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熊はひばりに恋をした 第2話

第2話 ニッカ・エドワード・カタヤイネンの憂鬱




750 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 03:52:30.08 ID:30m462ks0

第2話 ニッカ・エドワード・カタヤイネンの憂鬱

ニパ「これならいける…! フフフッ…どうだ俺さん? ストレートフラッシュだよ。」

俺「あー……………………………なんかスマン…。ロイヤルストレートフラッシュだ…。」

ニパ「なぁぁぁぁ!? ハァ……これで10連敗か…。」

エイラ「お前本当に弱いなァ。」

ここはカウハバ基地のハンガーだ。

教官少佐がスオムスに来て3日目。

今日は天候不良のために訓練は中止。代わりにハンガーでストライカーユニットも整備についての講義をすることになった。

………はずだったんだがなぁ…。

ご覧の通り、サボってハンガーの隅っこでポーカーに興じているわけで…

これは、上層部からの命令違反に当たるんじゃないか?






751 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 03:56:16.66 ID:30m462ks0

でも、

ラウラ「俺さん、次は私とやろう。」

俺「おうっいいぞ。」

いつも無愛想なコイツが珍しく目をキラッキラさせて提案してきたんだ。それを冷たくあしらうのはちょっと……なぁ…。

たまにはこういう息抜きも必要だ……………ということにしておこう。

俺もまだまだ甘ぇなぁ…。それに、

エルマ「や、やめてくださいハルカさん!! こっ……ここはハンガーなんですよっ…アンッ……!」

ハルカ「キヒヒヒヒヒヒ……こういうシチュエーションもアリだと思うんです…!」

教官「ウィンド少尉、君は色々な銃器を器用に扱えるそうじゃないか。どうだい? ハァ……ハァ…俺の部屋に来て、俺のマグナムを試し撃ちしてみないかい…!?」

ハンナ「お断りします。」ニコニコ

講義をしてくださる先生方がああいう状態だからなぁ…。今日も変態の方々が元気そうでなによりだ。

あと、教官少佐。アンタのやつはマグナムっていうよりチクワだったぞ。

ニパ「ハァ…私ってどうしてこんなにツイてないんだろう……。」

俺「………。」

ツイてない…か……。





752 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 03:59:00.98 ID:30m462ks0

俺「何か言い訳はあるか?」

ニパ「………………………ありません…!」

少女は俯いて唇を強く噛み締めていた。

少女の傍らにはストライカーユニット、ビヤスターF2Aバッファロー。外装がボロボロになっており、内部から煙が噴き上げている。

俺「……ハァ…ここスオムスでストライカーどれほど貴重かくらいお前も分かっているよな?」

ニパ「……………ハイ…。」

翌日、天候が回復したのでいつものように屋外での訓練を始めた。

その矢先…

カタヤイネンのストライカーから煙が噴き出して、爆発した。

爆発の規模は小規模でカタヤイネンは足に軽い火傷程度で済んだのだが、ストライカーは修復不可。スクラップ行きだ。

カタヤイネンはつい先週にもネウロイとの戦闘でバッファローを故障させたので、この隊に来てカタヤイネンのストライカーが壊れたのはこれで2回目ということになる。

週1のペースでストライカーユニットを壊すウィッチなんて聞いたことないぞ?

俺「前に言ったよな? 今度このバッファローを故障させたらそれなりの処分を受けてもらうって。」

ニパ「………。」






753 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 04:00:27.01 ID:30m462ks0

俺「まぁ、あの時はこんなことはありえないと思っていたから、単なる脅しのつもりだったんだが……
  全損させたとなると、いくらなんでも冗談じゃ済ませねぇ。」

ニパ「………。」

俺「ニッカ・エドワード・カタヤイネン軍曹、お前を明日からの飛行任務から外し、ハンガーの掃除係に任ずる。」

ニパ「!? そんなっ!?」

エイラ「お前!!」

エルマ「どういうことですか、俺曹長っ!!」

エイラ「!?」ビクッ

俺の傍らにいたレイヴォネン少佐が大声を上げた。

この娘がこんな大きな声を出す所は初めて見たな。

俺「何か問題でも? レイヴォネン少佐?」

エルマ「飛行任務から外すなんて、さすがに厳しすぎます!!」

エイラ「あ、あのっ…エルマ先輩、ちょっと落ち着いて…。」オロオロ

俺の目を真っすぐに見つめて、感情をぶつけるレイヴォネン少佐。

普段の彼女からは想像出来ない激しい姿にユーティライネンも困惑しているようだ。






754 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 04:02:48.32 ID:30m462ks0

