流星Ⅲ 5
278 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:08:04.14 ID:F9YL5wso
避難所 >>252から
………
……
…
キャサリン「やったー! 」
智子「喜んでる暇はないわ! さっさと離脱するわよ!」
ウルスラの放ったロケット弾は見事に射出口に入り、大爆発を起こした。
黒煙で見えないが、確かに効いたはずだ。
5人は全員ばらばらになって離脱する。
と、エルマは自分の目に写った光景を疑った。
エルマ「ビューリングさん! リュウセイさん!!」
その瞳に写っていたのは――
279 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:11:06.61 ID:F9YL5wso
………
……
…
銃弾がわたしの体を襲った――はずだった。
その光弾はわたしの前に突如現れた影に吸い込まれていく。
その姿は紛れもなく――
ビューリング「おい、やめろ!」
俺「――いやだね」
わたしが撃たれ、誰かがかばう。
この光景を見るのは二度目だった。
ビューリング「やめろ! オマエまで、オマエまで!!」
銃弾はとどまることを知らず、次々とリュウセイの体に吸い込まれていく。
さっきまで貼ってあったシールドも破壊され、生身の体に赤い雨が降っている。
またか。またわたしは――
わたしたちはフラフラと飛行しながら、なんとか射撃圏外まで離脱した。
280 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:14:17.24 ID:F9YL5wso
ビューリング「おい、しっかりしろ!」
俺「――今なら、わかる、姉さんの気持ち」
彼の表情は、
ビューリング「え?」
俺「大切な人を、守りたかったって気持ち――」
優しい物だった。
その言葉を言い終わるや否や、ガクンと体全体が下に引っ張られる。
エルマ「くっ!」
推進力がなくなった私たちをエルマとウルスラが支えた。
ビューリング「おい、冗談だろ‥‥?」
俺「――」
腕の中の彼は何も答えなかった。
281 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:17:28.96 ID:F9YL5wso
ビューリング「リュウセイ! おい! ‥‥おい」
赤を流すように雨が降り出していた。
エルマ「と、とにかく俺さんを安全なところへ――」
ビューリング「‥‥うあああぁあああああ!!」
私は激昂していた。
気づくとスーパーフォートレスに向かって突進していた。
エルマ「ビューリングさん!! ‥‥えっ? なに?」
エルマは光り輝いていた。否、エルマの胸のあたりが光り輝いていた。
そして――
282 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:20:16.18 ID:F9YL5wso
………
……
…
私は何も見えていなかった。
目の前で仲間が死ぬのはもう見たくなかったのに。
バカが。
残っていた小ラロスが私に向かって飛んできている。
そいつの放つ光弾を最小限の動きでかわすと、トリガーを一瞬だけ引いた。
小ラロスは翼をもがれ落ちて行く。私はその横を凄まじいスピードで通りすぎて行った。
フォートレスの射程圏に入ったようで、大量の光弾が私に飛んできた。
通信機からは誰かの叫び声が聞こえていたが、何を言っているのかは理解できなかった。
私はスピードを緩めなかった。こちらの弾が届く範囲まで出力を落とすことはない。
283 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:23:11.94 ID:F9YL5wso
………
……
…
キャサリン「す、すごい‥‥」
ハルカ「あんな数の弾をあのスピードで全部避けてるなんて‥‥」
智子「無茶して‥‥あんなの落とされに行ってるようなものじゃない!」
遠くから呆然と観ている三人。何回かビューリングに通信を試みたが、聞こえないらしい。
智子「とにかく少しでもビューリングに弾が集中しないようにするわ!」
ハルカ「わ、わかりました!」
キャサリン「シールドも、もう持つかわからないけど‥‥
せっかく命がけで助けた命を無駄に死なせたくはないねー!」
智子「そうよ、勝手に死なれてたまるもんですか!」
絶叫しながら、三人もフォートレスへと向かっていった。
285 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:26:24.96 ID:F9YL5wso
………
……
…
私は射程圏へ入るとすぐさま向きを真横に変え、トリガーを引いた。
20mmの銃弾さえも簡単に弾くフォートレスの装甲。だが私はトリガーの指を離さない。
やがてひとつの銃弾が筒の中へ命中した。小規模な爆発が起こり、そこからはもう光弾が飛んでこなくなった。
‥‥これを狙うしかない。
わずかばかりの動きで光弾を避け続ける。
その間にも一個一個確実に砲台を潰して行った。
だがこれでは埒があかない。どこかに、どこかに弱点はないのか。
と、耳から声が聞こえた。
ミカ「聞こえますかみなさん!」
その声は第一中隊隊長のミカ・アホネンの声だった。
ミカ「ネウロイの頭首のような部分に赤い宝石のようなものを見つけましたの!
