1日目
バド「もうけ話って なかなか転がってないよナ。」
バド「…………。」
主人公「……あの、床を見つめても、 落ちてないと思います。」
バド「うン。 知ってル。」
バド「ところで、 新商品を仕入れたんだけどサ。」
主人公「新商品?」
バド「一見すると、 ただのジョウロなんだけド、」
バド「なんと、これで水をまくと、 植物が育つんだヨ。」
すごいですね!・それって普通のことなんじゃあ……
▼すごいですね!
バド「…………。」
バド「いや、普通のジョウロなんだけどネ?」
主人公「え?」
バド「…………。」
主人公「…………。」
バド「まあ、でもサ。」
▼それって普通のことなんじゃあ……
バド「うン。」
主人公「…………。」
バド「楽にもうけるのって 難しいよネ。」
主人公「はあ……。」
バド「それにさ、 こういうのを考えてると大体、」
バド「なんでか知らないけど、
フォルテが大変なことになるんだよネ。」
主人公「え?」
バド「で、オレもその後 大変な目にあわされるっていうネ。」
主人公「…………。」
バド「楽にもうけるのって難しいよネ。」
バド「しかも、 こういうのを考えてると、
フォルテが大変なことになるんだよネ。」
主人公「…………。」
2日目
フォルテ「バドさんは 鍛冶屋としての腕は確かなのですが、」
フォルテ「いかんせん、 あの性格に問題がありまして……。」
フォルテ「……はあ。」
主人公「た、大変ですね……。」
バド「そのジョウロで水をまくと……。」
バド「……なんと、植物が育つんだヨ。」
ビシュナル「……す、すごい!」
バド「え?」
ビシュナル「ジョウロで水をまくだけなのに 植物がぐんぐん育つなんて!」
ビシュナル「すごい発明ですよ!!」
バド「ぐんぐんとは言ってないけどネ?」
ビシュナル「楽しみだなあ! どれだけスゴイ勢いで育つのか!!」
バド「いや、だから、 それって特別なことじゃなくてナ?」
ビシュナル「コレ、おいくらですか!?」
バド「い、いや、 そんな期待に満ちた目で見られるト……。」
ビシュナル「…………。」
バド「……じゃあ、タダであげようかナ。」
ビシュナル「え!? いいんですか!?」
ビシュナル「ありがとうございます!!」
バド「…………。」
バド「まあ、 また次がんばればいいカ。」
2日目
バド「
ポコリーヌさん、 ちょっとコレを見てくれますカ?」
ポコリーヌ「ぽ?」
バド「実はコレ……。」
バド「卵を産むコケホッホーなんですヨ。」
ポコリーヌ「エエーーーーーッ!!!!?」
マーガレット「だまされたらダメだよ! ポコさん!」
マーガレット「そんなの、 単なるコケホッホーだよ!」
マーガレット「それにバドさん、 変な水とか売ってるんでしょ?」
バド「いいヤ。」
マーガレット「あれ?」
バド「『水をまくと植物が育つジョウロ』 なら売ってるけど、普通だよナ?」
マーガレット「えっと……。」
マーガレット「でも、バドさんがまたおかしなものを 売ってるって……。」
バド「むしろ、普通のものを、 どう売ろうか悩んでるんだよネ。」
マーガレット「あ、あれれ?」
バド「うーん。 やっぱりこの売り方はダメなのカ……。・」
バド「…………。」
バド「いや、もうちょっと頑張ってみるカ。」
主人公「そういうところは 意外と真面目なんですね……。」
マーガレット「バドさんが、また変なものを 売ってるって聞いたんだけどなあ。」
マーガレット「たしか、飲むとたちまち 元気になる水だとか……。」
ポコリーヌ「人間、誰しも間違いはありマス。」
ポコリーヌ「とりあえず、 ご飯でも食べて落ち着きまセンカ?」
マーガレット「ご飯はさっき、 食べたばっかりだよね?」
ポコリーヌ「それなら大丈夫デス。 ワタシは作る側デス。」
マーガレット「そう言って、 作りながら食べちゃうんでしょ?」
ポコリーヌ「人間、誰しも間違いはありマス。」
3日目
バド「つまり、 この水とコケホッホーはだナ。」
アーサー「普通の水とコケホッホーですよね?」
バド「………………うン。」
アーサー「そういうところでウソをつけないのが、 バドさんのいいところですね。」
バド「まあ、ウソでもうけても うれしくないからなア。」
アーサー「楽してお金をもうけたいのに、ですか?」
バド「誰かにウソをつくのは、 全然楽なことじゃないだろウ?」