エルマ「彼女はエースなんですよ!? そんな彼女が空を飛ぶことを禁止され、ハンガーの掃除を命じられるなんてあんまりです!
    それに、今回は彼女に責任はありません!! 彼女はいつもように離陸した、ただそれだけです!」

オイオイ…何を言っているんだ、この娘は……。

エルマ「それなのに彼女にこのような厳しい処分を下そうとするなんて…隊長の私が絶対に許しま――」

俺「ふざけんな!! 整備班長から、整備不良はなかったことをしっかりと確認したんだ!! 整備班には責任はない!
  そうなったら、ストライカーを操縦していたカタヤイネンが責任を負うしかないだろうが!!」

エルマ「何ですか、その言い草は!? ツイてないことすら彼女の責任だって言うんですか!?」

ニパ「ええっと…あの……二人ともケンカはやめて…。」オロオロ

エイラ「と、とにかく一旦冷静に……!」オロオロ






755 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/07/13(水) 04:04:00.88 ID:30m462ks0

俺「ああそうだよっ!! ここは軍隊なんだぞ!? 結果が全てなんだっ!」

エルマ「軍人とは言っても、女の子なんですよ!? しかもまだ15にも満たない少女なんです!! ちょっとくらい彼女の気持ちを考慮してあげてもいいじゃないですか!!」

俺「何を甘ったれたこと言ってるんだ!! 気持ちを尊重するのだって限度がある!! ここスオムスでストライカーユニットがどれだけ貴重か分かっているだろう!」

エルマ「ただ私が偉い人に頭を下げれば済む問題じゃないですか!!」

俺「そんn――」

教官「二人とも落ち着けっ!!」

俺・エルマ「!?」ビクッ

教官少佐の一喝で、あっという間に我に返った。

し、しまった…上官に対して口答えしてしまうなんて……

エルマ「………すいません…教官少佐…。」

レイヴォネン少佐も我を失って激怒してしまったことを悔いているようだ。

教官「どっちが正しいのかはまだ言えないけど、少なくとも今みたいに感情をぶつけ合っても埒が明かないっていうことくらいは分かるだろう?」

俺・エルマ「ハイ……。」

教官「だったらちゃんと落ち着いて話そうじゃないか、カタヤイネン軍曹の処分について…。」





232 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:05:29.63 ID:gyK1gyDi0

俺「…ハァ……。」

ニパ「溜息を吐きたいのは私の方だよ、俺さん……。」

俺「そう……だな…。」

カウハバ基地ハンガー。午後10時。

俺、カタヤイネン、レイヴォネン少佐は自分達以外に誰もいないハンガーで掃き掃除をしていた。

聞こえてくる音は、俺かカタヤイネンがこぼす愚痴のみ。

レイヴォネン少佐は黙々と作業をこなしている。

ストライカーを壊したカタヤイネンの処分は、1週間ハンガーの掃除係に就くというものになった。

俺とレイヴォネン少佐の意見の妥協案だ。

この処分の話し合いの間、俺とレイヴォネン少佐は一回も目を合わせなかった。

なんとかして妥協案を導きだしてくれたのは教官少佐。

あの人には迷惑かけちまったなぁ…。





234 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:12:14.07 ID:gyK1gyDi0

俺「………。」チラッ

俺はレイヴォネン少佐に視線を向けた。

エルマ「………」ザッザッ

レイヴォネン少佐は俺とカタヤイネンとは少し離れた所で黙々と掃除をしている。

この寒いスオムスの夜でも額に汗を光らせるほど一生懸命に。

これはアレだな。俺となるべく目を合わせたくないんだな。

俺「ハァ……。」

ああああああああやっちまったあああああああああ…………。

つい一昨日もエイラズボン盗難事件で印象が最悪になっていた矢先に、今回のこれ。

ああ終わった…これで何もかも終わった……。

相手は女の子だぞ…もっと他の言い方があったろうに……。

ニパ「俺さん…ゴメン……。」

俺「ん? どうした?」

俺のすぐ近くを箒で掃いていたカタヤイネンが沈んだ声で話しかけてきた。







237 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:18:24.80 ID:gyK1gyDi0

ニパ「私の不幸のせいで俺さんやエルマ隊長にハンガーの掃除なんてさせてしまって…。」

俺とレイヴォネン少佐は、カタヤイネンのストライカーユニットを全損させた監督責任として自らに、空いた時間はカタヤイネンといっしょにハンガーの掃除をするという罰を課した。

