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最前線

― スオムス ―

俺の乗ったJu-52は、周りに木々などが一切生えていない殺風景な飛行場へと着陸した

機から降りると、一人の軍人が俺を出迎えてくれた

軍人「お待ちしていました、俺医師」

俺「どうも」

軍人「では、こちらのジーブで」

俺はジープに乗り込み、目的地へと案内された

― スオムス 最前線 ―

案内された場所は、当然スオムス最前線

周りに木々など生えているわけも無く、地面には無数の穴がいたる所にあった

唯一、まともなものといえば、司令部らしき鉄筋コンクリート造りの建物があった

部隊長「やぁ、お待ちしていました! 俺さん」

俺「どうも、部隊長さん」

部隊長「では、司令部へ」

お互い軽く握手を交わし、司令部内へと案内された

案内された部屋には、大き目の机がポツンと置いてあるだけだった

部隊長「では、ここスオムスの今の現状を話しておきます」

部隊長「最近、ネウロイの襲撃はないのですが…」

スオムスを拡大した地図が机に広げられ、ネウロイの侵攻について説明された

俺「ちょっと質問だけど、ステルス型ネウロイってどんなヤツなんだ?」

部隊長「えっとですね、ステルス型ネウロイは比較的小型で、従来型のネウロイと違って、防御力・攻撃力ともに低いんです。」

    「ですから、私たち男どもでも対抗できるんですよ」

俺「…ほう…そうなのか…」

部隊長「小銃ではどうにもならないんですけど…機関銃や速射砲で対抗ってとこですかね」

俺「なるほど…… あと…明日の作戦の事は知っているのか…?」

部隊長「ええ、いよいよ決着をつけるときが来ましたね…」

一通り現状について教えてもらった俺は、次に負傷兵のいる部屋へと案内された

俺「…酷いな…」

部隊長「ええ……」

部屋には、血の異様なにおいが漂い、苦痛の声がいたる所から聞こえてくる

部隊長「……医薬品も不足していますし……」

俺「………今まで…亡くなった人は…どれくらいだ…?」

部隊長「…ざっと…500……ですかね…」

俺「…500…? 大変失礼だが……意外と少ないんだな…」

部隊長「ええ…ステルス型ネウロイの攻撃を喰らっても、即死ってケースが殆ど無いんです。 だから、助かる方の確率が高いんですよ」

俺「…じゃあ……亡くなった人は…大量出血による失血死ってとこか…」

部隊長「はい…」

俺「……では…今から治療を始める…」

部隊長「お願いします」




俺「…よし…」

最後の負傷兵を治療し終えた俺は、汗を拭った

部隊長「…さすがですね」

俺「…べつに…大したことじゃないさ…」

部隊長「俺さん、移動もあったことですから、お疲れでしょう。 お休みになったらどうですか? 個室を用意しています」

個室に案内されようとしたのだが、俺は個室で休むことを断った

俺「軍人でもない俺が…贅沢に個室で休むわけにはいかないさ……だから、普通の兵と同じ塹壕で休むよ」

部隊長「…いいんですか…?」

俺「ああ、別に構わない」

部隊長「…わかりました」

俺は一旦、司令部を後にして塹壕へと向かった




俺「……よいしょっと…」

俺は、兵士がいる塹壕へと静かに滑り込んだ

すると、隣に居た若い兵士が声を掛けてきた

新兵「あ、あの……もしかして、俺医師…ですか…?」

俺「ん? ああ、そうだよ」

新兵「よ、よかった~! 来てくれて良かった~!!」

俺の名前がでると、周りの兵士たちも詰め掛けてきた

「やっと来てくれたか~!!」

「おお~! 俺医師が来てくれたから、もう安心だ!」

「これで、安心して戦えるな!」

俺「ははは…どうも」

俺は胸ポケットから煙草を一本取り出して、火を付けた

新兵「ん? 俺さん、写真落ちましたよ」

俺「おっと…ありがとな」

煙草を取り出す際に落ちてしまった写真を、ひょいと拾って俺に渡そうとする新兵

だが、突然動きが止まり、俯いてしまった

俺「ん? ど、どうした?」

新兵「……なんで……なんで……なんで、501のエーリカ・ハルトマン中尉とツーショーットで写ってるんですかぁぁぁぁぁっ!?」

   「しかも、こんなに密着して!!!!」


「「「「「 なにぃぃぃぃぃぃぃっ!?!?!? 」」」」」

俺「…えっと…」

新兵「みんな! この写真、見てみろぉぉっ!!」

そして、写真が兵士たちへと回された

「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!! こんなの…こんなの認めないぞぉぉぉぉっ!!」

「み…密着しすぎだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ハルトマン中尉めっちゃ可愛いやん!! やべぇぇぇっ!!」

「なんで…なんで……」

「…ははは……これは…合成写真に違いない…うん…きっと、そうだ……」

新兵「…俺さん…これ…どういう事ですか…」

俺「ええっとだな…その…」

言いづらい…

こんな反応をする兵士の前で、『実は俺、エーリカと結婚する約束をしたんだ』 なんて言ったら、確実に殺される!!

どうにかして誤魔化そう… うん…これが一番……

俺「…ちょ、ちょっと…仲が良いだけ…だぞ…」

新兵「……ほぅ……ちょっと…仲が良いだけで……普通、こんなに密着しますかね?」

俺「うっ……それは……」

ちょっと無理があるか……

その時、ある一人の兵士が悲鳴に似た声を揚げた

「いえ゛ぇぇぇぇぇっ! しゃ……写真の…裏を見てみろ……うぅっ……」

「お、おい!? いきなり倒れて、大丈夫か!?」

「いいから…見てみろ……くっ…」

「なになに……『愛するエーリカとロマーニャ写真館にて』………」

「…………」

俺「……やべっ」

危機を予知した俺は、咄嗟に塹壕から逃げようとした

だが……

「「「「「「 逃げるなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 」」」」」」

俺「うわぁぁぁっ!?」

俺は、猛獣の巣窟へと引きずり込まれた

「どういう事だよぉっ!? "愛する"ってどういう事だぁぁぁぁっ!?!?」

「説明しやがれぇぇぇぇっ!!」

「い゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇっ! 男の敵めぇぇぇぇぇっ!!」

俺「ええっと……」

新兵「……説明しろ……さもないと……」

周りにいる兵士は鬼の形相で、俺に銃口を向けた

俺「ひっ!? わ、わかった! 話すから!! じゅ、銃口を向けるなっ!!」

俺は脅しの領域を超えた脅しに屈して、正直にエーリカとの関係を話した

俺「…って…感じです……」

男たちの圧力で、思わず敬語になってしまった


「ごるうぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! コイツを殺して、俺も死ぬぅぅぅぅぅぅっ!!」

「お、落ち着けっ!!」

新兵「……ははは……おれ…ネウロイと戦うの止めるよ……そのかわり……俺医師と全面戦争じゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

「「「「「 おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!! 」」」」」

俺「え!? え!?  俺なんかとより…ネウロイと戦ったほうが……」

新兵「覚悟ぉぉぉぉぉぉっ!!」

「「「「「「 うおぉぉぉぉっ!! くたばりやがれぇぇぇぇぇっ!!」

俺「い、いやぁぁぁぁぁぁっ!!」

こうして、俺のスオムス着任初日が過ぎていった

痛ててて…ちくしょう…


続く

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最終更新:2011年07月29日 16:19
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