USS 小説07

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&font(16pt,b,i){付与魔術を覚えよう07} ... 著 / 優有 世の中には様々な宗教がございますの。 それらは複雑に絡まり、隔たり、隣人としてささやかな干渉と拒絶を繰り返し、 歴史を紡いできましたの。 しかし、僧職にある者が全て宗教に殉ずるわけではありませんわ。 宗教の考えに共感したり、宗教を道具としたり、 それは個々人の考えで変わるものなのです。 ましてや、回復魔術が使えるからといって神に仕えているとは限らないもの。 それでも回復魔術を使わせていただけるというのは、 神とやらが如何に寛容であるかを表しているとも言えましょうが。 ですので、私が回復魔術を使えることと、神を信奉することと、 世人に尽くさねばならないと言うことは無関係なのですよ? 「つまり、10stは一切まかりません。利息が着く前にお早くお支払いくださいませ」 「ふざけんな、クソ小悪魔」 まぁ、柄の悪い。 どうにも冒険者というのは品が無くていけません。 見た目も中身に見合った程度の方が多いようですし。 馬の方なら売れましょうが、この鹿の方は労働力にしかなりませんわね。 「あら。支払い能力が無い食い詰め冒険者でしたの? お可哀想に。皆様にも御承知おきいただいた方がよろしいかしら?」 「…脅す気か、テメェ」 あら、意外。 おつむもお顔もお可哀想な方と思っておりましたのに。 債権付きの冒険者など、仕事が出来ないと公言するのと同じことであると御理解いただいたようですわね。 「…金はない。タダで治せるんだから、タダでいいだろぉが」 「恩人との約束を守れない弟分を馬の方が誇りに思われるかしら?」 「…ぐっ……テメェ…」 あら、酷いお顔。うふふ、酷すぎて笑えてしまいますわ。 でもお金がないのは笑えませんわね。 狐の神様はお金を支払う者の願いのみ叶えると聞きますわ。 狐の獣人である故の親近感もありましょうが、 お金とは対価であるべきだという考え方には、共感することしきりですのよ。 崇拝などは全くしておりませんが。 何か依頼を受けていただいて、報酬からお支払いいただくのがよろしいかしら。 「でしたら、私どもと共に依頼を受けて、その報酬からお支払いになられてはいかがでしょう?」 そろそろお姉様にも男性に慣れていただかないと差し障りますし。 折角、金払いの良い貴族の方に買っていただけたのに、 殴り倒して帰ってこられましたものね。 貴族の方と違って、馬の方と鹿の方ならうっかりお姉様が殺してしまっても後腐れはありませんわ。 「……わかった。ただし、アニキがテメェらと仕事するのを認めたらな」 それは問題無さそうですわよ。 さっきから楽しげにウェイトレスと依頼書を確認してますもの。 馬の方はお支払いに前向きですわね。 「ということで、明日に出発予定の荷馬車への荷物の積み下ろし、及び道中の護衛の依頼が適当かと」 あら、肉体労働ですのね。 私としてはお偉方に冒険譚を騙って、お金をいただく方が楽なのですが。 まぁ、致し方ありません。 「あら? ですがこの依頼書、募集が5名と記載されておりますわよ」 私とお姉様、馬の方と鹿の方。 「彼もバカどもの被害者ですから、慰謝料を請求する権利があるかと。 それにバカどものアネキ分になったようなので、セットでお引き取りください」 あぁ、そちらの猫の方。 …引き取った以上は売っても構いませんわよね? 探索者ギルドの猫の方とか、良いお値段で買っていただけそうですし。 しかしアネキ分ですの? 一目で男性とわかるでしょうに、 おつむのよろしくない方は物の見え方が違うのかもしれませんわね。 「付与特化の魔術師なので、お荷物や足手まといくらいにはなれるでしょう」 「うぅ…できることを頑張ります…」 付与魔術特化…確かに、同行者としては頼り難いですが。 魔術によっては希少な術もあるので、何が出来るかによっては使い道があるかもしれませんわね。 使えなかったら売りましょう。 「暫定とはいえパーティのリーダーとして能力を把握させていただきたいのですが、 何かできますの?」 「待てコラ。俺はテメェをリーダーだと認めた覚えはねぇぞ?」 「貧乏人の主張に価値はありませんわ」 あら鹿の方。随分と面白いお顔をなさってどうされたのかしら? ほら、猫の方が笑いを堪えてらしてよ? それとも怯えていらっしゃるのかしら。 「…料理は得意です。あ、荷馬車なら、振動を抑える魔術が使えます」 「あら。でしたら、明日の食事についてはお任せいたしますわ。 荷馬車への魔術は依頼主の許可が要りますわね」 護衛や力仕事に関して触れずに、それ以外のことを答えるあたり、 少しは頭が回る方のようですわね。 「それについては、こちらで依頼の受領報告をする者に確認させておきましょう。 必要な物や代価を教えてください」 後のことは任せて平気そうですわね。 さて、私はお姉様に話をしておきませんとね。 ---- 今回の付与魔術 【閉ざされた箱の中の猫】 (ショック・アブソーバー) 素材:猫または猫系獣人の毛と血。 効果:閉鎖している間に限り、荷台に外部からの衝撃が伝わらなくなる。 詠唱:「再会の時まで誰も断言は出来ない【閉ざされた箱の中の猫】」 代価:積載した物の重量が、下ろすまでの間一割増しになる。 ---- [[←06に戻る>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/37.html]] [[08へ進む→>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/44.html]] ----  
