、どーにもならんわい。それに、じき、黒子が救援にかけつけるだろ。」
ラム「ダーリン、仲間を見捨ててくのけ?」
あたる「とーぜん。勝負になさけは禁物だ!」
ラム「コースケ、かわいそうだっちゃ。」
あたる「ふん。競争相手がへって、セーセーするわ。」
 あたるは落とし穴のふちへ歩みより、底をのぞきこんだ。
あたる「(ふ・深いっ!)」
 落っこちたら、ゲーム脱落はまちがいなしだ。
あたる「(なんちゅーもんを作るんじゃ、まったく)」
ラム「わっ☆」
あたる「わわっ。」
 その瞬間あたるの背中にそーっとしのびよったラムが、大声で彼をおどかした。
ラム「ダーリン、おどろいたっちゃ?」
あたる「アホゥ、遊ぶんじゃない!」
ラム「エへ、ごめんちゃ!」
 ラムはペロッと舌をだして、てれ笑いした。



ゲームの基本画面とも言える迷路内のグラフィックがコレ。同じような絵ばっかりだから、道に迷わないように気をつけて!
こういった場面でも、会話メッセージやコマンド反応メッセージがちゃんと用意されてるのはウレシイ。

ラム「ダーリン。ステディって、ナンだっちゃ?」
あたる「おまえは知らんでいい。」
ラム「ダーリン、ケチだっちゃ! ねえダーリン、パーティのごちそうって、なにかな? うちの好物の、からしケーキやタバスコジュースなんて、あるかな?」
あたる「アホッ。そんなもん、あるわけないだろーが!」
ラム「残念だっちゃ。ねえダーリン、ステディって食べ物?」
あたる「食べ物...。あのなー、(まてよ、そう思わしておいたほうがいいな)ステディってのは、甘くって、とってもステキなもんだ!」
ラム「うーん、楽しみだっちゃ。」



レーダーというアイテムを持っていると、宝箱を見つけることができる。
だけど、あいにく最初の宝箱はカラッポ。一体ダレが中身を持っていってしまったんだ!?

 レーダーが反応を示していた。
ラム「地面からだっちゃ。」
あたる「(うししっ。ステディになれば、了子ちゃんをひとりじめできるぞ。やったね!)」
 あたるは、了子の祝福のキッスを想像して、期待に闘志を燃やした。
ラム「にやにや笑いなんかして、ダーリン、気味が悪いっちゃ!」
 さっそくあたるが穴を掘る。だが、宝箱はからっぽだった。
あたる「くそっ、遅かったか!」
ラム「だれかに先を越されたっちゃね。」
 何も知らないラムが、少し不満そうに言った。

必殺β作戦!くらえ、諸星い!!

ときどき、画面が一転して、ゲームコース管理制御室の中をうつしだすことになる。
面堂と黒メガネ部隊の会話や了子ちゃんの反応はとってもユニーク!ホントに原作を読んでるみたいだネ。

終太郎「β作戦はどうだ?」
 終太郎がサングラス部隊に戦果状況を確認した。
サングラス「はっ。四名がひっかかり、すでに戦線を離脱しております。その中の一名、錯乱坊はひとりで10個を一気食いしております。」
終太郎「ふっ、おろかな!」



通路の真ん中に置いてあるテーブルとケーキ。なんだかイヤな予感がする。
ま、一度食べてみれば、わかることでっしゃろ。

 青と緑がおりなす混乱のイリュージョン。同じような道、同じような景色、同じような感覚。かつて、いつか、前に、どこかで、きっとおそらく。でもわからない。ただひとつ確かなこと、通路のまん中に置かれたテーブルとケーキ。

あたる「なんだこれは? これでは通行の邪魔ではないか!」
ラム「通行がどーこーの問題じゃないと思うっちゃ。なんだかおかしいっちゃ。ダーリンは、ケーキがこんなところにあること自体、変だと思わないのけ!」
あたる「誕生パーティにケーキがあって、どこがおかしい!もらえるものは、もらえるときにもらっておく。それがオレの方針だ!」
 あたるはケーキを手にして、手前勝手な論理をふりかざした。

ラム「もう、いやしいっちゃね!」
ラムが不満気な顔をした。



まず第一の難関が鉄柵の場面。ここの扉を開けるためには、特殊なカギを使わないとダメなようだ。
カギはある人物が持ってるゾ!

 びっしりと生いしげる樹々のかきねに左右をはさまれた小道が、東西にのびている。しかし、かたく閉じた鉄の扉が、東への通行をはばんでいる。
ラム「ダーリン、これ見るっちゃ!」
 ラムが門扉の右はしで、あたるを手まねきした。
あたる「......あっ、ちきしょう。カギがかかってるのか!」
ラム「だっちゃ。」
 扉は掛け金で、支柱にがっちりと固定されている。
ラム「この門を見てると、うち、動物園に入れられてるよーな気がするっちゃ。」
 たしかに下半分だけを見てれば、扉はオリも同様だった。
あたる「なあ、ラム。オレをかかえて、オリの向こうに運ばんか?」
 あたるはバカ高い扉を見上げたまま、さりげなく、ラムに尋ねた。
ラム「だめだっちゃ、ダーリン。それはズルとゆーものだっちゃ。フェアじゃないっちゃ。」
 ラムが子供に教えさとすように、あたるをいましめた。
あたる「おまえ、ごちそうを食べたくないのか? 早くしないと、みんな食われてしまうぞ。」
ラム「かまわないっちゃ。うちはダーリンと一緒にいられれば幸せだっちゃ!」
 ラムは明るく力いっぱい元気に答えた。
あたる「いいかラム。」
ラム「ダーリン、そんなにうちに借りを作りたいっちゃ?」
あたる「.........」



β作戦、鉄柵門を突破したものの、面堂のワナはまだまだつづく......。
了子ちゃんもあいかわらず、ちょっぴりプッツンした過激なセリフをのたまわってくれる。
このゲームで、彼女は何度も救いの手をさしだしてくれるんだ。

サングラス「今、諸星さまが鉄門を通過しました!」
了子「さすが諸星さま!」
終太郎「だが、勝負はまだこれからだ。ふっふっふ。」
 モニタースクリーンを見守る終太郎には、心なしか余裕が感じられた。了子にはそれが納得できなかった。
 そんなとき、了子のもとに黒子が駆けつけ、彼女に耳うちした。
了子「なんですって? ······おにいさまのしわざだわ、なんて汚ない!」
 了子は終太郎をキッとにらみ、小さいがきびしい声で黒子に命じた。
了子「至急かわりの通路を掘りなさい。そして、例のものを諸星さまに!私の誕生パーティを、おにいさまに邪魔されてなるものですか!」



「どわっ!」「ちゃっ!」
 “ぼそっ☆”落とし穴に落ちたと思ったら、そこにはベルトコンベアが。
これを使わないと行けないエリアなんていうのもある。地上にでたら、ラムちゃんに現在位置を確認してもらおうね!

 “きゅるきゅるきゅる”地下ベルトコンベアが二人を運ぶ。
あたる「な・なんだ、これはー!」
ラム「ベルトコンベアだっちゃ。」
あたる「それくらい知っとるわい。なんで地下トンネルがあって、ベルトコンベアが走ってなきゃいかんのだ!」
ラム「うちに聞くのは、おかどちがいとゆーもんだっちゃ。わあ、おもしろいっちゃーっ!」
あたる「......おまえ,適応性があるな。」
 “ぽんっ☆”あたるとラムは地中からほうりだされた。

GAMEOVERその1:面堂邸脱出

 いきなり門から外にでてゲームオーバーになってしまわないように!でも、キレイなグラフィックが見れるから、これも一度は試してみるといいかも。

 二人は、あきれるほど“でん”とかまえた重厚な大門をくぐりぬけた。
あたる「......ここはどこだ?」
ラム「面堂邸の外だっちゃ。ダーリン、失格したっちゃ!」
あたる「そ・そんな。了子ちゃんっ!」
ラム「あきらめて、今日はうちとデートするっちゃ。」

GAMEOVERその2:落とし穴

 迷路のそこらじゅうにある落とし穴。ここに落ちると、一気にゲームオーバーになってしまう。しっかりと場所を覚えておこう。

“ぐわちーん☆”
 あたるは落とし穴の底に頭からもろにつっこんだ。
終太郎「諸星、思い知ったか! わはははははっ。」

どーやったらここからでられるの、あたるくん?

迷路の中の2か所にある謎の砲台。あるアイテムを使って、コレを撃ちあげると・・・・・・。
でも、今はまだムリ。隠れ区画でそのアイテムをもらってから、もう一度やってこようね。

 道のまん中に真上を向いた鉄製の太い大砲があり、大きな脚部で大地にしっかりと固定されている。
ラム「ダーリンはなんだと思うっちゃ?」
あたる「おれが知るわけないだろう!」
ラム「ねえダーリン。この大砲、なんで真上を向いてるっちゃ?」
あたる「下を向かんからだろ。」
ラム「どーしてこんなところに置いてあるっちゃ?」
あたる「他に置き場所がなかったんだろ。」
ラム「納得できないっちゃ!」
 あたるがあることをしたとたん、大砲から火玉が尾を引いて打ち上がり、空高くで破裂して、美しい色文字を形作った。
“しゅるしゅるしゅうう、どっかーん、ばらばらばぁ☆”
『ハッピーバースデイ、了子!』
あたる「こっとるなー!」
ラム「きれいだっちゃー!」
 会場中の人々が注目し、それに見とれた。大砲は、仕掛け花火の打ち上げ機だった。



しのぶが迷いこんでいるこのエリアから脱けだすためには、いかにもそれらしい鋼鉄の壁をクリアするしかない。たれさがっている3本のひもがなんとも気にかかるなあ。
いずれにせよ、一度データをセーブしておいたほうが良さそうだ。

 鋼鉄の壁が通路をふさいでおり、その横にひもが3本たれさがっている。道はまだ続いている。

ラム「うーん、問題だっちゃ!」
 鋼鉄の壁の横には、赤黄青の3本のひもがたれさがり、その先は途中でから車によって方向をかえて、樹々のしげみの中へ消えている。
ラム「うちが察するに、この3本のひものうち、いずれかを引っぱれば、この壁は通行可能になると思うっちゃ!」
 あたるは赤ひもをそうっと引っぱった。
"つつつ......ぱらっ☆”
あたる「な・なんだぁ!」
 馬鹿にしたように「はずれ」のたれまくがさがった。



やっとの思いで宝箱を見つけた。これでこのエリアから脱出することができるのだ! ちなみに、ここに脱出口を作っておくと、今後、しのぶが別のエリアにも登場するようになるんだ。
登場キャラの移動までしっかりと設定しておるあたりサスガ!

 宝箱の中には、小さな赤い突起があり、そのプレートにPUSH(押す)と書いてある。
あたる「なんだこれは?」
ラム「きっとなにかのスイッチだっちゃ。プッチン、だっちゃ!」
 ラムが宝箱のボタンを押した。すると、通路はじの地面が静かに横すべりして、逆に、地下地下へおりる抜け穴が現れた。抜け穴は直径2mほどで、ハシゴでおりられるようになっている。だが、底は暗くて見通しがきかない。ハシゴは、古いがしっかりとした木造のもので、大きなビスによって、石の壁にがっちりと固定されている。まず、あたるがハシゴをくだり、つづいて、ラムが舞いおりる。二人は地下へ向かった。

GAMEOVERその3:担架

 どんなに重傷を負おうと死なないのが、あたるのいいところ。しっかし、眠っただけでこんな姿にされるってのは、納得いかないなあ。
了子「ごきげんよう、諸星さま......。」

地下道のランプをつけてないと、このとおり、あたりはマックラ。このまま地下道内を歩き回ると恐しいワナに引っかかってしまうこともある。
エッ、ランブを持ってないって?もう1度、鉄柵扉の近くでレーダーを使ってみてごらん(はじめからやり直したほうが早いかもね)。

逆に、地下道の中でランプを消そうとすると、ラムに怒られてしまう。こんなグラフィックまで用意されてるなんてプログラマーの凝りようがうかがえますなあ。

地下道の中はそんなに広くはない。ただし、ワナも仕掛けられているので、気をつけるようにしよう。地下の1マスと地上の1マスは同じサイズだから、地道内のマッピングはラクだと思うヨ。

2回目の鋼鉄の壁。ここでは、さっきと同じ方法は使えない。とにかくいろいろな物を注意深く見ること、これに尽きる!



