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魔女と鋼鉄の巨人6

8・俺「ストライクウィッチーズだ!」>>379-388
9・俺「すとらいくうぃっちーずだよ」>>114-170



第六話『平和な日々』

~501戦隊基地 サロン~

最近、俺と芳佳は仲良くなった。


いや、まえまえから仲はよかったが、
芳佳が再び空を飛べるようになった頃からなにかあったのか
いっそう仲良くなったのだ。

「おいおい、私はソファーのクッションじゃないぞ。」

洗濯とを終えた芳佳がサロンに入ってくると、
お気に入りの小説を読んでいた俺の傍にすわりその体にもたれかかった。

「えー、いいじゃないですか減るもんじゃないんですし。」

頭の位置を調節しておさまりのいい場所を探すと、目を閉じて昼寝を始める。

「まったく、こんなところをミーナ中佐やバルクホルン大尉に見られたら、
 なんていわれることやら……」


実際見つかっても、中佐は『あらあら』と笑って済ませるだろう。

以前は同性愛主義者と噂されるぐらい異性交遊を禁止していたらしいが、
いまはずいぶんと丸くなったらしいとは整備兵の話だ。

問題は大尉の方で、規律だ何だ、といって注意してくるのだが、
あの目はかわいがってる妹を取られそうなった姉の目だ。

そんなことを考えつつも空いてる手で芳佳のさわり心地よい髪をなでている
俺に、説得力のかけらもないのだが……


「芳佳ちゃん、いる?」

リーネが芳佳を探してサロンに入ってくる。

夕食に何を作るか相談するつもりだった。

「あっ……」

「ん?ああ、リーネ、芳佳に用か?」

それだったら起こすけど、と俺がいうが

「い、いえいいんです。大したことじゃないし、また後できますね!」

「?」

そう言ってリーネは急いで出て行ってしまった。



~廊下~

「な、なんで逃げちゃったんだろう……」

サロンからある程度はなれた廊下でリーネは息を整えていた。

別にあのとき他に用事があったわけでもないので、
芳佳が起きるまでサロンでまっていても良かったのだが。

「なんでだろ……それになんだか胸が痛い……」

俺にもたれかかる芳佳の姿を見て、
胸に小さな棘が刺さるような痛みを感じたのだ。




~夜 厨房~

結局あの胸の痛みがなんだったのかわからないまま夕食を終え、
リーネは食器を洗っていた。そこに俺が入ってくる。

「リーネ、ちょっといいかい?」

「?……なんですか?」

俺が指で頬を書きながらいう。

「実は、明日買い物に付き合って欲しいんだ。」

「お買い物、ですか?」

「ああ、今度、芳佳とサーニャ中尉の誕生日だそうじゃないか、
 プレゼントを買いに行こうと思うんだが、
 なにを買っていいのか分からないからね。手伝って欲しいんだ。」


