62 名前:その1[sage] 投稿日:2011/05/02(月) 02:40:43.26 ID:b38eNQ7t0 [1/3]
沸いたので二つ下さい。
「ただいま~、遅くなっ……ってちなみ、そんなところで寝てると風邪引くぞ?」
長引いた出張のせいで、丸一日と半分が経過。深夜に帰宅したタカシは、テーブルに
突っ伏すように眠っているちなみを発見。
いつもなら、仕事の帰りが遅いと悪態の一つや二つ頂戴するはずだが、今日はかなり
寝ぼけている様子だ。
「ぅ……ぅぅん……タカシ……?」
「そうだよ、遅くなって悪いな。……遅れるから先に寝てろ、ってメールしただろ?」
「ぅ~……ごめんなさい……?」
「いや、別にちなみが謝ることじゃないが……なんか調子狂うな」
いつも通りであれば『何でもっと早く帰ってこない』とか、『同僚との浮気だったら
ぶっころす』とか、何かしらお小言を頂戴するはずが、
「……ぅ……んぅ……?」
寝ぼけているらしく、『よく分からない』とでも言いたげな表情を浮かべるちなみ。
どちらかといえば理知的な彼女にしてはずいぶんと珍しい光景だ。
こうなっている理由を考えると、タカシの疲れも吹き飛ぶというもの。
「待っててくれたんだろ?」
「ん……? うん……」
「ありがとうな」
「ん…………すぅ」
頭を撫でられながらタカシの感謝を聞いたちなみは、満足そうな笑みを浮かべると、
またテーブルに突っ伏してしまった。
「っておい、ちゃんとベッドで寝なきゃ駄目だろ」
「むぅ……(眠いけど仕方ない……起きよ――)」
「寝てちゃ仕方ない……抱っこして運んでくしかないか」
「(……抱っこ!)…………ぐー……ぐー」
タカシが運ぼうと言い出したとたんに、ちなみの寝息の調子が変わった。
当然、タカシはそれに気付かないほどバカではない。
63 名前:その2[sage] 投稿日:2011/05/02(月) 02:43:45.50 ID:b38eNQ7t0 [2/3]
「……おいちなみ、まだ起きてるだろ」
「……ぐー……すぅ……」
「(シラを切るか……)あ、そういえばちなみは、ほんとに寝ている時はよく寝言いっ
てるけど、今日は聞こえないなぁ」
「……すぅ……タカシの……ぼけなす……」
「――って嘘に決まってんだろうが。ほれ、起きて自分で寝室行こうな」
ちなみの手を取り、座っていた椅子から引っ張り上げて立たせるタカシ。
しかし、ちなみのほうはお気に召さない様子だ。
「……遅い帰りを待っててやった良妻に何たる仕打ち……せめて寝室くらい連れてけ」
良妻アピールに見せかけた、久方ぶりの抱っこ要求である。
そんなちなみに、タカシは、
「ま、それもそうか。たまには奥さんを労ってやるとしますかね――よっと」
ちなみを抱きかかえ、寝室へと歩いていく。
「んじゃ、俺は風呂入ってくるから。先に寝ちゃってていいぞ、おやすみ」
「……タカシ、ひとつお願い」
「ん?」
「……お風呂上がったら……もう一頑張り……///」
「へいへい。……つか、出張後は毎回それだなぁ」
「……ちょっとだけ、寂しいの……早く行ってきて」
(省略されました。続きが読みたい人がいたら俺も読みたいので書いて下さい。
最終更新:2011年05月05日 00:40