アーサー「なるほど。」
アーサー「色々間違ってる気もしますが……。」
アーサー「私も嘘は嫌いなので、 いいんじゃないでしょうか。」
バド「そうカ。」
アーサー「でも、もうすっかり 町中のウワサになっていますよ。」
アーサー「なんでも、バドさんが特別な水や 珍しい卵を売っているとか。」
バド「いや、見ての通り、 普通の水と卵だソ?」
アーサー「まあ、ウワサに尾ひれが付くのは 世の常ですから。」
アーサー「……おっと、すみません。 そろそろ私は失礼しますね。」
バド「また仕事カ?」
アーサー「はい。 今日中にまとめたい資料がありまして。」
バド「あんまり がんばりすぎないようにナ。」
アーサー「バドさんは、 もう少しがんばってくださいね。」
バド「まあ、ほどほどにナ。」
アーサー「それでは。」
バド「しかし、 やっぱり失敗だったかもなア。」
フォルテ「なにがですか?」
バド「普通のものを、 特別なものっぽく売り出す方法。」
バド「なんだか話が大きくなりすぎて、 また
フォルテに怒られそうナ……。」
バド「…………ン?」
フォルテ「……バドさん……。 ……あなたという人は……!」
フォルテ「どうして!」
フォルテ「いっつもいっつも!」
フォルテ「くだらないことばかり、 考えているのかっ!!」
バド「おおっと! 悪いけど今日は品切れ、店じまいダ!」
バド「それじゃ、また今度ナ!」
クローリカ「そういえば、
ビシュナルくんが 『ジョウロ』の話をしてました。」
クローリカ「『不思議な水』がどうとか 言っていたような~。」
クローリカ「バドさんのお店で ゆずってもらえるんでしたっけ?」
フォルテ「ココで待っていれば、きっと戻ってくるはず……。」
フォルテ「バドさん……。」
フォルテ「今日という今日は、こってりしぼってやります……!」
マーガレット「もう! ポコさんったら、 どうして信じちゃうかな!」
マーガレット「バドさんだって、自分で 『普通のコケホッホー』だって言ってたのに!」
マーガレット「……あれ? じゃあ信じた方がいいんだっけ……?」
マーガレット「えっと……バドさんのお店に行って 確かめてみようかな……。」
コハク「
クローリカちゃんが 『おもしろい水』の話をしてたの。」
コハク「えっとね、 『飲むだけでお花さんが元気になる水』?」
コハク「そんな感じだったの。」
コハク「バドさんのお店に 置いてあるって言ってたよ?」
ドルチェ「ああ、レスト(フレイ)。」
ドルチェ「ねえ……『不死の水』って、 幽霊にも効果があると思う?」
主人公「え?」
ピコ『あら、お二人でお話ですの?』
ピコ『私もまぜて下さいまし』
ドルチェ「……じゃあ、この話はこれで終わりね。」
ピコ『なぜに!?』
主人公「…………。」
ビシュナル「あ、姫。」
ビシュナル「『バドさんにもらったジョウロ』 早速使ってみますよ!」
ビシュナル「いやあ、楽しみだなあ!」
ビシュナル「でも、不思議ですよね! 『水をやればぐんぐん育つ』なんて。」
ビシュナル「バドさんのお店に行って 正解でしたよ!」
アーサー「バドさんの商品について、 町中にウワサが広まってるようですね。」
アーサー「ウソは感心しませんが、 あの方のは、少し違う気がします。」
アーサー「ただ、あの商売の仕方では、 成功は難しい気がしますね。」
キール「あ、レストくん(フレイさん)! 聞いた聞いた!?」
キール「『コケホッホーの金の卵』と、 『不老不死の水』の話!」
キール「バドさんのお店で、 いま絶賛売り出し中らしいよ♪」
主人公(明らかに話が変わってる……。)
ダグ「なんか
エルミナータが 水がどうとかって騒いでたナ。」
ダグ「『若返る水』だとか 言ってた気がするけド。」
ダグ「バドのおっさんに 話でも聞いてみるかナ。」
ダグ「……い、いや、別にばあさんのためとか、 そういうんじゃねえからナ!」
レオン「
ジョーンズさんが 『珍しい卵』の話をしてたぞ。」
レオン「『金の卵』がどうのって言ってたな。」
レオン「『コケホッホーのうわさ』が流れてるから、 それのことか?」
主人公(なんだか、 最初の話と大分ズレてるような……。)
セルザ「今日はどうも、妙な話ばかり耳にするの。」
セルザ「
ブロッサムは『不老不死の水』がどうとか、」
セルザ「
ジョーンズは『金の卵』がなにやらと……。」
