キール「最近、町の外で、アントが集まってるんだって。」
キール「お姉ちゃんも、いろいろ走り回ってるみたい。」
キール「町の中は大丈夫だろうけど、旅人が被害にあわないようにって。」
キール「大丈夫かなあ……。」
フォルテ「レスト(フレイ)さんなら、大丈夫だとは思いますが……。」
フォルテ「ここのところ、アントの大群をよく見かけると聞きます。」
フォルテ「城の兵を何人か調査に向かわせ、場合によってはトウバツするので、」
フォルテ「レスト(フレイ)さんも、どうかお気をつけ下さい。」
主人公「あれは……。」
主人公(大変だ!早く助けないと!)
ヤンファン「キミ、助けてくれるのかい?」
主人公「大丈夫ですか?」
ヤンファン「ああ、ありがとう。助かったよ。」
ヤンファン「行商に来たら、いきなりアントの大群を見つけてね。」
ヤンファン「おいしい話を期待して後を追ったら、見つかっちゃってこのザマだよ。」
主人公「そうなんですか……。(半分は自分のせいなんじゃあ……)」
ヤンファン「ともかく、世話になったようだ。」
ヤンファン「俺はしばらく、そこの町にいるからね。」
ヤンファン「なにかあったら声をかけてくれ。力になるよ。」
主人公「あ、はい。」
バド「さー、寄ってらっしゃい、見てらっしゃイ。」
主人公(バドさん?なにやってるんだろう?)
バド「ココにある剣、一見すると何の変哲もないけれど、」
バド「ところがどっこい、スゴイ武器なんだナー。」
キール「スゴイって、すごく丈夫とかそういうこと?」
旅の男「……どうも、うさんくさいな。」
バド「まあ、疑うのはもっともだけどナー。」
バド「でも、この装備はなんと、ココにいるこの人が持ってたものダ!」
主人公(あれ?あの人は……。)
ヤンファン「だから、オレは単なるおけ屋だって。」
旅の男「おけ屋って……。なんの関係があるんだよ!」
旅の男「いや、ちょっと待て……。」
旅の男「そういえば、アントに囲まれても、無傷で助かった商人がいるって!」
旅の男「そうか!その商人の売り物がたしか……。」
フォルテ「バドさん!何してるんですか!」
バド「悪いネ。急に用事を思い出したヨ。」
バド「それじゃ、この続きはまた今度ナー。」
旅の男「あ、おい!」
フォルテ「くそっ!逃がすかっ!」
旅の男「うわ!すごい風!」
旅の男「目に砂が……。」
旅の男「……これじゃあ、どんな武器も役立たずだな……。」
旅の男「確かに。目つぶしされたら意味がないな。」
旅の男「結局、武器だけあっても、宝の持ちぐされってやつか……。」
キール「……なるほど。」
キール「目が見えなくなったら、武器なんて役に立たない……。」
キール「うん。確かにそうかもね。」
バド「それデ……。」
バド「さっきの旅人たちの反応は、どうだっタ?」
キール「うん。おおむね不評だったよ。」
バド「……笑顔で言われると、さすがに傷つくナー。」
キール「どんなにすごい武器でも、目つぶしされたらかなわないってさ。」
バド「……それなら、目をつかわない武器ならどうだろウ?」
キール「そんなものあるの?」
バド「あるのだヨー。」
バド「おお、あったあっタ。このハープだヨ。」
バド「これなら、こうして目をつぶって演奏してモ――」
キール「うう……耳が……。」
バド「……ナ? 目が見えなくても、攻撃できるだロ……?」
主人公(ひいてる本人もつらそうだ……。)
バド「キールは素直でかわいいなア。」
バド「でも、素直すぎて、ときどきちょっと心配だナー。」
キール「目が見えなくても、攻撃できる武器って知ってる?」
キール「バドさんのところに行けば、教えてもらえると思うよ。」
キール「そう言ってくれって、バドさんに頼まれたからね。」
フォルテ「ああ、レスト(フレイ)さん。ここにいらっしゃいましたか。」
フォルテ「例のアントの件で、少しお聞きしたいのですが……。」
フォルテ「レスト(フレイ)さんの倒した中に、キラーアントはいましたか?」
主人公「えっと……。たぶん、いたと思います。」
フォルテ「やはりそうですか……。」
主人公「どういうことですか?」
フォルテ「どうやら、今回のアントたちは、キラーアントに従ってるようです。」
