いつでも朝だけはやってくる。とても素敵なことなんだろうが、今の俺にとっちゃはた迷惑でしかない。
親父が発する鶴の一言で転校、編入。しかも、常識が通じない学園へ。俺の・・・俺の人生はどうなるんだ・・・。
昨日と変わらない桜が降り注ぐ並木道。鮮やかな桃色が目の前を染め上げる。
横を歩くみんなは今日の授業の話をしたり、武器の自慢をしたりしながら歩いている。俺だけ、一人でとぼとぼと歩いている。
「よーっす!」
いきなり後ろから、元気のよい声とともに肩を叩かれた。
「新規おっはー!」
「おはよう、えぷ丸」
肩を叩いてきたのは小学生くらいのちっちゃい色黒の男の子。まあ俺と同い年なわけだが。
「元気ないなー、俺が杖で空中に『黄天当立』って出して景気づけようか?」
「いやいや、いいよいいよ!俺元気だよ、うん!」
下手に火を出されて桜に引火したら困る。
「おー、ラキうさじゃね?」
目の前を見渡してえぷ丸が言った。・・・ラキうさ?
「ラキうさおっはー!」
俺のときと変わらず女の子の肩をぽんと叩く。
「えぷ丸おはよう」
えぷ丸が話しかけたのは、ポニーテールで眼帯をした女の子だった。
「新規君だっけ、おはよう」
ぺこっとお辞儀をされた。
「お、おはよう」
「こいつ幸福兎な。いつも俺にお菓子くれるいい奴なんだぜ!」
「気軽にラキうさって呼んでね」
餌付けされてるんじゃないかそれ・・・喉まで出かけた言葉を無理やり押し込んだ。
─────--。
並木道は10分もかからない。ひたすらえぷ丸が杖のすごさを語ってくれた。
相変わらずぐわーとかばばーんとか抽象的な表現だったけど、とりあえずわかったことは
「火炎以外にも火の玉を出せる」「手を離しても杖は動く」
話の始終幸福兎、ラキうさはずっと微笑んでえぷ丸の話を聞いていた。えぷ丸はいつも誰にでもこんな感じらしいな。
・・・まあ、えぷ丸、最初と最後は同じことを話してたけど。
そのえぷ丸が語り終えたころ、校門と看板が見えた。そして校門に立っているガタイのいいおっさん。
「よく来た!」
あのおっさんこれが日課なのかな。うわ、目が合った。
「よく来た!」
相変わらず元気いっぱいだな・・・。おっさんに軽く会釈して、俺はさっさと教室へ急いだ。
最終更新:2008年04月30日 00:59