~基地 内部~
「クリア!」
「こっちもクリアだ!!」
圧倒的な強さで保安部隊を蹴散らしていくドミニカを先頭に、
彼らは基地の中を営倉を目指して進んでいた。
「営倉まであとどれくらいです?」
「そうですな、あと、500といったとこです。
にしても、物凄い強さですな、ウィッチとはみんなこんなに強いものなのですか?」
打ち倒された保安部隊の兵士を縛り上げながら曹長が答える。
その視界の向こうでは再び待ち伏せしていた10人ほどの兵士を銃と体術によって
瞬殺していくドミニカの姿が映る。
「さあ、姐御たちは特別強いほうだけど……む!姐御あぶ<BANG!>なくないか……」
ドミニカを影からこっそりと狙おうとしたものがいたのだが、その前に額に魔法弾を打ち込まれて床にむ。
「あそこの扉を出てすぐが営倉だ!」
「おっし、ここまでくりゃこっちの勝ちだな!」
「早く俺さんたちを助けるですよ!」
扉を開け彼らは一旦外に出る。その少し行った先に営倉のある建物が見えた。
周囲の安全を確認すると、全員でその建物に駆け出した。
その時……
DGGGAAAAAAANNNN!!!!
突如轟音が鳴り響き、建物から火柱があがり、全員が顔を手で覆う。
その火柱は建物全てを粉々に吹き飛ばしたあと、その残骸を業火の中に飲み込んだ。
「い、いやぁあああああああ!!!」
「ジェーン!!」
目の前の光景にジェーンが悲鳴をあげ、がっくりとその場に崩れ落ちそうになり咄嗟にドミニカが受け止めた。
「そんな、嘘だろ、冗談きついぜ……」
「クソ、いくらなんでもこんなことをするとは……
おい、手の空いているものは消火作業だ!
中にいた大佐たちの安否を確認せねばならん!!」
フェニックス曹長はそういって部下達に指示を出すが、
正直この爆発で中に人間がいきているとは到底思えない。
「おい、ジェーン、しっかりしろ!!」
「うそ……嘘ですよね大将……俺さんが死んじゃったなんて、
そんなの嘘ですよね、ねぇそうだって言ってください!!」
「ジェーン、お前……」
「いやです……ぐすっ、あの人が死んじゃったなんて……そんなのいやぁ……
ぐすっ、どうしてこんなことになっちゃったですかぁ……」
半狂乱になって自身にそう喚きたてるジェーンにドミニカは何も言ってやることが出来ず、
泣き出した彼女を抱きしめてやることしかできなかった。
「くそっ、こんなことになるなんて。」
こんなことなら無理をしてでももっと早く助けに来るべきだった。
友は自分の予測の甘さに腹がたち、おもいっきり拳を握り締めた。
爪が皮膚に突き刺さり指の間から血が滴り落ちる。
そんな時だった。
「うわ、ひどいなこれ、中にいたら確実に死んでたな。」
いつの間にか友の隣に立っていた奴がそんなことをほざいた。
「てめぇ……!!よくも、よくもそんなことが言えたな!」
怒りに我を忘れて友はそのクソ野朗を締め上げる。
「ちょ、首がしま、やめ」
「てめぇはよく知らないだろうがな、あの中には俺のガキの頃からの親友がいたんだ!
たったひとりのな!それなのに!それなのにてめぇは!!……ん?」
友は絞め殺すつもりで手により力をこめようとして、ようやく相手の顔を確認した。
「ぎぎぎ、ほ、ほんとに死ぬ、友離し、ぐほぉっ」
するとそこにいたのは
目の前で燃え盛る建物の中にいたはずの俺だった。
瞬時に正気をとりもどした友は急いで手を離す。
「わ、わりぃ……って、なんで生きてんだ!」
「コホっ、ああ、それは……」
~営倉~
DOOOOONNNN!!!