 森を東西につらぬいて走る小道を、高さ5mのぶ厚い鋼鉄の壁がさえぎり、通行をはばんでいる。その表面に足がかけられるような凸はまったくなく、よじ登ることは不可能だ。
ラム「ダーリン、これ見るっちゃ!」
 通路右側でラムが呼んだ。
ラム「あやうく見のがすところだったっちゃ。」

宝箱の中には、こんなフザけたのが入ってたりもする。せっかく苦労してここまできたってのに、何てこったい!
まあ、余興なんだから、怒らない、怒らない。今の道をすぐに引き返しましょう。

 レーダーが反応を示していた。
ラム「地面からだっちゃ。」
 さっそく、あたるが穴を掘る。
あたる「あった!」
 ひときわ大きな宝の箱だ。“ぶぎゅるっ☆”開けた瞬間、中からカウンターパンチが飛びでて、あたるのアゴを打った。
ラム「びっくり箱だっちゃ!」
ファイトと書いてあった。
ラム「ここの宝箱はびっくり箱だったっちゃ。」

GAMEOVERその4:地震源

地雷を踏んづけちゃうと、ホラ、このとおり。「ちゅどーん」って凝音は、ラムが料理を作るときにもよく使われてたっけ。
オペレーター「若っ、諸星さまが地雷源地帯に入りました。」
 ゲームコース管理制御室オペレーターが、興奮して終太郎に告げた。
オペレーター「まもなくです!」
 “ちゅどーんっ☆”その瞬間、監視モニターの密林に大きな火柱がふきあがった。

α作戦─イヤな予感がする。だっちゃ!

終太郎「諸星はどうだ?」
 ゲームコース管理制御室にて、終太郎がサングラス部隊に尋ねた。
サングラス「はっ。了子さまの仕掛けられたワナをたくみにかいくぐり、X地点にむかっています。」
終太郎「よし、やつの退路をふさげ。これより、α作戦を実行する!」

α作戦というのは、彼女たち、水着の女の子のこと。このゲーム内にでてくる唯一のオリジナル・キャラなわけだ。
でもね、美しいバラにはトゲがあるなんて良く言うでしょ?
鼻の下をのばさないでね。あたるくん!

 あたるの足元にピーチボールが転がってきて、つづいて、3人の水着の女の子が現れた。
女の子「すみませーん。そのピーチボール、取ってくださーい!」「お願ーい!」
 彼女たちは二人に気づくと、明るく手をふった。あたるはビーチボールをひろいあげた。
女の子「わあ、すいませーん。」「こっちにお願ーい!」
ラム「ダーリン。一応言っとくけど、うち以外の女の子にチョッカイだしたら、電撃だっちゃ。」
 ラムの目はツリあがっていた。しかたなくあたるは、意味もなくゴムガッパのエリを立ててはおり、ななめにかまえてポーズをとった。
あたる「ふっ。」
女の子「きゃあ、しぶいわぁ☆」「すてき。男の哀愁だわ。」「感じちゃう!」
 その姿に、女の子たちが歓声をあげて、日々にほめそやした。勢いに乗ったあたるは、つづいて、意味もなくランプをつけた。
女の子「ちょ・ちょ・ちょっと......。あの人、このまっ昼間にランプなんかもしてるわよ。」
「なんのつもりかしら......。いや、あたし。ヘンタイなんかにかかわるの。」
「話がちがうじゃない!」
 女の子はしりごみして、ひそひそと相談しあった。

──〇──〇──〇──〇──〇──〇──

サングラス「若っ、作戦は失敗です。諸星さまは女の子に目もくれません。どうやら、気づかれたようです!」
終太郎「おのれ、こしゃくなっ!」
了子「おにいさまより一枚上手でしたわね。おほほほ。」

面堂の陰によって、迷路の道の1か所が、鋼鉄の壁によって塞がれてしまった。
このあとは、地下通路を使わないと、他のエリアとの行き来ができなくなってしまうんだ。 
この壁はダミーなので、いつまでもかまっていないこと!

 すき間なく生いしげる樹々のかされにはさまれた小道が、東西にのびている。だが、今、あたるたちの行く手を厚い鉄の壁が立ちふさいでいた。
ラム「おかしいっちゃ。前ここはたしか、通れたはずだっちゃ!」
あたる「ラム、やったれ!」 
 あたるが命じた。
ラム「ちゃっ!」
 “ドバババババッ☆”ラムはそのカミナリで鋼鉄の壁を撃った。だが、壁は壊れるどころか、ゆらぎさえしない。

GAMEOVERその5:α作戦

 面堂が仕掛けたワナ、α作戦にまんまとハマると、アッという間にゲームオーバーになってしまう。女の子だとついついアマくなっちゃう人(決してボクのことではない)は、気をつけてネ!

あたる「じゃあ、はい、これ!」
あたるはピーチボールを女の子に手渡した。
女の子「わあ、すいません!」「ありがとう!」「なんて、お礼を言ったらいいのかしら!」
“ばきっ☆”“どこっ☆”“ばかっ☆”“ばしっ”どすっ☆”
 水着の女の子に近づいたとたん、あたるはふくろだだきにあった。
ラム「······自業自得だっちゃ。」



ラム「だめだっちゃ。かたくて、ビクともしないっちゃ!」
あたる「あけろっ。バカヤロー!」
 “がんっ☆、がんっ☆、がんっ☆”
 あたるは道をふさぐ鋼鉄の壁にこぶしをくれた。だが壁はびくともしなかった。
あたる「くっそー、痛テテテ……。」
 あたるが赤くはれた手をかかえ、うずくまってうなる。
ラム「それくらいじゃ、とてもその壁がやぶれないっちゃ!」
 ラムはあっさり言った。
ラム「この道はもう通れないっちゃ。Uターンして、他の道を探したほうがいいっちゃ。」

迷路内の2か所にある階段、これが地下通路への入口だ。 
地下通路は3地点を結んでいるので、うまく利用してみよう。

 からみあって茂る樹々に三方を囲まれ、道はここで行き止まりになっている。しかし、その隅には地下に通じる階段がある。
ラム「西へ行くか、地下へおりるか、道はふたつひとつだっちゃ。」
 あたるは、そのすぐうしろにラムをしたがえて、一段一段ゆっくりと階段をおりていった。

さーて、これが問題の地下道のワナだ。目の前にロープがピンと張ってあるわけだけど、触れるとどうなるか、だいたい想像がつくよね。 
こんなトラップは、無視するのが一番!

 地下通路、曲がりかど。ここで東と南におれている。そして、細いが火夫そうなヒモが。地上20cmほどのところを、壁からもう一方の壁へびんとはり渡してある。
ラム「なんだっちゃ、これ?」

“おにいさまの・・・”が脱出のヒントでございます。

地下道の中で手に入れたアイテム、カードを良く見て指定されている場所に行ってみよう。そこが噂の隠れ区画なのだ!
冗談まじりの合い言葉をとなえると中に入ることができるゾ!

あたる「カードの指定場所はここだな...。」
 あたるはひとつセキばらいをすると、大きく息をすいこみ、一字一句まちがえないよう細心の注意をはらって、できるかぎりの大声で合い言葉を叫んだ。
あたる「“わーん、暗いよ一っ、せまいよーっ、こわいよーっ!”」
 彼の声は会場中にひびきわたった。
 そのとたん、東側のかきねが地面ごと回転して、あたるとラムをのみこんだ。
 “くるっ、パタン☆”
隠れ区画の中でもらえるアイテム、スイッチャーは、ものすごく重要。
秘密の入口を出現させるときや、××を打ちあげるときに使うのだ。

黒子「合格です。」
 黒子が陽気にあたるたちをむかえた。
あたる「ここはどこだ?」
黒子「はい、チェック・ポイントです。」 
 四方を樹々のかきねに囲まれた。隠れ区画だった。
黒子「がんばりましたね。諸星さま。今のところ、あなたがゴールに一番近いですよ。」
 黒子がほめた。あたるはそれに重々しくうなずく。
あたる「了子ちゃんのステディがかかっているからな。」
黒子「了子さまも早く奪いに来てほしいと申されておりました。」
ラム「奪う?」
 となりでラムがマユをしかめた。
黒子「では、“スイッチャー”をどうぞ。」
 黒子が筒状の小物をあたるに手渡した。
黒子「迷路からの脱出口を呼びだすリモコンスイッチです。」
あたる「脱出口? どこにあるんだ。それは?」
黒子「あれ? 歩いてて、お気づきになりませんでした?」
 黒子は質問に質問で答えた。
黒子「おにいさまの......」
あたる「なんだ、それは?」
黒子「脱出口のヒントなんですが、おわかりになりません?」
ラム 「おにいさまの······のどこがヒントだっちゃ?」
黒子「一種の合い言葉みたいなもんです。たとえば、"山”と言ったら?」
ラム「“海”!」
 ラムが元気に答えた。黒子は困ってウーンとうなった。
黒子「とにかく、迷路を歩きまわっていれば、そのうちに答えが見えます。」
 黒子は楽天的に言った。



二つ目の大砲も忘れずに打ちあげておこう。この二つの大砲はフラグになっていて、両方とも打ちあげておかないとある場所が通れないんだ。
ま、大砲を打ちあげることによって、時間が経過するとでも言ったらいいかな。

 大砲から大玉が尾をひいて打ち上がり空高く破裂して、美しい色文字を作った。
“しゅるしゅるしゅるぅぅ、どっかーん、ぱらぱらぁ☆”
「わーん。くらい、せまいよ! こわいよーっ!」
サングラス「ただ今、打ち上げられたのは、諸星さまです。」
了子「まあ、さすがですこと!」
 了子がゆかいそうに笑った。
終太郎「うおのれぇー!」
 終太郎がくやしがった。

GAMEOVERその6:オリ

 面堂のワナにハマッて、あわれオリに閉じ込められてしまった2人。レインボーマンの月の化身なら、ここからぬけだすことができるのに(わかるかなあ?)

“がっちゃーん☆”
あたる「わっ!」
ラム「ちゃっ!」
 地上に飛びてたとたん、オリが落っこちてきて、二人をとじこめた。
あたる「だせーっ!あけろーっ!ばかやろーっ!」

諸星さま、了子の秘密兵器を受けとってくださいまし。

ひさしぶりにスタート地点の受付にきてみると、そこには了子ちゃんからの贈り物が。
ヤヤッ、コイツは面堂がネコ(タコ)ッかわいがりしている菊千代じゃないかい!

黒子「諸星さまに、お嬢さまから届きものがきてますよ。」
 黒子がテーブルの下をさぐりながら言う。
黒子「秘密兵器だそうです。」
あたる「これがか?」
 意外な品に少々とまどって、顔を見合わせる。彼が受け取ったのは、一匹のタコだった。
あたる「秘密兵器? このタコが?」
黒子「はい。有効にお使いくださいとのことです。」
あたる「了子ちゃんがか?」
黒子「もちろん!」
あたる「よくわからんが、よっくわかった!」
黒子「そうそう。若が、なにかたくらんでるようですから気をつけたほうがいいですよ。」
 黒子が警告した。
黒子「ご武運を祈ります!」



面堂邸の家紋にもなっているタコの噴水。ここでノドをうるおそうとするものなら・・。
でもここに最終エリアへ進むための秘密の入口があったりするんだ。
この場面を通過するには、3種類の方法があるんだけど、長い目で見れば正解と言えるのは1種類だけ。わかるかな?

 視界をはばんでいた樹々がとされ、突然、二人の前に中庭が広がった。
ラム「ダーリン、タコの噴水だっちゃ!」
 豪快な水しぶきに。ラムがはしゃぐ。芝生と樹木がとりかこむ、美しい噴水庭園だった。噴水には大きなタコの像(タコは面堂家の家紋なのだ)が建ち、口から滝のような流水を噴きだして、豪快に水けむりをあげている。そして、その水面下を何匹ものサカナが優雅に泳ぎまわっていた。
ラム「わー。このサカナ。すごく歯ならびがいいっちゃ。」
 ピ・ピラニアだっ!噴水にはなたれたピラニアはその数、数百。水面下を雄然かつ、ふてぶてしく泳ぎまわっている。
 うかつに入れば、ものの数秒で骨にされてしまうだろう。



ピラニアを処理して階段を降り、秘密の地下道に潜入した。
どんなにオドロオドロしい場所でもラムとあたるの会話があると楽しく思えちゃうから不思議だね!

