64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/22(土) 00:43:39.58 ID:TnESYXvC0 [1/2]
たまには割とすぐに投下してみようの巻
今日はむみさんが、僕の部屋に遊びに来ていた。といっても、もう帰るところだが。
『けっこう降っているわね、雨』
「そうだねぇ。どうする、傘くらいなら貸すよ?」
『この様子では、差したところでずぶ濡れになりそうだし、もう少しお邪魔させてもらうわ。雨が弱まったら帰ることにするから』
「どうぞどうぞ。じゃあお茶、新しく淹れてくるよ」
『ええ、早くね。暖房器具が何もないこの部屋じゃそれくらいしか、暖まるものなんてないのだから』
うーん、相変わらず鋭い毒舌だ。
確かにその通りだけど、そんな風に言われると対抗心が湧いてくるなあ。
――そうだ。
「あ、お茶より暖まるものがあったよ、むみさん。ちょっとそこに座って」
『? 毛布でも持ってきてくれるの?』
そう問いかけながら、むみさんは言われるがまま腰を下ろした。
(よし、今だ!)
僕は素早くむみさんの背後に回り込むと、体全体で包み込むようにむみさんの体を抱き締めた。
『きゃっ! ちょ、ちょっと、何やってるのよ馬鹿! 変態!』
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/22(土) 00:44:06.35 ID:TnESYXvC0 [2/2]
「こうした方が暖かいでしょ?」
『馬鹿! そういう話じゃないでしょうが。いいから離しなさいよぉっ』
言葉では激しく拒絶しているが、抵抗は弱々しい。
最近わかったのだが、むみさんはどうも寒いときは甘えたがりになるようなのだ。まあ、態度も表情もいつもと全然変わらないから、すごくわかりにくいのだが。
「はいはい。むぎゅー」
『な、何がむぎゅーよ! この馬鹿。いい加減に離しなさい』
「でも、これ以上暖かくなる方法なんてないよ? 誰も見てないんだし良いじゃん」
『うっ……ま、まあ確かに暖かいわね。そ、その、今日だけ特別に許してあげないこともないわ』
「ふふ、ありがとうむみさん」
そう言いながら、むみさんの頭を優しく撫でる。
『あ、ふぁ、んっ……こ、子供扱いしないでよ馬鹿』
「だってむみさん可愛いんだもん」
『貴方っていつもそればかりね。いい加減に言われ慣れたわ』
なんて、むみさんは言ってたけど、僕からはむみさんの耳元が真っ赤になっているのがしっかりと見えていたのだった。
最終更新:2011年10月24日 00:22