大きな爆発音と共に振動が部屋を揺する。
「おいおい、友のやつなにやったんだ;」
俺がそう呟きながら冷や汗を流す。
期待はしていたがあまりに過激な方法をとられると後が面倒なことになる。
「航空燃料に爆弾でもしかけたんじゃないだろうな……」
「はっはっは、まぁ多少の基地への被害はしかたがなかろう。
そろそろ私たちも動き出すとしようか?」
「すみません、そういってもらえると助かります。では……ん?」
脱出行動をとろうとした俺の耳にこちらにやってくる人間の足音が聞こえる。
「これは……おもったよりも早いな。」
その足音は俺たちの独房の前に止まると、覗き窓が開いた。
「ターゲットの存在を確認!」
「了解、爆破準備急げ!!」
現れたのは助けに来てくれた仲間ではなくベックのシンパの保安部隊の人間だった。
「おいおいおい、爆破とは穏やかじゃないな。なにをしてるんだ?」
「知れたこと、この場所を爆破する。
連中の目的はお前たちだとわかっているからここの警備は強化されているが、
いまのままでは奪還される危険があるからな。奪われるぐらいなら諸共吹っ飛ばすのさ。」
「分隊長!爆破準備完了しました!」
「わかった。ではさよならだな、もう会うこともないだろうよ。」
そういうとその男は仲間とともに素早くその場から去っていった。
男がいなくなったおかげで見える部屋の外には、大量のTNT爆薬がこれでもかとセットされている。
「ち、これだけ入り口に爆薬があると、このドアを吹き飛ばすわけにはいかなくなりますね。」
俺は扉の内側に仕掛けた爆薬を取り外しながら言う。
ちなみにこの爆薬は俺が靴の中に仕込んでおいたものだ。
「そうだな、ならばプランBと行こう。軍曹、こっちの壁に爆薬をセットしなおしてくれ。」
「えっと、どうするのですか、大佐。」
「じつはこの部屋の壁の向こうには、
ハリケーンが来たときのために作られた排水溝があってな。
そこなら人が通るには十分すぎる広さがあるから安全に脱出できるはずだ。」
「なるほど……しかし大佐、よくそんなことをご存知でしたね?」
「なに、伊達に長いことこの基地の司令をやっとるわけではないよアーノルド大尉。
さあ軍曹、あまり時間があるとは思えん、さっさとやってくれたまえ。」
~基地 燃え盛る営倉の前~
「ということだ。」
「そうだったのか……ってそうだ嬢ちゃん!しっかりしろ、俺が生きてたぞ!!」
「ふぇ……俺、さん?……幽霊ですか?」
ドミニカに支えられていたジェーンがうわごとのように呟く。
「いいえ、幽霊じゃないですよ、ほら、このとおり触れるでしょう?」
俺はその彼女の傍に歩みよって、傍らにしゃがみこむと、彼女の手を自分の頬に当てる。
「ほんとだ……う、うぇぇ、うわああぁぁああん!!」
「おっと」
「生きてるです、ほんとに生きてるです!あなたが死んじゃったと思ったら私……わたし!」
「ええ、すみません心配かけました。」
そういいながら俺は彼女の背中をやさしくたたき、髪をなでて慰める。
すると後ろから肩を叩かれた。
「あ~、うん、ふたりとも、邪魔はしたくないんだが……私たちがいるのを忘れてないか?」
「!!」
呆れた声色のドミニカの言葉に、俺とジェーンは周囲を見回す。
するとそこにはニヤニヤとしている友、 私も昔は……といってるホフマン大佐
これは軍紀に抵触するだろうかと考え込んでいるアーノルド大尉、
うらやましそうに見ているフェニックス曹長たちが映った。
「すまんなふたりとも、だがとりあえず安全を確保しようじゃないか、しかし、若いことはいいことな?」
「た、大佐、なにか勘違いをされているのでは?
そ、その自分はジェーン大尉とはそんな関係では……」
「そ、そうですよ!私なんかが俺さんとはなんでもないんです!!」
そういいつつもお互いの方を見ようとして目が合い、ふたりは慌てて顔をそらす。
「ふっふっふ青春だな。まぁそれは全て終わってからゆっくりと楽しみなさい。
ではアーノルド大尉、先導を頼む。」
「は!」
微妙な雰囲気を流して、俺たちはその場をあとにした。
~基地 司令官執務室~
ここではベックがいらだだしく電話を手に取り相手に怒鳴り散らしていた。
「ウィッチたちを取り逃がした上にその仲間にやられただと!