フォルテ「アントたちが集まってしまったのも、そのせいみたいですね。」
主人公「キラーアントが?」
フォルテ「でも、そのおかげで、彼らはバラバラに動いたりしない。」
フォルテ「それをうまく利用すれば、町の外に敵を集められます。」
主人公「なるほど……。」
フォルテ「あとはバドさんのみょうな商売の件だけが気になりますが……。」
フォルテ「ああ、いえ。これはこちらの話です。」
フォルテ「それでは、失礼します。」
ふぉルテ「バドさんのことは、気になりますが……。」
フォルテ「ああ、いえ。これはこちらの話ですから。」
主人公(バドさんの様子、気にしてるみたいだな……。)
バド「今日は商売繁盛の予感だナー。」
主人公「なにかあったんですか?」
バド「実はさっき、武器になる楽器を実演販売してたら、」
バド「それを売ってくれって連中が、たくさんきててナー。」
バド「実物が手元になくて、まだ売れてはいないんだけど、」
バド「でも、材料になるキレイな虫の皮を持ってきてくれってたのんだんだヨ。」
主人公「キレイな虫の皮?」
バド「キラーアントが落とすアレだヨ。あの皮をなめしてつかうんダ。」
バド「材料を集めてもらって、オレはただ作るだけなのダー。」
主人公「キラーアントって、フォルテさんが言ってた……。」
バド「
モンスター退治にもなって、一石二鳥だろウ?」
主人公「いえ、それを先に倒しちゃうと、せっかくの作戦が……。」
キャーッ!
バド「あの悲鳴は、たぶんリンファさんの声ダ。」
バド「とりあえず、旅館に行ってみよウ。」
主人公「どうしたんですか、リンファさん!」
リンファ「あ、レストくん(フレイちゃん)……。」
リンファ「ここにお風呂のおけが置いてあったんですけど……。」
バド「全部ボロボロだナー。」
主人公「誰がこんな事を……?」
バド「見てみロ。レスト(フレイ)。」
主人公「これは……。」
バド「何かにかじられた跡だナー。」
主人公「それってもしかして……!」
リンファ「そういえば、アリのモンスターが、外へ逃げていくのを見たような……。」
バド「…………。」
主人公「外か……。もしかしてまたあそこに……?」
バド「アリねえ……。どっかに集まってるのかナ?」
リンファ「あそこのおけは、お手入れのため、外に運び出す途中だったんです。」
リンファ「でも、少し目をはなしたすきに……。」
主人公「……それじゃあ、犯人は見てないんですか?」
リンファ「はい……。」
リンファ「でも、アリのモンスターが、外へ逃げていくのを見たような……。」
主人公(あの木片……。)
主人公(アントは木をかじるから、おけを見つけてかじったんだな……。)
主人公「……とりあえず、今はこの場をなんとかしなきゃ!」
主人公「ふう……。これで全部か。」
フォルテ「レスト(フレイ)さん!」
フォルテ「あの、町の外にモンスターが集まってると聞いたのですが……。」
主人公「それなら、今ちょうど片付けたところです。」
フォルテ「そうでしたか……。」
フォルテ「遅れてしまい、申し訳ありませんでした。」
主人公「あ、いえ。」
フォルテ「実は、何体かのキラーアントが、力を合わせた旅人たちに倒され、」
フォルテ「そこで統制を失ったアントが、町の方に流れてしまったのです。」
フォルテ「急ぎ町に戻り、あたりをチェックしていたのですが、」
フォルテ緒「ここが最後になってしまいました。」
主人公「そうだったんですか……。」
フォルテ「ありがとうございます。レスト(フレイ)さん。」
フォルテ「あなたがいなかったら、今頃どうなっていたことか。」
主人公「いえ、そんな……。」
フォルテ「これは心ばかりのお礼です。よろしければ、受け取って下さい。」
フォルテ「本当にありがとうございました。」
主人公(よし、それじゃあリンファさんに報告しておこうかな。)
フォルテ「実は、町に戻ったときには、モンスターはたおされていたんです。」
フォルテ「よほどの腕の持ち主が、手を貸してくれたのか……。」
主人公「僕(私)がたおしたのは、ここのモンスターだけですよ。」
フォルテ「そうですか。」
フォルテ「では、一体誰が……?」