 あたるはランプのほの暗い明かりの中で、あたりを見まわした。石造りの堅牢な地下トンネル。幅は3m、高さ2m半ほどだろうか。広くはないが、人が行き来するには十分な大きさだ。
ラム「ダーリン、あっちになにかあるっちゃ!」
あたる「どっちだ? こっちか?」
ラム「あっちだっちゃ。」
あたる「だから、こっちだろ!」
ラム「こっちってどっちだっちゃ?」
あたる「こっちはこっちに決まっとろーが!」
ラム「もう、じれったいっちゃね!」
 ラムがあたるの頭をつかんで“あっち”に向かせた。
あたる「......なんと明かりではないか。」    
 西のほのかな光が見てとれた。



本来ならば、この扉が出口へと続いているはず──
しかし、用意周到な面堂は、ここにもちゃんと手をまわしているのであった。
ためしに、あのアイテムを持っている人は、鍵を開けてみるといい。まったく、なんてこったい!

 石造りの地下通路。道はここでとされて、行き止まりになっている。だが、北側の壁には、背の高い大きな扉が、ランプの暗い光に照らしだされていた。
 扉を見てみると。厚みもかなりあり古いががっしりとしている。作りがいいのも困りものだ。扉には鉄のささえ板が斜交いにとめられていて、その左はしには金属製の取手がついていた。
ラム「どう、あくっちゃ?」
あたる「だめだ、ビクともせん。カギがかかっとる!」
 取手の下には、これまた大きなカギ穴があった。



ヤヤッ。この黒子たちは何をしているんだ?(了子&黒子)vs(終太郎&黒メガネ部隊)という図式から考えると、ひょっとして......?

 カンテラのほの暗い光の下、黒子がシャベルやツルハシをふるって、せっせ穴掘りをしている。手前には、『ただ今、工事中」のフダがぶらさがっていた。
黒子「あっ、諸星さま。」
 黒子があたるの声にふりかえった。
あたる「どーしたんだ。これは?」
黒子「はい、了子さまのご指示で。申しわけありませんが、もうしばらくお待ちください。」

──〇──〇──〇──〇──

 “ぐわきんっ☆”バラバラ……。黒子が最後のひとふりをくわえると、石壁が一気につきくずれ、横穴は再び地下通路とつながった。
黒子「これは諸星さま。ちょうどよいところへ。」
あたる「いったい、どーゆーことなんだ?」
黒子「はい、じつは......。」
 黒子があらましを説明した。
あたる「ぬあにー、面堂の陰謀?」
黒子「はい、若は出口をコンクリートづめにして封鎖し諸星さまら殿方が全滅したあと、ご夫人の方々だけを会場にまねかれるつもりだったようです。でも、ご安心を。たった今、抜け穴が開通いたしました。」
 穴は石の壁をぶち抜いて、再び地下通路に抜けていた。
黒子「じゃわれわれはこれで! ここを東に進んで、階段をのぼれば、ゴールはすぐそこですからね。」
 黒子はテキパキと能率よく作業のあとかたずけをすませ、ペコンとおじぎして去っていった。
オペレーター「諸星さまが出口前に到着しました!」
 監視オペレーターが報告した。
終太郎「ぬわんだとーっ!だが、あそこはコンクリ……………了子、おまえだな!」
了子「かわりの抜け穴を掘っただけよ! おにいさまが単怯なんだわ!」
終太郎「おまえを諸星という毒牙から守るためだ。兄の、妹を思いやる心がわからんかっ!」
了子「これは私の誕生パーティーよ!」
 了子はブンッと横を向いて、無視した。



黒子たちが握ってくれたトンネルを抜けると地上にでるための階段が2か所にあった。
どちらを選ぶかこれが運命の分かれ道。一度ぐらい失敗するのもいいだろう。
人間は失敗をくり返して成長していくのだ(あたるにもあてはまるのかなあ?)。

ラム「ダーリン! あっちにも階段があるっちゃ!」
 道路の束をのぞきこんで、ラムが言った。

ラム「きっとこの階段が出口だっちゃ!」
あたる「じゃあ、むこうの階段はなんだ?」
ラム「あっちも出口だっちゃ!」
あたる「あーのーなー。」

決戦!あたるVS終太郎だっぴゃ!!

オペレーター「諸星さまが出口階段を一気にかけあがります。ダントツです!」
 監視オペレーターが興奮気味に告げた。
終太郎「おのれー、ゆるせんっ!」
 終太郎が日本刀を手に立ちあがった。
了子「おにいさま。どちらへ?」
終太郎「知れたこと、トップの諸星をたたっ斬ってくるのだっ!」

「諸星、覚悟ーっ!」面堂とあたるが戦っている間に、ラムが真吾にさらわれてしまった。どうやら真吾はラムと夫婦の契りを結ぶつもりらしい。
なんだかんだいっても、あたるはやっぱりラムを愛している。さあ、面堂を倒してラムの救出に向かうのだ!

終太郎「諸星、覚悟ーっ!」
 奇声とともに、終太郎が太先するどく斬りこむ。
あたる「なんの。むん!」
 “はっし☆”あたるはそれを真剣白刃どりで受け止めた。
あたる「これは誰かと思えば、無筋操でスケベで執念深く。女性に近づくためならどんな卑怯な手段でも使う。顔無恥な面堂じゃないか!」
終太郎「きさまにそうまで言われるおぼえはないっ! 絶対にきさまに了子は渡さんっ! たとえボクの命にかえても!」
あたる「では、その命、おれがもらい受けよう。」
終太郎「おのれ、あくまでも了子につきまといおるか!」
 するどい視線が両者の中央で散った。
 ラムが終太郎に尋ねた。
ラム「了子を渡すの渡さないのっ、なんの話だっちゃ?」
終太郎「じつはこのパーティ、誕生会に名をかりた子のボーイフレンド遊びなんです。」
ラム「じゃあ、ステディって・・・・・」
終太郎「そう、恋人のことです。」
ラム「ダーリン、どーゆーことだっちゃ!」
 ラムがあたるの頭をつかんで首をひねり、語気あらく尋ねた。
ラム「ステディっておいしいお菓子じゃなかったのけ!」
あたる「それは勝手におまえが思いこんでただけだ。ステディが食いもんだとは、一度もゆーとらんっ!」
 あたるは真剣白刃どりしながら答える。
ラム「恋人とも言わなかったっちゃ。うちはくやしいっちゃー!」
終太郎「ラムさん。危険ですから、離れていてください。」
ラム「だいたい。ダーリンはうちをどう思っているっちゃ。うちはこんなにつくしてるってのに。」
あたる「おれは、おまえのそのおしつけがましさが、気にくわんのだ。」
ラム「くやしいっちゃーっ!」
 ラムがあたるにつかみかかった。
終太郎「ラムさん。お願いですから、そこをどいていてください。真吾っ!」
真吾「はっ、若」
 “すたっ”終太郎が名を呼ぶと、ひとつの黒い影が現れた。御庭番だ。
終太郎「ラムさんを“安全なところへお連れしろ!」
真吾「さっ、ラム殿。」
 真吾がラムをはがいじめにして、あたるから引き離した。
ラム「な、なにするっちゃ! うちは今、とりこみ中だっちゃ!」
真吾「若のゆるしで申した。さっそく祝言じゃ!」
 真はラムを抱きしめた。
終太郎「ちょっと待て、いつ、僕がそんなことを……………!」
あたる「きさま、こりもせずにスケスケと!」
ラム「祝言だなんて、とんでもないっちゃ。うちにはもうダーリンがいるっちゃ!」
真吾「照れおって、ういやつ………………。」
 アホにはてんでききめがない。
真吾「されば、いざ、二人の新居へ。」
ラム「ダーリンっ!」
あたる「ラムっ!」
終太郎「ラムさんっ!」
 真吾はラムを抱きかかえ、南に立ち去った。ラムは連れ去られた。

はっはっはっ、電飾魔境では拙者の天下じゃ!

面堂を倒してからやってきた、つぎなる舞台は、面部の中にある謎の地域、電飾魔境。
ここの植物は、すべて電気を帯びているので、いくらラムで鍛えられているあたるでも、生身の体で踏み込むとキケンだゾ。

 緑が急に濃くなり、あたりは雑然としている。人の手が加わることなく人り乱れてる樹々が、ところかまわずその枝を広げ、雑多な野草が地面をおおっている。すでに道と呼べるものはなくなっていた。
 東に広がる森林は、植物層があきらかに異常だった。熱帯雨林のジャングルで、しかも電球の実までつけている。
あたる「電気魔境・・・・・・!生身のままじゃ、身がもたんな。」
 電球野菜の開発中止のために放棄された画堂家の裏庭だ。
電境の中の難関その1.コイルツタ。絶縁帯を身につけていても、コイツらの激しい電撃はビリビリと伝わってくる。この植物たちに弱点はないのか?

 突然、地面をはうツタがあたるの足をすくい。生き物のように身体にからみついた。そして、すさまじい電撃っ!
“パリパリパリッ☆”
あたる「ぐぬぬぬ....!」
 あたるは苦しさにうめいた。コイルツタはヘビのようにうごめいて、あたるをしばりつける。そこに流れる高圧電流は、ぶ厚いゴムガッパを通してなお、それはするどい衝撃となって伝わってくる。
あたる「(このままでは身体がもたん。なんとかせねば......)」
 あたるは、かすむ目でまわりを見た。そして、一条の光明をとらえた。
あたる「コンセントっ!」
 あたるは祈る思いで腕をのばした。だが、コイルツタに邪魔されて、思うように動けない。
あたる「コンセントでなくていい。電気コードにとどきさえすれば………………。」
 高圧電流が容赦なく、あたるをうちのめす。だが、あたるは苦しさに耐えて力をふりしぼった。
あたる「たのむ、とどいてくれ!」
 あたるはもがきにもがいたが、どんなにがんばっても、届かなかった。
あたる「だめだ。どーにもならん!」
 あたるはあきらめた。

道をふさいできた真吾を、あるアイテムを使って倒し、電環境のはずれでようやく見つけた真吾の家。
この中にラムが捕えられているにちがいない。さっそく突入せよ!

 頭上をおおっていた枝がとぎれ,あたるの前に小さな空間が広がった。そこには1本の大木が地面をはうようにのびておりその太い幹の上に丸木小屋が建っていた。真吾の小屋にちがいない!
あたる「ラムっ!」
 あたるは丸木小屋にむかった。

あたるとラムの感動の再会!あたるのラムに対する愛を示す。
ストーリーのポイントとなる場面だ。ラムを助けだしたあとの、あたるの照れかたが、じつに原作っぽい。

“ぱんっ☆”
 あたるは小屋にかけこんだ。
あたる「ラム! 無事か?」
ラム「ダーリンっ!」
 ラムが表情を輝かせた。
ラム「ダーリン。やっぱり助けにきてくれたっちゃね。うちは絶対にきてくれるって信じてたっちゃ!」
 ラムはコイルツタのナワでしばられ、身動きをふうじれていた。電気ではコイルツタは焼き切れないのだ。
ラム「ダーリンっ!」
“がばっ”
 あたるがナワをほどくと、ラムが抱きついて大はしゃぎした。
あたる「ア・アホ、べたべたくっつくんじゃない。」
ラム「こんなところに長居は無用だっちゃ。早くでるっちゃ!」
 ラムがあたるの腕を取ってせかした。

了子ちゃん、お待たせっ! 諸星さま、ラストキッスは頬にして♡


さてさて、マルチエンディングのポイントとなるのが、ラムと一緒にゴールするかどうかということだ。
ラムを助けだしたあとでも、ふりきってゴールすることができるんだ。
だけど、もたもたしてるとエンディングが変わっちゃうので注意!

