異世界のウィッチ1
―――――――
・・・寒い。
それが俺の最初に感じたことだった。
耳元で轟音が鳴っている。トラックの音か?・・・それよりももっとでっかい音だな。
何故か俺は目を閉じている。
開けなくちゃいけないな。このまま通ったら車に轢かれちまうよな。
そう思って俺は目を開けた。
・・・俺の目に入ってきたのは、青い色だった。
少し経って、白い色がちらほらと見えるようになって、強い風を感じて、自分は空にいるのか、と気付いた。
・・・ちょっとまて。空?馬鹿な。俺はさっきまで学校に行こうとしていて・・・
・・・別に仲のいい友達がいるわけじゃないし、楽しくないけど行かなくちゃいけないから行こうとしていて、
交差点にいたはずだ。それがなんで、急に景色が空になるんだ?ありえないだろ。
一体どうなってるんだ?・・・つーか、俺、理由はわからないけど、落ちてるのか?
・・・ヤバイ。俺、死ぬんじゃないのか?
・・・そう思った。
―――――――
――――――
ガガガガガガガガ バキィィィィン
キュイィィィィィン・・・ビュインッビュインッ ヒュンッ
ブゥゥゥゥゥゥゥン
宮藤「小型のネウロイばっかりで良かった・・・」
リーネ「そうだね、芳佳ちゃん」
ペリーヌ「あなた達、気を抜かないでください!余裕をかましていると、やられますわよ!」ガガガガガ バキィン
ゲルト「ペリーヌの言う通りとはいえ、流石に気が抜ける相手だな」ガガガガガガガ バキィンバキィンバキィン
エーリカ「全くだね。数だけ揃えたってどうにもなんないってのに」ガガガガ バキィンバキィン
ルッキ「最近こんなんばっかだよねー・・・」
シャーリー「文句言うなよルッキーニ。そんなこと言ってると、次は超大型が来ちまうかもしれないぞ」
サーニャ「・・・残り、20体」
エイラ「もうちょっとダナ」ガガガガガ バキィィィン
ミーナ「・・・あら?」
坂本「・・・ミーナ、どうした?」
ミーナ「・・・皆さん、気をつけて。上空から何かが降ってきます」
坂本「何?」
シャーリー「急に何言い出すんだ!?」
ゲルト「ネウロイの援軍か!」
ミーナ「いえ・・・人のようです」
ルッキ「ウィッチ?」
ミーナ「・・・いえ・・・!?ストライカーも何もつけていない、ただの人です!」
エーリカ「はぁ!?」
宮藤「な、何が起こってるんですか!?」
ミーナ「わかりません!・・・私が確認してきます!あなた達は一旦攻撃を中断しなさい!」
『了解』
―――――――
・・・飛び降り自殺をすると落ちる途中で意識を失うって聞いたことがある。
でも不思議とそんなことないな。
落ちるのは思ったより怖くない。・・・どうしてだろう。
そんなことを考えていた俺の目に次に入ったのは、黒い点だった。
この青と白の世界に、
初めて他の色が見え始めたことに、俺は何故か安心した。
その黒いのの中に、物凄く薄くだけど赤い光が見えた。
なんだあれ?そう思った瞬間、その黒と赤が白く光り、そして粉々になった。
なんだなんだ?ますますわけがわかんねえぞ?・・・それらを通りすぎたとき、その黒の中の赤が見えた。目みたいだった。
その次に、少し暖かくなり、棒状のものが俺の腹に巻かれているのを感じた。
背中に柔らかい感触もする。 ・・・背中のものはなんだかわからなかったが、腹に巻かれているのは人間の腕だということを、数秒して理解した。
―――――――
ミーナ「ふぅ・・・」
俺「・・・!?」
・・・なんだ、この状況は。
ミーナ(あら・・・?・・・この人・・・)
ミーナ「大丈夫?」
なんだこの女?・・・目の色から判断すると外人か?いや待て、頭に動物みたいな耳が生えてる?
いや、そんなこと考える前に、俺は質問されたみたいだ。答えなくちゃいけないな。
俺「・・・大丈夫、じゃない」
そう答えた。本当だ。全然大丈夫じゃない。心臓がバクバクいってる。
ミーナ「・・・命に別状はないみたいね・・・」ホッ
坂本「ミーナ!どうだ!?」
ミーナ「落ちてきた人物を確保しました。・・・攻撃を再開しなさい!」
『了解!』
この女の言葉のすぐ後、上から銃を乱射しているような音が聞こえてきた。銃で攻撃してるのか。
物騒だな、テレビかゲームの中でしか聞いたことないぞ。・・・え?
