2006/11/17(金) 00:59:42 ID:NXi4+R+g
スタジアムの出口に旅行鞄を抱えた一人の女性が立っている。
場違に思える程高貴な服。肩にかかる美しいブロンドの髪。綺麗で上品な顔立ちと
透き通る様なブルーの瞳にはあどけなさが残り、何とも言えない魅力を放っている。
まさに“お嬢様”と言う言葉を絵にした様な女性だった。
この女性、名前はレア・デュショーソワという。勿論、この大会の参加者ではない。
彼女は一人の男を待っていた。
その男に会うために、レアは生まれて初めて勝手に家を飛び出した。両親は今頃慌てているに違いない。
そう考えると少し気が重かったが、今更どうしようもなかった。
出入り口の向こうから話声が聞こえてきた。レアは小さく身構える。
「あんなどんくさい女に勝ったって嬉しくないわ」
「本国ではそこそこ有名だったみたいですが」
「実践経験が少なすぎね、変わったスタイルを使うって聞いてたから、
少しは期待してたのに…、それにしてもそそる顔してたわ…」
金髪の女と黒人の女が前を通る。何か話し掛けようとしたレアだったが、
会話からは想像がつかない
金髪の女の美しさと、黒人の女の冷たい視線にレアは言葉を失う。
「まぁ、何この娘?」
「あっ…」
170センチを超えてるであろう二人に155センチ程のレアは圧倒される。恐くて仕方ない。
「何、あなた?あのチビモンキー娘のお友達かしら?」
「国籍が明らかに違いますが」
「わかってるわよ」
「レッ、レア・デュショーソワですっ、はっ、初めまして」
頭を下げるレア。
ピクリとも動かない黒人女をよそに金髪の女が口を開く。
「デュショーソワ?あのフランスの?」
「えっ…?はっ、はい、あっ、どこかで…」
「私サラ・ブライアント。聞いたこと無いかしら?」
「ブッ、ブライアント…、あっ、あの、アメリカの…」
「こっちが、ベネッサ・ルイーズ、私のボディガードってところね」
「よろしく」
「よっ、よろしくお願いします!!」
父から聞いたことがある。
ブライアント家と言えばアメリカでも有数の良家だ。なんでも娘は頭脳明晰の美人
イケメンの息子はレーサーだという話。まさかこんな所で会うことになるとは思わなかった。
「リオンに会いにきたのかしら?」
「えっ?あっ……、どうして…」
「フランスから来てるのは彼だけだもの、リオン君の彼女?」
「はい…」
うつむき加減で答えるレア。
彼氏と言ってもリオンの厳しい父と、勝手に外出させてくれないレアの両親の目を盗んで
たまに会うだけの関係。二人は出発前に、空港で初めてキスをしたばかりであった。
「残念だけど彼はここにいないわ。もうホテルに戻ってると思うけど」
「えっ?」
「よかったらホテルに案内してあげましょうか?大会の参加者はみんな同じホテルに泊まってるから」
「あっ、お願いしますっ」
レアは再び頭をペコリと下げる。
「じゃあついてきなさい」
そう言ってサラとベネッサは歩き出した。3メートル程後ろをレアが歩く。
ベネッサ小さな声でサラに尋ねた。
「有名な家系で?」
「まぁ、フランスの小金持ちってとこ、たいした家ではないわ。…そんなことよりねぇ」
「何か?」
「いじめたくなったわ」
「……」 ..
「リオンさんもまとめていじめてあげようかしら」
「……」
レアは鞄を持って、遅れをとるまいと二人の後ろをテクテクと小走りでついてきていた。
サラとベネッサはホテルのある一室のドアの前で足を止めた。
「ここがリオンさんの部屋ですか?」
緊張しているレアはキョロキョロしながらサラに尋ねる。
「いいえ、ここは私の部屋」
「えっ?」
ベネッサはレアの首根っこ素早く掴む。悲鳴をあげる暇もなく、
サラによってドアは開かれ、部屋の中に引きずり込まれる。
「少し大人しくしててね」
突然の事に声も出ないレアは、あっという間にベネッサに手足を縛られ、
床に投げ捨てられた。
この人形みたいな女が泣き叫ぶ顔を想像して、サラは笑みがこぼれる。
「何するの…」
ベネッサはレアの口を塞いだ。
「愛しのリオンさんに電話してあげるね」
受話器をとり、サラはリオンの部屋に電話をかける。
「もしもしリオン君…」
「えぇ私…、サラ…」
「えぇ…、少し話したいことがあるの…」
普段は考えられない様な色っぽい声を出したサラは、自らの体で電話を隠し、
レアに見えない様にこっそりと電話を切った。
受話器を持ったまま……
「ねぇ、リオン君…、私何だか寂しくて…、今から部屋に来ない?
