第1話 文学少女は今いずこ----
865 自分:
毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 21:44:47.43 ID:YSBFEqeU0 [42/61]
第1話 文学少女は今いずこ
俺「あちゃ~やっちゃったね、ナオちゃん」
管野「まったく、ちょっと急降下しただけで壊れるなんて、扶桑製のストライカーはやわで困るよな」
ここはオラーシャ西部のペテルブルグにある第502統合戦闘航空団基地ハンガー。
俺の前にはエンジン部分から煙を立ち昇らせているストライカーユニット、零式艦上戦闘脚二二型が転がっている。
俺「う~ん……これがポクルイーシキン大尉にばれたら……」
管野「」ブルッ
俺が502JFW隊員、アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉の名前を出すと、ナオちゃんは一瞬その小さな体を震わせた。
ストライカーを壊した罰として、正座をしながら大尉に説教をされる光景を思い浮かべてしまったのだろう。
ナオちゃんは大尉にだけは頭が上がらないからなぁ。
管野「どうすればいいんだよ……俺……」
ナオちゃんは顔を真っ青にしながら俺に助けを求めてきた。
867 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 21:48:07.10 ID:YSBFEqeU0 [43/61]
ポクルイーシキン大尉は姉ちゃんにどことなく似ているもんな。そんな人に厳しく叱られるなんて堪ったもんじゃない。
とはいえ……
俺「いつも言ってるけどさ、そんな顔をするんだったら、最初から壊さなかったいいのに」
管野「うぐっ……それが出来たら苦労は……」
俺「改善が見られないのがいけないんだって。だからこそ大尉もあんなに厳しく言うんだよ?」
管野「だって……ストライカーを履いたらどうしても頭に血が上っちまうし……」ブツブツ
ナオちゃんはアヒル口をしながらそう呟いた。
まったく……そんなだから『デストロイヤー管野』とか呼ばれるんだ。
昔は争いを好まない大人しい女の子だったのに、いつからこんなに気性の荒い女の子になっちゃったんだろうなぁ。
管野「クソッ……一体どうしたら……」クシャクシャ
あの頃とは、ナオちゃんも俺もすっかり変わってしまったけど、
俺が守る必要がなくなるほどナオちゃんは強くなったけど、
俺「しょうがないなぁ」
ナオちゃんの力になりたいという気持ちはまったく変わらない。
870 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 21:52:14.19 ID:YSBFEqeU0 [44/61]
俺「俺がちゃっちゃと直してやるよ。今回だけだよ?」
管野「!? 直せるのか!?」
俺「ああ。ストライカーユニットの基本構造については本で読んだことがあるからね」
あんまり甘やかすのは本人のためにならないかもしれないけど、どうせ次も壊すからどうでもいいや。
管野「頼んだぞ、俺!」パァァ
この子犬みたいな笑顔が見られるなら、他のことなんてどうでもいいと思えるんだ。
サーシャ「言い訳はありますか、管野少尉、俺くん?」
管野「ありません……」
俺「いやっあのですねっ! 最近のストライカーの構造があんなに複雑だとは――」
サーシャ「言い訳を言うんじゃありません!!」
俺「すいません!!」ビシッ
871 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 21:56:30.04 ID:YSBFEqeU0 [45/61]
うぅ……もう足の感覚がなくなってきた……。
俺とナオちゃんはハンガーのコンクリート上の床とは不揃いな畳の上で正座をしている。
ロスマン「管野少尉が壊したストライカーを俺くんが直そうとしたらさらに壊れたと。まったく……何がしたいのよ、あなた達は……」
俺「すいません……」
サーシャ「一般人がストライカーユニットに手を出して故障させるなんて、本来だったら禁固刑になってもおかしくないんですよ?」
管野「ごめんなさい勘弁してやってください」
俺「すいません反省してます」
サーシャ「ハァ……まぁ、反省しているみたいなので、今回は正座三時間の刑だけで勘弁してあげます。次は無いですからね?」ジロッ
俺「申し訳ございません次からは気を付けます」
サーシャ「まったくもう……頼みますよ?」
ポクルイーシキン大尉はそう言うとロスマン曹長を連れてハンガーから去っていった。
873 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:00:47.78 ID:YSBFEqeU0 [46/61]
管野「ちくしょう……俺のせいで三時間も正座させられる羽目になったじゃねぇか」
俺「なっ!?」
管野「何が『ストライカーユニットの基本構造については本で読んだことがあるからね』キリッだよ。ヒョロヒョロ眼鏡がカッコつけるんじゃねぇってんだ」
俺「ぐっ……そ、そもそもナオちゃんがストライカーを壊したからこんなことになったんだろっ!?」
管野「ああん? お前が余計なことしなければ一時間で済んだだろうがっ!」
俺「ご、ゴメン……」