まぁ、中隊の隊長と教官なんだから、当然の処置だわな。

俺「正直、まだ戦いのたの字も知らない半人前ウィッチを一人前にするのに比べたら、掃除くらい屁でもないんだから、対して気に病むことじゃねぇよ。」

ニパ「ん~……それよりもむしろ…。」チラッ

エルマ「」ビクッ

カタヤイネンがレイヴォネン少佐に視線を向けるのにつられて、俺もレイヴォネン少佐に目を向けた。

エルマ「………。」オドオド

レイヴォネン少佐は一瞬俺達の方を見たが、俺が見つめていることに気付くとすぐにそっぽを向いてしまった。

ニパ「私のせいで俺さんとエルマ隊長が気まずくなっちゃった……。」

コラコラ…お前はそんなことまで気にしてるのか?

これは俺とレイヴォネン少佐………スマン、違うな。これは俺一人の問題だ。

ニパ「でも、俺さんはエルマ隊長のことが……!」

あらら…お前にまで気付かれていたのかよ……。

だから、気にすんなつってんだろ。望みなんて最初から……。





238 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:24:19.28 ID:gyK1gyDi0

俺「他人の心配してる暇があったら、ちったぁ自分の心配しろっての。」ポンナデナデ

ニパ「うぅ……。」

カタヤイネンの頭に手を乗せて、やさしく撫ででやる。

セクハラで訴えられかねない行為だけど、今にも泣き出しそうな顔をしているコイツがあんまりにも不憫だったから…

ニパ「私はこのままずっと不幸なままなのかなぁ…。」

カタヤイネンは視線を足元に向けて、ボソッと呟いた。

この娘は今までずっと悩んできたのだろう。

彼女の力では、努力ではどうすることも出来ない自分の欠点と向き合ってきたのだろう。

彼女はずっと求めてきたのだ。彼女の不幸を、人生における最大の敵をブッ飛ばしてくれる救世主を。

きっとその期待は俺にも向けられているのだろう。

それでも俺には、

俺「そうだな。お前はこれからの人生ずっとその不幸と戦い続けないといけない。」

嫌になる現実と、

俺「だからお前はその不幸を凌駕するくらいに強くなれ。」

聞き飽きたであろう意味のない助言を言ってやることしか出来ない。





239 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:30:15.60 ID:gyK1gyDi0

ニパ「………ッ!」

俯く彼女の目元に光る粒が見えた。

ああ、結局正しかったのはレイヴォネン少佐だったんだな…。

コイツのこんな姿を見て、もうお前は空を飛ぶな、なんていう言葉を言えるはずがない。

俺「カタヤイネン、頑張れ。」

ニパ「………。」

頑張れ、か。残酷な言葉だよな。この娘はすでに頑張っているのだから。

こんな言葉しか口にだせない俺は、なんて無力なのだろう。

俺に出来ることなんて……

俺「もっと面倒事を起こせ。もっと迷惑をかけろ。もっと仲間を危険に晒せ。もっと自分の身を危険に晒せ。そして、もっと強くなれ。

  周りのことなんて気にすんな。

  何があっても俺とレイヴォネン少佐でなんとかしてやるから。」

少しでも彼女が楽しく、心穏やかに努力が出来るようにしてやることだけだ。





241 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:36:55.63 ID:gyK1gyDi0

俺「俺達が面倒事を片付けてやる。迷惑をかけたら謝ってやる。お前やお前の仲間を守ってやる。

  だから、お前は安心して強くなれ。」

ニパ「でも、そしたら俺さんやエルマ隊長に迷惑を…」

ハァ……お前はなんにも分かっちゃいねぇな…。

俺「迷惑? ドンと来いだ。

  俺達にとってはな、お前達の世話をすることほど楽しいことはないんだよ。

  なぁ、レイヴォネン少佐!」

エルマ「は、ハイ! ジャンジャン迷惑をかけてください!」

いつのまにか近くに来ていたレイヴォネン少佐は、その小さな拳を力いっぱい握りしめてそう言った。

ニパ「…………。」

カタヤイネンは俺達をジーッと見つめたまま何も言わなかった。

そして、何事もなかったように掃除を再開した。

ニパ「………頑張ろう…。」ボソッ

そう小さく呟いてから。




242 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:42:19.65 ID:gyK1gyDi0

エルマ「ええと…俺曹長、本当にいいんですか?」

俺「はい。あとは俺がやっとくんでレイヴォネン少佐とカタヤイネンはもう休んでください。」

エルマ「でも……」

時刻は午後11時。良い子はもう寝る時間だな。

責任感の強いレイヴォネン少佐が、俺一人残していくのを心苦しく思う気持ちも分かるのだが…

ニパ「」スースー

俺によりかかって寝ているこの天使を部屋に連れていってもらわないといけない。

エルマ「フフフッ…かわいいですね。」

俺「うん…。」

今日は色々あったからな。疲れが溜まっていたんだろう。

ええと…一人で運べます?