芳佳へのプレゼントと聞いた瞬間、リーネはまたあの胸の痛みを感じたが、
それを押し殺して、俺の提案を了承する。

「よかった。じゃあ明日の朝、エントランスで待ち合わせだ。」

「はい。分かりました。」

ありがとうと俺は厨房をあとにする。

「芳佳ちゃんのプレゼントかぁ、
 待ち合わせをしてふたりっきりでお買い物ってなんだかデートみたい。
 ……って、デート!?」

その後しばらく自分の思考で真っ赤になり、固まってしまったリーネが目撃された。




~翌日 エントランス~

「やあお待たせ、さあ行こうか。」

エントランスで待つリーネに足であるバイクを調達した俺が話しかける。

その服装はいつぞや一件でウィッチーズに選んでもらった(半ば無理やり)服だ。
リーネはジャケットと長ズボン(普通の)といった感じである。

「そのバイクで行くんですか?」

「ああ、ちょっと持ってく荷物もあるからサイドカーは使えないけどね。」

「へ?あ、あの、それじゃぁもしかして……」

「うん、俺の後ろに乗ってくれ。大丈夫、安全運転するから。」

俺はそういって後部シートをぽんぽんと叩いた。

「そ、それじゃ失礼します……//」

リーネは後席にまたがると俺の腰に手を回してしがみつく。
服越しに俺の体温を感じて顔が赤くなるのがわかった。


「もうちょっとしっかりつかんで……よし、じゃぁ行こう。」

バイクのエンジンをかけて俺とリーネはローマの街に出発した。

実はこのときこの光景をこっそりとみていた者がいた。

「はは~ん……これは面白そう。お~い、ルッキーニ!街に行くぞ!」

「? どったのシャーリー?」

ニヤニヤとした笑いをたたえてシャーリーがルッキーニを呼びつける。

「探偵ごっこさ、さぁいくぞ!」





~ローマ市街 雑貨屋『モンテリジョーニ』~

ローマに着いた俺たちはまず、以前ルッキーニに紹介されたこの店にやってきた。

店内に入った俺はプレゼントに良さそうな商品を手にとるとリーネに相談する。
リーネはそれが芳佳たちの好みにあうかを考えたり、違うものを薦めてみたりする。

「最初はお買い物か、デートとしてはまぁよくあるな。」

棚の後ろからこっそり俺たちをうかがうシャーリー。
その彼女に呆れたような声がかかる。

「あ、あの~、なんでわたしまでここにいるんでしょう?」

声の主は芳佳だった。

彼女はシャーリーたちが俺たちを追いかけようとしたとき、
たまたま近くを通りかかったために連れてこられたのだ。


「なんでって宮藤も気になるだろ?俺とリーネのこと。」

「?なにがです?」

「いや、なにがって……宮藤は俺のこと好きなんだろ?
 恋人になりたいとか思ってないのか?」

「えっ?ええ、まぁ、そうなれたらいいな~とは、その//」

赤くなった芳佳が視線をそらす。

「だったらさ。普通はもっとこう、羨ましいとかさ?」

そうやって脈ありの反応をするくせに、
いまいち目の前光景に予想どうりの反応を見せない芳佳

「リーネに俺が取られそうになるのは嫌だ。とか普通は思うんじゃないか?」

「えっと・・・別にわたしはリーネちゃんが俺さんのこと好きでも構いませんけど?」

「はぁ!?」



「ん?」

俺がシャーリーの声に反応して振り向く。

「どうしたんですか?」

「いや、いまイェーガー大尉の声がしたと思ったんだけど・・・?」

空耳かな?と首を捻る俺。

「シャーリーさんなら、今日はストライカーの改造をするって言ってましたよ?
 それより、これなんてどうですか?」

ふたりはまた買い物にもどっていった。


「あっぶなっ、っておい宮藤それはどういうことさ!?」

極力声を落としてシャーリーは芳佳に詰め寄る。

「どうってそのままの意味ですけど?」

あっけらかんといいはなつ芳佳

「いやそのままって……おいルッキーニ、ルッキーニ?どこいったんだ?」

あまりの天然にショックを受けたシャーリーは、平静を取り戻そうとルッキーニを呼んだ。

だが彼女は答えない。それどころかどこにもいない。

「まさかルッキーニちゃん……また迷子に?」

「探すぞ!」

そう言ってふたりは尾行を放り出して迷子探しをするはめになるのだった。





~ローマ市街 喫茶店~

芳佳とサーニャへのプレゼントを購入し、ふたりは休息がてらこの喫茶店にやってきた。

「よっこらせっと」

ふたりは注文を頼むと、屋外テラスに向かい、
俺は足元に買った物と基地から持ってきた荷物を置いた。

「随分おっきな荷物ですね?」

「ああ、士翼号のメモリーさ。この前使った新兵器のデータが入ってる。」

ぽんぽんと鞄を叩く俺

「大事なものじゃないですか!」

「大丈夫、専用の設備がないと中は分からないようになってるからね。問題ないよ。」

そう言って俺はたのんだ紅茶を飲む。


「それはそうと、今日はありがとう。助かったよ。」

「いえ、私も楽しかったですから。」

「それはよかった。ああ、これ店で買ったんだ。あげるよ。」

そういって俺は綺麗にラッピングされた小包を渡す。

「これって!」

渡された包みを開いてみると中には可愛らしいイヤリングが入っていた。

「さっきの店でこれを見てただろ?
 欲しいのかと思って買ったんだが、まずかったかな?」

あわててリーネは否定する。

「い、いえ、でもこれ高かったし、わたしには似合わないかなぁって思ってたし……」

「十分似合うと思うけどね。それに金額のことは気にしなくていい。
 幸いながら実験機のテストパイロットなんてやってるから高給取りだし、
 なにより今日のお礼だ。受け取ってくれないか?」