 電節魔境をぬけて、安全圏に達すると、あたるはコホンとひとつセキばらいして、おもむろに空を指さした。
あたる「あっ! あれはなんだっ!」
 “さっ☆”
 不意をつかれて、ラムが目を離したスキに、あたるは脱兎のごとく逃げだした。
ラム「ダ・ダーリンっ!」

この迷路で最後の難関が、コワそうなサングラス部隊。彼らは面堂直属の部下だから、そうやすやすとはあたるを通してくれない。
もっとも、彼らは意外と柔軟な発想の持ち主で・・・・・。この場面は2とおりのクリア方法があるヨ。

 分館前はロータリーになって中央のだんをはさんで、東まわりと北まわりにわかれている。
サングラス「こら、あやしいやつ。止まれっ!」
 サングラス部隊があたるの前に立ちふさがった。
サングラス「これは諸星さまいらっしゃいませ。」
あたる「こんなところでなにしてるんだ?」
サングラス「了子さまのバースデイパーティーの警護ですよ、若の命令で」
あたる「ただの警護にしては少しものものしいな」
 タモアミを持ってしげみをさぐるサングラス部隊が何人もいる。
サングラス「はい、菊千代さまが行方不明でしめ・・・・・・。手のあいてる者を総動員して捜索しているのですが、まだ見つからないのです。」
あたる「道を通してくれ。了子ちゃんに招待されてるんだ。」
サングラス「それはなりません!諸星さまは通してはならぬとの、若のご命令です。若の命令は絶対です!」
あたる「おれは了子ちゃんに招待されたんだぞ。その招待客をしめだすってのか!」
サングラス「お通ししたいのはヤマヤマなんですが、若のいいつけでして、われわれの立場もさっしてください。」
あたる「面堂と了子ちゃんの板ばさみってわけか……..。でも、見つからなければいいんだろう?」
サングラス「それはまあ、そーですが…………。」
あたる「了子ちゃんの機嫌もそこねたくはないだろ!」
サングラス「はい……………。しか若、をうらぎるとボーナスにひびきまして・・・。われわれが信じてついていけるのは、若だけです!」
あたる「面堂ならむこうでのびとるぞ。」
サングラス「ささ諸星さま。会場へ。」
 サングラス部隊はサッと手の平をかえしあたるに道をあけた。

さあ、いよいよ数々の難関をくぐりぬけ、了子ちゃんのいるパーティー会場の入口にやってきた。
はたて、見事に祝福のキッスを受けることができるだろうか?

 分館前庭。丸い大きな花だんの外側を数石のロータリーが、分館にむかって、ゆるいをえがいて走り、さらにそのまわりをよく手入れされたイケガキがとりかこんでいる。そして、パーティー会場の分館は真北にそそり立っている。ゴールは目前だ! 了子の熱いキッス! 熱いキッス! 熱いキッス!
あたる「了子ちゃん今行くからねー!」
モニター係「了子さま、諸星さまです!」
 監視モニター係が告げた。
モニター係「トップで、玄関前のロータリーを一目散にかけてこられます!」
了子「でむかえる。あとをたのみます!」  
 了子はゲームコース管理制御をいそいそと走りでた。

そして、物語は4とおりのマルチ・エンディングへ

GAMEOVERじゃないけど電撃

 ラムを怒らせると、パチパチとみなさんおなじみの電撃が!! ふだんはコレをくらっても大丈夫なんだけど、ゲームのラストには、怒りが頂点に達したラムのすさまじい電撃が飛ぶ! 愛情表現のひとつとは言え、なんともオソロシイことで・・・・・・。
ラム「覚悟するっちゃ! うるとらす一ぱ一電撃アタックっ!」
 ラムの怒りの電撃があたるを襲った。
“どんがら、がっしゃーん☆”

登場人物御紹介の頁

 『うる星』の一番のオモシロさは、なんといっても、ユニークな登場人物たち! それぞれがキョーレツに個性的だから、しゃべるのを聞いてるだけでもホントに楽しいよね。
 ここからあとの1ページは、そうした登場人物たちを紹介するページだ。迷路内をうろついている人物については、なんと大胆にも1人1ページもさいて、おもしろい会話データとともに掲載してみたゾ! コミックや映画とはまたひと味ちがった。AVGオリジナルの『うる星』を堪能してちょーだい!

諸星あたる

 言うまでもなく、物語の主人公。このゲームの中でキミが演じる人物。
 宇宙からきた侵略者、鬼族の手から地球を救うために、ラムと鬼ごっこをして勝ったまでは良かったのだが、以来、ラムとは強引につきあうハメに。しかし、なんだかんだ言っても、その本心はラムひとすじ。それは、ラムがいなくなったときに見せる悲しそうなしぐさからも良くわかる。
 だが、それだけでまちがっても彼を善人などと判断してはならない。なにしろ、究極の女好きで、美人と見ればすぐに飛びついていくし、さまざまな諸悪を引き起こす根源でもあるのだから。
 今回の物語では、ラムをしかたなく引き連れて、了子の誕生パーティに参加する。めざすものはただひとつ、了子の熱いキッス! そのために、彼がどんな卑劣な手段を使うか、それはプレイヤーのあなたのみぞ知るところである。

ラム

 宇宙からやってきた鬼娘。空を飛ぶことができ、体から高圧の電撃を発することもできる。大のからいもの好き。
 かわいらしい容姿とはうらはらに、どこがいいのか、あたるのことを一途に愛し尽くしに尽くす。だが、恐しいほどのヤキモチ焼きで、あたるが女性にちょっとでもかまおうものなら、すぐさま電撃をたたきおとす。また、その進んだ科学力に反比例して常識がないだけに、まわりではいつも騒動が絶えない。
 今回の了子のバースデイ・パーティでは、パーティの旨が了子のボーイフレンド選びであることを知らぬままに参加。もちろん、ステディという言葉の意味もわかっていない。パーティの主旨、そしてあたるのもくろみがバレたときには、血の雨が降ることは避けられそうにない。

面堂了子

 面堂家で、好きほうだいわがままに育てられた、終太郎の妹。少しでも気に入らないことがあると、笑顔で爆弾を投げたり、ワラ人形を作ってクギをさしたりと、ラムとはまた違った意味で常識がないので困りものである。
 本編では、誕生日にかこつけて、ボーイフレンド選びをくわだてる。とは言っても、あたるを適当に挑発しているのを見ればわかるとおり、本当にボーイフレンドが欲しいわけではなく、自分を求めて何人もの男性が競いあうというロマンスに酔いしれたいだけなのである。

面堂終太郎

 資産五百億円(日本の国家予算をはるかにしのぐ額だとも言われている)という超財閥,面堂家の長男。ありあまる金と権力、それに色男とくれば、当然女性にはもてる。しかし、その中身はあたると何のかわりもなく、大の女好き。自意識過剰人間で、プライドが服を着て歩いているようなもの。
 妹の了子のバースデイ・パーティでも、はじめは優勝者にキッスなどということには反対していたが、ラムとキッスしたいがために、妹と共同戦線を張ることに(しだいに仲間割れしていくのではあるが.....)。余談ではあるが、タコを飼うことに至上の喜びを感じている。

ラン

 ラムの幼なじみ、カールのかかった長い髪、まつげバッチリのタレ目と容姿はかわいらしく、言葉使いもふだんはモロにぶりっ子なのだが、ひとたび興奮すると、河内弁がビシビシと飛びだし、性格が一転する。そのきっかけとなるのはたいてい幼い頃の話。さんざんラムにひどい目に会わされた幼児体験を根に持ち、常に復讐をたくらんでいる。
 今回のバースデイ・パーティに参加した動機は、愛するレイのためにごちそうを持ち帰りたいがため。彼女に関しでは、あたるよりも悪どい手段を使用することもしばしばなので要注意。

あたる「やあ、ランちゃんも来てたの?」
ラン「あら、ダーリン。こんにちは。」
ラム「いったい、どーゆ一風のふきまわしだっちゃ?」
ラン「なんや、その言いぐさは。わしが来たらいかんちゅーのか!」
ラム「ランちゃん、大きなカゴなんか背おって、どーしたっちゃ?」
ラン「うふっ、レイさんのおみやげをいただいて帰ろうと思って……。」
ラム「おみやげって?」
ラン「やだー、ごちそうに決まってるじゃないの!」
 ランがぶりっ子して言った。ラムは目まいを感じた。
ラム「いったい、レイのどこがいいっちゃ? あんな食い意地のはった……。」
ラン「食道楽なんや。」
ラム「知性のかけらもない……」
ラン「おくゆかしいだけや。」
ラム「ブタウシの……」
ラン「体質やんけ。」
ラム「レイなんかの!」
ラン「わしにうらみでもあるんか? 読めたて、ラム! おんどりゃ、わしとレイさんの仲邪魔するつもりやろ!」
ラム「ランちゃんの推量は、あたったためしがないっちゃ。」
あたる「ランちゃん、ぼくらはめぐりあう運命にあったのだよ。」
 あたるはランの手を取って、静かに語った。
ラン「やーだ、ダーリンたら……。」
ラム「なにわけのわからないこと言ってるっちゃ!」
 “びばばばば☆”ラムがあたるに電撃をかませた。ランは、そんなあたるとラムを見て、ひとりつぶやいた。
ラン「(こいつらがゴールしたら、パーティがむちゃくちゃになるのは確実やんけ。そしたら、レイさんへのみやげも、おしゃかじゃ!······そやっ)
ダーリン。これ、あたしのほんの気持ち。」
 ランはポケットからタイヤキを取りだし、にっこりとほほ笑んで、あたるの手に握らせた。
ラン「あとで食べてね!」
ラム「ダーリン、早く行こう。ステディが食べられちゃうっちゃ!」
 ラムがあたるの腕を引っぱってせかした。
ラン「なんや。ラム。おんどれ、ステディを食べもんだと思うとんか!ええか、ステディつちゅーんはな……モグァ」
 説明しかけたランの口をあたるがふさいだ。
ラン「(そーゆーことか。......おもしろいやんけ。夫婦仲、こわしたろ!)」
 ランはあたるにわかったとほほ笑んで告げると、ラムにむきなおって言った。
ラン「そうよ、ラムちゃん。ステディってのは、香辛料のいっぱいまいた、それはそれはからくておいしい高級子よ。」
ラム「わあ。ダーリン、絶対に優勝するっちゃ!」

サクラ

 美しい顔だち、長くしなやかな緑の黒髪とバツグンのブロポーションを誇る、友引高校の美人保健医。あふれでる大人の色気にあたるはスキさえ見れば飛びつこうとするが彼女にはすでに“つばめ”という恋人がいる。
 また、底なしの胃をもぶちたおす怪力、さらには妖怪と戦う霊力を兼ね備えた、巫女でもある。その電力はおじの錯乱坊ゆずりと推測される。
 終太郎から招待状をもらい、食べ物につられて了子のバースデイパーティに参加。いくら物を食べてもプロポーションがまったく変わらないというのが、世界七不思議のひとつとまで言われている。

あたる「サクラさん。」
サクラ「なんじゃ?」
 あたるが声をかけると、サクラはしぶい顔だ。
あたる「どうしたの?」
サクラ「見てわからんか!」
 ハラだたしそうに、まわりをアゴでしめした。
“ざわざわ、どよどよ、ぶーぶー”
 あたりは何十匹もの妖怪でひしめいていた。
ラム「まわりにあるのは、木の草と妖怪だけだっちゃ。気にするようなものは、なにもないっちゃっ」
あたる「おまえは、妖怪は気にならんのか?」
ラム「ダーリンは気になるっちゃ?」
あたる「あたりまえだ! サクラさん、ぼくがかならず助けてあげるからね!」
サクラ「きさま、ドサクサにまぎれて、なにをやっとる。」
 サクラがにらみつける。いつの間にか、あたるの手が彼女の肩をだいていた。あたる「いや、別に。深い意味はないんだ。」サクラ「おのれはこの非常時に!」
 “ベンっ☆”サクラはあたるをふりはらった。
あたる「だーれだ?」
あたるは背中から抱きついた。
サクラ「誰じゃーい!」
 “ぼきっ☆”サクラがしばきたおす。
あたる「いやだなあ、ぼくだよ。」
 それにもめげず、なおもほおずりする。“すりすり”
サクラ「えーい、うっとおしい!」
“どがっ”さらにそいつをどつき回す。だが、どんなにされても次の瞬間にはもう立ちなおっていた。
あたる&ラム「えー、"はらえぐし”を落っことしたあ?」
 あたるとラムの声がかさなった。
サクラ「一生の不覚じゃ。」
 サクラはうなずきハラだしそうに妖怪を見やった。
サクラ「......おかげでこのざまじゃ!」
 “ケケケケッ”妖怪がかん高い声で笑った。
サクラ「はじめは数匹だったのじゃが、はらえぐしを探してる間に、一匹また一匹と増えていって、とうとうこのありさまじゃ。帰ろうにも帰れなくなってしまった。」
ラム「そんなんで帰ったら、大パニックだっちゃ。」
あたる「なるほど。あのおはらいは虫よけみたいなものだったのか!」
妖怪「私たち、みぃーんなサクラさまにあこがれてたんですよー! 一度、じっくり話がしたかったんですっ!」
 オオサンショウウオに似た丸顔の妖怪が、頭にいやらしい笑いを浮かべながら、大声で叫んだ。
 あたるは弱そうな相手を選び、そいつの頭をとはたいた。すると妖怪はヒジをしてきた。あたるは足げりをかえした。二人は互いに、ニカッと余裕のほほ笑みをかわしあった。あとはどつきあいだった……。
「このやろー!」「チクショー!」
“どすっ☆““ぱきっ☆”“べんっ☆”“どかっ☆”“ばしっ☆”
サクラ「ええーい。やめんか、うっとおしい。妖怪と同レベルでせりあうなーっ!」
 たえきれず、サクラが大声でとなった。