馬鹿者!!貴様らは戦闘のプロではなかったのか!!」
<<も、申し訳ございません。>>
「挙句の果てに人じ、ゴホン、囚人を奪還されるなど……それにリンチだ。奴はどうした!!」
<そ、それが先刻より姿を見せておりませんので……>>
「ちっ、貴様この件が済んだらただで済むと思うなよ!!
とにかくなんとしてでも奴らを止めろ、いいな!!」
<<は!>>
そう言ってベックは受話器を下ろした。
「ふん、使えんやつらめ。」
「どうした?」
「て、敵がすぐそこまで来ています!!」
「な、なんだと!?護衛は何をしている!!」
「必死に抵抗していますが連中の強さは尋常じゃありません。 早く脱出を!!!」
「し、しかし、この部屋の資料を置いていくわけには……」
自身が行った不正の証拠がこの部屋には大量にある。
これを始末しなければ逃げるわけにもいかない。
「大佐、安心してください。」
あわてふためくベックに執務室のソファに深く腰掛けた男が、
リボルバー拳銃をクルクルともてあそびながら彼を諭す。
彼はベックがもしものときのために(リンチから紹介され)雇っておいた用心棒だった。
「逃げ出す必要などありません。やつらはこの私が仕留めて見せましょう。」
「お、おお頼もしいな、ぜひそうしてもらいたいものだ、だがお前に奴らが倒せるのか?」
「ご心配無用。私はプロですから。」
そう言って彼は先ほどまでもてあそんでいたリボルバーを腰のホルスターに収めた。
「そ、そうか、では頼むぞ!」
「ええ、おまかせください、あの思い上がった連中に思い知らせてやりますよ。」
リボルバーの男はコートを翻して部屋から去る。その姿が完全に消えたのを確認すると
「おい、そこのおまえ、私を手伝え、
奴らが踏み込んでくる前に重要な書類を全てを処分して脱出するぞ。」
「は?ですがいまの方がテロリスト達をどうにかするのでは?」
「念には念を入れるのだ。(第一信用ならんからな)さぁ、さっさとしろ!」
「サ、Sir!Yes.Sir!!」
~基地 司令官執務室前の広間~
「ぐぁあ!」
抵抗を続けていた最後の一人が倒れ、ようやくこの場から邪魔者はいなくなった。
「うっし、あとは悪の親玉をひっとらえれば今回の件は終了っすね。」
「そうだな、これが終わったら今度こそ飲みにいくとしようか。」
「お、姐御のおごりっすか?<ゴンッ>っていったぁあ!!」
「お前のおごりにきまってるだろ。」
「ええぇぇえええ!!そんな殺生な!」
緊張から一時的に解放されたせいか、ドミニカたちは軽口を言いあいながら司令官執務室を目指し、
その前の広間に足を踏み入れる。
「これだけ私に働かせたんだ、当然、報酬を得る権利が私には<ズクンッ>っ!!」
「大将?首の後ろ、どうかしたんですか?」
「全員跳べ!!」
「へっ?きゃぁ!!」
DAAAANN!!
ドミニカの声に反応して全員がその場から飛びのく、
すると一発の銃弾が彼女たちのすぐ横をすり抜け、背後にあった何かを打ち抜き、
天井から分厚いシャッターが彼らめがけて落ちてきた。
ガァアアアンンン!!
「っはぁ、はぁ、今のは危なかった。」
間一髪で落ちてきたシャッターを避けることに成功したがそのせいでドミニカは他の皆と分断されてしまった。
「さて、どうしようかな……」
「ほぅ、あれを避けるとは思ってなかった……いいセンスだ。」
「!」
パンパンと手を叩く音とともに聞こえた声、その方へ振り向くととそこには一人の男が立っていた。
彼の腰にはリボルバー拳銃が古風なガンベルトに下げられている。
「そのセンスがあればこの基地の奴らをほとんど一人で倒してしまうのもわけはない。
さすがは歴戦のウィッチといったところだな、だが……それもここで終わりだ。」
男はそういって素早い動作で大型のリボルバー拳銃を腰から引き抜き発砲する。
放たれた弾は寸分の狂いもなくドミニカの額に突き刺さり……すり抜けた。
「残像!? 下か!!」
「遅い!!」
BANG!BANG!!BANG!!!