管野「まったく……これだからモヤシ野郎は……」
俺「カチーンもやし野郎とはケンカ売ってるのかな?」
ヒョロヒョロならまだしも、もやし野郎と呼ぶのは絶対に許さない。絶対にだ。
管野「あん? まだもやし野郎って呼ばれていじめられてたガキの頃を根に持ってんのかよ?」
小さい頃のトラウマっていうのはなかなか忘れられないものなんだよ……
管野「別にオレは今更ガリ勉女って言われても何とも思わねぇぞ? お前器小っちぇえな」ケラケラ
俺「どうやら本当にケンカを売っているみたいだね……」ポキポキ
管野「お? やるか? 特別に今回は魔力補正なしでいってやるよ」コキコキ
875 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:04:20.72 ID:YSBFEqeU0 [47/61]
俺・管野「「いくぞこの野郎っ!!!」」ガバッ
俺・管野「「アタタタタタタタタ」」ビリビリ
ハァ……昔はご近所で評判のお利口さん二人組だったのに………どうしてこうなったんだろう……
俺はまだしも、今のナオちゃんをお隣のおばあちゃんが見たら腰を抜かしてしまうかもしれない。
オドオドして俺の背中に隠れていたナオちゃんはもう帰ってこないのか……
管野「イタタ……そういえば言い忘れてことがあったんだ」
それでも、変わらないものだってちゃんとある。一つは俺のナオちゃんを思う気持ち。
もう一つは――
管野「オレのために頑張ってくれてありがとな、俺」ニカッ
気難しいこの娘がたまに見せる子犬みたいな笑顔は、今も昔も変わらない。
876 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:06:55.41 ID:YSBFEqeU0 [48/61]
俺の毎日っていうのはこの笑顔を見るためにある。
気難しいナオちゃんのご機嫌を取り、なんとか笑顔を引きだす。
そんな毎日を俺は過ごしているんだ。
この毎日はかけがえのないものであり、俺の全てであると言っても過言ではない。
俺「こちらこそ。力になれなくてゴメンね、ナオちゃん」
これだけは何としてでも守り抜く。
俺はそう心に決めているんだ。
877 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:09:03.82 ID:YSBFEqeU0 [49/61]
おまけ 今日のナオちゃん
ニパ「なぁカンノ、結局俺くんって何者なんだ?」
管野「ああ? あいつはただのヘタレ眼鏡だぞ?」
ニパ「そ、それは言い過ぎだと思うけど……でも、なんでわざわざ扶桑から派遣されてきたのかなって」
管野「いやだって、下原には遠く及ばないけど、アイツ料理上手いじゃねぇか。そのせいだよそのせい」
ニパ「う~ん……確かに色々な国の料理を作れる俺くんはスゴイと思うけど、統合戦闘航空団に送り込むほどかなぁ?」
管野「いやっだって……アイツは料理以外にも、洗濯とか……掃除とか…………他にはえっと…読書……とか…? と、とにかく色々出来るんだよっ!!」
伯爵「そこまで必死に庇うくらい彼のことが好きなのかい? フフフ、妬けちゃうなぁ、ボク」
管野「はああああああああああああああ!? ち、ちげーし! アイツはそんなんじゃねーし! アイツは……アレだし! オレの子分みたいなもんだし!!」デュクシッデュクシッ
伯爵「ハハハ痛いよナオちゃん」
878 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:12:46.40 ID:YSBFEqeU0 [50/61]
ラル「俺くんがここにいられるのは、お前のおかげだよな、管野?」
管野「ちょっ……隊長っ!?」
ラル「管野が着任する時に、さすがに一般人を基地に置くことは出来ないって言ったら、
管野『俺は……ヒック…料理とか……グスッ…色々役に立つから置いてやってくれよぉぉ…』ポロポロ
っていう感じにぐずられちゃってね。あそこまでされたらさすがの私も断ることが出来なかったよ」
ニパ「」ニヤニヤ
伯爵「」ニヤニヤ
管野「ちげーし! アレは演技だし! 欧州で路頭に迷いかねない俺の野郎を哀れんでやった、オレの巧妙な作戦だし!!」
下原「管野さんかわいい」ギュッ
ロスマン「」アラアラウフフ
サーシャ「」ニコニコ
ジョゼ「」ニコニコ
管野「オレをそんな生温かい目で見るんじゃねええええええええええええええええええ!」
880 自分:毎日ナオちゃん[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:14:47.33 ID:YSBFEqeU0 [51/61]
次回予告
下原「管野さんかわいい……」ギュッ
管野「俺ぇ……下原をなんとかしてくれぇ……」
俺「まぁまぁ、いつもおいしい扶桑料理を食べさせてもらってるんだから、これくらいは大目に見ようよ」
管野「確かにコイツが作ってくれる扶桑料理の朝食は絶品だけどよぉ……」
俺「うん。二人で朝食の準備をしている時にも、この人の手際には惚れ惚れするよ」
管野「おい何だそれは二人っきりってどういうことだ詳しく話せ」
俺「えっ」
次回 『毎日ナオちゃん』第2話 ナオちゃんと朝食を
最終更新:2013年02月06日 16:42