藤波竜之介

 海に負けない強い子にと、ゆがんだ父親の手によってすっかり男として育てられてしまった、かわいそうな女の子。その反動で、男とまちがえられると激怒する。しかし、鍛えられただけあって、そのパワーとスピードには比類なきものがあり、サクラやしのぶとペアを組めば、世界最強タッグも夢ではない。
 彼……ではなかった。彼女の一番の夢は、女の子らしいぶらじゃあやセーラー服。水着を身につけること。そのために必死でお金をためていたのだが、あろうことかその入ったサイフを面堂部の中で落としてしまう。

 あたるは竜之介にすりよった。
竜之介「おめえら、おれのサイフ見なかったか? 黒いがまぐちなんだけどよ。」
 竜之介が困りはてた表情で尋ねた。
ラム「落っことしたのけ?」
 ラムが尋ねかえす。竜之介はそれにコクンとうなずいた。
竜之介「おれとしたことが、ほんとドジったぜ。うちに置いておくおやじにくすねられるから持ってたんだけど、どっかに落としちまって……。全財産だったのについてねえぜまったく!」
 竜之介は残念そうにハフッとため息をついた。
ラム「そのサイフにはいくら入ってたっちゃ?」
竜之介「よんひゃくえん! ……あ、いや、おめーらから見りゃ、たいした額じゃねえだろーが、でも、おやじの目をかすめながら一生懸命ためたんだぜ。おれ、こづかいもらってねーから」
 竜之介は照れくさそうに笑いながら、ぽつりぽつりとった。
ラム「うっうっう。竜之介、かわいそうだっちゃ。」
ラムがもらい泣きした。
竜之介「悪いがひとりにしてくれねえか。おれは今、ハサンにくれてんだ。」
あたる「破産じゃなくて、悲嘆。ひたん[悲嘆]悲しんでなげくこと。」
竜之介「……す、すまねえな。」
あたる「竜ちゃん!」
 あたるは竜之介にすりよった。
竜之介「うるせーっ。おれは今、いそがしいんだ!」
 “ばこっ☆”竜之介のひじ打ちが、あたるのみぞおちに決まった。
あたる「ぼくの目をごらん。真実の光が見えるだろう。」
 あたるは顔をつきだした。
 “ぺしっ☆”竜之介はそれを片手ではねのけ、軽くあしらった。
竜之介「てめえは、痛い思いをしねえと、わからねえのか!」
あたる「まあまあ竜ちゃん、このケーキでも食べてよ。」
竜之介「いっ、いいのか? おめえのケーキなんだろ?」
 竜之介はわが耳をうたがった。しかし、まちがいではなかった。
あたる「竜ちゃんのためなら、いくらでも進呈するよ。」
竜之介「すまねえな。」
 竜之介は大よろこびで、ケーキにかぶりついた。
竜之介「……うめえ。ふるえがくるほどうまいぜ!」
 竜之介はほんとうにふるえていた。
竜之介「……てめえ、なにしやがった!」
ラム「きっとケーキにしびれ薬が入ってたっちゃ!」
あたる「悪気はなかったんだよ。」
 あたるがいいわけする。
竜之介「あたりめえだっ、悪気でやられてたまるか!」
ラム「まよわず成仏するっちゃ。」
 悲しんでラムは竜之介のために祈った。


三宅しのぶ

 あたるとは幼なじみで、ラムが現れる前まではガールフレンドとしてつきあっていたのだが、女に見さかいのない彼にあいそをつかし今では面堂のことを想っている女子高生。だが、面堂はラムが好きだから、しのぶの恋がうまくいくはずがない。すっかり男に見はなされ、「男なんてぇ~!」をキーワードに、異常なまでの怪力を発揮"お手玉”ならぬ“お手机”などという特技を持つ。
 このゲームでは、落とし穴に落ちてワープさせられ、離れ区画から抜けだせないで困っている。

あたる「しのぶ、いいおいだなー!」
 風にかすかにコロンがかおる。
しのぶ「あら、わかる? あたるくんってこーゆーことにはよく気づくのねー!」
あたる「そりゃーしのぶのことならなんだって!」
しのぶ「いやーだー、あたるくんったらー!」
 “どーんっ☆”しのぶが照れて、肩をはたいた。あたるは5mほどふっとばされた。
あたる「というわけで、結婚しよう、しのぶ!」
しのぶ「なにがというわけでよ!」
 しのぶは、あたるが肩にまわした手をギュッとつねった。
あたる「実力行使っ!」
 “がばっ☆”あたるは強引に抱きつく。
しのぶ「やめんかーい!」 
 ”どすこーいっ☆”しのぶはそれをうっちゃった。しのぶの勝ち。
ラム「しのぶ、こんなところで何してるっちゃ?」
しのぶ「ちょっと休んでるの。とじこめられたついでにね。」
ラム「とじこめられる?」
しのぶ「......ここの出口が見つかんないの。」
 しのぶはハフッとため息をついた。
しのぶ「いったい、この森どーなってんの! 道は迷路になってるし、おじさんに焼きイカは売りつけられるし、落とし穴には落っこちるし、あたし、もうサンザンよ。」
ラム「じゃあ、もうあきらめるの?」
しのぶ「ジョーダン! もとを取るまで帰るもんですか! ところで、あたるくん。サクラ先生見かけなかった?」
 白いフサ紙のついた短い木の棒を取りだして、しのぶが尋ねた。
しのぶ「これが通路に落っこちてたの。」
あたる「それはサクラさんのおはらい枠ではないか! よかろう。そのおはらい棒、かわって、ぼくがサクラさんにとどけよう!」
しのぶ「そうしてくれる? あたしも助かるわ。」
 あたるの申し出にすなおにしたがい、しのぶは“はらえぐし”をたくした。
ラム「今頃きっと、サクラ、困ってるっちゃ。」
 ラムがはらえぐしを見て、誰にともなしにつぶやく。
しのぶ「だってさ、ここからでられないんだもの。かえしに行きようがないじゃない。」
 しのぶがいくぶんスネながら言った。

温泉マーク

 角がり頭に太いゲジマユ、イノシシを連想させるいかつい顔とごつい体型が特徴の友引高校教師。いっちょうらの背広が♨(温泉がら)なので、このように命名。本名は不明。いつも教育の場に個人的感情を持ちこんで、あたるたちと同次元でせりあっている。
 補習授業を生徒全員にサボタージュされたので、怒って面堂邸の中まで追いかけてくる。原作と同様。ゲームの中でもとにかくしつこい。温泉マークの怒りは頂点に達した。

温泉「見つけたぞ。諸星っ!」
 友引高校教師温泉マークが、鬼のような形相であたるにせまった。
あたる「なんじゃ、きさまは。呼ばれもせんのに!」
温泉「きょうというきょうはカンベンならん!」
あたる「えーい、見たくもない顔をアップでせまりおって! なぜきさまがここにいるのだ?」
温泉「教師にむかってきさまとはなんだ!」
あたる「教師だろーが、なんだろーが、呼ばれもせん人のパーティにくる礼儀知らずには、きさまで充分だ!」
温泉「諸星。きさまら、なぜ補習をさぼった? 忘れていたとは言わさんぞ!」
 温泉のこめかみはヒクヒクと怒りにひきつっていた。
温泉「おれはな、朝の8時からずうーーーーーっと、ささまらのくるのを待ってたんだぞ!」 
あたる「………。」
温泉「どうしてくれよう。全員一か月便所そうじか、実力テストか、はたまた停学かー!」
あたる「………。」
温泉「きさま、だまってないで、なんとか言ったらどーだ!」
 温泉が胸ぐらをつかみ、あたるにせまった。
あたる「……ボケ。」
温泉「なんだと?」
あたる「ブ男、脳なし、デベソ、カタ太り、嫁なし!」
温泉「きっ、きさまーっ!」
 温泉は怒りにうちふるえた。
温泉「きさま、まじめに補習受ける気があるのか!」
あたる「あったら、ここにきてると思うか!」
温泉「おのれ、教師を愚弄しおって。こーなったら、きさまを地獄に送りこんでやる!」
 温泉マークの怒りは頂点に達した。
温泉「きさま、なぜ学校に来んのだ! せっかくの人の好意をふみにじりおって!」
あたる「アホぬかせっ。 日曜日に補習しようとするおのれが悪いんじゃ!」
温泉「特別に今からここで補習をやってやる。さあ、そこにすわれ!」
あたる「よけいなお世話じゃ。 邪魔者はさっさと帰れ! きさまがいたんじゃ、せっかくのパーティが興ざめだっ!」
温泉「きさま、なんだ、その態度は! おれの補習を受ける気あんのかっ!」
あたる「あるように見えるか? 見えるとしたら、一度眼科検診に行ったほうがいいな! どけっ、温泉っ! きさまと遊んどるヒマはない!」
温泉 「おれの目が黒いうちは、アリの子一匹、ここを通さんっ!」
 温泉マークはあたるの行く手をふさぎ、大ミエをきった。
温泉 「どーしてもエスケープする気なら、おれを倒してから行け!」
あたる「やはり、きさまとは決着をつけにゃーならんよーだなー!」
 あたるは一気に襲いかかった。 両者の気合いが飛びかう。
「んっ!」 「ふんぬっ!」 “どひゅ、どこっ☆” 「ちっ!」
 ニヤリ。温泉はあたるの攻撃をたくみに受け止め、得意そうに笑った。
あたる「あっ、サクラさん!」“サッ”
温泉「えっ?」
 “どすっ☆”“ばきっ☆”“どかっ☆”あたるの指さす方向に気をとられたスキに、温泉はしばき倒された。
あたる「ふっ、口ほどにないやつ!」

テン

 ラムのいとこ。幼児のくせに女好きで、女の子の前ではかわいく、男の前ではムチャクチャ生意気にふるまう。あたるの家にラムと一緒に居候し、短気な性格から、日常茶飯事のようにあたるとケンカを繰り返す。カメよりのろい飛ぶのとものすごい炎をはく能力を持つのだが。テンの母親が女火消しだというのだから、シャレにならない。
 あこがれているサクラに連れられてバースデイ・パーテイにやってくるが、浮かれすぎて迷子になってしまう。