銃弾を避け、男の懐に潜りこんだドミニカが大男の腹にガバメントを突きつけ
零距離でありったけの弾を叩き込む。腹に貰った衝撃で男は後ろに倒れそうになる。が、
「甘いわぁ!」
「ッ!!ぐぅっ」
寸前のところで踏ん張り鋼板の入ったブーツを蹴り上げて右手のガバメントを吹き飛ばす。
負けじとドミニカが残ったもう片方のガバメントで追撃をかけようとするが大男リボルバーが
彼女を再び捕らえ発砲したため回避しつつ一旦距離を取った。
「っち、防弾チョッキか。」
「備えあればなんとやらというだろう?
これで君は打つ手をひとつ失ったわけだ。」
「はっ、顔を吹き飛ばせば済む、次は仕留める。」
「できんよ、さきほどは油断したが、もう手加減はしない。」
そういいきるとリボルバーの男は狙いをドミニカから外し、壁に向かって引き金を引いた。
「? どこを撃って……!?。」
チュィンッ!!
あさっての方向に放たれた筈の弾丸がなんと軌道を変えてドミニカに襲い掛かる。
反応の遅れた彼女は回避を諦め、シールドを張って弾丸を受け止める。
「ぐっ、重い!!」
どういう加工が施されているのか知らないが、通常の弾を受け止めるより何倍もの負荷が、
それこそ対戦車ライフルを受け止めたような負荷が彼女のシールドに掛かる。
「どうだ私の愛銃の威力は、凄まじいだろう?」
「……まぁまぁだな、それより今何をした?」
「簡単なことだ。私には弾の気持ちが分かる。跳弾を操ることができるのさ。
人間というものは向かってくる弾は避けられても不規則に跳ね返る弾は避けられないものでね。
さぁ、第二ラウンドをはじめよう、君はあとどれだけ耐えられるかな?」
弾幕の宴はまだ始まったばかり。
~司令官執務室室~
「さぁいそげ!時間はないぞ!!」
基地司令である彼にせかされながらひとりの不幸な兵士は書類をひとつひとつ裁断機にかけていく。
(はぁ……なんでこんなことになったんだろ?)
やっかいごとに巻き込まれて彼は自身の境遇を嘆く。
(ほんとなら今頃、本国に帰る便に乗っているはずだったのに……あの子は怒るだろうなぁ)
故郷に残してきた妻と子を思い、思わず涙がこぼれる彼。
(これが終わったら俺は家に帰る。絶対に……ん?)
あらためて帰郷の意志を固めた彼の目に気になる文言が飛び込んできた。
(なんだこれ?ロマーニャ大結界について?)
彼は一度振り向いて基地司令がこっちを見る余裕がないのを確認するとレポートに目を通す。
(ええと、なになに、ロマーニャ大結界とは……)
ロマーニャ大結界とは、かつての古代ロマーニャ帝国の強大な皇帝にして至高の魔女(ウィッチ)、
ユリア・カエサルが残した怪異に対する強力な結界のことで、
ロマーニャ公国首都ローマを中心としてイタリア半島全域を守護しているらしい。
その力は弱いネウロイ程度ならば結界内部に入ることを許さず、
大型でさえもその力を極端に小さなモノにされてしまうという古代の遺産。
これのおかげでヨーロッパ各国がほとんど抵抗できずにネウロイの手に落ちた今でも
イタリア半島は人類の生存圏として機能することができている。
(ええと……今もなおその強力な力において人類の盾となるこの結界だが、
近年その力が急速に弱まってきている。これを補強する方法は不明。
――――私見ではあるがもしこの結界を補強せず、さらにはその機能を逆転させた場合……)
彼はその先に書かれていることを読もうと次のページを開こうとしたが
「おい、書類の処理はおわったのか?」
「は!? は!これを処理すれば終了です!!」
ベックに声を掛けられて慌てて彼は手に持ったそのレポートを裁断機にかけた。
「そうか、ご苦労だった。君、ちょっとこっちへ来たまえ。」
「な、なんでしょうか?」
呼ばれた彼は急いでベックの正面に立つ。
「なに、手伝ってもらった礼をせねばと思ってな。」
BANG!!