エルマ「大丈夫です! これでもけっこう鍛えてるんですよ!」グッ

そう言ってレイヴォネン少佐は腕まくりをして細っこい腕を見せてきた。

そうですね……あなたに任せれば安心です。





244 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:48:13.74 ID:gyK1gyDi0

エルマ「よいしょっと。」ボスッ

ニパ「」スースー

エルマ「それじゃあ俺曹長、おやすみなさい。」

俺「はい、おやすみなさいレイヴォネン少佐。」

レイヴォネン少佐は背中にカタヤイネンを背負ってウィッチ宿舎に向かった。

さてと…とっとやっちまうか!

教官「ほほう…幼女を犯るというなら俺も協力しよう。」

俺「でぇぇ!?」

お、おう教官少佐か……。いつのまに……。

教官「犯るってそういうことだろ? 他に何があるんだ?」

そりゃあ掃除………

教官「………。」ニッ

教官少佐の手には箒。

ハルカ「教官さ~ん、こっちは終わりましたよ~。」

キラッキラした目で現れた迫水准尉の手にも箒。




245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 20:51:10.34 ID:Kbq2SE9a0

意味なく迫水を羽交い締めにしたい





247 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 20:54:11.73 ID:gyK1gyDi0

俺「えっと……教官少佐、迫水准尉…ありがとうございます……。」

教官「俺だって臨時とはいえこの隊の教官なんだ。俺にも責任はあるからな。」

ハルカ「私は…その……教官さんの恋人ですから…!///」

教官「うん。こんな遅くまでありがとうな、ハルカ。」ナデナデ

ハルカ「は、ハイ…!///」

ふむ…凸凹カップルかと思っていたが、けっこうお似合いなのかもな。

教官「それで? にっぱいの様子はどうなんだ?」

俺「そうですねぇ……ってにっぱいってなんスか?」

教官「や、だってあのオッパイだぞ? 名前に組み込んであげないと逆に失礼だろうが。ロリ巨乳最高!」

何言ってんだコイツ。

ハルカ「教官さん!? 私達はロリ巨乳は邪道だっていう意見で合意したじゃないですか!!」

教官「いや…実物を見るとこう…ギャップにムラムラ~っとしてな。」

ハルカ「ひどいです! ううぅ……私はこれだけしかないのに………。これじゃあ教官さんの理想の女の子になれないじゃないですか…。」

ギュッ






250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 20:57:26.77 ID:ppS0HrLF0

ハルカがレズじゃなくなってるんだよなぁ……(褒め言葉)
支援


251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 20:58:10.09 ID:Kbq2SE9a0

迫水はレズじゃない女の子が好きなだけだ(白目)





252 :熊はひばりに恋をした:2011/07/15(金) 21:00:09.81 ID:gyK1gyDi0

教官「そんなことないよ。巨乳もいいけど、俺はハルカのちっぱいが一番好きだ。」

ハルカ「教官さん……。///」

俺「お~い、イチャイチャするんならあっちでやってくださ~い。」ボキッ

あ、やべ。箒折っちゃった。

教官「そうだな、あっちでやろうか。ハルカ、今夜は寝かさないぞ♪」

ハルカ「そ、そんな…!///」

しっしっ! ここスオムスでは男女のバカップルは迫害される運命にあるのだよ。

誰か塩持って来い、塩!

