ジ・アニメ > 1981年11月号

電撃放映を目前!第1話アフレコスタジオのうる星やつら


あのピチピチ、セクシーなラムちゃんと、世にもまれな凶相のもちぬし諸星あたるがついにアニメデビューする!
ラムに平野文、あたるに古川登志夫というあたり役をそろえて〝只今制作中〟なのだ。
キャストに共通してるのはみんな原作のファンだってこと。高橋留美子さんカンゲキ~!

Staff&CastComments


バカさを発散するとこがたまらなくグ~だ!(古川登志夫)


あたるって憎めないけどつくづくダメ男だね。ってことは僕にあたり役ってことかな(笑)。こういうバカさのエネルギーを外にドバッと発散してる役って好きなんですよ。僕自身は内向的なところもあるんだけど。画面の中でもスタジオでもお美しいかたたちに囲まれちゃって、いやこれからが楽しみッ!(笑)

これからは平野ラムって呼んでもらおうっと(平野文)

わたし今までDJの仕事なんかが多かったんです。だからアニメに関してはずぶの素人というかピッカピカの新人で、みんなにご迷惑かけっぱなし。どんどん叱ってもらって早く一人前のラムちゃんになろうと思っているんだけど、今はまだ夢中で声を出してるっていうのが本音ですね。とにかくがんばります。

僕だってカワユイとこあるんだから!モ~。(永井一郎)

僕ってまともな役がついたことないの。こんな不気味なのばっかし!(笑)でもカワイイとこもあってね、なんていっても名前が”チェリー"だから(笑)この役は出方がすごく問題になるキャラクターですね。出方次第で画面が一変してしまいそうなすごみをもってるんですよ。

ヨロメキ、わかります。わたしだって女だもの(佐久間なつみ)

このお母さんってとっても人間的でしてね、このとしでヨロめいちゃったりして。フフフ……。ヨロめきに関しては精神的なものだったらいいんじゃないかと思うの。わたし自身もすごーく惚れっぽい性質だしね。原作を読んでからとても悩みました。原作に感動した分いい仕事をしなきゃという悩みなんですよ。

ようやく二枚目風があたったと思いきや…。(緒方賢一)

まだ第一話しか読んだことがないんだけど、楽しそーなおとうさんだよね。でもこんなに絵的に二枚目の役ってはじめてなんです。今まではワルと三枚目のあいのこくらいの役ばっかりでね。エッ?三作くらいになるとおかあさんにしいたげられるんですか?いや、そりゃ困ったなぁ(笑)

オジサンにもうなづける原作、エライですね。(斯波重治)

原作は前から知ってました。作者は若いのにも関わらず、キャラクターの書きこみがていねいだなと思って感心していたんです。わたしみたいな年のニンゲンを感動させるというのはやっぱりすごいね。スタッフがみんなのって作ってるので、きっと面白いものができると思いますよ。

テクノっぽいラムちゃん、おひとついかが?(松谷祐子)

発想がすてきだし、ラムちゃんカワイイし。エッ、あたる?あたるはどーでもいいな。曲はMC18というコンピューターを駆使したテクノ童謡ですね。ラムちゃんの雰囲気だすのはかなり難しかったけど、がんばって吹きこんだつもりです。

