5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/05(水) 04:41:36.10 ID:TezX6zb+0 [1/6]
せっかくたったので投下
前スレお題 レポート
無「………」
タ「ただいまー。あれ、まだレポートやってんの?」
無「うん。うまくまとめられなくて」
タ「意外だなあ。そういうのってすごく得意そうなのに」
無「私もそう思ってたんだけど、なかなか……」
タ「なんについて書いてるの?」
無「ハイデッガー」
タ「……エポケー?」
無「その言い方って間が抜けててい」
タ「まあいいじゃん。要はあれ、死ぬことを以て自分を自覚しろってことじゃないの?」
無「……だから筆が進まないのかもね」
タ「え、なんで?」
無「死ぬことを常に意識しながら生活するなんて、気が滅入りそうじゃない?」
タ「でも、当たり前のことじゃん。いつ死ぬかなんてわかんないし、そんなに落ち込まなくても」
無「その考え方じゃだめなの。いつ死ぬかわからないんじゃなくて、いつでも死ぬってこと」
タ「なんか違うの?」
無「理系は言葉の細かいニュアンスを無視するから嫌い」
タ「あと冗談が専門的すぎてわかりにくいよね」
無「客観的に自己分析できるくせに直そうとしないし」
タ「それが結果だからね。ハイデッガーだって同じじゃん」
無「……どこが同じなの」
タ「死ぬっていう結果は出てるんだから、それに向かって日々努力しなさい的な」
無「まあ、確かにそんな感じね」
タ「言い詰めれば、他人の死よりも自分の死のほうが『自分』っていう存在を意識できるでしょ。
その意識を忘れずに生きるってことを言いたいんだと思うよ」
無「……ねえ、文系と理系、どっちが成績よかった?」
タ「文系」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/05(水) 04:43:55.15 ID:TezX6zb+0 [2/6]
無「理系に進んだ理由は?」
タ「白衣が着たかった」
無「なるほど、気が滅入るような性格じゃない、か」
タ「今、遠回しに僕の性格を批判したよね」
無「そうでもない。タカシがいるから私が私自身を意識することたってあるし」
タ「例えばどんなとき?」
無「……さあ、いざ訊かれてみると浮かばないわ」
タ「絶対それ嘘だよね。教えてくれないの?」
無「自己の分析をしているときは、自分を意識しているようでその立場は他者である。でしょ?」
タ「まあ、そうでなきゃ自己への妄執になるからね」
無「結局それは他人から見た私であって私じゃない。だからあなたが望む答えじゃないと思うの」
タ「それらしいこと言ってるけど話はぐらかそうとしてるよね」
無「理系らしく論理にかなった分析をしてみたら?」
タ「うーん……萌茄は僕が好き」
無「……どういう論理なのよ、それ」
タ「言動とか表情とか、もろもろで」
無「……いつの間にか、笑ってって言わなくなったね」
タ「ああ、だってしょっちゅう笑ってるじゃん」
無「気のせいじゃない?そんなふうに思ってるのはきっとあなただけよ」
タ「そうかな?じゃあ……」なでなで
無「……急になんなの」
タ「ほら、笑ってるじゃん」
無「……疲れてるだけよ」
タ「いや、それは絶対笑ってる顔だ。毎日見てるからわかる」
無「ほんとにわかってるの?」
タ「ほんとほんと。萌茄のならちょっとした変化でもわかるよ。だからほら、ババ抜きとか」
無「そういえば、全然勝てなかった」
タ「毎日の賜物だね」
無「……今までトランプの罰ゲームってどんなのあったっけ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/05(水) 04:48:18.53 ID:TezX6zb+0 [3/6]
タ「お風呂掃除とか食器洗いとか」
無「イカサマのペナルティー。私が今までにやった罰ゲーム、これから一週間毎日続けること」
タ「え、ちょっ、まじで?」
無「ズルしてたんだから当たり前でしょ」
タ「わかった。それじゃあ……なあ、萌茄」
無「なに、急に改まっちゃって」
タ「キス……して?」
無「……はい?」
タ「ほら、キスのおねだりする罰ゲームやったじゃん」
無「……ああ、忘れてた。というより忘れたかった」
タ「ねえ、キ、キス、して……もう、早くしてよ、恥ずかしいんだから!」
無「そこまで再現しなくていいから。ね、それはやらなくていいから……」
タ「それじゃあ他のもやらないけど」
無「……すごく納得がいかない」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/05(水) 04:49:14.18 ID:TezX6zb+0 [4/6]
無「思ったんだけど」
タ「なにを?」
無「自分を自覚するのって、他者の……ううん、なんていうか、
自分以上に自分のことをわかっていてくれる人がいて、初めてできることだと思うの」
タ「なに、レポートの続き?」
無「そんなところかな」
タ「白いブラウス似合う女の子ー」
無「急にアルエ歌い出さないでよ」
タ「でも、最初はほんとにそんな感じだったよ」
無「今でも変わらないと思うんだけど」
タ「じゃあ、僕が『自分以上に自分のことをわかっていてくれる人』なんじゃないの」
無「よくそんな恥ずかしいこと真顔で言えるわね」
タ「でも萌茄も真面目に聞いてるじゃん」
無「……まあ、そうかもね」
タ「なにが?」
無「人生を謳歌してるってこと」
タ「文系だねえ。ありがとうとか好きとか愛してるとか、そういう感情論はないの?」
無「……わかっていてくれる人なんでしょ?」
タ「まあね」
〆 ハイデッガーさんは教科書にたまたま出てたので登場
ちゃんに勉強した人は大目にみてほしい
最終更新:2011年10月09日 12:07