7・俺「ストライクウィッチーズ?」>>128-141,552-574
第4話『モゾモゾするの』
~501戦隊基地 格納庫~
「オーライ、オーライ、ストーーップ!」
「クレーンを固定しろ。接続時の放電に注意。」
格納庫の一部に設けられた士翼号の整備スペースでは、
整備班たちが士翼号に新装備をつけるために忙しく作業している。
「しかし、使い物になるのかねぇコレ。」
仕様書を片手に俺が整備兵に問う。
「理論上では可能と判断されています。」
整備兵は端的に返答する。
作業の方は順調のようで士翼号の左腕は従来のものと 違い、
複雑な紋様が入ったものに置き換わっていた。
「いやそれは分かるんだけどな、
怪力線発射システム、コード名は『精霊手(しょうろうしゅ)』ねぇ。
『ネウロイのビームを参考にし、
魔導ダイナモで発生させた魔法力を掘り込まれた魔道式に入力。
すると魔法力が圧縮され、高圧縮された魔法力は魔法で展開された
専用の銃身によって指向性を与えられ発射される。』
研究所で作ってるって聞いてはいたけどまさか完成するとはな・・・・・・」
「海軍のほうで開発されていた『例のシステム』がまもなく戦艦・大和とともに
このロマーニャにやってきていますからね。」
「上も焦っているということか?それで事故って怪我したり死ぬのは私なんだけどな。」
俺はうんざりした顔でため息をついた。
扶桑の陸軍と海軍は、規格を共通化したり、装備の貸し借りをするなど
そこまで仲が悪いわけではないが、こと開発分野になると意地を張り合うのだ。
そしてそのとばっちりを食うのはいつも前線の一般兵士といった具合だ。
「だれか私に癒しをくれないかなぁ。」
俺の言葉に整備兵がわらって答える。
「なにをいってるんですか、いつもあんな美少女たちに囲まれているくせに、
まあ癒しがほしいんでしたら風呂でも行って来たらどうです?」
「風呂?」
「ええ、施設科連中が頑張ったそうでして、なかなかいい風呂だそうですよ。
ただ、使えるのは夕方からになりますがね。」
「ふ~ん風呂か、扶桑からこっちに来てから入ってなかったな、楽しみだ。
ところでなんで夕方からなんだ?」
整備兵が苦笑して答える。
「資材が少なかったから風呂はひとつしか作れなかったんだそうです。
だから男女共用で、いまの時間はウィッチのみなさんがいるころですよ。」
~501戦隊基地 脱衣所~
「ああ~、きもちよかった~」
風呂上りで肌を上気させて芳佳、リーネ、ルッキーニ、エイラ、ペリーヌが浴場からもどってきた。
それぞれがさきほど脱いだ着衣をふたたびまとっていく。
リーネがズボンを履こうとしたそのときだった。
「? !? いやあああぁぁぁ!!!!」
悲鳴をあげてズボンをさげるリーネ。形のよい尻が丸出しになる。
「ど、どうしたの?」
芳佳が驚いて声をかける。リーネは真っ赤になって目に涙を浮かべた。
「ズ、ズボンのなかになにかいるの!」
するとリーネのズボンから小さななにかが飛び出した。
「虫?」
それはキラキラと輝く虫のようなものだった。
「なんておぞましい……!」
ペリーヌが戦慄する。
「ん?ナンだよ。虫くらいデ騒ぐ……イィッ!」
虫がこんどはエイラのズボンに入り込む。
そうやって騒いでいると、遅れてきた美緒が脱衣所の暖簾をくぐってはいってきた。
「久しぶりに風呂に肩までつかると・・・・・・なにをしてるんだお前達?」
美緒の視線のさきでは芳佳に羽交い絞めにされ、ルッキーニにズボンを降ろされた
ペリーヌがいた。
「少…佐? !! いやああああぁぁぁぁ!!!!!!!」
悲鳴をあげるペリーヌいままでで一番大きな声だ。
ふたたび虫は飛び出し、脱衣所の電線に細工を施し停電を引き起こすと
何処かへと飛び去っていった。
~501戦隊基地 格納庫~
今日の通常業務も片付き、静まり返った格納庫では俺が士翼号の微調整をしていた。
「神経接続はこれでよし。照準装置は反応速度をプラス2に修正してっと」
格納庫にリーネが入ってくる。
何かを探しているのかきょろきょろとあたりを見渡したあと、俺の方に駆け寄ってきた。
「俺さんこれくらいの大きさの虫、見ませんでした?」
「虫?いや見てないけどその虫がどうかしたのか?」
顔がすこし赤くなるリーネ
「へっ?い、いえ、そう!その虫が基地中の電気を停電させてるんです。
みんなで手分けして探してるんですけど。」
俺は腕を顔に当てて唸る。
じつはこの時、虫は俺の左腕にくっついていたのだ。
虫はプロテクターの隙間を探すとなかにもぐりこんだ。
「う~ん。そんなヤツはみてないなぁ・・・分かった、私も探すのに協力・・・グ!?」
「俺さん?」
急に黙り込んだ俺を心配するリーネ。