あたる「よお、飛びガメ。元気でやっとるか!」
テン「だれが飛びガメやねんっ! こら、このボケ! ひとことくらいあやまったらどないやねん!」
あたる「なんのことだ?」
テン「おれをのけものにしておいてけぼりにしたやろ!」
あたる「おまえに関係ないパーティだ。当然だろーが!」
テン「おれをおいてけぼりにしといて、なんじゃい!」
あたる「なんでおまえを了子ちゃんの誕生パーティにつれてこんといかんのだ!」
ラム「そーだっちゃよ、テンちゃん。わがまま言う子はきらわれるっちゃ。」
テン「そやかて、ラムちゃん。ぼくもパーティでたいもん.......。なー、ラムちゃん。この森。どないなってんねん?」
ラム「これはパーティの余興だっちゃ。この森を一番でけると、ステディがもらえるっちゃ。」
テン「ステディ?」
ラム「おいしいお菓子だっちゃ!」
テン「ラムちゃん、ぼくもゲームに参加したい。いっしょにつれてって!」
あたる「あまえるな、バカもの!」
テン「ケチケチするな。おれ、子どもやど。ハンデがあって当然じゃい。」
あたる「人にたよるようなヤツに、レースにてる資格はない!」
テン「こんなときばっかり、スジ通しやがって。」
あたる「やーいドンガメ! くやしかったら、おれと勝負せーい!」
テン「言われんでも、やったるわいっ! おれも男じゃ!」
ラム「テンちゃん。ダーリンの挑発にのるんじゃないっちゃ!」
テン「ほっといてんか、ラムちゃん。男のプライドがかかってんねん!」
あたる「やーいやーい、ドンガメっ! カタツムリー。風船玉一っ!」
テン「くそっ。言いたいほうだい言いやがって。おれをなめると、こうじゃ!」
 “ゴーーーーッ”テンが火をふいた。だが、あたるは上体をそらして、軽々とよけた。
あたる「にょほほほ。」
ラム「ダーリン、子供と同レベルでケンカをするんじゃないっちゃ!」
テン「おんどりゃー、勝負やっ!」
あたる「子供は家に帰って、留守番でもしてろ!」
あたるはテンの背中をつかむと、宙にはおって、どつき飛ばした。“すぼーんっ☆”
テン「OUCH!」
 テンは米つぶとなり、そして、空に消えた。
あたる「キジも鳴かずば、うたれまいに……。」

スケ番三人娘

 打倒先代スケ番グループ (弁天・ラム・おユキ) に燃えある惑星中学の現役スケ番グループ。 しつようなまでにラム&ラムの夫(=あたる)に戦いを挑み、 面堂邸の中まで追いかけてくる。
じんじゃあ、しゅがあ、ぺっぱあというギャグのような名前の三人組で、それぞれが“仏のじんじゃあ必殺死んだふり”、“七色のしゅがあ必殺保護色”、“毒ヘビのべっぱあ必殺脱皮" という全然相手にはダメージを与えられない必殺技を持っている。 はっきり言って、ヨワイ。

ラム「じんじゃあ、しゅがあ、ぺっぱあ。 こんなとこでなにしてるっちゃ!」
三人娘「知れたこと。 先代スケ番グループを倒し、歴代スケ番グループらナンバーワンの地位と名声を勝ち得るのじゃ!」 「決闘じゃ。 ラム先輩!」
「ラム先輩には勝てそうな気がするぞ!」「一人倒せば、三人倒したも同じ。われらは名実ともに立派なスケ番じゃ!」 「そのとおりじゃ!」
「ふぁいと!」
 ”がしっ☆” 三人娘は円陣を組んで、闘志を燃やした。
あたる「ラム、やったれっ!」
ラム 「······ちゃっ!」
 電撃を全身にたくわえたラムは、あたるの声を合図に、それを一気にときはなった。 “ ガラガラ、ピシャーン☆”
三人娘 「ふぎゃっ、どえっ、わっ!」
 かみなりがスケ番三人娘を襲った。三人はあっけなく、かえりうちにあった。

───〇──〇──〇──

三人娘「やい。さっきはよくも不意うちをくらわせてくれたのうっ!」
「今度こそは、まっこうから勝負してもらうぞ!」
「ラム先輩を倒すには、やはり電撃をおさえねばな!」
「ふっふっふ、これなら完ペキじゃ!」
「ゴムガッパは電気を通さん!」
「これで勝利はわれらのものじゃ、 わはははっ。」
 三人娘はバカ笑いした。
あたる「おれは女はなぐらん主義だ。 しかし、 ふりかかるヒノコははらわねばならん。」
 あたるはスケ番たちにむきなおって宣言した。
三人娘「おい。あいつ、“キノコ”がどうしたこうしたとゆーとるぞ。」
「ハラがへっておるのではないか? 食い意地のはった顔をしてるからな」
 三人娘は勝手な憶測をとばした。
あたる「アホッ。 ヒノコだ、火の粉っ!」
しゅがあ 「いくぞ。七色のしゅがあ、 必殺保護色!」
 かけ声とともに、その姿が消えた。
“すこんっ☆”だが、あたるはあっさりとしゅがあをたたきのめす。
しゅがあ「......なぜ、わしがここにいるとわかったのじゃ?」
ラム 「ゴムガッパ着てれば、一目瞭然だっちゃ!」
あたる「こいつら、 ほとんどアホだな。」
 あたるはあきれて言った。
じんじゃあ「次はわしが相手じゃ!」
 じんじゃあが一歩進みた。 そして、ばたっと倒れる。あたるはかけよって、ミャクをとった。動いてない。
あたる「死んどる……」
 “がばっ☆”そのとき、急にじんじゃあが起きあがった。
じんじゃあ「わははは、驚いたかー!私のじんじゃあ、必殺死んだふりっ!」
あたる「いばれるような技か!」
 “すこんっ☆”あたるはじんじゃあをぶちのめした。
あたる「最後はおまえだ!」
 あたるはべっぱあにいどみかかった。
べっぱあ 「必殺脱皮!」
“ずるっ”彼女はカワを一枚ぬいで、あたるをすりぬけた。
ラム「そこだっちゃ!」
 “ドバババッ☆”ラムが電撃をはなった。
べっぱあ 「ふぎゃあっ!」
あたる「······アホが。ゴムガッパもろとも脱皮しおって。」

こたつネコ

 昔、コタツに入れてもらえなかった怨念から、あたるのコタツにとりついてしまったお化けネコ。コタツをこよなく愛しており、タイヤキが大好物。
 登場人物中、最大のパワーを誇り、サクラや竜之介さえもコイツと一騎打ちしたら勝利を得るのは難しいであろう。今回のゲームでも、あたるの最大のライバルはコイツ。もたもたしていると、だしぬかれて、先にゴールされてしまうゾ!

ラム 「こたつネコも了子に招待されたのかな?」
 ラムが横目であたるを見やる。
あたる 「アホっ、食いものにつられたに決まっとるっ!」
ラム「ダーリンとしては、ネコと同等だなんて、口がさけても言えないっちゃね。」
あたる「ふんっ。」
 あたるはソッポをむいて、何を思ったのか、 突然ゴムガッパをはおりだした。すると、 こたつネコはひとさし指を頭にあてて、クルクルと小さな円を描いてみせた。
ラム 「こんなお天気にカッパを着て頭がおかしいんじゃないかと言ってるっちゃ。」
あたる「ネコのくせになまいきなっ。勝負っ!」
 あたるが襲いかかる。ダダダダ。
”どーんっ☆”だが、はり手にふっ飛ばされた。
ラム「腕力じゃ、こたつネコにかなわないっちゃ。」
あたる「(くそっ。それなら....)食うか?」
 あたるはタイヤキをちらつかせた。こたつネコが目の色を変えた。ごろごろとノドを鳴らし、うんうんとうなずく。愛嬌の大安売りだ。あたるがタイヤキをやると、ネコはいとおしそうにほおずりした。
 一口食べる。口いっぱいに味覚が広がり、ヒゲがだらしなくたれさがる。もう一口食べる。感動が全身にジーンと伝わって、顔にしまりがなくなる。そして、最後の一口。こたつネコは幸福感によいしれて、ねむってしまった。
ラム「……やっぱり、ねむり薬入りだったっちゃ。」

錯乱坊

 “さくらんぼう”と書いて“チェリー”と呼ばれる、ほとんどダジャレのようなネーミングのキャラクター。一見タコ坊主だが、実体もやはりタコ坊主である。しかし、坊主なだけあって、妖怪と戦うだけの霊力は兼ね備えている。サクラのおじであり、食い意地がはっていることにかけては誰にも負けない。いつの間にか、他人の家の食卓に現れて食事をしていることもしばしば。
 スタートのシーンに登場するが、面堂のβ作戦のエジキとなり、しびれ薬入りケーキを10個も食べてレースから脱落してしまう。よって、本編にはほとんど関係ない。

錯乱坊「おぬし、とてつもなく、顔が不幸じゃの。」
 錯乱坊が合掌しながら、真顔であたるに言った。
あたる「きさまが人のツラを非難できる立場か!」
錯乱坊「わしは凶相だと警告しておるのじゃ。水難・火難・女難、おお、それに剣難・盗難の相まで出ておる。今日がおぬしの命日にならぬとよいがのう…。」
ラム「ダーリンの女難は、毎度のことだっちゃ。」
あたる「ふん、エンギでもないわ!」

竜之介のおやじ

 見るからにこすからい顔つきと、不気味な三白眼、それにハラ巻き&ステテコ姿が特徴の、いわゆるイヤなキャラ。妻(おそらく真砂子という名前でいいと思われるが、本人の記憶があやふやなため、正確なところは不明)に逃げられ、娘の竜之介をまるで「巨人の星」の星一徹のように息子としてしごきあげる。ハジをハジとも思わずに、えげつないまでの商売人魂を持つ。面堂邸の中で、バースデイパーティ参加者めあてに浜茶屋『海が好き』特別出張所を建てるくらいだから、その商売根性はおのずとわかってもらえるだろう。くれぐれも、焼きイカだけは買わないように!

おやじ「この道を通りたければ、このイカを買ってもらおう。1クシ400円じゃ!」
 焼きイカを手に、おやじが立ちはだかる。買わないうちは一歩も通さないつもりだ。
あたる「さすが、浜茶屋のおやじ。あこぎな商売をしおって!」
ラム「感心してる場合じゃないっちゃ!」
あたる「きさま、誰の許可を得て……。」
おやじ「許可ならもらっておる。」
 おやじはニヤリと笑って、証書を見せつけた。そこにはちゃんと了子の署名入りで“浜茶屋『海が好き』の出張販売を認めます”とあった。
おやじ「ここのお嬢さんとは、えらく気があってのー。」
あたる「おやじ、そこを通してもらおうか!」
おやじ「だからあ! ちゃんと焼きイカを買えば、通してやるっちっとろーが!」
あたる「きさま、押し売りする気か!」
おやじ「押し売りとは人聞きの悪い。わしはただ通行料がわりに焼きイカを買ってもらっておるだけじゃ。通りたくない者にまで売りつけたりはせん!」
ラム「……道理だっちゃ。」
あたる「そこで納得するんじゃない!」
ラム「ダーリン、おこづかいは?」
あたる「持ってるわけないだろーが。」
ラム「どーして持ってこなかったっちゃ!」
あたる「誕生パーティで焼きイカを買うはめになると、誰が予想できるか! そーゆーおまえこそこづかい待ってないのか?」
ラム「うちは貧乏だっちゃ!」
あたる「焼きイカがこわくて、ガールハントができるか!」
ラム「なにをわかんないこと言ってるっちゃ!」
 その一瞬のスキをついて、あたるは焼きイカに手をのばした。だが、焼きイカにふれたとたん、その手をおやじにねじりあげられた。
おやじ「······お客さん、いたずらは困りますよ。エッヘッへ」
 真意をいつわった。妖怪さながらの笑いが、たまらなく気色悪かった。
あたる「ジャンケン、ポン。あっちむいて、ほい!」
 “さっ”おやじがつられて横をむいた瞬間、すかさずあたるがなぐりつけた。“ばきっ☆”
おやじ「ふっ、やりおる!」
 おやじはおかえしにと、耳もとでクラッカーをはぜらかせ、あたるがよろめいたところをけりつけた。“パーン、どかっ☆”
 いっこうにラチのあかない、コソクな手段の応酬だった。

真吾

 御庭番と呼ばれる、面堂家のおかかえ隠密の孫。幼少の頃、面堂家敷地内で行なわれた電気野菜の栽培実験中に行方不明となり、以来十数年間をひとり電飾魔境で過ごした。そのため、電気には絶対の耐久力があり、ラムの電撃にもピクリともしない。また、テレビの中の時代劇の俳優を祖父と信じ込んで育ったので、言葉使いはどことなく時代劇。
 女を見るとすぐに結婚したがる習性があり、本編ではラムがそのエジキとなる。

