M201
M201・203mm30口径長榴弾砲は、
フードル・ペッカー造船所が開発・製造している機動装甲用大口径榴弾砲。
背面マウントに装着する外装式肩上発射型大口径火砲。
分離充填液体装薬式で精密な初速調整が可能であるためさまざまな弾種を使用でき、間接照準による遠距離火力支援から直接照準による近接火力支援まで様々な状況に対応可能。
砲弾は、砲身下部の三連装回転弾倉に装填され、弾倉一本につき4発、最大で三種類12発の砲弾を携行可能。砲身は仰角70度、俯角10度まで可動し、左右には5度ずつ可動する。
薬室にはコイル状のデータ入力用インターフェイスをもち、各種誘導砲弾や調整信管同調に用いる。
改良型のM201A2・203mm35口径長液体装薬砲は、M201の砲身延長型であり、M201より長い射程を持つ。
また、液体装薬を内蔵タンクからカートリッジ式に変更。自動装填装置の高性能化により発射速度も向上している。
使用弾種
M201は、様々な弾種を用いての砲撃が可能である。以下に、使用できる弾種を示す。
M601高性能榴弾
もっとも多く用いられる弾種であり、大戦中から現在に至るまでもっとも多く使用された砲弾である。
砲弾全長は120cm(M201全砲弾共通)と大きく、炸薬装填量は破壊力を抑えた支援砲撃用通常榴弾でオクタニトロキュバン系爆薬21kg(TNT60kg相当)、大規模攻撃用の広域破壊弾頭で金属ヘリウム爆薬10kg(TNT換算5000kg。これは旧世紀時代の大規模破壊爆弾と同程度の破壊力となる)をもち、弾体後部には金属ヘリウム保存用のバッテリーを内蔵している。点火には、マルチモード信管を用いて、遅発、瞬発、空中炸裂の三種類を選択可能。最大装薬量での発射時は射高500m射程8000mまでの対空射撃が可能であり、その際には信管の空中炸裂モードを使用。遅発設定であれば、バンカー攻撃も可能だ。また、弾殻には対装甲調整破片効果を付与しており、軽装甲目標への攻撃も可能だ。
M308多目的対装甲榴弾
口径203mmの多目的対装甲榴弾(HEAT-MP)。目視線距離での直接火力攻撃に使用される弾種であり、最大射程は直接照準で5000m。トリプルHEAT弾頭を備え、RHA換算4000mmの貫通力を持っている。
M309減口径多目的対装甲榴弾
装弾筒を備えた減口径砲弾。弾体口径は155mmで、空気抵抗の小さな鋭利な弾頭形状の翼安定砲弾に離脱装弾筒をつけた構造で、HEAT-FSDSとも呼ばれる。信管にはレーザー近接信管が採用されており、対航空機攻撃能力も付与されている。弾頭形状および装弾筒の採用から高初速で空気抵抗が小さく、遠距離での命中精度が大きく向上。これにより射程距離が大きく増大している(最大射程直接照準で7500m)。
M26複合標的型多目的弾薬
対装甲・対物効果を合わせ持つ子弾を散布する無誘導砲弾。15個のマルチモードスキート、もしくは42発の対装甲子弾、6発のM75子弾を内蔵し、最大射程は50km。砲弾先端部には電子式時限信管が取り付けられており、この後方はM7子弾42個もしくはM75子弾6発を収納する弾頭部分である。M7子弾は6個の円筒形ポリウレタン・フォームに納められている。このウレタン・フォームには目標地点上空でM7を放出するためのシート炸薬が装填される。M7は対機甲・対物効果を持つDPICM(Dual-Purpose Improved Conventional Munition複合目的改良型通常弾薬)とよばれる子弾で、直径63mm、高さ126mm、重量720gの強化アルミニウム製ケースに成形炸薬を内蔵、頭部に姿勢安定および起爆装置解除用バリュートが取り付けられている。目標地域上空に達すると、ポリウレタン容器切断用の炸薬に点火、M7子弾を放出する。M7子弾はバリュートにより落下姿勢を安定させ、安全装置を解除。弾着時の衝撃で起爆し、成形炸薬は装甲板を貫通、周囲に破片を撒き散らす。
M23翼安定迫撃弾
