2008/10/01(水) 21:18:26 ID:SZD9z2/+
熱気に包まれた昼間とは違い、静まり返った夜のトーナメント会場には
晶の足音だけが響き渡る。
「……葵、居ないのか?」
声は反響して、静寂を破ると程なくしてリングに少しの明かりが灯った。
闇から現れたのは若い女の人影、華奢な体に黒い髪が靡いている……。
「葵……?」
晶は声を掛けるが、その人物が葵では無いと、すぐに悟ると訝しげな表情をした。
黒のチャイナドレスに包まれた、葵と同じような長い黒髪の女は
薄いピンク色の携帯電話に付いている、ストラップを指に絡めながらクスクスと笑っている。
見慣れた筈の顔は、何か怪しげな妖艶な微笑み、翳りのある表情に
一瞬、その本人かと疑うほどだった。
「パイ?」
よく見るとパイが持っている携帯電話は
葵が『自分でこしらえた』と見せてくれたビーズ細工のストラップが付いていた……。
―――― 事の始まりは一通のメールだった。
夕食後、晶はホテルの一室でくつろいでいると、携帯に葵からのメールが届いた。
『大切な話があるから、指定したトーナメント会場に来て欲しい』と書かれていた。
主催側から用意された同じホテル、互いの部屋は数度行き来きをしているのにも関わらず
こんな夜更けに呼び出される事に不信感を感じたのは事実だった。
出かける際に、一応葵の部屋をノックしたが、不在だった為に晶は指示された通りに来ていた。
しかし今だに葵は現れない。
自分と葵しか知りえない筈の場所と時間に、なぜ彼女がここにいる?そして葵の携帯電話……。
晶は全く理解できずに、ゆっくりと自分に歩み寄るパイを、たた黙って眺めた。
「晩上好。晶。素敵な夜ね。ここじゃ夜空が見えないのが残念だけど。
そうそう婚約したんですって?葵ちゃんと。
だから私、晶にお祝いをしたくて……はい、これプレゼントよ」
パイは後ろに隠していた紙袋を差し出して晶の足元に投げる。
バサッと乾いた音を立てて、無造作に投げられた紙袋から色鮮やかな布が流れ出てきた。
拾い上げると、見憶えのある着物に帯、引き裂かれた肌襦袢……。
……それの持ち主が誰かは考える迄もなかった。
「これは……どういう事だ!?……葵は、葵はどこに居る!!」
動揺する晶を意に介さないで、パイは相変わらず葵の携帯電話を弄ぶ。
「やだ、そんなに大きな声を出さないで……葵ちゃんは此処よ。ほら、見てあげて……」
パイが晶の目の前に突き出した葵の携帯から、動画が流れる。
若い女が、数人の男に囲まれ腕や足を押さえ付けられ襲われていた。
白い肌に無数の腕や舌が這い回りながら、唇を、乳を、手を、秘部を犯され始める。
泣き叫び、抵抗も空しく男根で口を塞がれ、涙で顔を汚した葵が
無機質な荒い画像に映し出されていた。
携帯電話を差し出しながら、クスクスと笑うパイの細い手首を
晶は千切れそうな位に強く掴みパイを睨み付けた。
手が痺れる程に強く掴まれ、痛みに耐えきれずに落ちた携帯電話が、床に打ちつけられながら転がる。
「……葵はどこだ?」
「離してよ、痕が残るじゃない」
晶はイラついたように、もう片方の手でパイの胸座を掴み、顔を近づけて怒鳴り付ける。
「もう一度訊く。葵は今どこにいる?」
「もういいじゃない、今はもう彼女も悦んでるかも知れないわよ?彼らスゴいから……貴方より」
そう言って笑ったパイの顔が弾かれるように横を向く。
パイの赤い唇の端から同じ色の血が滲んでいた。
「痛いわね……」
俯いたパイが、そう呟いた瞬間に晶の体が宙を舞った。
パイに不意に投げ飛ばされ、晶は体制を整えようとするが間に合わず
体の上から飛びかかるパイの両膝からの追撃を片足に食らう。
「ぐぁ……!」
膝の辺りが枝を折るような不自然な音を立てたと同時に激痛が走った。
それでも何とか立ち上がるが、それと同時に空気を切るような音と共に、パイの回転した蹴りが頭を狙う。
とっさに両腕で頭を守り持ちこたえる、しなやかな細い足からは想像出来ない位の
重い蹴りに腕が痺れ、それが次第に足まで響き晶は眉を顰めた。
今までパイとは何度も手合わせをしている。が今までのそれとは明らかに違っていた。
「……悪いけど私に勝とうなんて思わないでね?貴方、弱いんだから」
パイはそう言い放つと、容赦なく晶の顎を蹴り上げ天井を仰がせた。
晶が身を起こそうとするが、すぐさまパイの両足に首を挟まれる。
「站住(動くな)……次は首を折るわ」
パイの見下ろす視線が本気であると語っていた。
「なぜだ……どうしてこんな事をする?」
「どうして?貴方が私に訊くの?どうしてって?詰らない冗談だわ……ねぇ?」
パイは片足を晶の顎に押し当てたまま、ドサッと晶の上半身に身を後ろに投げだすように座る。
「私が訊くわ。2年前のトーナメントの時に、どうして私を抱いたの?父に敗れて泣いていたから?