真吾「これより先は一歩たりとも通さぬ覚悟せい!」
あたる「ラムをかえしてもらおうか。」
真吾「せっしゃを倒すことができればの話。せっしゃの嫁を奪おうとて、そうはゆかぬぞ。」
あたる「いやがる女を力ずくでさらっておいて、なにがせっしゃの嫁だ!」
真吾「ふっふっふっ、きさまも底が浅いな。いやじゃ、いやじゃも好きのうち”という貴い教えを知らぬか!」
あたる「アホっ。そいつはただの下世話ことばだ! 次から次へと女に手をだしおって、この浮気者目が!」
真吾「浮気とは心外、せっしゃはいつも本気じゃ!」
あたる「よけいタチが悪いっ!」
真吾「せっしゃの実力を見せてくれるわ! さあ、どこからなりとかかってまいれ!」
あたる「そこだー!」
 “しゅっ”あたるは手近にあった電気カボチャを投げつけた。“パパパパッ”だが真吾は、それを目にも止まらぬ続後方回転でよける。
真吾「わはは、そんな攻っ………。」
 “ばこっ☆”まうしろに飛んだため、ワンテンポおくれ真吾の顔面を打ち、鼻をまっ赤にはらせた。
真吾「ほのふぇ、ふぁこはいなっ!」
 “しゅっしゅっ、しゅっ”真吾が宙に舞い、空を手裏剣がひきさいた。
あたる「なんの!」
 あたるは紙一重でそれをさけた。さすが、逃げ足は早い。だが、よけたはずみに枝が頭をかすめる。
"パチッ”
あたる「ぐっ!」
 電撃に目がくらんだ。電飾魔境では、あたるに分が悪い!
 “しゅぱっ”二つの影が宙で交差する。あたるは真吾の背中を指で“ツーーーー”となで、真吾はあたるの耳もとで「わーーーーっ!」と大声をはりあげる。たがいに互角の勝負だ。だが、長期戦では、あたるが圧倒的に不利だった。電飾魔境では、一瞬が命とりになるからだ。
あたる「(おれには、電撃にもビクともせんような非常識さはないからな。)くらえっ!」
 あたるは、発熱する××××を真吾めがけて力いっぱい投げつけた。
真吾「こざかしいわ!」
 真吾は一笑して、それを手刀ではらいのける。
 “ちゅどーん☆”その瞬間、コイルツタの過負荷電流のため、危険状態となっていた××××は、はじかれたショックで大爆発を起こし、真吾をふっとばした。

アイテムをまとめて紹介するっちゃ!

ウーン、 うる星のタイトルだとどーしても「~ちゃ!」 ってパターンを使ってしまうぞ。

●招待状
了子からあたるに送られてきた。バースデイパーティの招待状。はじめにコレを受付に提示すると、レーダーと交換してもらえるんだ。

●レーダー
受付で一番最初にもらえるアイテム。手帳大の小型電波探知機で、伸縮アンテナと液晶スクリーンで構成されている。これを使うと、自分のいる座標の周囲3×3内に、宝箱があるかどうかがわかる。ゲームの後半では、思わぬ使いかたをすることも…。

●ゴムカッパ
スケパン三人娘から奪い取れる。ぶ厚いまっ黒なゴムガッパ。絶縁物でできているので、電気を通さない。まちがっても。タコ噴水の場面でボロボロにしてしまわないこと!

●ケーキ
面堂が仕掛けた作戦というのが、コレのこと。中にしびれ薬が入っているので、絶対に口にしてはならない。行く手を邪する凶暴なヤツらに食わせてやればいいのだ。

●たいやき
ランちゃんお手製のシッポまでアンコのつまった眠り薬入りタイヤキ。彼女は、このタイヤキで、あたるたちのレース脱落をねらっているのだ。ちなみに、タイヤキが好物の登場人物と言ったら…。

●ひょっとこカギ
サイフのお礼に、ある人物からもらえるカギ。柄がひょっとこの形をしておりシンチュウでできている。最初の難関鉄門を抜けるためには、このカギが必要。「ひょっとこ」→「タコ」ってことで、面堂邸らしさを感じさせるネ。

●カード
隠れ区画にあるチェックポイントの場所と、そこに入るための合い言葉を記した紙片。地下通路内で見つけられる。面堂の悪口が書いてあるそうだけどはてさて......?

●ランプ
四面をガラスでおおわれた四角い手下ブランプ。地下通路内では、コレを持つていないと、当然まっ暗で何も見えない。しかし、照明としてのほか。ある物を破壊するときにも使用するゾ!

●はらえぐし
はらえぐしを使う人と言ったら、もちろん巫女のサクラ。コレを持っていけば、妖怪にとりつかれて困っているサクラを助けてあげることができる。しのぶと話をするだけでもらえるので、忘れることのないように!

●花カギ
秘密の通路内にある扉を開けるためのカギ。サクラやテンといろいろしているうちに手に入る。でも、じつは、このアイテムを持っていなくても、ゲームを終わらせることができるんだ。

●スイッチャー
隠れ区画のチェックポイントでもらえる超重要アイテム。面堂邸の迷路の秘密の出口を出現させるためには、このアイテムを使わなくちゃいけない。その他、大砲を作動させたりと、用途は広い。

●タコ
了子ちゃんから送られてきた“秘密兵”。面堂がもっともかわいがっている、タコの菊千代だ。サングラス部隊も総動員でコイツを探しているくらいだから、きっとキリフダになるはず。

●ビーチボール
作戦の失敗から手に入った副産物。コレをプレゼントすると、大喜びしてくれる人がいる。もっとも、このアイテムを手に入れなくても、ゲームを解き終えることはできるんだけど…(わかるかナ?)。

●サイフ
スタート地点で手に入る、黒いがまぐちのサイフ。その中にはわずか400円しか入っていないという設定だ。ちゃんと持主本人に返してあげるようにしよう。まちがっても、その親父さんなんかに渡したり、焼きイカを買ったりしちゃダメ!

うる星やつら㊙情報局

①隠れキャラ、純情ギツネ

『めぞん』の一の瀬のおじさん同様、星にもやっばり隠れキャラがいた! その隠れキャラとは──マイクロキャビンが制作しているってことで、なんとなくわからない? そう、『はーりぃふぉっくす』を思いだしたキミはエライ。ズバリ、しのぶのことを慕う純情ギツネが、今回の隠れキャラなんだ。
 その純情ギツネが見れるのは、2回目にしのぶと会ったとき。そこで、ひたすら「くどく」をしていると1回だけ返事のメッセージが何も表示されていないときがある。そのときにすかさず「見る」「まわり」を選ぶと、「隠れキャラ」という選択肢が現れるんだ。それを選べば、純情ギツネが見られるってワケ。ウーン、いつもながらマイクロキャビンのAVGで、隠れキャラを見つけるのは難しいっ!

②PC-98版『うる星』で「めぞん」の画面を自由に選択!

これは和歌山市のENDLESSNIGHTクンのレポート。PC-9801(2HD)版の『うる星やつら』のディスクの中に、「めぞん一刻」の画面を自由に選択するプログラムが入っていたのだ! そのプログラムの使用法は、以下のとおり。

★用意するもの
MS-DOS版のN88BASICMS-DOSでフォーマットしたディスク(書き込み用ディスク)
★下記のようにして、プログラムを書き込み用ディスクに移します。
①N88BASIC(MS-DOS)を立ちあげる。
②ドライブに『うる星やつら』を入れ、ドライブ2に書き込み用ディスクを入れる。
③以下のように打ち込む
CLEAR &H880
DEF SEG=SEGPTR(2)
BLOAD "PIYO.EXE".00
BSAVE "BPIYO.EXE"0.&H49F2
BLOAD "PIYO.LDY".0
BSAVE "B:PIYO.LDY",0,&H5247
BLOAD "PIYO.LBC".0
BSAVE "B:PIYO.LBC",0,&H875E
BLOAD "LADYR.EXE",0
BSAVE "B:LADYR.EXE".0.&H7044
 これで準備OK! あとは、MS-DOSを立ちあげて、さっきの書き込み用ディスクをドライブに入れ、PIYOと入力すればプログラムが実行される。
 すると画面の名前が表示されるので、ドライブに『めぞん一刻』のディスクを入れた後、テンキーでカーソルを動かして好きな場面を見ることができるのだ。

③これが究極の隠れ画面だ!

 『うる星やつら』に隠されている最大の秘密が、この画面。『めぞん』の響子さんに似てるけど、じつは、『うる星』のコミックスに登場した花屋のおねえさんなんだ。
 さて、どうしたらこのグラフィックが見れるかってことなんだけど、残念ながら、ズバリと教えてあげることはできない。でも、せっかくだから、ヒントだけちょこっと。まず。「FIN」のエンディングを見た人じゃないと、絶対に見ることはできない。それに、よっぽど辛抱強い人じゃないと······(ヒントをあげすぎちゃったかな?)。

本邦初㊙公開!AVG版『うる星やつら』

 これはスゴイぜ、スゴイぜ、スゴイぜっ! AVG版『うる星やつら』には、なんと5種類ものプロト家があったのだ! そのうちのひとつ「サバイバル、バレンタイン」が現在の「恋のサバイバル、バースディ」に変化したわけなんだけど、それ以外のストーリーっていうのはどんな内容なのか『うる星』ファンには興味が尽きないところだよね。そこで、今回はマイクロキャビンのご好意により(ホントにこの本ではいろいろお世話になりました)、5種類のプロ主のを掲載してみた。ボクはE案がお気に入りなのさっ!

A案「危険な恋のステディリング」

 ラムが小学生のとき「気分はロミオとジュリエット」のキャッチフレーズで流行した、危険な指輪、恋のステディリング。それを左手くすり指にはさめると、男性とが引きよせ合う機能を持つ。
「ラムちゃん。これ、どないして使うんや?」
「ほう。ガキのクセして、いっちょまえに指輪なんか持ちおって」
「なにするんや、このアホ。わいが買ったんやゾ」
「テンちゃんっ。まさか、それ、恋のステディリングじゃないだっちゃね!」
「なんやあかんのか?」
「この指輪を左手くすり指にはめたら最後、いばらの道を乗り越えて、7人の女の子とキスするまではずれない、危険な恋のステディリングだっちゃ」
「なんだ、どうってことないじゃないか」
「くちびるとくちびるが引きよせられて、まわりが迷惑するっちゃ」
──ンばっ☆ ラムが言い終えるが早いか、あたるはテンの手からステディリングを奪って、脱兎のごとく立ち去った。「ダ、ダーリン!!」
 あたるの目的はもちろん、恋の障壁を乗り越えて、7人の女の子からくちびるを奪うこと!

B案「サバイバル・バレンタイン」

 あたるとラムのペアによるすごろく風アドベンチャー・ゲーム。ただし、ラムは横からあれこれと目をはさむ程度とする。
 また、パーティにはあたるたちだけでなく、しのぶや竜之介、サクラなど多数の人々が参加して、面堂邸内(ゲーム会場)をパーティ会場めざして移動している。そこで、同一地点で同一人物と常に遭遇するのではなく、ゲームのたびに出会う地点を変化させる。たとえば、落とし穴があったとして、そこにはしのぶが落っこちていたり、錯乱坊(チェリー)が落っこちていたり、誰も落っこちていなかったりといったぐあいに。
 これによって、プレイヤーは、ある人物からアイテムや情報を得るために、毎回、面堂邸内をうろつき回らなくてはならなくなる。
 このことは臨場感を増すだけでなく、難易度向上(難しくなるのではなく、複雑になるだけ)とゲームバリエージョン増加につながり、これまでのアドベンチャーゲームにない新しい試みであると考える。

C案「花婿、それは女!!」

 「色男が欲しい!」のクラマのアップから物語は始まる。そして、カラス天狗たちの“クラマ姫婿捜し”が再開された。
 彼らは竜之介に目をつけ、その身辺調査として、しのぶに質問していた一匹を、通りがかったあたるがつかまえた。ラムもいっしょだ。
「よお、久しぶり。クラマちゃん、元気?」
「げっ、諸星っ!! は、放せ。わしは姫の婿調査で忙しいんだ。アホにつきあう暇はない」
「またまた、クラマちゃんの婿はここにいるじゃないか」
「ダーリンっ!」
「ええい、おぞましい。だが、今、姫は藤波竜之介という好青年に夢中じゃ!」
「竜之介と? 間違った世界だっちゃ」
「いかん。クラマちゃんはどこだ。吐け!」
 あたるがカラス天狗に迫った。
「あ、いい女っ」
「えっ?」
 突然。カラス天狗があらぬ方向を指さして叫び、あたるがそれに気を取られたスキに、彼の手をのがれて、彼方に飛んでいってしまった。
「クラマちゃんと竜ちゃんが…。お、女同士で愛し合うなんてて不健全だ!」
 あたるが怒りに打ち震えてつぶやく。
「なに、トンチンカンなこと言ってるっちゃ」
「とにかく、竜之介くんの危機だわ。 なんとか、やめさせなくっちゃ!」
「だっちゃ」

