顔の怖いコワモ
「あの、すみません。そこのお方。」
フレイ
「はい、私ですか?」
顔の怖いコワモ
「はい。道を聞きたいのですが、よろしいですか?」
フレイ
「ええ、私でよければ。」
(この人、少し顔が怖いけど優しい声をしてる……。)
ビシュナル
「窓拭き用の雑巾を買い替えないと。バドさんの所で買えるかな?
あ、姫だ。何してるんだろう?」
フレイ
「どちらまで行かれるんですか?」
コワモ
「学校に行きたいのです。子供が通う予定なので下見をしたくて。」
フレイ
「学校……?」
コワモ
「ええ、このあたりにあると聞いたのですが、どこでしょう?」
フレイ
「えっ、この辺りにですか!?」
コワモ
「はい。」
フレイ
「え、ええ〜?学校なんてあったかな……。」
ビシュナル
「姫がなんだか困っている……。それに相手はとっても怖い顔だ……。
まさか、あの旅人さん……。悪い人!?」
フレイ
「この辺りに学校は無いと思うんですけど……。」
コワモ
「えっ? でも
飛行船を降りて近くにあると聞いてたんです。」
フレイ
「う〜ん、困ったなあ……。」
ビシュナル
「やめろっ!!」
フレイ
「う〜ん……え、『やめろ』? ビシュナルくん!?」
ビシュナル
「そこのあなたっ!
姫に何をするつもりですか!?事と次第によっては僕は怒ります!!」
フレイ
「ちょっと……ビシュナルくん?」
ビシュナル
「姫は下がっててください。この人は悪い人なんですよね!」
フレイ
「違うよ。」
ビシュナル
「そうですか、やっぱり違いますか!許せません!」
フレイ
「道を聞かれてただけだよ。」
ビシュナル
「道を聞かれてたですって!? なんてひどい事ーーーーを?
えっと、この人が、姫に道を?」
フレイ
「うん。」
コワモ
「ええ、助けてもらってました。」
ビシュナル
「本当ですか!?」
フレイ
「うん。」
ビシュナル
「うわーっ、本当にごめんなさい!
あまりに旅人さんの顔が怖くて早とちりをしてしまいました!!」
フレイ
「こ、こら、ビシュナルくん!」
コワモ
「……いいんです。怖い顔なのは自覚してますから……はは。」
ビシュナル
「あ、す、すいません!そんなつもりじゃなくて!!」
コワモ
「こんな顔だから娘もなついてくれないんですよね……。
だからせめて良い学校を選んでお父さんポイントを上げようと必死で……。」
フレイ
「お、お父さんポイント……。」
コワモ
「でも、学校が見つからないんじゃまた娘に嫌われてしまう……うう。」
ビシュナル
「学校? 学校を探してるんですか?」
コワモ
「ええ、この辺りにあると聞いて来たんです。」
フレイ
「でも、私は学校なんて知らなくて、それで困ってて……。」
ビシュナル
「なるほど。そういう事ですか。」
コワモ
「うう……私はどうしたら……。」
ビシュナル
「お父さん、飛行船で降りる場所、間違えてますよ。」
コワモ
「え?」
ビシュナル
「学校は、このセルフィアの次の飛行船が降りるところにあります。
降りたら西へ進んでください。すると大きな建物が見えます。
カブの門をくぐれば、受付はすぐですよ。」
コワモ
「な、なんと!? そうだったんですか!!ありがとうございます!
これで娘にきらわれないで済みそうです!それでは失礼します!!」
フレイ
「へ〜、ビシュナルくんは地理に詳しいんだね。」
ビシュナル
「そ、そんな事はありません。
ただ、念のためにこの地域の地理を全て把握しているだけです。
なにせ、執事を目指してますから!」
フレイ
「か、関係あるのかな……。」
ビシュナル
「でも、本当のすみません……。早とちりなんかしてしまって……。」
フレイ
「ううん、それよりも助かったよ。ありがとう。」
ビシュナル
「え、えへへ……。(ほめてもらえました……)」
フレイ
「それにーー」
かっこよかったよ・ドジはいつもの事だし
▼ドジはいつもの事だし
ビシュナル
「がーーんっ! それは言わないでくださーーいっ!!」
フレイ
「でもありがとう。」
▼かっこよかったよ
ビシュナル
「へ?」
フレイ
「最初、私を助けてくれようとしてたんだよね? かっこよかったよ。」
ビシュナル
「え、ええええっ!! そっ、そんな言葉、僕にはもったいないですっ!!
それに、守りたいものを守るのはあたりまえです!!」
フレイ
「え?」
ビシュナル
「あっ! いえ、えっと、なななななんでもないですから!!
えっと、えっと、それじゃあ、用事があるので失礼します!」
最終更新:2013年03月17日 15:54