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第四話:顕微鏡級の反乱 中篇

~ラジェス航空基地 営倉~

「ここだ、入れ。」

俺を連れてきた兵士が銃で営倉の中を指しそう促す。

「すまないが部屋が違うぞ。司令官は自分をリゾートに招待してくれたはずだ。
 こんな穴倉なんかじゃないはずだが?」

「ふんっ、無駄口叩かずにさっさと入れ!!」

兵士は銃床で俺の背中を強打して無理やり俺を部屋へと押し込んだ。
俺は勢い良く営倉の床に転がる。兵士が扉を閉めた。

「ぐはっ、おいおい、客に対するマナーがなってないんじゃないか
 こんなのがベルボーイじゃ先がおもいやられるね。」

「はっ減らず口を……まぁいい、お前の仲間が揃うまでの命だ。好きに騒ぎな。」

そう言って兵士は去っていってしまった。

「ああ、次来るときは上等なワインを1ダースほど持ってきてくれよ! ……っちいっちまったか。
 さてと、友は上手くやってくれるだろうか?」

友のことだ、異変を感じ取ったならば即座に行方をくらますだろう。
そして誰もあいつを見つけることは出来ない。
学生時代にやった校則違反で教師達に怒られたとき、
最後まで行方を誰にも悟られなかったような奴だ大丈夫だろう。

ならば問題は脱出した後のことだ。
ただ脱走するだけなら簡単。友たちが助けに来るのを待ってその後ケティを使って逃亡するだけでいい。
しかしそれでは本当に俺たちはお尋ね者になってしまう。
あの司令官をどうにかしない限り、この島からは出られない。
どうにかして司令官を拘束し、自分たちの生命の保証を得るか、
ついでにあの司令官を一発ぶん殴るにはどうしたものかを考えなければ。どうしたものか。

「おや、新入りかな?」

「? あなたは、いやあなたたちは?」

暗がりに目が慣れた俺の視界に、初老の男性と利発そうな青年が現れた。

「私かね?ここの基地司令、ホフマンさ、といっても今は囚われの身だがね。
 こちらは憲兵隊の隊長のアーノルド大尉だ。」

「アーノルドだ、よろしく、君は?」

「はっ!自分は陸軍第8航空軍所属、俺軍曹であります!
 ところで基地司令とはどういうことでしょうか?自分をここに放り込んだものも基地司令なのですが?」

「それは簡単さ、私がこの基地本来の司令官だからだよ。
 奴は元々副指令でね、自分の現状と私をあまりよく思ってなかったらしい。
 最近憲兵隊に配属されてきたリンチという奴にそそのかされて
 私と大尉をこの穴倉のスイートルームに閉じ込めているのさ。」

「なるほど……しかし、よくそれで奴に基地の統制がとれますね?
 普通突然自分達の司令官が拘束されたとしたら、多少は反発するものもいるでしょうに。」

ホフマン大佐は誰からも別に嫌われるような人物には見えない。むしろ好かれる方だろう。
俺の疑問にはアーノルド大尉が答えてくれた。

「それについては私が説明しよう。
 先日、基地で爆発事故が起きた。
 その際、その現場にホフマン大佐がおり、大佐はお亡くなりになられたとベックが基地中に発表した。
 しかし疑問に思った私は信頼できる部下とともに独自に調査し、
 それが奴の陰謀であることや、補給物資の横流し、
 特別背任などの犯罪に手を染めていることを突き止めるに成功した。
 しかしながら、それを告発する前にあのリンチに新司令官に対する反逆罪として
 捕えられてしまったのだ。」

「そうなのですか……もし、基地の機能を奪還できた際、その事実を法廷に提出できますか?」

「ああ、それは問題ない。証拠は私の部下がきっちりと安全に保管しているはずだ。
 しかしどうやって基地機能を取り返す?
 この基地の保安要員はベックたちのシンパで固められてしまっているぞ?」

「それなら大丈夫だと思いますよ、自分の親友と、
 自分とともに来たウィッチが合流できれば鎮圧可能でしょう。
 なんたって彼女は『ワンマン・エアフォース』いやこの場合は『ワンマン・アーミー』かな。
 その女房役も一緒です、問題はないでしょう。」