AdditionalStaffComments


「うる星やつら」の制作にいま真赤になって大とりくみ中なのは、NHK「ニルスのふしぎな旅」で実力評価された〝ただ今売り出し中”の新プロダクション・スタジオぴえろ。
東京を東西に縦断する中央線の武蔵小金井駅にあるスタジオを胸ワクワクで訪問した。
スタジオぴえろは「うる星やつら」の制作のためにあらたに第3スタジオを新設。
たった三週間前、スタッフ一同なべ、かまさげて(?)引越してきたばかりだ。
スタジオも若い、スタッフも若いもちろん作者の高橋留美子さんも”お若いっ!〟。
こういう若い力で創り出されるラムちゃんは幸せなのだっちゃ!
熱気ムンムンのスタジオでスタッフのみなさんに話をきいていると幸運にも高橋留美子さんがスタジオ入り。
TV新広島での「うる星やつら」予告篇の撮影のためのスタジオ入りだが、ごついスタジオのスタッフ、カメラマン、照明さんなんかに囲まれてライトを浴びた高橋留美子さんはものすごく小柄ですてきなひとだったぞ!
予告篇に先立って、留美子さんにグ、グーンと第一種接近した模様もつぶさに報告しよう!
人気絶頂のマンガ「うる星やつら」がどんなアニメ作品になるか、期待度100パーセントって感じのスタジオ風景だ。
われらがセクシーなラムちゃんと世にもまれな凶相の持ち主、ダーリンことあたるの運命はいかに!?

この作品はテンポがいのちだと僕は思うんだ(押井守)

もう徹夜はなんかいか経験しましたね。演出グループを3つにわけて昼夜兼行でがんばってます。原作がとてもいい評判をとっているものだけに、それにオンブされたといわれたくない。アニメにしか出せない味、これを出したいです。原作のもっている絶妙なテンポ感をうまくいかして、筋立てはオリジナルで、キャラクターはよく消化したかたちで再構成しなおすという線をとってつくるつもり。先日声優のオーディションにいきましたが、みんなの熱意と期待に圧倒されましたよ。

キャリアウーマンというよりアニメ人間よ!(小島多美子)

演出のキャリアは2年ほど。もとタツノコプロにいました。「タイムボカン」シリーズをやっていたからギャグはお手のものと思われがちだけど、「うる星やつら」はすごㄑユニークで……。わたしにとっても新しいチャレンジですね。原作をよく知らなかったものだから話がきたとたん本屋へ直行。ハハハ…。

原作の感覚とピッタシカンカンなの、わたし(高田明美)

キャラクターデザインって一週間に約100体づつつくるんですよ。今やってるのはオープニングのキャラクターデザインです。これは毎回同じものが出てくるわけですから注意してつくらねばとガンバってます。「うる星」は原作とわたしの感覚がピッタンコあってるんです。

小林一三:
原画の仕事には今とりかかったばかり。キャラクターの数が多いうえに動きが多いですからね、もう大変!原画の枚数もいきいきした動きに正比例してかなり多くなりそうですね。がんばります。

青嶋克己:
今までにやった作品は「地球へ」とか「マルコポーロ」など。どれもが職人芸というか細かい技術を要する仕事で、その点はちょっぴり自信がありますよ。「ギャグはタイミング」これが僕の信条です。

小松ひな子:
「ニルス」でアニメーターデビューしたんです。まだ先輩たちに動画のことを教えてもらっている状態ですけど、ギャグものをするってすごく勉強になると思います。

阿部純子:
ぴえろにはいって丸2年たちました。「うる星やつら」をやって思ったことはキャラクターのくずしかたの難しさですね。ラムは案外描きやすいんですが最高むずかしいのがレイね。

鈴木まりこ:
チェックもしますが動画の仕事が主なんです。女流作家のかたのものをするのは初めてでラムちゃんをみて第一印象"カワイッ"といってしまったんですよ。

内田千代子:
「うる星」は登場キャラクターが多いから当然色も多くなりますよね。ダブらないようにするのが大変です。色づかいとしては、マンガっぽい女のコっぽいものになると思いますね。

今村立夫:
「うる星」は、場所のうつりかわりの巾が、地球の上と宇宙と、四次元の世界とという風にひろいんですね。どこでもそれなりのリアリティが出ればと思ってやってます。背景には抽象的な模様なんかも使います。

喜多川洋一:
今まではTV局で実写の制作をしてました。だから絵に関しては素人なんですけれど、原作にほれこんだのと、制作っていう仕事が好きだというガッツでやりぬこうと思ってます。