安定翼をもった曲射弾道迫撃弾。薄い弾殻の中に金属ヘリウム炸薬20kg(TNT換算10t)を充填し、同口径の榴弾砲よりも大きな破壊力を持つ一方で、対砲弾レーダーに捕捉されやすい面を持つ。完成弾の尾部には底部カバーが装着されており発射後に離脱、折り畳み型の安定翼を展開させ、飛行安定とと共に砲弾を垂直に着弾させ、破壊効果を最大限に発揮させる。
M2033中射程誘導砲弾
M201から発射される対装甲/硬化目標用誘導砲弾。対
HMAから対戦車、対艦、対バンカーと幅広く使用できる単弾頭弾で、射程は最低2km~最大70km。弾頭は対装甲榴弾型と徹甲弾型の二種があり、共に全長120cm。完全撃ちっ離し型の砲弾は発射後、目標に向かって弾道飛行し、目標上空で誘導翼とシーカーを作動。対装甲榴弾型には赤外線画像シーカーとセミ・アクティブレーザーシーカーを用いて目標を捕捉し、直上から突入。トリプル成形炸薬弾によって装甲を貫通する。徹甲弾型にはアクティブレーダーシーカーとセミ・アクティブレーザーシーカーを用いて目標を捕捉し、砲弾後部のロケットモーターに点火。90度~60度の角度から超音速で突入し、重量15kgの重金属弾芯によって目標を破壊する。
M2035長射程減口径誘導弾
長射程の対地誘導砲弾。飛翔体は直径155mm、全長120cmのロケットアシストつき誘導弾で、発射時は装弾筒に覆われて203mm砲の強力な発射エネルギーを効率的に受け、音速で発射される。発射されたのち、装弾筒は飛翔体から外れ中間高度まで弾道飛行したのち飛翔体後部のロケットモーターに点火。約5分間燃焼して射程を延長する。ロケットモーターは燃焼が終了すると投棄され、飛翔体はINS・GPSで誘導されながらカナード翼によって緩やかに降下しながら滑空し、目標上空に到達した瞬間、直上から垂直に着弾する。ペイロードは超貫通成形炸薬・高性能榴弾、対装甲子弾(EFP子弾6個もしくはM7子弾18個)、M75子弾3発、対バンカー重外殻弾を選択できる。射程は203mm砲では最大の120km~150km。最低射程は30km。
高機能同時複数交戦システム
比較的短距離から中距離までをカバーする高機能誘導砲弾および制御システムで、最低射程は1200mから使用できる。最大射程は50km。一定領域内に存在する複数の目標に対し単独にて連続もしくは同時(MRSI)に砲弾を到達させるものであり、砲弾は発射後に中間高度まで弾道飛行したのちカナード翼によって自律誘導される。砲手は指定、もしくは自ら定めた領域に存在する複数の目標を指名し、あとは目標の数だけ砲弾を連射するだけで砲弾は赤外線画像およびアクティブレーダー誘導により自動的に目標に向かい、高性能榴弾もしくは対装甲榴弾にて破壊する。
運用
随伴砲兵
最少単位では小隊規模での随伴砲兵として、運用がされている。
小隊内での随伴砲兵としては、直射もしくは曲射での投射、および中射程誘導砲弾もしくは短射程誘導砲弾を用いての火力支援を主な運用としている。
随伴砲兵では、運動戦における迅速な機動および火力発揮を本懐としているため、遠距離でも最大30km程度、近距離では目視線射程での砲撃となるため、直射での火力発揮を重視される。
全般支援砲兵
一方、砲兵連隊での運用では砲兵旅団高機動砲兵連隊で長砲身A2型を用いての、曲射および各種誘導砲弾による中~長距離での広域砲撃もしくは精密砲撃を主な運用としている。
砲兵連隊での運用では、長距離での火力発揮を期待されるため、その交戦距離は非常に長く、また迅速な機動による射点の移動、および戦線の移動などの能力が求められるため、発射後の移動、および再発射準備が容易であり、高機動での砲撃が可能なM201A2が運用されている。
諸元
用途:
HMA用外装火砲
分類:肩上発射型大口径榴弾砲
設計:
フードル・ペッカー造船所
製造:
フードル・ペッカー造船所
運用者:多数
全長:850cm(A2:910cm)
口径:203mm
口径長:30口径長(A2:35口径長)
弾種:HEAT−MP、高性能榴弾、フレシェット弾、中射程対装甲誘導砲弾、その他誘導砲弾各種、翼安定迫撃弾
有効射程:120km(A2:150km)
最終更新:2013年08月18日 23:45