するといきなり俺がリーネに抱きついてその小さな口にキスをする。
「!? 〇▲÷※×@*!?」
いきなりのことに頭が真っ白になるリーネ。反対に顔は真っ赤だ。
そんなことおかまいなしに俺が話しかける。
「まえまえから思ってたんだけどさぁ、
リーネってかわいいよね、食べちゃいたいくらい。」
「お、おれさん……」
何か口にしようとして言葉にならないリーネ。俺は彼女の髪に顔を埋めて息を吸い込んだ。
「ん、風呂に入ってきたのかい?甘くていいにおいだ、シャンプーの香りかな?」
そういって俺はまたリーネの口を塞ぐ。今度は俺の舌がリーネの口の中に入ってきた。
「ん、んぅ!ん、はぁ、ふぅ、んん!」
もうなにがなんだかわからないリーネ。
そのうち彼女の目はトロンとしてきて肌が上気してピンク色になる。
「ん、んちゅ、くぅん、んちゅ、あはぁ//」
声には喜色が混じりだし、足の力がぬけて俺にもたれかかる。
その姿に俺は満足するとようやく口を離す。
ふたりの舌の間に銀の橋がかかって消えた。
「ふふ、気持ちよかったリーネ?つづきはベットでシテあげる。俺の部屋にいこう?」
何も考えられなくなったリーネは俺の言葉に頷こうとした。
その時、
「リーネちゃ~ん、虫いた~?」
芳佳が格納庫に入ってきた。
リーネは瞬間的に理性を取り戻すと俺を突き飛ばした。その場に座り込むリーネ。
芳佳が心配して尋ねる。
「リーネちゃん?どうしたの?」
「な、なんでもないよ、芳佳ちゃん!」
体が火照って息も荒く、なんでもないようには見えなかったが、
他のものに気をとられた芳佳は気づかなかったようだ。
「お、俺さん!大丈夫ですか!?」
「お~、なんとか生きてるよ~」
崩れた整備機材の山の中から俺の声がした。
俺はリーネに突き飛ばされたあと、壁まで吹き飛び、
工具の山に埋もれたのだった。
「ご、ごめんなさい俺さん!」
「へ?リーネちゃんがやったのこれ?」
俺がようやく山から脱出する。
「いてて、あ~たんこぶできてる。なにがあったんだ?」
「え?俺さん、覚えてないんですか?」
リーネが問いかける。首を傾げる俺。
「は?何かしたのか、私。」
その答えにリーネの目から光が消えた。俯いたその顔からは表情が見えない。
「さっきまでリーネと話してたのは覚えてるんだけど
そこから先の記憶が・・・・・・あ、あのリーネさん?
そのボーイズライフルはどこから取り出したのかな;;」
愛用のボーイズ対戦車ライフルを俺の顔に突きつけるリーネ。弾丸は装填済のようだ。
「あなたには、ここで果てていただきます。理由はおわかりですね?」
とても冷たい声で死刑宣告をするリーネ。
「え、理由?いやそれよりその銃をおろして!」
パニックになる俺。リーネの指が引き金を絞った。
「俺さんの、ばかあああああぁぁぁぁ!!!」
ダアアアアアァァァァンンン
銃声が基地中に木霊した。
~501戦隊基地 サロン~
虫の行方を見失ったみんなは対策を話し合うためサロンに集合した。
「ト、トにかくサーニャがネウロイの気配ヲ感じたんダ。」
頭にたんこぶをこさえたエイラが言う。
「まだはっきりしないけど、基地の上空と、それから建物のなか。」
サーニャが補則する。その顔にはうっすらと朱が入り、とても不機嫌そうだ。
「もしかして、あの虫がネウロイか!?・・・・・・・ところで俺は大丈夫か?」
ゲルトが俺を見て言う。俺はおでこにアザをつくっており、芳佳に治療してもらっている。
「ご、ごめんなさい。私、気が動転してるからって、あんなことするなんて……」
いちおうこの程度で済んでいるのは、俺の体が強化されているのと、
リーネが撃った弾は訓練用のペイント弾だったからだ
「いや、気にしなくていいよ。幸い軽傷だしね。
それにしてもネウロイですか、
私の記憶が飛んでるのもそいつのせいかもしれません。」
「どういうことだ、俺?」
美緒が尋ねる。
「私は士翼号をこの腕のコアと同調させて動かしているんですが、
おそらくネウロイに同じことをされたんでしょう。
私のコアをハッキングしたんです。これは私の中枢神経に繋がっていますからね。」
そういって腕の調子を確かめる俺。
「なるほど、いまは大丈夫なのか?もし操られて敵に回ったりしたら……」
俺は美緒の疑問に答える。
「それは問題ありません。そういうことは想定されていて、
危険行動をとることはできないように精神手術も一緒に行ってありますから。
のっとられるといってもせいぜい俺が無意識に思っていることを暴露したり、
行動させられたりする程度だと聞いています。
……ねぇリーネ、本当に私がなにをしたのか教えてくれないか?」
リーネは俺の問いに手をばたつかせながらこたえる。
