79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/15(土) 20:55:27.58 ID:irPvPegd0 [1/2]
風邪ひいた…
でも日曜も仕事でつらい、来週の土曜まで休みなしとかつらい
そんな俺を慰めてくれる新妻ツンデレを募集中
いや冗談抜きで誰か看病してorz
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/15(土) 21:51:57.90 ID:cD1VZwK+0 [3/5]
79
風邪気味の──
身体引き摺り──
休日出勤──。
別府タカシ、苦難の俳句
こほんこほんと咳が出る。
どこか息苦しく、頭も少し回らない。
おまけにデレでもいないのに顔が赤い、とくれば──
「風邪気味…だろうなあ」
認めたくない事実を、口に出して受け入れる。
熱までには至っていないものの、この調子ならばそう遠くは無いだろう。
「…日頃の体調管理を怠るからだ、馬鹿者め」
背後からそんな声が掛かる。見ればそこには新婚一年目の俺の新妻、尊さんの姿があった。
装備はエプロン、キッチンミトン、土鍋。なんともまあ新妻らしすぎる風体である。体調が万全なら抱きしめていたに違いない。
「一応、今夜はうどんにした。これくらいなら食えるか?」
「ああ、食は問題無さそうだ。…しかし、夕飯はハンバーグの予定だったんだろう?なんか悪かったな、気を使わせて」
「…フン。お前を心配してやる義理は無いが、我が家の稼ぎ手に倒れられてはたまらんからな」
そう言って尊はにやりと笑った。
俺も乾いた笑いを返し、とりあえず精をつけるため鍋うどんに手を付ける。
うどんはネギや卵、お揚げなど、お腹に優しいながらも栄養のある具材が入っている。俺はよくできた嫁に心の中で一礼した。
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/15(土) 21:52:42.26 ID:cD1VZwK+0 [4/5]
「…今日は早く食べて寝ろ。その程度、明日には治ってる」
「ん……」
向かいでうどんを注ぐ尊に生返事をしながら、俺は美味しいうどんを食べる。
──それから五分ほど、俺たちは無言のまま夕食を頂いた。
俺がなるとを口に放り込むと、尊は箸を置き、少し弱気な声で言いだす。
「…明日は、休んでもいいんじゃないのか?」
うどんを口に運んだまま、俺は尊の顔を見た。
「いや、別に私はお前がどうこう言っているのではなくてだな!
その…明日はそもそも日曜だ。本来なら、休むべき日だろう?
それをわざわざ身体の調子が悪いのに出勤して、事故でも起こしたら元も子もないではないか…」
そんなことを、尊はごにょごにょと囁くように述べる。
「だいたい、最近お前はその、ずっと帰りが遅いだろう?仕事を頑張っているのは分かるし、私もそれは良いのだが…
な、七日に一度の休みまで潰して働くと言うのは、少し…私も、その、一応はお前の妻としてだな……」
俯きながら、溜めていた思いを静かに話し始める尊。
俺はそんな姿を眺めながら、そっとうどん皿を尊の方へ近づける。
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/15(土) 21:53:07.28 ID:cD1VZwK+0 [5/5]
語りに夢中になっている隙に、俺は尊のうどんを一本、口の中へ素早く運んだ。
気づいた尊が慌てて声を上げる。
「なっ!?お、おい貴様、人が話している時に何を…っ!」
「んー、間接キス?」
さらりと言ってのける俺に、尊の顔が赤くなる。…新妻になってもウブだなあ、本当に。
俺は席から立ち、尊の頭をくしゃりと撫でまわした。
「心配してくれてありがと、尊。おかげで元気出た」
「あ、頭を撫でるな!それに、私は別にお前の事など…むぐっ!?」
何か言いかけた口を、俺の唇で塞ぐ。
「~~~~っ!?」
真っ赤になる尊。
わずか数秒のキスを済ませると、俺はけらけらと笑いながら尊を見て言った。
「来週は休みが取れそうなんだ。そしたら、どっかへデートに行こうよ」
「ちょっ…調子に乗るな、馬鹿者ーーーーーっ!!」
真っ赤になった尊が襲いかかる。
風邪をも吹っ飛ばすような尊のデレっぷりにニヤニヤしつつ、明日に備えて早く寝る俺であった。
最終更新:2011年10月19日 23:59