俺はそういいきって、ことが始まった際にどうするかをふたりと話し合い始めた。







~ラジェス航空基地 憲兵隊詰め所~

街から車で基地まで連行されてきたドミニカたちは、取調べのためということで、
この場所に連れてこられた。
あのリンチとかいう大尉は基地司令に報告があるといって部下に彼女たちを任せると
さっさと去ってしまった。

「はぁ~これからどうなるですか~(泣)」

「いままでだって似たようなことはしょっちゅうあっただろ。
 いいとこ営倉入り3日とかそんなところだろうさ。」

ぽんぽんと手錠を嵌められた手でドミニカはジェーンの頭を叩きつつ彼女の髪の手触りを楽しむ。
おなじ石鹸を使っているはずなのに自分のものとは大違いで、じつにうらやましい。

「う~、なんでそんなのん気にかまえれられるですか、大将は。
 はぁ、俺さんたちが助けてくれればいいんですけど……」

「そうだな。」

ガチャッ

置き去りにされて数分彼女達が暇をもてあましていると、部屋にひとりの大男がはいってくる。
彼の服は軍服ではなく、また軍人でもなさそうな容姿をしており、腰には鞭と思われるものを下げている。
いかにもうさんくさい。

「誰だ?」

「お初にお目にかかる。
 私はここの基地司令に個人的に懇意にさせていただいてる者でしてね。
 まぁ主に態度の悪いお方に自慢のこいつでもって素直にさせることを持って
 奉職させてもらっているんですよ。」

パンッ!パンッ!

「ひぅっ!」

そういって男は腰の鞭を取り出し、打ち鳴らし始め、その音にジェーンが怯える。
そんな彼女を庇いながらドミニカは男に喰ってかかった。

「ふんっ素直に拷問に来たと言えばいいだろう。まわりくどい奴だ。」

「ふっふっふ、私は気の強い女性は大好きですよ?
 なにしろそんなあなたが痛みに泣き叫びながら私に媚びへつらうようになるかと思うと、
 股座がいきり立ちます。」

「大した性癖だな、そういうのはニューヨークの“ゲイバー”ででも晴らすといい。さぞ満足するだろうさ。」

「減らず口を!!」

その声とともに大男は鞭をふたりに振り下ろす、
ドミニカはそれをシールドで防ごうとして、ジェーンを抱えて間一髪で後ろに跳ぶ。
するとその場に展開されたシールドが鞭によって容易く切り裂かれてしまった。

「そんな、シールドが!?」

「おや、感がいいな、この鞭の特性に気づくとは。
 そうさ、こいつはあるお方から頂いた特別製でね、
 ウィッチのシールドを中和させてしまうように細工が施されているんだよ。
 さぁ分かったらおとなしく這い蹲って許しを乞え!!」

再び大男は鞭を振り上げる。が、その時

バンッ!!

突如男の背後のドアが吹き飛び、拳大の何かが飛び込んでくる。
その何かは床に転がると煙を噴出し始めた。

「な、何が!ゴホッ、ゴホッ!!」

煙を吸い込んで大男が咳き込む。
私たちは使い魔を発現させて有害な物を吸わなくてすむようにした。
大男の背後に人影が忍び寄り、頭を工具で強打する。

「ぐおっ!!」

「ストライクだ、ざまあみろ!姐御、嬢ちゃん!無事か!?」

「友!?これはお前が?」

人影は口に布を巻いた友だった。

「作ったのは俺のやつですけどね、とにかくふたりともこっちへ!!」。






~廊下~

友は手に持った工具でふたりの手錠を破壊すると、ふたりをともなって走り出した。

「おい友、どこに向かっているんだ?」

「ケティのとこっす、あそこには俺たちの味方もいます!」

「味方?どういうことですか?」

「事情を話すとちょっと長くなる……っと!」

曲がり角から飛び出そうとしたところで危険を感じて踏みとどまる。

「テロリストだ!射殺しろ!!」

すると友がさっきまでいたに場所に大量の弾丸が着弾した。 銃撃は途切れることなくつづいている。

「っぶね!……とまぁ、基地中が俺たちを殺しにかかってきています。」

「いったいなんでなんですか!?それに俺さんはどこに?」

「それはまあ、走りながら説明するか。
 あいつは真っ先にここの基地司令に捕まっちまったよ。
 まぁ、あいつのことだから上手いこと生きてんじゃないか?」

あいつ、めちゃくちゃしぶといし、
そういいながら友は再びスモークグレネードを取り出すと、敵に向かって投げつける。
連中は充満する煙に咳き込みそのおかげでようやく銃撃がやんだ。
その隙をついて友たち3人は駆け出し、待ち伏せをやり過ごしながら格納庫に辿りつく。