多分そこが弱点ではないかと思いますわ! でも機銃が激しくて近づけない!
援護を!」
その声を聞くや否や、私はフォートレスの前方へと飛んでいった。
286 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[] 投稿日:2010/12/06(月) 22:28:18.94 ID:WR2coi20
ネタ思いついて書こうとおもったとたんにこれだよ!
……と言っても埋め用の2~3レス程度の小ネタだけどさ。
熱い展開支援。
287 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:29:38.38 ID:F9YL5wso
遠くの空が明るくなってきている。雨はいつの間にか止んでいた。
私はその光へ向かって飛び、背を向けた。
目の前からはスーパーフォートレスがゆっくりとした速度で向かってきている。
一瞬だけ赤い宝石のようなものが見えたが、再生能力でもあるのだろうか。
見る見るうちに黒で覆われて行った。
私はそこへめがけ突進していた。
智子「無茶よ! 正面からなんて!!」
音が聞こえたが意味はわからない。
私は一組の姉弟を殺した。ならば私はその敵を討ち、死のう。
届かないと分かっていても私の指はトリガーを握っていた。
正面からは光弾の嵐が迫る。
288 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:32:22.66 ID:F9YL5wso
シールドを使い強引に近づく。そのシールドも破れ、銃弾が私の体を襲い始める。
だが私はひるまない。全速力のまま銃をぶっぱなしている。
こちらの弾が装甲を剥がし始め赤い宝石が見える。
と、同時にこちらの銃からも弾が消えた。
わたしは用済みになった銃を捨てると、腰に付けていたナイフを引き抜いた。
冷たい。そのナイフは氷で出来ていた。
ナイフを前に構え、出力を全開にする。気のせいか、スピードがいつもより出ている気がする。
後ろで爆発音が聞こえた。
ストライカーに光弾があたってしまったらしい。黒煙をあげながら、ストライカーの推進力が落ちていく。
私はとっさにストライカーの緊急脱出トリガーを引いた。
エンジンが止まり、わたしの足からストライカーが外れる。
だが私は止まらない、そのままの速度でスーパーフォートレスの頭へ飛んでいく。
私は、流れ星になった。
ビューリング「うおおぉぉぁぁあああ!!」
赤い宝石へ青い宝石が突き立った。
瞬間、わたしの視界は白で塗りつぶされた。
289 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:35:11.57 ID:F9YL5wso
………
……
…
私は死んだのか?
ストライカーもないまま空中に放り出されたんだ。死なないということはないだろう。
温かい。誰かが私を抱きかかえていた。目を開ける。
「よう、生きてるか?」
その顔は、その声は、
私を守った騎士の声だった。
ビューリング「おまえ、どうして‥‥」
俺「何だ知らないのか」
ビューリング「‥‥どういう」
俺「この隊にはなんでも出来てしまう魔法使いがいてな」
そのセリフは、いつか私が発したセリフだった。
俺「そうだなー。たぶん、奇跡が起こったんじゃないかな」
ビューリング「奇跡って‥‥」
リュウセイ
俺「誰かが願ったんだろ。『生きててほしい』って。だから "俺" が願いを叶えたんだ」
290 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:38:37.23 ID:F9YL5wso
ビューリング「そんなの‥‥信じられるわけ無いだろ」
私の声は震えていた。
俺「ま、そんなのどうでもいいだろ? 」
ビューリング「‥‥」
俺「そうだな‥‥誰かの言葉をかりるなら」
ただただ、嬉しかった。
俺「俺がいなくなったら、誰がおまえのタバコに火をつければいいんだ?」
ビューリング「‥‥ああ、そうだな」
私は顔を上げる。
ビューリング「オマエはわたしの、わたしだけのものだ」
頬に、一筋の線が流れた。
291 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:41:16.59 ID:F9YL5wso
5人は遠く離れた地点から二人を見ていた。
キャサリン「一日で心臓が二つも潰れたね―」
ハルカ「もうこりごりですよー」
智子「ほんと、勝手に死にに行こうとするんだもん。困っちゃうわ」
エルマ「でも、なんとか7人全員生きてますね」
ウルスラ「作戦、完了」
キャサリン「あの二人もミッションコンプリートね!」
智子「だといいけどね」
肩をすくめ、ため息を吐く智子。それにつられるように全員が笑う。
エルマ「あ! あの二人顔を近づけて――キャー!///」
キャサリン「あの二人も人の目気にしないねー」
ハルカ「智子さん私たちも! んー!」
智子「あんたは最後までその調子か!!」
吹き飛ばされるハルカの顔は笑顔だった。
