[►]ガチャ
――……
「いらっしゃい、……ってまた中佐か。この間の続きかい?」
「……と言ってもなぁ。別段あれ以上に話す事なんて何も――」
「失礼ですが、貴方の事を調べさせてもらいました」
「調べるって……、こりゃまた唐突に。至って平凡だろ?」
「とぼけなくても構いませんよ、――俺中尉」
「……ハ、こりゃ驚いた。まだ記録が残ってたか」
「では、貴方は――」
「おう。あのダイナモ作戦で何もかも無くした癖におめおめと生き残ってしまったクソッタレさ」
「貴方のあの戦い方も、それが原因ですか」
「簡単な事さ。守るべきものなどとうの昔に無くしたし、今更守れるものなど何も無い。――だから、後先省みずに突っ込めるのさ」
「そんな――!」
「当然だろう?国を失い、部下を失い、守るべき者達を多く死なせた野郎が、今更どんな面して『守る』なんて言うんだ?」
「…………」
「ちなみに俺の最後の任務は『非戦闘員がカレーを脱出するまでの間、港に繋がる大通りを、文字通り「死守」』。
――笑っちまうだろ。 『死ね』って命令すら果たせなかったんだぜ?」
「そうそう、アンタの恋人もカレーで死んだそうだな。アンタは俺を恨んでいいんだぜ?アンタにはその権利がある。
『お前の部隊が真っ先に潰れたせいで……』ってな」
「貴方……!」
「何だか色々と気に掛けてるみたいだけど無駄だぜ。ここにいるのは死にぞこなった只の負け犬、そんな奴に構うだけ時間の無――」
「ふざけないで!」
パシィン
「……いきなり痛ぇな、オイ」
「あの戦いは1つの部隊の働き、まして個人でどうにかなるような場じゃなかった!それを、『自分の部隊が壊滅したせい』ですって?
――自惚れるのも大概にしなさい!」
「だが大勢が死んだよ!港湾施設に続く大通りに張られた防衛戦が予想以上に早く崩壊した事で!」
「戦線の崩壊は混乱を生み、戦線の切れ目から雪崩込んだネウロイによって多数の非戦闘員が犠牲になった!
――これを俺が指揮した隊の……、俺の責任と言わずに何と言う!!」
「それが自惚れだと言ってるの!あの戦力差ではどの戦線も崩壊するのは時間の問題だった!」
「それでも――!」
「黙って最後まで聞きなさい!」
「――ッ!」
「あの作戦に参加した者は多かれ少なかれ何かを失っている。その結果は誰か個人に背負わせるものではないわ!
部隊の損害にしても、隊員の覚悟の結果としてよ!」
「それをなに?自分が全部悪いだなんて勝手な結論出して……、悲劇に酔ってるだけじゃない!」
「何だと……!」
「守れなかったから、生きてしまったからこそ、死んでいった人達の分まで守らなきゃいけないんでしょう!?
貴方はその為の力まで失った訳じゃない!『守るべき』ものを無くしたのなら、『守りたい』ものを探すくらいしなさい!」
「うるせえ!自分の目の前で死なれるのが嫌なら適当に後方送りにすればいいだろうが!」
「それだってのに俺の昔の事まで調べやがって……。――何でこんな死にぞこないに構う!!」
「煩いわね私だって知らないわよ!」
「――はぁ!?」
「文句言わない!」
「……ええと、中佐。もしかしてキレてる?」
「キレてません!ただ物凄く腹が立ってるだけです!」
「それキレてるって言うんだけd」
「話の腰を折らない!」
「お、おう……」
「大体何ですか!普段の生活なんて適当もいい所なのにそんな部分だけ妙にナイーブで……!
――心配するこっちの身にもなってみなさい!」
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キュルキュルキュル
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「――その伸ばし放題の髪と無精ヒゲも何とかしなさい!自分に無頓着だからあんな自棄っぱちな考えになるんです!」
「……髪とかヒゲって関係あんの?」
「口答えするんじゃありません!」
「えっ」
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キュルキュルキュルキュルキュルキュル
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「――という訳です。分かりましたか?」
「ハイ、オッシャルトオリデゴザイマス」
「本当に分かってます?」
「ハイ、モウジュウブンニ」
「……ふぅ、分かりました。今回はここまでにしておきましょうか。下がって結構です」
「ハイ、ドウモスミマセンデシタ」
ガチャ
パタン
「……あら?そういえばこの部屋って――」
ガチャ
「オイちょっと待てここ俺の部屋だろ!?」
[■]ガチャン
最終更新:2011年07月11日 14:05