頬をかきながら俺が言う。
彼が照れているときは必ずこの癖が出るのをリーネは最近気づいた。

「じゃあ、その、ありがとうございました//」

予想外のプレゼントをもらって、彼女は胸の奥がぽぉっと暖かくなるのを感じた。

「このあとは、どうする?せっかくだし観光でもしていこうか?」

照れから立ち直った俺がそう提案した。

「そうですね、前来たときはルッキーニちゃんが迷子になっちゃって、
それど頃じゃなかったですし。」

「よし、そうと決まったら行こうか!……あれ?」

そう言って荷物を持ち上げようとしたが、手にはなにも引っかからなかった。


「ない……荷物がない!」

「ええ!?あ、俺さんあそこ!」

リーネが指差す方向を向くと何人かの子供達が俺たちの荷物を持っていこうとしていた。

「待て!それを返せ!!」

「やべっ、ばれた。逃げるぞ!」

「天使とダンスでもしてな!」

そういって彼らは走って逃げてしまった。




~ローマ市街 路地裏~

「お~いルッキーニー、ルッキーニや~い。」

「ルッキーニちゃ~ん、どこにいるの~?」

ふたりはいまだ見つからない蝶々娘を探していた。

そのふたりの前を大きな荷物をもった子供達がやってくる。

「?なんだ、あれ。」

彼らはふたりの前で止まると息を整えだした。


「はぁ、はぁ、逃げ切れたかな?」

「た、たぶんな、とろそうなやつらだったし。」

「なぁ、はやくルッキーニ隊長のとこにもってこうぜ!」

そう言って再び荷物を担ぎなおす子供達。

「ルッキーニ隊長?」

「お前ら、ルッキーニを知ってるのか?」

意外な情報に食いつくシャーリーたち。

「ねぇちゃんたちだれ?」

「おい、逃げるぞ、あいつら追ってきた!」

「あ、おいまって。」

シャーリーの静止も聞かず彼らは行ってしまった。

「はぁ、はぁ、そいつを返せ!」

「ま、まってくださぃ、俺さん、はぁ、はぁ。」

子供達がやってきた方から、俺とリーネが現れた。


「俺さん、リーネちゃん!」

「あれ?大尉に芳佳?なんでここに?」

「それよりお前らどうしたんだ?」

双方とも意外なところで意外な人物にあって混乱する。
とりあえずシャーリーが尋ねた。

「俺さんの荷物が盗まれちゃったんです。大切なものなんですけど。」

「とにかく取り返さないといけないんです。大尉たちは?」

「私達はルッキーニを探してるんだ。
 盗んだのはもしかしたらさっきのやつらかも知れないな。
 ルッキーニの居場所を知ってるみたいだし。追うぞ、こっちだ!」




~路地裏 秘密基地~

木と布で作られたこの秘密基地は、
ネウロイとの戦いで親を失った子供達が身を寄せ合って暮らしていた。

以前ルッキーニは501の面々とはぐれた後、王女マリアとともに彼らと
出会い、食事をおごってやったりしたおかげで気に入られ、隊長と呼ばれていた。

俺たちの尾行中に再び彼らとあったルッキーニはこっそり抜け出してきたのだった。

「ねぇルッキーニおねぇちゃん、もっとお話して?」

「隊長、隊長!おれアフリカってとこの話がいい!」

「その話、前にも聞いたろ……」

楽しそうに話をしてる彼らのところにおおきな荷物を抱えた子どもたちが飛び込んでくる。

「うじゅ、アレクにピエールにエッツィオじゃん。どうしたのその荷物?」

「隊長たすけて!追われてるんだ!」

いきなりそういわれて唖然となるものの、自分は隊長だ。頼られたのなら期待に応えるべきだ。


「よ~し、あたしにまっかせなさい!」

そういって秘密基地の外に出るルッキーニ。
タイミングよく追跡者とおもわしき者達がやってきた。

「まて~!あの子達をいじめるやつはこのフランチェスカ・ルッキーニが……ってシャーリー?」

なんと追いかけてきたのは自分の大好きな彼女だったのだ。



「まったく、人の物盗んじゃだめ!っていったでしょ。」

『ごめんなさぁい。ルッキーニ隊長』

「勝手にどっかいっちゃダメっていったよな、ルッキーニ?」

「ご、ごめんなさいシャーリー……」

あのあと事情を聞いたルッキーニは子ども達をしかった。

が、彼女もまた、シャーリーにしかられてしまった。

「まぁ、こうして荷物が無事だったんですからなによりですよ。そうだ、芳佳。」

「なんですか?」

俺は買い物袋から目当ての物を取り出した。


「少し早いけどちょうどいいからね。これ、誕生日プレゼント。」

そう言って俺は芳佳にプレゼントを渡した。

「あ、ありがとうございます。うわぁ、かわいいエプロンにブローチ!」

「エプロンはリーネに選んでもらったものだけど、ブローチは私だ。芳佳、誕生日おめでとう。」

「ありがとう!俺さん、リーネちゃん!」