「よっし、到着!」

「おお、無事だったか、銃声がしたから心配したぞ?」

「誰だ?」

格納庫に着くと数人の男達が3人を迎え入れる。
そのなかのリーダー格と思わしきものがこちらに話しかけてきた。

「はっ!自分は憲兵隊隊長のアーノルド大尉の部下で、フェニックス曹長であります大尉殿。」

「あれ?憲兵隊隊長ってリンチ大尉ってひとじゃないんですか?」

ジェーンが疑問に首を傾げる。

791 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/20(日) 08:37:21.14 ID:6v4bjNm90
支援
792 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 08:39:44.90 ID:AFpQAjxY0
「ベックをそそのかし、この基地を奪ったあいつなど隊長ではありません!」

「まぁなんにせよ彼らは味方さ、さてと確かここに……あった!
 はい、姐御、こいつを使ってください。」

そういって友はケティの中から鞄を引っ張ってくると、
その中に入っていた二丁の拳銃をドミニカに差し出した。

「ガバメント?いや違うな、これは何だ?」

「こんなこともあろうかと、俺のやつが作った魔導拳銃です。
 魔法力を流し込んで引き金を引けばあら不思議、圧縮された魔法力の塊が飛び出して相手をぶっとばすって寸法でさ。
 もともと対ネウロイ用なんすけどね、こいつにはリミッターがかけてあるから人間に使っても大丈夫ですぜ……(多分)」

友の説明を聞きながら彼女は格納庫の隅に置いてあるバケツを狙ってガバメントに魔法力を流して引き金を引いてみる。

バンッバンッ

飛び出した魔法弾は驚くほどの速度で飛び出すとバケツを宙に打ち上げた。

「ふ~ん、なかなかの威力だな。弾の入れ替えがいらないのもいい。」

どうやら気に入ってもらえたようでドミニカはさらに試しうちを続ける。

793 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/20(日) 08:41:42.65 ID:6v4bjNm90
トゥーハンドktkr
794 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 08:45:33.31 ID:AFpQAjxY0
「うっし、それじゃぁ、囚われの俺王子の救出に……おろ。」

『テロリストに告ぐ!この格納庫は完全に包囲された、武器を捨てて投降せよ!!』

外から拡声器をつかって投降が呼びかけられる。

「どうやらお客さんの到着のだな、じゃあ姐御そいつで追っ払っちゃってください。」

「だから姐御はやめろと……まあいい。
 わかった。かったるいけどやってやるさ。扉を開けてくれ。」

「うぃっす。」

俺は曹長たちに合図を送る。
彼らはそれを確認すると、格納庫の開閉スイッチを押した。

「俺たちもすぐに加勢にでます、気をつけて、無理をしないでくださいよ。」

「ああ、だが……」

サーチライトに照らされながら、俺に振り返りつつ、彼女は

「?」

「だが、全部倒してしまっても……かまわないだろう?」

不適な笑みを浮かべて、そう言った。









「! 出てきたぞ、総員構え!!」

扉が開いたことで格納庫を取り囲んでいた兵士達に緊張が走る。

「……女?」

しかし、視界の向こうには予想をしてなかった光景があった。
両手に銃を持った美女が気だるげな表情をしながらチューインガムを膨らませている。

DGOOOOONNN!!

彼女に気をとられていた兵士達の背後で大きな火柱があがる。
その光景に兵士達が振り向いたと同時に、彼女は膨らませたガムを口の中に収めると、
目にも留まらぬ速さで兵士達の中に飛び込んだ。

「な!!」

BANG!BANG!!BANG!!!