「い、いえ大したことはされてませんから。……それに、いやじゃなかったし……」
「?」
だんだんと声が小さくなって後半のほうが聞こえなかったが、
とりあえず俺は納得することにした。
「まあ、そのことはとりあえず置いておくとしよう。
サーニャ、エイラ、ふたりは協力して基地内のネウロイを探してくれ。」
『了解』
「バルクホルンとハルトマンは上空の迎撃準備
リーネはペリーヌたちと合流しろ。
俺と宮藤は私について来い。」
~501戦隊基地 屋上~
「見つけた!」
美緒が魔眼をつかって上空のネウロイを補足する。そこに俺と芳佳が合流する。
「坂本さん!ミーナ隊長が部屋にいません!」
芳佳が報告する。階段を走って登ったため息が上がってる。
「それと基地の電気系統の被害は甚大です。メインブレーカーがやられていました。」
俺は芳佳の背中をさすってやりながら続けた。
「そうか……宮藤、すまんが格納庫のバルクホルンとハルトマンに伝令をたのむ。」
「はぁっ、は、はい!」
美緒から伝言を聞くと芳佳はまたきた道を戻っていった。
「上空のネウロイはどうなってます?」
その姿を見送ったあと俺が尋ねる。
「形自体は、先日フィレンツェに現れた自爆型に似ているが馬鹿みたいに大きい。
あれが基地に体当たりをかけてきたらひとたまりもないな。」
そういって美緒は再度空を見上げる。
件のネウロイは先ほどよりもさらに大きくなっているようだった。
「大質量による体当たりですか。存在そのものが爆弾のようですね。
どうします?いざとなったら士翼号で受け止めますか?」
美緒が答える。
「いや、あの大きさだ。いくらシールドを張った士翼号でも無理だろう。
あれはバルクホルンとハルトマンに任せるしかない。
それよりかはコアを見つけることにしよう。おそらく基地の中のやつが本体だ。」
同意する俺。すると芳佳が帰ってきた。
「バルクホルンさんとハルトマンさん、迎撃に上がりました!」
「よし、行くぞ、ふたりともこっちだ。」
ネウロイの本体を探しに3人は基地の中へと戻っていった。
~501戦隊基地 脱衣所~
「ふう、美緒の言ったとおり、疲れが取れた気がするわ~」
風呂を堪能したミーナが浴場から帰ってきた。
たまりにたまった疲れを癒したことで幸せそうである。
「それにしても、基地の電気系統の工事はまだ終わってないのかしら?」
風呂に来る間もそうだったが、脱衣所の照明は停電しておりあたりは薄暗かった。
ミーナが思案しているとどかどかと大勢が走り回る音と声が聞こえた。
「ここに入っテいったゾ!」
「こんどこそ捕まえて退治してやりますわ!」
「ちょっとちょっと、あたしの虫だかんね~!」
かなり騒がしい。注意してやらなくてはと思いながらズボンを履くミーナ。
するとお尻に違和感を感じた。
『そこだ(な、ダナ、だ、ですわ)!!』
美緒たちが脱衣所に踏み込んでくるなりそういった。
「ちょ、ちょっと芳佳ここはまずいって。」
「なにいってるんですか俺さん。早く行かないとおいてっちゃいますよ!」
芳佳に手を引かれながら、俺も脱衣所に足を踏み入れた。
「な、なんなの?」
突然のことにミーナはわけが分からない。
「逃がしませんわ!!」
いうが早いかペリーヌが飛び掛り、ミーナのズボンをずり下げる。
「ビューティフォー……」
「わわ、俺さん!見ちゃダメです!!」
俺はちょうど暖簾をくぐり、見えてきた光景に思わず称賛の声をあげる。
リーネがあわてて俺の視界を手で塞いだ。
「!?!!い、いやぁああああ!!」
絶叫と共にミーナズボンを食い込まんばかりに引き上げ、形のよいお尻が引き締まる。
それと同時に何かをすり潰した感触があった。
「ネウロイの反応、消失?」
サーニャの耳がしまわれる。
「さすがだな、ミーナ。」
「うぇ~~ん、あたしの虫がお尻に潰された~~」
みんなが口々に称賛する。(約一名大泣き)
まだ事態を把握できていないミーナは恥ずかしさから、
「もう、いったいなんなのよぉ~~~」
と弱弱しく叫んだ。
数日後、ミーナ・ヴィルケ中佐は200機撃墜を称えられ、勲章を授与された。
「つづく、くすん」
♪ ひとりじゃ泣きそうな 広い空でも
逃げないよ まっすぐ立ち向かう
仲間と一緒に Over Sky ♪
次回予告
訓練に戦闘にと日々をすごしていく501
そんなある日、突然芳佳は空を飛べなくなってしまった。
もう自分は飛べないのか、もう誰も守れないのか。
絶望する芳佳の耳にあの歌が聞こえる。
次回 ストライクウィッチーズ2~魔女と鋼鉄の巨人~
第5話 『マーチを歌おう』
全軍突撃!どこかの誰かの未来のために!!
最終更新:2010年10月16日 15:12