俺「よし、ここらへんに駐車しておくか。街まで少し遠いけど、我慢してくれ」
エーリカ「別に大丈夫だよ~」
俺は車を降りると、さっさと街へ向けて歩こうとしたが、エーリカに服を引っ張られた
俺「お、おい…歩けないんですけど…」
エーリカ「せっかく…2人きりなんだからさ…手ぐらい…繋ごうよ…///」
俺「わ、悪かった……///」
基地に居るときには見せない表情を、今エーリカは見せている
軍人としての顔ではなく、一人の乙女としての顔だった
エーリカは左手に箱のような"何か"を持ちながら、右手を俺の手と絡み合わせた
俺は何度握っても、エーリカの手の小ささに驚かされる
俺「…本当にエーリカの手は小さいな」
エーリカ「そう? 女の子の手は、普通小さいものだと思うよ?」
俺「ふぅん、そんなものなのかなぁ」
俺たちは普段、基地で素直になれないだけあってか、こうして今歩いている時に、日頃思っている互いの気持ちをぶつけまくった
しばらく歩いて、街が近づいてきたとき、エーリカが歯切れ悪く声をかけてきた
エーリカ「ねぇ、俺…その……」
俺「ん?」
エーリカ「えっとね……あ、あそこの公園行かない?」
俺「公園?」
エーリカが指差した先には、人影の無い、静けさ漂う公園があった
俺「公園で何するんだ?」
エーリカ「んとね…その…と、とにかくLet's Go!!」
俺「お、おい!? 手をそんなに強く引っ張るなっ!!」
俺はエーリカに導かれるままに、公園へと連れてかれた
エーリカ「はい、俺!」
俺「これって…」
エーリカは俺を公園のベンチへと座らせ、朝から気になっていた"謎の箱"を開けた
すると、その箱の中には色とりどりの食材で一杯だった
俺「これって…お弁当…だよな…?」
エーリカ「そうだよー もうそろそろでランチの時間だからね」
俺「ちょうど良かった。俺も小腹が空いてきた頃なんだ。これは宮藤軍曹が作ったのか?」
エーリカ「ううん、違うよ。 これは私が作ったんだよ」
俺「…………えっと……今、何て言った…?…」
エーリカ「だから! これは私が作ったの!」
俺「お、おい!? 確かエーリカは……料理禁止じゃなかったのか!?」
この瞬間、俺の身体から血の気が引いた
エーリカ「男の子なんだから細かいことは気にしないの! ほら、あ~ん」
俺「ま、まままま待てっ!! エーリカの料理食べたら、生死にかかわ…んぐっ!」
逃げようとする俺の口の中に、容赦なく食材が運ばれてきた
以前、バルクホルン大尉やヴィルケ中佐から聞いた事が本当だとすると、エーリカの料理は殺人兵器!!
俺は死を覚悟した
だが、結果は予想に反したものだった
俺「もぐもぐ…ごくん………う、うまい……」
エーリカ「ふふん♪ 当然だよ、私が作ったんだから!」
俺「……いったい…どうやったら…こんなに美味しい物が作れたんだよ…?」
常日頃、料理禁止命令を受けていた人物が、こんなに美味しいお弁当を作れるはずがない
エーリカ「昨日、ミヤフジとリーネから教えてもらったんだよ、お弁当の作り方」
なるほど… だから、こんなに美味しいお弁当になったのか
俺「昨日、コソコソと何をしているんだと思っていたら、そんなことをしていたのか…」
ここで俺は、エーリカの指が絆創膏だらけの理由が解った
俺「もしかして…その傷って……料理の練習してるときにしたものなのか?」
俺はエーリカの手を取って、話しかけた
エーリカ「まぁね。 俺に美味しいお弁当作ってあげようと思って練習してるときに怪我しちゃった」
すると、エーリカは天使のような優しい笑みを見せた
俺は涙ぼろくは無いのだが、さすがにこの時だけは、涙が出そうになった
それくらい、俺は嬉しかった
気がつけば、俺はエーリカの頭を撫でていた
俺「ありがとな…エーリカ…」
エーリカ「えへへ…///」
この後、俺はエーリカの力作弁当を綺麗に食べ尽くした
自然とエネルギーが湧いてきた気がした
俺「ふぅ~ うまかったなー!!」
エーリカ「良かったよ、俺が喜んでくれて」
俺「どうも、ご馳走様でした」
エーリカ「こちらこそ~ あ、そうそう! 今日、早起きしたついでに、みんなの朝ごはんも作ったんだよ!」
俺「なにぃ!? それはそれで問題ありだぞ!!」
エーリカ「え? なんで?」
俺「想像してみろよ、中佐やバルクホルン大尉が聞いたら、慌てふためくぞ!」
エーリカ「大丈夫だよ、ミヤフジとリーネも手伝ったから」
俺「……でもなぁ……」
エーリカ「ま、そんなことは気にしないで、早く街に行こうよ!」
俺は考えることを止めた
いまさらどうする事も出来ないし…
俺「そうだな、行くか!」
俺「ロマーニャって随分、歴史のある街だな」
エーリカ「そうだね~」
俺はロマーニャを訪れるれるのが
初めてだったせいか、街の歴史の深さにただ感服していた
それより、街に入ってから気になることが一つある
俺「なぁ… 俺たちジロジロ見られている気がするんだけど…」
エーリカ「そう?」
どうやらエーリカは周りの目は気にならないようである
俺「……やっぱ、見られているな……」
俺は注目を浴びてしまう原因の心当たりが幾つかあった
ひとつは、俺と手を繋いでいる人
周りを魅了する容姿の持ち主、エーリカ・ハルトマンから発せられている色気に気をとらわれてしまったこと
ふたつめは、俺に対する嫌悪、または殺意
なんで、てめぇみたいなヤツが美人さんと歩いているんだよ!?とか、あやつ…あんな犯罪体型の美人さんと接しおって…ハラキリじゃ!!