教官「正直言うと、カタヤイネン軍曹のことはあんまり心配してないよ。アドバイスがあるとしたら、君だ。」

俺「俺ッスか?」

迫水准尉の肩を抱いて歩き出していた教官少佐が立ち止まって振り向きざまに話しかけてきた。

教官「うん。まぁ、大したアドバイスじゃないけどね。

   とりあえず、たまには自分に素直になってみるといい。さっきみたいにね。」

教官少佐はそう言うと、スタスタと出て行った。

自分に素直に、ねぇ……。




361 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:12:40.28 ID:h40jS4yU

俺「スオムス空軍第24戦隊L中隊、整列!!」

エルマ「今日は私達の初陣です。みんながんばろうね!」

そう今日は俺達の初陣だ。

カタヤイネンがストライカーを壊して2日後、カウハバ基地にネウロイの襲撃を知らせる警報が鳴り響いた。

ネウロイは二手に分かれており、片方はスオムス義勇独立飛行中隊、そしてもう片方は俺達L中隊が迎撃することになった。

義勇独立中隊の相手は、中型5体、小型10体。俺達の相手は大型が1体。

おそらく、中型小型が囮、俺達の方の大型が主戦力なんだろうな。

エイラ「大型か~…面倒ダナー。」

ラウラ「ハッセ、お前大型を相手したことあるか?」

ハンナ「多分なかったと思うよ。」

ウチのエース達は余裕みたいだな。まぁ、こいつらだってそれなりに戦闘に出ているんだから、当然か。

それで、

ニパ「大型か。けっこう久しぶりだな。」

なんでお前も混じってるんだ、カタヤイネン?





364 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:18:10.79 ID:h40jS4yU0

ニパ「大型相手だったら少しでも人数が多い方がいいでしょ、俺さん?」

ハァ……お前なぁ……。

カタヤイネンの傍らには新品のバッファローがあった。

エルマ「えっと…俺曹長……あの…その……。」

レイヴォネン少佐の目の下には大きな隈。睡眠時間を削って一体何をしていたのやら…。

ニパ「私も戦闘に参加した方がいいと思うのですが…どうですか、俺戦隊長?」

あのなぁ…お前の謹慎期間は1週間で、まだ2日しか経ってないんだぞ…?

いくらなんでも……

教官「………。」ニヤニヤ

何ニヤニヤしてやがるんですか、教官少佐? 尋常じゃなく腹立つんですけど…。

…………………。

ああもうっ! 分かったよ!! 素直になればいいんだろ!?

そうだよ! 俺だってカタヤイネンに戦わせてやりてぇよ!!

レイヴォネン少佐の頑張りに報いてやりてぇよ……。





365 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:24:12.13 ID:h40jS4yU0

俺「ハァ…………分かったよ…。戦闘への参加を許可してやる。

  ちゃんと反省してんだろうな?」

ニパ「いや、全然。」

………………。

まったく…………

ニパ「…………やるぞぉ…。」ボソッ

イイ顔しやがって。



俺「作戦はさっき言った通りだ! ユーティライネン、ウィンド、ニッシネンで敵の武装を破壊して突破口を開き、俺とカタヤイネンが敵に突っ込む!
  レイヴォネン少佐は後方支援をお願いします!」

エルマ「ハイッ!」

俺達の目の前にいるネウロイは、俺達が良く使う輸送機の形をしていた。この胴体部分が妙に太いタイプのヤツは以前見たことがあるな。

コアの位置はたしか…胴体の下側か。





367 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:30:09.76 ID:h40jS4yU0

俺「攻撃開始!!」

エイラ・ラウラ・ハンナ「了解!!」

俺の掛け声とともにエース三人がネウロイへと向かっていった。

俺「俺達も行くぞ。」

ニパ「ハイッ!」

三人から少し遅れて俺とカタヤイネンもネウロイへと向かう。

そのわずかな間に、ネウロイはその武装のほとんどを失っていた。

さすが。エースの名に恥じない活躍だな。

あと、残っているのは頭頂部の主砲だけか……。

俺「カタヤイネン、1,2,3で急降下しろ。そんで、ネウロイより低高度になったら、急上昇して腹部分のコアを撃て。」

ニパ「了解。」

急降下後すぐに方向転換して急上昇なんて、我ながら無茶苦茶な注文だ。

でも、コイツなら…スオムス空軍が誇るスーパーエース、ニッカ・エドワード・カタヤイネンならそれが出来る。それに耐えられる。

え? 機体に負担がかかるかもしれない? そんなもん知るか。これぐらいで壊れる機体がポンコツなだけだ。




368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/16(土) 01:30:50.82 ID:F9cOjwFj0