292 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/06(月) 22:43:21.95 ID:lu8U50.0
イイハナシダナ
293 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:44:25.56 ID:F9YL5wso
………
……
…
俺「本当に気づいてなかったのか?」
俺は腕の中の彼女に問いかける。
ビューリング「当たり前だ。姉弟揃って私のトラウマを増やしてくれたと思っていたぞ」
俺「なんであのナイフが消えてないんだとか思わなかったのか?」
ビューリング「‥‥まさか」
俺「俺の魔法の効果が切れてなかったんだよ。俺が死んでたら魔力の供給も無くなって消えるはずさ」
ビューリング「‥‥つくづくお伽話だな」
俺「まあな。お前のためにつくってやった魔法だぜ?」
ビューリング「殺すためか」
俺「生かすためだ」
そこで一旦会話が途切れる。
294 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:47:14.91 ID:F9YL5wso
ビューリング「それより‥‥」
俺「なんだ」
ビューリング「どうしてもこの運び方じゃないとダメか」
俺「‥‥恥ずかしいのか?」
ビューリング「‥‥少しな」
そんな彼女がおかしくて軽く笑う。
俺「まあ、オマエにお姫様は似合わないよな」
ビューリング「悪かったな。これでもエリザベスなんだが」
俺「そうスネるなよ」
ビューリング「スネてなどいない」
俺「じゃあ照れか?」
ビューリング「‥‥勝手にしろ」
そういうと彼女はその赤くなった顔をぷいと向こうを向いてしまった。
その顔の先には、朝日を浴びた綺麗な七色の虹がかかっていた。
295 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:50:13.89 ID:F9YL5wso
………
……
…
スオムス、カウハバ基地。年も開けてふた月は過ぎたという頃。
長めの銀髪をなびかせ、彼女は煙を吐いた。
俺「どんなユニットが来るんだろうな」
ビューリング「さあな。一線級のユニットが来ることを祈るよ」
タバコをふかしながら答える彼女。
今日は補充機の到着日。だというのに飛行場にいるのは俺とビューリングだけだった。
俺「母国のユニットってのはやっぱり嬉しいのか」
ビューリング「嬉しくない。と言ったら嘘になるだろうな」
俺「そんなもんかね」
ビューリング「そうだな‥‥オマエだって母国の補充兵が来たら嬉しいんじゃないか?」
俺「全く嬉しくないね。あんな前例がいるし」
ビューリング「ハハッ、そうだったな」
彼女は笑う。
296 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:53:16.31 ID:F9YL5wso
ビューリング「‥‥おまえは」
俺「ん?」
ビューリング「わたしと居て楽しいか?」
俺「なんだよ急に」
ビューリング「‥‥いや、なんでもない」
すこし声のトーンが落ちたような気がする。
俺「‥‥楽しいから一緒にいるわけじゃない」
ビューリング「じゃあなんでわたしの隣にいるんだ?」
俺「俺はお前の物、なんだろ」
彼女は鼻で笑う。
ビューリング「そうだな」
297 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:56:06.96 ID:F9YL5wso
あれから数日が過ぎていた。
復讐心は消え、代わりにどうしても守らなければならない物が増えた。
守るべきものが増え、守ってくれる人が増えた。
姉さん、俺は幸せものです。
あなたがその生命をかけて守った人と、一緒に歩いていきます。
どうか、どうか見守っていてください。
俺達の歩む道を。俺達の翔ぶ空を。俺達の染めていく色を。
ビューリング「行こう」
俺「ああ、一緒にな」
空を見上げると飛行船が降りてくるのが見える。
季節は3月。スオムスはまだまだ寒い。
俺達は、新しい翼に向けて歩き出した。
-流れ星-
終わり
299 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/06(月) 23:00:10.99 ID:lu8U50.0
乙!綺麗に終わらせるのって凄いなぁ…。良い話だった。
301 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/06(月) 23:00:39.32 ID:C71UrgAO
乙
303 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[] 投稿日:2010/12/06(月) 23:06:03.51 ID:jh/l47M0
おつ~
楽しかったぞ!
298 名前:流星[saga] 投稿日:2010/12/06(月) 22:59:20.05 ID:F9YL5wso
本編終了 ここからはおまけ!
最終更新:2010年12月07日 00:24