……私じゃ嫌?…、リオン君彼女とかいるの?…
そう、よかった…。いいわ…だから電話したの…。
……シャワーなんて浴びなくていいわ、すぐ来て…」
サラは顔面蒼白になっているレアに向かって言った。
「リオン君、彼女なんていないって」
「そんな…」
レアは泣きそうな顔をしている。
コンコンッ
「はい?」
「僕だ、リオンだ」
「鍵は開いてるわ」
サラはドアの前で既に片足立ち、所謂フラミンゴの状態にあった。そうとは知らず
ドアを開けた無防備なリオンのみぞおちに蹴りが入った。
「グはっ!!」
サラは、尻餅をついたリオンの後ろに回り込み、そのまま首を閉めた。
暴れる間もなく、リオンは落ちた。
「……ンさん…けて………オンさんっ!!…」
ぼんやりと視界が広がる。手足が痺れている。
「リオンさんっ!!リオンさんっ!!」
「レア!?」
顔を声の方に向けると、そこには紛れもない、レアがいた。
「なぜ、ここに!?」
「リオンさんに会いたくて…」
起き上がろうとしたリオンの手足に痛みが走る。
「くっ、何だ?」
リオンはベットに大の字に縛り付けられている。
視界いっぱいにサラの顔が広がる。
「貴様、何をしてる、こいつをほどけ!!」
「大きな声ださないでって言ってるの、意味わからない?」
「くそっ…、レア…」
諦めた様にリオンは大人しくなったが、その目は怒りに燃えていた。
サラは気にもせずにレアの方に向かう。
「かわいいパンツね、レアちゃん。
今日はリオンさんとお泊まりするつもりだったんでしょ?勝負パンツ?」
サラはレアをパンツの上からやさしく撫でた。
「いやっ…」
「サラァァアアッ!!やめろぉぉぉおお!!」
サラはスクッと立上がり、テーブルの上から男性器を模した奇妙な物体を持ち、
リオンの方を向いた。
「いい?あなたが次に大きな声を出したら、レアちゃん、これで犯すわよ?」
「なっ…!!」
「それと、サラァなんて呼び捨てにしないでくれる?サラさん、そう呼びなさい」
「……」
「どうしたの?呼んでご覧なさい?」
「サラ…さん」
「そう、よく出来ました」
サラはバネッサにその物体を渡した。
「いい?リオン、これから私に生意気な態度をとったらレアちゃんを脱がせて、
大変なことにしちゃうわね」
「ふざけるな…、こんなことして…、後でどうなるか…」
「レアちゃん、この男私とセックスしに来たのよ?電話聞いてたでしょ?
リオン君ったら、受話器の向こうで、いいんですか?
なんて聞いちゃって、やる気まんまんだったのよ?」
「そんな…」
「ふざけるなっ!!そんなこと…」
サラはリオンが縛り付けられたベットに腰を掛けた。
「僕はサラさんとセックスしたい、だから脱がせて下さいって言ってごらん?」
「何だと?」
「ベネッサ、ブラウスを脱がせて」
ベネッサはレアのブラウスを引き裂いた。レアの小さな悲鳴が部屋に響いた。
「やっ、やめろ!!」
「よく聞こえなかったわ。もう一度言ってごらん?」
「…僕は…サ……クス…を………い」
「大きな声で」
「僕はサラさんと…セックスしたい…だから……脱がせて下さい…」
「ははは、レアちゃん聞いた?情けない男ね」
サラはどこから取り出したのか、ハサミでリオンの服を切り始める。
リオンは目を閉じて苦痛の表情を示す。
「ふふふ、言ってみたかったのよね、この台詞…」
サラはリオンの耳元で小さく呟いた。
「It's showtime...」
最終更新:2007年01月07日 01:27