「あ……ぐ、がぁ?」
バタンッ
「どの書類を読んでいたかしらんが、ここの書類の内容を後で誰かに話されてもらっては困るのでね。
さて、急いで脱出しなければ。」
彼は銃を懐に戻すと隠し通路へとその身を滑り込ませるのだった。
~司令官執務室前~
撃つ
だが避けられる
撃たれる
それを避ける
リロードの隙を突いて殴る
しかし受け止められる
跳弾が襲い掛かる
またシールドで受け止める
蹴りを放つ
それすら受け流がされた
銃弾と魔法と互いの肉体を駆使した銃撃戦
男とドミニカがバレットダンスを始めて、かれこれ十数分が経過していた。
「いい加減っ、倒れろ!!」
「ははっそうは行かんさ!!」
実力が拮抗し、二人の戦いはいつまでも続くかと思われた。
しかし
「そらそらどうした、さっきより息が上がっているんじゃないかな?」
「余計なお世話、だっ!」
だんだんと拮抗が崩れドミニカの形勢が不利になって行く。
(くそっ、魔法力がなくなってきた……)
形成が不利になった理由、それは魔法力切れだった。
ストライカーを履いている時と違って魔法力が増幅されていない上、
武器が魔法力を撃ち出す物であるために使っているだけで魔法力がなくなってくる。
「はぁ、はぁ、くっ」
パキィイイ!!
加えて男の銃蛾が撃ち出す弾丸が厄介だった。
対物ライフル並みの威力があるこの弾丸を受け止めるためには大量の魔法力をシールドに注ぎ込まなくてはならず、
正直魔法力の消費が銃だけだったらまだ何とかなっただろうそれが、
シールドによって魔法力をごっそりと持っていってかれてしまうことでどうにもならなくなってしまった。
そしてとうとう魔法力が限界にきたドミニカはその場に膝を着いて動けなくなってしまった。
「ふぅ、ふぅ、ふぅー……いやはやさすがだ、さすがだよ君は、
私と戦って6発以上生き残ったものは今までいなかった。
それなのに君はシールドがあるとはいえ数十発耐え切るとは、本当に恐れ入った。」
「はぁ、はぁ、当たり、前だ、こんなもの、ウィスキーを朝まで、飲みつづけるより簡単だ。」
「ふふふ、その状態でまだ減らず口を叩けるか、ますます君が恐ろしくなるな。」
彼女は強気な口調を保っているが、その表情は疲れが隠しきれない。
たいして男は息を整えるとゆっくりとリボルバーの再装填を始めた。
それを邪魔したくても体が鉛のように重くてとても動けない。
「だがもうチェックメイトだ、あきらめて投降しろ、そうすれば命だけは助けよう。」
「……お断りだ。」
「そうか、君はもう少し賢いと思ったんだが……残念だ」
再装填の済んだリボルバーの照準をドミニカに合わせた。
(このままじゃまずい。何か手は……ん?)
迫まり来る死への打開策を探していた彼女の知覚に何かが引っかかる。
その正体がなにか、より詳しく調べ……途端に可笑しくなった。
どうやら諦めるにはまだ早いようだ。
「なにか言い残すことはあるかな?」
「ならひとつ言っておくことがある。」
「なんだね?」
「この勝負……私『たち』の勝ちだ。」
ガァアアン!!
その言葉とともにけたたましい音を立てて天井の通気口の蓋が床に落ちる。
それと同時に人影が床に着地し、とてつもない速さでドミニカたちにむかって迫ってくる。その手にはバールのような物が握られていた。
「エクスゥゥゥカリバアアアアァァ(約束された勝利のバール)!!」
その人影はリボルバーの男との距離を一瞬で詰めると、その速さを殺さず自身の体重を全力をかけ、雄叫びとともにバールのような物を思いっきり振りぬき、
ゴガシィイイ!!
ボキン!!
「がぁああ!!み、右手がぁぁあああああ!!!」
鈍い音を響かせて見事に男の右腕を粉砕し、男が手にもったリボルバーを部屋の隅へと吹き飛ばした。
「姐御、今だ!!」
そして人影、その正体たる友の声を聞いてドミニカは自身にのこされた力を全て振り絞って立ち上がり、
「あああぁぁああああああああ!!!!」
ズバァアアアアアン!!
渾身の右ストレートを男の顔に叩き込んだ。
最終更新:2011年03月15日 02:38