「なんだ、今日買い物に来てたのはそれか。ところで……」

シャーリーが俺の首に腕を回して小声で話しかける。

「どっちだ?」

「ぐ、な、なにがです?」

シャーリーの腕が俺の首を若干締め付ける。

「だから、おまえどっちが好きなんだ?リーネか?宮藤か?」

「私は……」

「まぁ、どっちでもいいけど、あの子達、泣かすなよ。」

そう言ってシャーリーは俺を解放した




~夜 501戦隊基地 リーネと芳佳の部屋~

街から帰ってくると、シャーリー、ルッキーニ、芳佳の3人は、
エントランスで待ち構えていたミーナにつかまった。

なんの通達もなく勝手に出て行った彼女達は、
お仕置きとして、芋の皮むきと反省文を欠かさせられた。

それが終わってから風呂に入り、
芳佳がようやく部屋に戻ってきたのは夜になってからだった。


「ねぇ、芳佳ちゃん。」
「なに、リーネちゃん?」

部屋に帰ってきた芳佳にリーネが声をかける。

「芳佳ちゃんは、俺さんのことどう思ってるの?」
「どうって……?」

「そ、その……好き、とか……」

その問いに芳佳が応える。
「好き、だよ//俺さんのこと……リーネちゃんは?」

「へ?」

そう返されるとは思ってなかったリーネが焦る。

「リーネちゃんも、俺さんのこと好きなんでしょ?その、今日見てたから。」

ばつが悪そうに言う芳佳。

「わ、わたしはその、うん、わたしも……俺さんのことが好き//」

赤くなって俯くリーネ。

「よかった!わたしたち、おそろいだね!」

嬉しそうにいう芳佳。リーネが不思議に思って尋ねる。


「あの、芳佳ちゃんはいいの?わたしが、俺さんを好きでも……」

「うん。一緒に恋人になるのがリーネちゃんだったら大歓迎!」

「でも、恋人って普通一人だけじゃ……」

「あれ?リーネちゃん知らないの?扶桑ではそういう人けっこういるんだよ?」
芳佳はそういった。

実は扶桑では、天皇家のしきたりである重婚を認めるための法律があり、
近代に入って身分平等の社会になると、それを一般的にも許可するようになった。

ただし、夫の方が妻達を平等に愛すること、
という決まりがあるためそういう者が結構いるというのは誤りではあるが。

ちなみに夫が扶桑の国籍を持っていれば妻の国籍は問われない。


「リーネちゃんは、わたしと一緒じゃ……いや?」

悲しそうになる芳佳にリーネは否定する。

「いやじゃない、いやじゃないよ!わたしも、芳佳ちゃんとふたりでなら……」

そういったリーネを芳佳は抱きしめた。

「ありがとうリーネちゃん♪」




~501戦隊基地 俺の自室~

俺は夕食後にシャワーを浴びたあと、部屋の机で本を読んでいた。

実際は本を読みながら、別のことを考えているため、
本のないようなどいっさい頭に入っていなかった。

昼間シャーリーに言われたこと、自分は芳佳とリーネ、どちらが好きなのか?

芳佳もリーネもいい娘だ。

芳佳の抜けているがいざと言うときの意志の強さ、だれとでも仲良くなれる純粋さが自分は好きだ。

リーネの一生懸命がんばろうとする健気さ、笑ってくれたときの花が咲くようなあの可憐さが好きだ。

どちらのことも自分は心から愛している。どちらかなど、決められない。

いっそのことふたりとも愛するという選択を取ろうか。

いや扶桑ならば問題はないが、それは彼女達に失礼だろう。

そもそもシャーリーにいわれて考えているが、自分は彼女達の気持ちも知らないのだ。

答えの出ないまま、時間だけが過ぎて行く。
すると、鞄型電話がなった。

この電話は研究所の連中がつくったもので、
映像を飛ばして相手と会話できるものらしく、
たしか名前を『キネマトロン』とかいったか。

俺は鞄を開き、受信スイッチを押す。


「俺だ」

そこに写っていたのは自分の直属の上官だった。
傲慢さと尊大さをこれでもかと撒き散らしている男だ。

「なんでしょうか?」

俺は臆せずに応える。この男は常日頃からこうだ。いちいち怯えていても仕方ない。

「貴様に任務を頼みたい。明朝0700に司令部に出頭しろ。以上だ。」





次回予告

ついにロマーニャ戦線の最終作戦
オペレーション『マルス』が発動される。
俺に下される任務とは 

次回 ストライクウィッチーズ2~魔女と鋼鉄の巨人~

   最終話『未来のために』

全軍突撃!どこかのだれかの未来のために!!

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最終更新:2010年10月24日 00:49
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