白男川由美:
「うる星」ではハンドトレース、ペイントなんかをやっているんです。マンガを描くことに直接たずさわったことってないんですが、「うる星」はアニメになったら、面白いだろうなあっていうのが素直な気持ち。

清水理智子:
アニメの仕事をするようになってまだちょっとしかたたないんです。原作はよみました。ラムちゃんがカワユクて。えっ!年ですか。まだ20才になってないんです。若いのよ。

アニメにするって子供をてばなすのに似てるわ。ちょっと淋しい。(高橋留美子)


わたし、もともとアニメに詳しいほうじゃなかったんですね。それでも、アニメ化ということでわたしの作品が人手にわたるということで、ちょっと我が子がどこかへいってしまうというさびしさと、どんな「うる星やつら」が出来るかなという胸ワクワク感とを同時に感じてるんです。少年マンガがとても好きだったんですね、それからSFの雰囲気が知らないながら好きで、それでああいう"女のコばなれ”した(笑)作品ができるんでしょう。テンポの速いSFストーリー・ギャグを描くのがわたしの理想。ラムちゃんが色っぽいのはわたしが、色っぽい女の人が好きなためですね。キャラクターの多さには実はわたしも困ってしまってるとこ。いつかバッサリ整理しちゃおうかな。

「うる星やつら」の成功を願ってさる9/11「うる星やつら・打ち入りパーティ」がにぎにぎしくひらかれた。


スタッフ、キャスト勢揃いの豪華顔合わせだ。
岡さんはまずはフジテレビ・プロデューサ岡さんの音頭で一同「カンパーイ「フジテレビの目玉商品です。
アフレコをきいていて、ウンッこれなら!と思いましたよ」とはげましの言葉を。
おかえしにスタジオぴえろ社長の布川氏は、「期待していただけてありがたく思ってます。全力を注いでいいものをつくりますのでどうぞよろしくッ!」と。
少年サンデーの高橋デスクは「この作品はスケールが大きいんですよね」こと原作、アニメともどもに"これは大物!"のたいこ判を押して、「アニメでは、何をやっても許されちゃうようなカワユサがほしいと思ってます。イヤ味のないギャグで女のコにもぜひ“ラムちゃんブーム”をひきおこしたい」
サンデーの田中氏も口をそろえて「雑誌での100万人読者ではものたりません。ぜひ全国の人をファンにという願いがTV化で実現できてうれしい」
原作者の高橋留美子さんも「TVの『うる星やつら』すごく楽しみにしています」と上気した顔での激励だった。
そのあとキャストの挨拶が次々と。
はげまされたり、はげましたり、「うる星やつら」にかける情熱はボルテージ満開だ!

EpisodeSummaries


うわさのラムちゃんだっちゃ!(episode1,10/14)
ある日、あたるたちの町に宇宙船が現われ、そこから宇宙人のラムちゃんが降りてきた。

町に石油の雨が降る!(episode2)
宇宙ゆうびんテンちゃん到着(episode3,10/21)
つばめさんとペンギンさん(episode4)
変身美男レイがきた(episode5,10/28)
くたばれイロ男(episode6)
秋の空から金太郎(episode7,11/4)
たくましく生きるんや(episode8)

ここが聞きたい


Q.10月号の「うる星やつら」のページにキャストが載っていませんでした。ぜひ知りたいのでこの欄で教えてください。

A.ではラム役からずらずらーと紹介していきましょう。ラム役は平野文さん。あたる役は古川登志夫さん、キンタロちゃん役は野沢雅子さん、さくらさん役は鷲尾和知子さん、錯乱坊役は永井一郎さん、テンちゃん役は杉山佳寿子さん、レイ役は玄田哲章さん、そして、あたるのお母さん役は佐久間なつみさん、同じくお父さん役は緒方賢一さんです。(布川ゆうじ)
最終更新:2024年10月26日 15:40