などの様々なことが考えられる
俺は、出来れば前者であることを願いたい
そんなことを、ぼんやりと考えていた俺に、エーリカが話しかけてきた
エーリカ「ねぇねぇ、何かスイーツ食べる?」
俺「スイーツ?」
エーリカ「うん。 例えば、パフェとか!」
俺「…俺、弁当食べたばかりなんだけど……」
エーリカ「大丈夫! スイーツは別腹だから!」
俺「ちょっ!? 待て待て! 手を引っ張るなっ!!」
俺はエーリカの手によって、近くの喫茶店へと導かれた
店員「ご注文をどうぞ」
エーリカ「んー チョコレートパフェとフルーツパフェ、白桃パフェに……えーっと…」
俺「待て待て!! そんなに頼んで、食べきれるのか!?」
エーリカ「大丈夫だよ、俺に食べるの手伝ってもらうから」
俺「あのなぁ……」
エーリカ「じゃ、ティラミスパフェとモンブランパフェもお願い!」
店員「かしこまりました。 ご注文を繰り返します。チョコレートパフェとフルーツパフェ、白桃パフェにティラミスパフェとモンブランパフェですね?」
俺「はい、大丈夫です」
店員は注文を聞き終えると、一礼して去っていった
ご注文品が届くまでは、エーリカとの談笑タイム
俺「……この後、どこに行く?」
エーリカ「そうだねー 特に無いかな…?」
俺「じゃぁ……俺、写真の撮れる所に行きたいんだけど、いいか?」
エーリカ「写真?」
俺「うん。 501のみんなと撮った写真はあるけど、エーリカと二人っきりで撮った写真が無いからな…」
エーリカ「確かに二人っきりの写真は無かったね」
俺「だから、記念にな」
純粋にエーリカと二人っきりで写真に写りたいとも思ったが、2日後に控えているスオムス派遣に持っていくエーリカの写真を撮ることが目的でもあった
店員「お客様、おまたせしました!」
店員が俺たちに声をかけると、テーブルには注文品が続々と並べられていく
ここで、改めて注文したパフェの数に驚かされた
エーリカ「さぁ!食べるぞ~」
エーリカはスプーンでチョコレートパフェのクリームをすくい、ぺろっと口に含んだ
エーリカ「ん~! おいしい!!」
満面の笑みで、美味しそうにパフェを食べていくエーリカに、俺も心は自然と癒されていった
エーリカ「俺も食べる?」
そう言い出したエーリカは、クリームをすくったスプーンを俺の口元へと運んできた
俺「………これって…間接…キス…になるんじゃ…」
エーリカ「そんな事気にしないでよ~ それに毎晩、普通にキスしてるじゃん」
俺「ば、バカッ! 声が大きい!!」
俺は、周りの客に聞こえていないかと店内をキョロキョロとすると、どうやら聞こえていなかったみたいだ
俺「……しゃあねぇな……一口だけだぞ…」
エーリカ「じゃ、あ~ん」
俺「…あむっ…」
口の中はクリームの甘さでいっぱいになった
それと共に、エーリカの甘さも伝わってきた
俺「…………ほれ…」
エーリカ「え?」
俺「……だから…ほら…」
俺は、さっきエーリカが俺にした事と同じ事をエーリカにしようとした
エーリカはきょとんとしている
俺「……だから……俺も…食べさせて…やるよ…///」
エーリカ「……う、うん…///」
エーリカは、口を小さく開けて、クリームを食べた
エーリカ「……食べさせられると…ちょっと恥ずかしいね…///」
俺「だろ…? 俺だって、恥ずかしかったんだぞ…」
今、俺たちは恋人らしい事をしていると思う
こんな時間が来るとは、想像もしていなかった
エーリカ「俺、クリームが頬っぺたに付いてるよ?」
俺「ん? 取れたか?」
エーリカ「ううん、取れてないよ」
俺「エーリカ、クリームの付いているとこ教えて……うわっ!?」
エーリカは身を乗り出して、俺の頬をぺろっと舐めた
エーリカ「にしし! クリーム取れたよ」
俺「……あ、ありがと……///」
さすがにこれは、恥ずかしい…
エーリカも小恥ずかしそうに、笑みを浮かべている
俺「…そろそろ…本格的に食べはじめないと…いつまで経っても食べ終わらないぞ…?」
俺は恥ずかしさを紛らわす為に、言葉を発した
エーリカ「そうだね、俺も手伝ってよ?」
俺「了解」
俺とエーリカは所々イチャイチャと恋人らしいことを交えながら、やっとの思いでパフェを食べ終えた
続く
最終更新:2011年07月10日 08:10