……何で、あのまま私を放っておいてくれなかったの?
愛情なんて知らなければ、ずっと父を憎み続ける事が出来た……それが私の生きる価値だったのに」
「……パイ」
「まさか、こんな形で裏切られるなんて思わなかった。騒ぐと、どっちが困るのかも分かっていたのよね?
大女優が格闘家の男に遊ばれ捨てられて、本当に何て滑稽なのかしら。パパラッチが泣いて喜ぶわ」
「違う!……俺は!」
「住嘴(黙れ)」
押し当てた足で晶の顎を締め上げる、パイの後ろに投げ出した腕は、折れた脚を捕えており身動きが出来ない。
「貴方が教えてくれたわよね?私に無償の愛を。一生忘れる事の出来ない甘美な思い出を。
だから今度は私が教えてあげる……貴方に終わりなき無き憎しみを。生涯消える事のない憎悪を」
パイはチャイナドレスの懐から自身の携帯電話を取り出して、晶に見せる。
青白く光る動画に映し出される淫猥な風景。
男たちの荒い呼吸と共に、か細く啜り泣くような甘い声。複数の男に囲まれた葵の表情が悦を迎えていた。
「ライブの映像よ。ねぇ、彼女を見て……こんな顔を見た事あるかしら?
堕ちるなんて本当に簡単……身体は正直だもの」
そう言うと、パイは体を反回転させながら後ろ足で晶の首を捕えると、晶の下腹部に手を伸ばした。
ズボンを引き下ろすと、まだ機能してない男のそれを引きずり出す。
「止めろ!」
パイは晶の制止にも構わず、舌を這わせる。
舌先で何度も裏筋に這わせると亀頭を唇で捕らえ、舌を使いながら吸い上げる。
「うっ…あっ…やめ、ろ」
抵抗をしようとすれば両足が首を締め上げてくる。
片手で柔らかい男の精の源を指先で刺激しながら、唇でゆっくりと吸い上げては、深く咥える。
程なくして、パイの舌の動きに翻弄されたそれが、本来の形を成してくると
パイは舌を出して唾液を引かせながら顔を上げ、両腕を折れた足に重心を掛けた。
「うがっ……!」
走る激痛に晶の体が一瞬浮く。
その隙にパイは晶の足の間に潜り込み、片脚を折れた足に巻きつかせた。
痛みの為に少し傾きかけたそれを、愛おしそうにペロッとひと舐めすると
チャイナドレスの脇のスナップに手を掛ける。
ドレスは白い肌に巻きつくように腰に落ち、豊満な乳房が解放されたように揺れ出る。
「んっ、んふっ」
唾液で粘着質な音を立てながら、両乳房で男根を挟み込み、口に咥えながら、それを刺激する。
「……う、ぐっ…」
腫れ上がったそれを、容赦なく口で責め立てながら乳房を擦り付ける。
ぬるぬるとした舌や、柔らかい乳房、擦れて硬くなった乳首で責め
晶自身を限界まで昇り詰めさせると、裏筋が張り詰め始める。
「ふふ、すごい大きくなってるわよ?ねぇ、おっぱいも気持ちいい?」
ジュルジュルと音を立てながら、乳房に挟みこみ唇で亀頭を吸う。
「くっ…あ」
快感を振り払おうにも、リズミカルに吸いつく唇と舌が巻きつき強制的に射精を促される。
「んっ、んんっ、はぁっ…ねぇ、ほら…もう出ちゃいそうよ、ここから精子出しちゃうの?ねぇ?」
射精に備え、先端から溢れる粘膜を舌先で窪みを責めるように、ひとしきり舐めまわし
深く口腔内に咥え込むと、舌の動きを早める。
堪え切れず射精に入るその寸前、パイは晶に絡めた脚に力を入れ、折れた足を強く締め上げた。
「ぐあああっ!!ああっ!」
晶が苦しげに体を硬く強張らせる。吐き出す寸前の精は昇り切れず、先端を濡らしただけだった。
痛みに耐える晶を冷たく見下ろしながら、チャイナドレスとショーツを脱ぎ捨てると晶の顔の上に立つ。
「辛いのね。足の痛み?それともイケないから?何度繰り返したら快感が痛みに勝つのかしら?」
「ふ…ざける…な…」
「……ほら、次は頑張ってイカないと、この足、二度と使い物に成らなくなっちゃうわよ?」
晶に跨り両足を広げると指で花弁を開き、結合部分を見せつけるように
ズブズブと男のそれを秘部に飲み込み始める。
「……っぐ」
「ああっ、全部入っちゃった…、はんっ、気持ちイイ…晶…貴方もいっぱい気持よくなって」
後ろに片手を置いて爪が食い込むほど足を強く掴んだ。