銃声が鳴り響き、の周辺にいた兵士達が紐の切れた操り人形のように倒れる。
その美女の頭からは鷲の羽根が飛び出し、腰からは尻尾が覗いていた。

「馬鹿者!ウィッチだ、射撃開始!!」

気を取り直した指揮官がハンガーの向かい側の建物屋上から兵士達に命令する。しかし

「遅いな。」

兵士達の銃口が美女にあわさる前に、彼女は手に持った二丁のガバメントの
引き金を引きまくり、乱射する。荒れ狂う魔力の銃弾の嵐に兵士達はなすすべもない。

「う、うおおおぉぉおお!!」

「おっと、出直してこい!」

幸運にも助かり、彼女に殴りかかった兵士は、その銃床をガバメントの銃杷で
受け止められ。強烈な蹴りをみぞおちにくらって悶絶する。
その光景に狂乱した兵士の一人がマシンガンを乱射するが、彼女はシールドでそれを防ぐと、肉薄し、
銃杷で顎を打ち上げた。

「くそなんて奴だ、し、しかし相手は一人だ。隙は必ずある!スナイパー、奴の足をとめろ!」

指揮官は目の前の怯えながらも次の指示を出し、
隣でスコープを覗いているスナイパーがドミニカの隙を見つけて彼女の足を打ち抜こうとする。が

「!!ぐおっ……」

スナイパーの肩に訓練用の模擬弾が突き刺さった。慌てて指揮官が彼の撃たれた方角に双眼鏡をむけると、
そこにはM1ガーランドを構えてこちらを見据える金髪の少女の姿があった。

799 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/20(日) 09:00:43.42 ID:6v4bjNm90
ソードカトラスから変えちゃったんだ・・・

そーいえばフミカネ能力表だとジェーンは小銃スキルが高かったね支援
800 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 09:02:00.04 ID:AFpQAjxY0
「ナイスショット!」

双眼鏡を覗きながら友は叫ぶ。

「ふふ~、大将の邪魔はさせませんですよ!!」

そういってジェーンはタイミングよく引き金を引き、
ドミニカの隙を伺っていた兵士達や、討ちもらしをしとめて行く。

「さすが『ワンツーパンチ』、ネウロイが相手じゃなくても抜群のコンビだな。」

「彼女達だけにやらせるな!憲兵隊の底力を見せつけてやれ!!」

『Sir,Yes.Sir!!!』

フェニックス曹長達も加勢に入ったことで状況は完全にこっちのものになっていた。

「撤退!総員撤退!基地の中に引き返せ、態勢を立て直す!!」

指揮官がそう怒鳴るまでもなく周りの兵士は我先にと逃げ出し始めていた。






~基地 格納庫付近の建物の影~

「ふむ、すこしウィッチというものを侮っていたかな。」

目の前で行われている戦闘を見つめながら、
私は部下から無線機を受け取ると、その向こうの相手に指示をだす。

「私だ。
 ああ、そうだ、例のプランを実行しろ。
 上手くすれば時間も稼げるだろう……効果的にやれ。」

無線機の電源を切り、背後に控えていた部下へと振り返る。

「さて、脱出用の輸送機の準備を急いでくれ。」

「はっ、ですが同志リンチ、ベック大佐はよろしいのですか?
それにせっかく手に入れた補給基地を捨てるなど……」

私の言葉に彼はかなり不満そうだ。
組織の人間じゃないとはいえ仲間だった者を捨てていくのは気分がよくないのだろう。
それにこの基地を手に入れるのは楽じゃなかったし彼も相当な労力を支払っている。

「ふふ、君がいいたいこともわかるが……それで余計な被害を私たちがこうむる必要はない。
 今日までベックは我々の目的のために大いに働いてくれた、もうすこし役に立ってもらおうじゃないか。
 それと基地だが……まぁ惜しくはあるが我々の目的の為に固執するものではないさ。必要ならばまた手に入れるだけだ。」

「……御意に、では」

「ああ、行こうか、すべては黒き神の御心のままに。」

そう言って私は腕に着いていたMPの腕章を外す。
その下から連合軍のものとは違う部隊章が現れる。
天使のようなネウロイが地球を抱きかかえるような意匠のエンブレム

ネウロイ共生派の証であった。

803 :以下、名無しにかわりまして

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最終更新:2011年02月21日 02:18
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