D案(タイトルなし)

 諸星あたるはある日、ラムの宇宙船でピクニックに出かけた。同乗者は、テン、しのぶ、竜之介、サクラ、きつね(しのぶに抱かれている)。行く先は、自分の好きな季節が楽しめるという、評判の高いリゾート星。
 その星には、春夏秋冬それぞれの季節を楽しめる場所があり、海王星の女王のユキは“冬”のリゾート地で“雪光浴”を楽しんでおり、スケ番三人娘らは“夏”のリゾート地で“日光浴”を、ランは“春”のリゾート地で春霞のなかで花見(酒)を、弁天は“秋”のリゾート地でマツタはいとっては食いしていた。
 一方、地球に取り残された面堂終太郎の方も。金にものをいわせて作った宇宙船で追いかけてくる。中には、竜之介の父、友引高校校長、温泉マーク、コタツネコ、錯乱坊がいた。
 ところが、2台の宇宙船は、リゾート星の上空で衝突してしまう。2台の船が落ちていく先には、その星の環境整塔があった…。
 環境調整塔が破壊されたため、各リゾート地のの化が極端になった。冬はめちゃめちゃに寒く、夏は逆に暑く、春霞はロンドンの常よりも分厚い霧でおおわれ、秋は、タケノコやらイモやらが異常繁殖してしまったのだ。
 さて、このゲームの目的は、故障したこの星の環境調整塔を直し、無事に地球へ戻ることにある。
 地球へ帰る方法は、この星のどこかに、弁天の乗ってきた船があるのでそれを見つけること。ちなみに、ユキの船は、海王星に戻っており、使用できない。スケ番三人たちは、面堂らと共に、妨害側にまわり、あたるが天の船を見つけて帰還しようとすると、面堂たちも三人娘らの鉛で追いかけてくる。このゲームの最後の〝落ち〟は、地球へ戻りかけていたあたるの船に、ふたたび三人娘の船がぶつかり、今度は、友引高校の校舎へ墜落することにでもしようかな……

E案(タイトルなし)

「し、しのぶさんっ。たいへんです!」
 運命製造管理局員の因幡が、しのぶの前に、空間から出し抜けに現れ、息をせき切って叫んだ。
「久しぶりね。どうしたの!?」
「ぼ、ぼくらの未来が危ないんです。いえ、未来だけでなくしのぶさんとの出会いや想い出までも存在しなくなってしまうかもしれません」
「もう少しわかりやすく言ってくれない?」
「す、すいません。実はー」
 彼の話によると、自分たち(因幡、しのぶ、あたる、ラム、およびその関係者)の未来が運命監査官の審査に不合格し、過去にさかのぼって運命が大修正されるというのだ。  
 しのぶから、運命改変が行なわれることを知らされたあたるは憤慨する。おれの人生はおれ自身のものである。決して他人が土足で踏み込み、改変してよいものではないと。
 あたるは自分の夢であるハーレムの未来を守るためにち上がる。そのとき、空間が大きく揺れ、彼らは空間に落ちてい亜空間の中にはいくつものがあり、扉の中の部屋ではそれぞれちがった未来を見ることができる。その中のひとつの部屋では、因幡としのぶがみんなに祝福されて、結婚式をあげていた。
「因幡クンはきっとこの世界を守りたくって、謀反を起こしたっちゃ」
 二人をじゃましようとするあたるを止めて、ラムがしのぶにほほ笑んだ。
「因幡さんを捜さなくっちゃ!」
 しのぶが言った。そのとき。ラムの影がかげろうのように揺らいだ。
「ラムっ!」
「ダーリン」
 あたるはラムの影に飛びついたが、手応えはなく、空を切った。そして、あたるの見ている前で亜空間に飲み込まれていった。
 消えたラムを探すべく、あたるは急いで次の扉を開けた。
「な、なによ、この世界は!?」
「やった、おれの理想っ!」
 あたるはハーレムの世界を見つけた。しのぶ、サクラ、竜之介、ラン、弁天、ユキ。みんないる。しかし、ただ一人、ラムだけがそこにいなかった。
 あたるは次の扉へ向かった。
 地球を賭けて、おいかけっこするラムとあたる。
 あたるの浮気に電撃でこらしめるラム。
 あたると共に笑っているラム、泣いているラム、怒っているラム。扉をあけると、あたるとラムとの出来事が光の奔流となってあふれた。
「まるで、ラムの想い出の部屋みたい・・・」
 しのぶがつぶやいた。
「(ラム!)」
 あたるはラムが自分の隣にいないのが不自然に感じた。
 いつしか、あたるはハーレムの世界を守るためではなく、ラムと自分の世界を捜し求めていた。

開発室直撃インタビュー マイクロキャビン「うる星やつら」チームの巻

データの大量さにビックリ!

シナリオはドーンとぶ厚い“15cm”

 『めぞん一刻』の『うる星やつら』についての開発直撃インタビュー! 場所は、マイクロキャビン社のゲームソフト開発部門がある。同社の三階だ。
 全画開発本部の片山さんから紹介を受けて、ミーティンク・デスクにたくさんの資料を抱えて現れたのは、プログラム担当の御給 尚さんと、デザイナーの鎌田公夫さんの二人。
 「どんなキッカケから、うる星の開発に入ったのですか?」さっそく質問をスタート!
 「じつは、うる星の企画はめぞんと同時期からあったんですよ。」と片山さんは、のっけから驚かせてくれる。めぞん一刻のお話をうかがったときに聞いた「いくつか候があった」という中に含まれていたわけだ。
 「ここに持ってきたファイルがシナリオの現物です。」と御給さん。
 厚さにして15センチはあろうかというプリントアウ下された用紙に、ギッシリと文字が埋めこまれている。これは、全部に目を通すだけでもタイヘンだろうなあ。
 「このゲームは、もちろんグラフィックにも力をいれたんですが、会話にバラエティを持たせて面白くしようという企画のポリシーがあったもので、メッセージにはとにかく凝りました。このオリジナルのままでは、データは、1Mくらいあります。」
 1Mといえば、2HDのフロッピーがいっぱいになってしまう容量だ。そのほかにメイン・ルーチンや、グラフィックのデータ、さらに音楽のデータだって必要になってくる。普通だったら、2HDのフロッピー5、6枚組にはなりそうなデータ量だといえる。
 御給さんは言う。「データの圧縮には苦労しました。開発ツールとしてめぞんで使ったLADYは、この膨大なデータを処理することができないので、早い話がプログラミングは力仕事でしたね。最終的には、文字データは150Kまで圧縮しました。」めぞんの文字データは30Kだったそうだから、そのすごさがよくわかる。

キャラクターのタッチにも気を配ったグラフィック

 いっぽう、グラフィックのほうはどうだったんだろうか? そのへんは、カピカの新人で、今回の作品がAVGの初仕事という鎌田さんに聞いてみた。
 「シナリオライターのほうからは、シナリオと同時に線画による各場面の絵と、色指定がきました。枚数は、200をこえています。線画をデジタイズして、指定どおりに色付けしていけばよいと思ったんですが、パソコンの画面では、どうしても机上で考えたものとは違う点もあったので、最終的にはすべて自分で入力しました。」「そうそう。キャラクターのタッチも苦労しました」と御給さんが続けてくれた。「絵のタッチは、アニメタイプではなく、高橋留美子先生の原作に近づけることを原則にしたのです。コミックなど手に入る資料は、すべて集めて参考にしましたが、了子とか、しのぶあたりは、作品が進むごとにだんだん雰囲気が変わってきてしまうんですね。大人気作品だけに、ファンの人はグラフィックの仕上りには当然うるさいはずなので、神経を使いました。」
 納得! 納得! ボクもこのソフトが発売されてから、作品を買って読んだばかりだったので、御給さんの言うことがよくわかった。

カラーを生かしたNEWジャンルに期待!

 オッと、そろそろ、東京へ帰る予定の時間が近づいてきた。これが最後の質問だ。  
 「マイクロキャビンというソフトハウスは、一貫してAVGを出し続けているソフトハウスとして、ボク自身とても好感を持っているのですが、今後のマイクロキャビンが目指AVGというのは、どんなものなのでしょうか」「うちはAVGばかり作っているわけじゃないんですがね」と苦笑をまじえながら、この質問には片山さんが答えてくれた。「マイクロキャビンの、というより、ソフト全体が、AVGだのRPGだの、シミュレーション、リアルタイムとい特定のジャンル分けでとらえられない方向に発展しつつあると思います。そういった中でマイクロキャビンとしては、はーらいふぉっくすやうる星、めぞんなどで評価していただいた。一つのカラーといったものは、どうしてもたいせつにしていきたいと思います。だからといって、路線を固定化するのではなく、まったく新しいジャンルに的に取組んでいきたいですね。」
 ここ数年、有力なソフトハウスから発表される作品には、各ソフトハウス特有の持ち味といったものが、濃厚にあらわれるようになってきている。マイクロキャビンにも、もちろんこの傾向は強い。この現象は、けっして悪いことではない。出版社によって発行される本のジャンルや傾向がちがうように、各社のソフトウェアに対する取組み姿勢やポリシーがちがうことは、ボクたちユーザーにとっては歓迎すべきことだと思う。発売されるソフトが、みんな同じような物じゃかなわないもんね。
 ソフトにはやっぱり流行的なものがあって、AVGがはやればAVGが、シミュレーションがはやればシミュレーションがいっせいに各社から発売されてくる。そんな中でも、有力な“ソフトハウス”と呼ばれるところは、流行的味つけをしながらも自社のポリシーをしっかりと打ちだした作品を制作してくれる。
 片山さんのお話からも、最近ボクが感じているソフト界の動きと、業界をリードしているソフトハウスとしての自負と責任感とでもいえる力強さをうかがうことができた。四日市にきただけの収穫はあったと帰りの新幹線の中ひとり納得するボクであった。

P.S.大矢知さんがふだんお仕事をされる社長室は、二階にある。インタビューを終えて帰ろうとするボクは、「ぜひ寄っていってください」という強い一言で、その部屋に入った。部屋に入ったボクがまず行なったのは、当然"LOOK AROUND"。
 すると壁には、同志円が描かれ、直径5ミリほどの穴がうたれたものが取付けられている。床には、色とりどりの3ミリほどの形の物体が散乱しボクはおもわずコケそうになった。
 大矢知さんは、驚いたかというように、不敵な笑いうかべ、大きなデスクのむこうの椅子に深ぶかとすわると、壁を背にボーゼンと立っているボクに、冷たく黒光りするものをむけた。
 “シュバッ!…パシッ!”
 そいつから発射された何かがボクの耳とかすめ、壁に取付けられたものに当たったのだ。
 “コロン…”
 ボクの背後の床になにかが落下したかすかな物音がしたかと思うと、それはすぐに足下にころがってきた。身動きもできなかったボクは、視線だけを足下に向ける。
「BB弾!」
 ボクのすぐそばの壁に取り付けてあったのは、衝撃吸収布がはられた。標的だったのだ。
 社長室とは、世をしのぶ仮の姿。ここは、日夜サバイバルゲームの戦士を鍛えあげ、より強力な武器を作りあげるための秘密のアジトだったのだ。
「そうだったのか!」ボクはおもわず唇を噛んだ。ベーマガ編集部には、断空我、レスキュー隊員の南というサバイパルのエキスパートがいたのに!事前の調査をおこだった自分が招いた失策だ。マイクロキャピン最大の秘密に迫りながら、写真を撮ることすらもできない。
「フッフッフッ。山下君、私はいつでも待っている。」
 日曜日ごとに各地の戦場に出没し“四日市の狼”の異名をとる大矢知さんのことばを背に、ボクはマイクロキャビンをあとにした。

 今回の取材にあたって、また、この原稿を書くにあたって、マイクロキャビンのみなさんには、たいへんおせわになりました。
 次期作品制作でおいそがしい中、ほんとうにありがとうございました。
最終更新:2024年12月20日 14:39