セルザ「一体どうなっとるんじゃ?」
主人公「…………。」
ブロッサム「ダグが水のことを聞いてきたんだけど、 なんだったのかねえ。」
ブロッサム「なんでも、 もし『不老の水』があるんならほしいかって……。」
ブロッサム「バドのお店にあるらしいけど、 本当かねえ。」
主人公(話が微妙に大きくなってるような……。」
ナンシー「
リンファさんから、 『コケホッホーの珍しい卵』の話を聞いたわ。」
ナンシー「チャーハンの材料にしたら どんな味になるかしら♪」
ナンシー「バドさんのお店にあるって話だから、 後で行ってみようかしら。」
ジョーンズ「
ナンシーが『珍しい卵』で チャーハンを作ってくれるそうです。」
ジョーンズ「あ、レストくん(フレイさん)。 知ってましたか?」
ジョーンズ「おいしいチャーハンは、 『卵が金色』に見えるんですよ。」
ジョーンズ「バドさんの売ってる卵がどんなものか、 今から楽しみですね。」
エルミナータ「『飲むだけで花が若返る』っていう『水』の話を聞いたわ!」
リンファ「
ポコリーヌさんにお料理をお願いに行ったら、 おもしろいお話を聞けました。」
リンファ「なんでも、バドさんのところで 『珍しいコケホッホー』を売ってるそうですよ。」
リンファ「今度、鍛冶屋さんに行って 詳しい話を聞いてみましょう。」
ポコリーヌ「『卵を産むコケホッホー』」
ポコリーヌ「おいしい卵を産むのデショウカ。 それとも『珍しい卵』なのデショウカ。」
ポコリーヌ「激しく気になりマス。」
ポコリーヌ「バドさんのお店に行けば、 ゆずってもらえないデショウカ。」
バド「いやあ、
フォルテに聞かれてるとは参ったナ。」
バド「きっと店で待ち構えてるから、 しばらくは適当に時間をつぶすカ。」
フォルテ「……って、レストさん( フレイ)さん!?」
フォルテ「す、すみません! カンチガイしてしまって……。」
主人公「いえ……。」
フォルテ「あいにく、 バドさんなら留守のようです。」
フォルテ「しばらくすれば 帰ってくると思いますが、」
フォルテ「……なにぶん、 あの人のサボりぐせは相当なものですから……。」
主人公「ああ……。」
フォルテ「……まったく。」
フォルテ「十年前から、 本当に変わってないんだから……。」
主人公「十年って、そんなに昔からですか?」
フォルテ「……はい。」
フォルテ「あの人は、 いつもそうなんです。」
フォルテ「がんばらないでもいい方法を、 がんばって探したり、」
フォルテ「働かないでお金をかせぐ方法を 見つけようとしたりとか、」
フォルテ「この町に引っ越してきた当時から、 バカなことばかり考えていました。」
主人公「なるほど……。」
フォルテ「でも、鍛冶の腕は確かです。」
フォルテ「情けないように見えますが、 鍛えられた体は相当のものですし、」
フォルテ「父も生前、あの人の剣に、 何度も助けられたと聞いています。」
フォルテ「それに……。」
フォルテ「意外としっかりしてるところも あるんですよ。」
フォルテ「両親を亡くした私たちを、 ずっと気づかってくれてますしね。」
主人公「バドさんが?」
フォルテ「やっぱり、意外ですよね。」
フォルテ「何かめんどうごとがあれば、 真っ先に逃げ出しそうな人なのに。」
フォルテ「でも……。」
フォルテ「そういうことから逃げる姿だけは、 一度も見たことがないんです。」
フォルテ「普段はいい加減だし、 どうでもいいことにばかり真剣ですけど、」
フォルテ「誰もが逃げ出したがるようなことからは、 決して逃げだそうとしない。」
フォルテ「そういう人なんです。」
フォルテ「そういうところは 尊敬してますし、」
フォルテ「だから、感謝もしています。」
主人公「
フォルテさん……。」
バド「今回の商売も やっぱり失敗だったなア。」
バド「…………。」
バド「でも、まあ、 ちょっと損しちゃったけド、」
バド「そういうときもあるよネ。」
バド「今回は
フォルテも そんなに大変なことになってないし、」
バド「まあ、 あんまり怒られないよナ。」
フォルテ「うう……。」
フォルテ「なにが原因で、 こんなウワサが……。」
フォルテ「いや……。」
フォルテ「……心当たりならありすぎるな……。」
主人公「あの、笑いながら剣を抜くのは、 やめてください……。」
最終更新:2024年11月22日 21:01