主人公「リンファさん。」
主人公「おけをこわした犯人は、アントだと分かりましたよ。」
リンファ「え?」
主人公「後はフォルテさんたちが何とかしてくれると思います。」
リンファ「そうでしたか……。」
リンファ「ありがとうございます。それを聞いてほっとしました。」
主人公「いえ。どういたしまして。」
主人公「それより、壊れたおけは……。」
ナンシー「リンファさん。」
リンファ「あら、ナンシーさん。」
ナンシー「キールくんから聞きました。大変だったみたいですね。」
ナンシー「少しでも足しになるように、今日おけを買ってきますね。」
リンファ「いえ、そんな……。」
ブロッサム「えんりょせんでもええんじゃないかい。」
ブロッサム「困ったときは、おたがいさまじゃて。」
リンファ「ブロッサムさん……。」
ナンシー「おけ屋さんも、ちょうど町に来てるみたいですしね。」
主人公「それなら、僕(私)がおけ屋さんを呼んできますよ。」
主人公「それだったら、お風呂に入りに来たついでに買ってもらえるでしょう?」
リンファ「レストくん(フレイちゃん)……。」
リンファ「……では、お言葉に甘えて。」
リンファ「よろしくお願いしますね。」
リンファ「お言葉に甘えて、おけ屋さんを呼んできてもらえますか?」
ヤンファン「お、また会ったな!」
主人公「あの、すみません。おけが欲しいんですけど……。」
ヤンファン「おお、今回はお客さんか!」
ヤンファン「それで、いくつ欲しいんだい?」
主人公「たくさんです。」
ヤンファン「え?」
主人公「とにかく、たくさん必要なんです。」
主人公「ですから、僕(私)に付いてきてもらえませんか?」
ヤンファン「……。」
ヤンファン「よし、気に入った!」
主人公「え?」
ヤンファン「大口のお客さんだ。出張サービスしてやろう。」
ヤンファン「それで、どこに運べばいいんだ?」
主人公「それじゃあ、この町の旅館までお願いします。」
ヤンファン「おお、それはいい。オレもちょうど用事があったんだ。」
ヤンファン「これはまた、ずいぶんにぎわってるなあ。」
ヤンファン「お、ちょうどいい。」
ヤンファン「おーい、シャオ!」
シャオパイ「久しぶりのようだ。」
ヤンファン「ああ。あいからわず変な口調だな。」
シャオパイ「誰のせいだ。」
ヤンファン「人のせいにするなよ。まあ、教えたのはオレだが。」
主人公「あの……。」
シャオパイ「ああ、レスト(フレイ)は初対面だったな。」
シャオパイ「ウチの父だ。」
ヤンファン「いつも娘がお世話になっております。」
主人公「えええ!?」
主人公「お店の方は大丈夫でしたか?」
リンファ「はい。それはもう。」
リンファ「町の方々だけじゃなく、旅人さん方もお風呂に入っていってくれましたし、」
リンファ「それに、おけは夫の売り物ですから。」
リンファ「結果的に、おけを皆さんに買い換えてもらっちゃったようなものです。」
主人公「あのおけ屋さん、シャオさんのお父さんだったんですね。」
リンファ「はい。」
リンファ「根無し草で、なかなか町には帰ってこないんですけどね。」
リンファ「でも、年に一度は、必ず顔を見せにくるんです。」
主人公(リンファさん、うれしそう……。)
リンファ「でも、今回は本当に助かりました。ありがとうございます。」
主人公「いえ。どういたしまして。」
一方そのころ……。
バド「さて、この武器、見た目はただの楽器なんだけどナー。」
キール「なんと、目が見えなくても、相手を攻撃できるんだよ!」
旅の男「へえ……。」
旅の男「うさんくさいなあ……。」
バド「まあまあ、そう言わずニ。」
バド「お、
マーガレットさン。ちょうど良かっタ!」
マーガレット「え?」
バド「この楽器を弾いてみてもらいたいんだけド。」
マーガレット「えっと、かまいませんけど……。」
キール「いい音楽だね。」
バド「ああ。心が落ち着くナー。」
旅の男「……で、どこがどう武器になるんだ?」
バド「…………。」
バド「振り回せば、ちょっとは痛いヨ?」
…………。
風のうわさでは、鍛冶屋の在庫に、ハープが足されたそうです。
最終更新:2018年06月05日 10:11