「ぐ…!…がぁっ!」
晶の口から苦痛の声が上がるのを合図にパイは腰を動かす。
「ああっ、はぁっ、ん、あっ」
腰の動きに踊らされるように、仰け反った上半身で乳房が揺れ動く。
はしたなく跨った両足から秘部が開いており、陰茎が花弁に食い込んでは、出てくる様子が露わにされる。
「はんっ、はんっ、奥に、すごい、ゴリゴリ当たって…あぁっ、あっ、あぁ!」
「ぐっ」
パイの瞳が快感に濡れ、甘美な声が上がり、その度に折れた足に置いたパイの片腕に力が籠もる。
「うあっ…ぐっ!」
「はんっ、はぁんっ、はぁぁんっ…晶……あきらぁ、こっち見てぇ」
もう片方の手にはパイの携帯電話。
画面には同じように男に跨り突き上げられながら
男に差し出された携帯の画面を、虚ろに眺める葵の姿が映し出されていた。
一瞬にして晶の表情が強張った。
「あ、んっ……ダメ、もっといい顔してくれなきゃ、ね」
そう淫美に微笑むと、パイは顎をクイッと上に向ける仕草をする。
会場の2階の暗い客席から、赤いランプがチカチカと光って見える。
そのカメラを持った男がパイ達の動きを捕えていた。
「彼、私の大ファンなんですって、だから協力してくれてるの。素敵なサプライズでしょ?」
晶が何かを言いかけた瞬間に、足に置いた腕に力を入れて動きを封じる。
「うっ、ぐあっ…」
パイは歪む晶の表情を楽しむように、腰を前に迫り出すように動かす。
「凄いわ、今度は衰えないのね……、じゃあイッてみせて。イカないと彼女がどうなるか知らないわよ?」
晶は苦しげに歯を食いしばると、噛みしめた唇から血が滲んでいた。
パイは足から腕を離し、前屈みに両膝を付けるように腰を浮かせると、上に腰を引きぬき、また差し込むように
何度も上下に腰を動かし始める。
激しさを表すように、乳房が音を立てて揺れ動く。
「あっ、ああんっ、奥に凄い当たるのぉ、いいッ!私もイッちゃいそうよ…はぁっ、はぁっん、」
「ぐっ…!どけ……っ!」
「だめぇっ。あんっ、あぁっ、イクッ…はぁん、イッちゃううっ…あっ、ああああっ!」
パイが膝をブルブルと震わせながら腰を深く根本まで落として、擦り付けるように絶頂を迎える。
膣内で深く咥え込まれ、ひくつく膣壁に精液をしごき出される。
「うっ…あ」
痛め付けられた体では成す術もなく、パイの膣内に放った。
「ああっ、精子が…精子が中にいっぱい……、凄い、溶けちゃいそうよ…あぁっ」
パイは虚ろな瞳で自らの乳首を嬲りながら、腰を尚強く送り続けた。
「んっふぁ……っ、ほら全部出して、ね」
最後の一滴が出し終わるまで、暫く腰を強く押し付ける。
「ふぅ……」
ゆっくりと腰を上げると、流れ出ないようにパイは指で押さえた。
それでも大量に吐き出された精は白い太腿を伝って、ポタポタと晶の鍛え上げた腹の上に落ちる。
それを見てパイは満足気な表情を見せると、指に絡みついた精液を舌で舐めとった。
「……さぁ、後は待つだけね。この日の為に体を調整してたから準備は万端よ。
運が良ければ、いや貴方にとっては悪ければかしら?
その時は日本のメディアを中心に出て行く予定よ。
……可愛いベイビーをスキャンダラスに報道してもらいにね」
クスクスと笑いながら汚れた体を気に留める事もなく、服を着る。
「子供が産まれたら、きっと私と同じ生き方を望む筈よ……父親を憎むって生き方をね。
その時までに素晴らしい仕上がりにしておくから楽しみにしていてね。
……それじゃあ、さようなら。葵ちゃんと、どうぞ『お幸せに』ね」
床に転がる葵の携帯を拾い上げ、仰向けのまま動けず、たたパイを睨みつける晶に
頬笑みながら、白濁まみれで倒れてる葵の画像を目の前に突きつけた後、晶の胸元にそれを置いた。
黒い髪をなびかせながらパイが立ち去った後、晶は胸元に置かれた携帯を握りしめ
足を引きずりながら、ゆっくりと立ち上がる。
ギリッと奥歯を噛みしめて携帯を振り上げると床に向かって、それを叩き落とした。
派手な音を立てながら散らばる破片。
割れた液晶には修羅の顔をした男が映りながら闇に消えた。
最終更新:2009年04月11日 22:37