&font(16pt,b,i){付与魔術を覚えよう07} ... 著 / 優有 世の中には様々な宗教がございますの。 それらは複雑に絡まり、隔たり、隣人としてささやかな干渉と拒絶を繰り返し、 歴史を紡いできましたの。 しかし、僧職にある者が全て宗教に殉ずるわけではありませんわ。 宗教の考えに共感したり、宗教を道具としたり、 それは個々人の考えで変わるものなのです。 ましてや、回復魔術が使えるからといって神に仕えているとは限らないもの。 それでも回復魔術を使わせていただけるというのは、 神とやらが如何に寛容であるかを表しているとも言えましょうが。 ですので、私が回復魔術を使えることと、神を信奉することと、 世人に尽くさねばならないと言うことは無関係なのですよ? 「つまり、10stは一切まかりません。利息が着く前にお早くお支払いくださいませ」 「ふざけんな、クソ小悪魔」 まぁ、柄の悪い。 どうにも冒険者というのは品が無くていけません。 見た目も中身に見合った程度の方が多いようですし。 馬の方なら売れましょうが、この鹿の方は労働力にしかなりませんわね。 「あら。支払い能力が無い食い詰め冒険者でしたの? お可哀想に。皆様にも御承知おきいただいた方がよろしいかしら?」 「…脅す気か、テメェ」 あら、意外。 おつむもお顔もお可哀想な方と思っておりましたのに。 債権付きの冒険者など、仕事が出来ないと公言するのと同じことであると御理解いただいたようですわね。 「…金はない。タダで治せるんだから、タダでいいだろぉが」 「恩人との約束を守れない弟分を馬の方が誇りに思われるかしら?」 「…ぐっ……テメェ…」 あら、酷いお顔。うふふ、酷すぎて笑えてしまいますわ。 でもお金がないのは笑えませんわね。 狐の神様はお金を支払う者の願いのみ叶えると聞きますわ。 狐の獣人である故の親近感もありましょうが、 お金とは対価であるべきだという考え方には、共感することしきりですのよ。 崇拝などは全くしておりませんが。 何か依頼を受けていただいて、報酬からお支払いいただくのがよろしいかしら。 「でしたら、私どもと共に依頼を受けて、その報酬からお支払いになられてはいかがでしょう?」 そろそろお姉様にも男性に慣れていただかないと差し障りますし。 折角、金払いの良い貴族の方に買っていただけたのに、 殴り倒して帰ってこられましたものね。 貴族の方と違って、馬の方と鹿の方ならうっかりお姉様が殺してしまっても後腐れはありませんわ。 「……わかった。ただし、アニキがテメェらと仕事するのを認めたらな」 それは問題無さそうですわよ。 さっきから楽しげにウェイトレスと依頼書を確認してますもの。 馬の方はお支払いに前向きですわね。 「ということで、明日に出発予定の荷馬車への荷物の積み下ろし、及び道中の護衛の依頼が適当かと」 あら、肉体労働ですのね。 私としてはお偉方に冒険譚を騙って、お金をいただく方が楽なのですが。 まぁ、致し方ありません。 「あら? ですがこの依頼書、募集が5名と記載されておりますわよ」 私とお姉様、馬の方と鹿の方。 「彼もバカどもの被害者ですから、慰謝料を請求する権利があるかと。 それにバカどものアネキ分になったようなので、セットでお引き取りください」 あぁ、そちらの猫の方。 …引き取った以上は売っても構いませんわよね? 探索者ギルドの猫の方とか、良いお値段で買っていただけそうですし。 しかしアネキ分ですの? 一目で男性とわかるでしょうに、 おつむのよろしくない方は物の見え方が違うのかもしれませんわね。 「付与特化の魔術師なので、お荷物や足手まといくらいにはなれるでしょう」 「うぅ…できることを頑張ります…」 付与魔術特化…確かに、同行者としては頼り難いですが。 魔術によっては希少な術もあるので、何が出来るかによっては使い道があるかもしれませんわね。 使えなかったら売りましょう。 「暫定とはいえパーティのリーダーとして能力を把握させていただきたいのですが、 何かできますの?」 「待てコラ。俺はテメェをリーダーだと認めた覚えはねぇぞ?」 「貧乏人の主張に価値はありませんわ」 あら鹿の方。随分と面白いお顔をなさってどうされたのかしら? ほら、猫の方が笑いを堪えてらしてよ? それとも怯えていらっしゃるのかしら。 「…料理は得意です。あ、荷馬車なら、振動を抑える魔術が使えます」 「あら。でしたら、明日の食事についてはお任せいたしますわ。 荷馬車への魔術は依頼主の許可が要りますわね」 護衛や力仕事に関して触れずに、それ以外のことを答えるあたり、 少しは頭が回る方のようですわね。 「それについては、こちらで依頼の受領報告をする者に確認させておきましょう。 必要な物や代価を教えてください」 後のことは任せて平気そうですわね。 さて、私はお姉様に話をしておきませんとね。 ---- ***今回の付与魔術 &bold(){【閉ざされた箱の中の猫】} (ショック・アブソーバー) 素材:猫または猫系獣人の毛と血。 効果:閉鎖している間に限り、荷台に外部からの衝撃が伝わらなくなる。 詠唱:「再会の時まで誰も断言は出来ない【閉ざされた箱の中の猫】」 代価:積載した物の重量が、下ろすまでの間一割増しになる。 ---- [[←06に戻る>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/37.html]] [[08へ進む→>http://www8.atwiki.jp/uss_trpg/pages/44.html]] ----  

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