胴体の下……股間か





369 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:36:20.24 ID:h40jS4yU0

俺「いくぞ! 1!」

カタヤイネンが動く少し前にネウロイに近づく。

ネウロイはそれに気付いたようで、主砲に赤い光を集め始めた。

俺「2!」

ビィィィィィィィ

俺「3!」

ネウロイのビームが俺に向けて発射されるとほぼ同時にカタヤイネンは急降下を始めた。

シュピィィィィィィィ

シールドを張ってネウロイのビームを受け止める。

なんだ、お前。デカイ図体している割には大した攻撃できねぇんだな。

ニパ「フッ!」

急降下したカタヤイネンは見事な方向転換で急上昇し、ネウロイの陰に隠れてしまった。





372 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:42:07.92 ID:h40jS4yU0

ダダダダダダダダ

機関銃を一連射する音。

そして、

パリィィィィィィ

ネウロイは砕けて白い塵となった。

エルマ「やった!」

ラウラ「よしっ!」

ハンナ「うん、さすがニパだね。」

エイラ「~~~~~~~! にp――」

俺「カタヤイネェェェェェェェェェェェェン!!」ビュンッ

エイラ「ちょっ…なっ…俺!?」

ニパ「へっ!? 俺さん!? ってうわぁ!///」

俺「よくやったな、カタヤイネン!!」ギュッ

俺はカタヤイネンの方へ飛んでいって、力強く抱きしめた。

あ? セクハラ? ちげーよ。スキンシップだスキンシップ。





375 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:48:15.98 ID:h40jS4yU0

ニパ「ごめん、俺さん…またストライカー壊しちゃった……。」

よく見てみると、カタヤイネンのバッファローから煙が噴き出していた。

俺「そんなことどうでもいい! それよりももっと喜べ! お前は大型ネウロイを倒したんだぞ!!」

ニパ「そっか……私、大型を倒したんだ……。」

そうだぞ。お前はすげぇ。お前はすげぇよ。

あんな空戦軌道、真似する所か見たことすらねぇよ。

俺「エースってもんをまざまざと見せつけてくれやがって! コイツぅ…なんか悔しいぞこの野郎!!」ワシャワシャ

ニパ「お、俺さん! 痛い痛い!!」

エイラ「おお、俺が笑ってル。明日は吹雪ダナ~。」

俺「うるせぇ! お前もこっち来い!! いっしょにハグしてやる!!」

エイラ「おい、お前完全にキャラ変わってるゾ…。」





376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/16(土) 01:51:28.98 ID:WpQ/u2XY0

個人的にストライカー版バッファローのずんぐりした形が好きです支援です






377 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 01:54:13.78 ID:h40jS4yU0

うん…たまには素直になってみるもんだな。

俺「カタヤイネン、たしかにお前はツイてないのかもしれない。でも、ツイてないとしても、不幸だったとしても、お前は最高のエースだ。」

だって、


ニパ「うん。ありがとう、俺さん。」ニコッ


コイツの満面の笑みを見ることが出来たのだから。



その日の午後9時。俺は箒を持ってカウハバ基地のハンガーへやって来た。

箒を持っているのだから、当然目的はハンガーの掃除だ。

たしかに俺達L中隊は大きな功績を上げた。

でも、ストライカーユニットを一機壊してしまったのは事実。

他の隊員はもちろんのこと、カタヤイネンは今回の最大の功労者だ。責任を取らせるわけにはいかねぇ。





378 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 02:00:12.54 ID:h40jS4yU0

となると残るのは、

俺「こんばんは。」

俺と、

エルマ「こんばんは、俺曹長。」

レイヴヴォネン少佐だけだよな。

俺「レイヴォネン少佐。」

気まずくはない。

俺「ちゃっちゃと終わらせちゃいましょうか。」ニコッ

エルマ「はい!」ニコッ

すれ違ってばっかりの俺達にも共有出来るものがあるって分かったから。

エルマ「ニパさん、凄かったですねぇ。」

俺「はい。アイツにはスオムスを代表するエースになってほしいものです。」

エルマ「はい!」ニコッ





379 :熊はひばりに恋をした:2011/07/16(土) 02:01:04.80 ID:h40jS4yU0

次回予告

エイラ「毎度恒例のパロメータチェックの時間なんダナ。」

俺「あああ……現実を見せ付けないでくれぇ…。」

エイラ「エルマ先輩の好感度:20、信頼度:75ダナ。」

俺「よ、良かった! なんとか持ち堪えてる…。」

エイラ「ニパのことについてケンカになった時はどうなるかと思ったけどナ。」

俺「ああ、アレは危なかった…。もう終わったかと思ったぞ…。」

エイラ「ちなみに、教官さんの好感度:98、信頼度:79ダナ。」

俺「あああああああああああ……やっぱり着々と上がってんじゃねぇかああああああああ………。」

次回「熊はひばりに恋をした」第2話 大熊―ビョルン―

第3話へ続く

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最終更新:2011年08月09日 20:43
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