俺「・・・おい、あんた」
質問しなければ。
ミーナ「何かしら?」
俺「あんた・・・いや、あんたら何やってんだ?」
ミーナ「ネウロイと戦っているのよ」
俺「・・・ネウ・・・?」
ミーナ「・・・ネウロイを知らないの?」
俺「あんたは知ってんのかよ?」
ミーナ「ええ。・・・我々人類の敵よ」
俺「はぁ?」
何言ってんだあんた。俺がそう言おうとしたとき、妙な音が聞こえてきた。今まで生きてきた中で聞いたことがない音だ。
キュイィィィィィィィン・・・
なんだこの音。車が急ブレーキをかけた音にちょっと似ているけど、それともまた違う異質な音だ。
ミーナ「!?」
その音を聞いた途端、この女が顔を強張らせて、俺を抱えたまま動いた。俺らがいた場所に赤い線が通っていった。
見たらさっきの黒と赤がこっちを見ていた。・・・なんだあいつら。
・・・あれ。ちょっと待て。俺を抱えたまま動いた?この、女が?俺は、恐る恐る足元を見た。
・・・ちょっと下に海が見えた。海は迫ってこない。俺の身体が落ちるのをやめているのは確信できた。
衝撃だったのは、この女が、機械のような筒を履いていたことと、この女が空を飛んでいることと、
・・・この女が、パンツ丸出しだということだ。
それを見た瞬間、俺は目を逸らした。顔が少し熱くなるのを感じた。
だから、俺はこの女に『なんでそんな細い腕で俺を持ったままあちこち動けるんだ?』と聞くのを忘れてしまった。
――――
銃の音が途切れた。その代わりに声が聞こえてきた。
サーニャ「ネウロイの反応、消滅しました」
ミーナ「了解しました。みんなお疲れ様」
またネウロイって単語が出た。一体それ何なんだよ。
そう思った瞬間、この女と同じような格好をした女が10人上から降りてきた。同じく動物みたいな耳が生えている。
一体何なんだ。こいつら、パンツ丸出しで恥ずかしくないのか(スクール水着っぽいのも居るけど)。
スカートくらい履けよ。・・・邪魔になるのか?
ゲルト「ミーナ、そいつは何だ?」
俺「人に決まってんだろ」
混乱している頭で、咄嗟に俺はそう言った。
エーリカ「ま、ネウロイには見えないね」
だからネウロイって何なんだよ。そう言おうとした瞬間、他の女が口を開いたので、俺は声を飲み込んだ。
シャーリー「ほー・・・なかなかいい男じゃん」
ルッキ「うんうん」
・・・そりゃどうも。いや待て、そんなこと言ってる場合じゃないんだ。
宮藤「えーっと・・・あ、私は、宮藤芳佳っていいます。あなたのお名前は?」
・・・自己紹介かよ、面倒臭いな。これに関してはいい思い出がない。なので簡単に返す。
俺「・・・俺だ」
リーネ「・・・俺さん、ですか。あ、私はリネットって言います」
ペリーヌ「私は、ペリーヌ・クロステルマンと申します」
あ、そう。
坂本「何故、君は空から落ちてきたんだ?」
俺「知るかよ」
正直に言う。本当に知ったことではないのだ。
ペリーヌ「なっ・・・なんて口の利き方を」
坂本「まあ、待てペリーヌ。そういえば自己紹介がまだだったな。
・・・俺君よ、私は坂本美緒という。質問したいことがあるんだが・・・」
・・・いや待て。このままではまずい。奴らの質問に答えっぱなしじゃ、俺の疑問にいつまでたっても答えてもらえないじゃないか。
だから、俺は叫ぶように声をあげた。
俺「ちょっと待て!」
サーニャ「!?」ビクッ
エイラ「お、おいお前!サーニャを怖がらせるんじゃネーヨ!」
俺「知ったことじゃねえよそんなこと!あんたらの疑問になら後でいくらでも答えてやる!
でもその前に誰か俺の質問に答えてくれ!」
教えてもらいたいことが山ほどある。それに答えてもらわないと、おかしくなりそうだ。
俺「ここは何処だ!?あんたらは誰だ!?なんであんたらは飛んでるんだ!?ネウロイって何だ!?なんで、俺はここにいるんだよぉ!!??」
最終更新:2010年11月02日 18:32