15 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その1):2005/09/18(日) 12:42:55 ID:0Kkx74/.
「やあ(´・ω・`)ようこそバーボンハウスへ
このテキーラは開店記念のサービスだからまずは飲んで欲しい
この店は、一見、普通のバーの様に見えるけどね。
だけど、この店を出て行く時には、言葉では言い表せない
「なごみ」の様な気分を感じられると思うんだ。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを求めている人は多いと思う。
そう思って、この店を開いたんだ。
じゃあ、注文を聞こうか」
『……何か、変わったマスターのいるお店よね。雰囲気は悪くないけど……』
ドン!
「あたっ!!」
『あ、すみませ――や、山田君!?』
「いや。別に気にしないで。ところで……僕の名前は別府だけど?」
『ご……ごめんなさい…… そうよね。こんな所に、山田君が……いるわけ、ない……か……』
16 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その2):2005/09/18(日) 12:43:28 ID:0Kkx74/.
「その山田って人、僕と良く似てる人なの?」
『え…… あ、うん。顔が、っていうか、雰囲気が……かな?』
「へえ、そうなんだ。もし良かったら、そいつの事、聞かせて貰えないか?」
『……何で私が、あなたに話さなきゃならない訳?』
「いや。何か気になるじゃん。君みたいな可愛い子に気にして貰えるヤツって。しかも、
僕に似てるっていうのに。それに、ちょうど一人で飲むのも退屈していたしさ。良かった
ら、一杯奢るよ」
『可愛い……(/////) お、お世辞もほどほどにしてよね。そんな事言われたくらいで喜ん
で男に付いていくような女じゃありませんから。あたしは』
「いや…… 君が話したくないなら、無理する事はないよ。ただ……もしかして、胸に溜
め込んでいるような事があるんだったら、吐き出しておいた方がいいんじゃないかって
思って」
『べ……別に、話したくないとは言ってないわよ。あなたがどうしても聞きたいっていうなら……』
「うん、聞きたい」
『クスッ…… いいわ。ちょっと……いい加減一人で溜め込んでおくのもなんだから。
あれは……小学校五年の時だわ。クラスに山田君っていう、ちょっと大人しい男子がいたの――』
17 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その3):2005/09/18(日) 12:44:10 ID:0Kkx74/.
キーンコーンカーンコーン
男子A「よっしゃー。終わったー。お前ら、遊びに行こうぜー!!」
かなみ「ちょっと、待ちなさいよ! あんた達、掃除当番でしょ!」
男子B「やべっ!! 椎水だ。みんな、行くぞーっ!!」
かなみ「ああっ! コラーッ!! もう…… あ、ちょっと! 山田君っ!!」
山田 「(ビクッ!!)……な、なんだお(;^ω^)」
かなみ「まさか、山田君まで逃げる気じゃないでしょうね! ちゃんと掃除していきなさいよ」
山田 「……( ^ω^) わ、分かったお」
『――気が小さくて、優しいから、ついついキツイ言葉ばかり掛けてたんだけど、真面目
にやる事やってくれたから、あたしは彼の事が嫌いじゃなかった。けど、クラスでは彼は
いじめられっ子だった。何でかって言うと、右腕と右足に大きなやけどの跡があって、そ
れで特に女子からは気持ち悪がられてたの。で、運動会のダンスの時、誰かが山田君の隣
りにならなくちゃいけなくなって――』
18 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その4):2005/09/18(日) 12:44:37 ID:0Kkx74/.
女子A「えーっ! やだよ、あたし、山田の隣りなんてー」
女子B「あたしだってイヤだもん。Aちゃん、番号順でしょ」
女子A「だってだって、山田と手を繋いだら、山田菌がうつっちゃうし」
女子C「先生に言ってさー。山田君の周りを男子だけにしてもらおうよー」
女子A「そんなこと言ったら、先生に山田をいじめてるって怒られるだけだもん」
女子B「ひどいよねー。先生は男だから、女の子の繊細な気持ちなんてわかんないし」
『――で、あんまりイライラしたもんだから――』
かなみ「あー、もうっ!! ごちゃごちゃうるさいわね! いいわよ。あたしが山田君の
隣りになるからっ!!」
女子一同「……え?」
かなみ「それなら文句ないでしょ! ……山田君!」
山田 「な……なんだお?」
かなみ「なんだお、じゃないわよ。ほら、早く手を出しなさいよ」
山田 「あ……う、うん。椎水さん……」
かなみ「な、何よ」
山田 「ありがとうだお( ^ω^)」
かなみ「勘違いしないでよね。べ、別に山田君の事が好きでやってるわけじゃないんだから!!」
山田 「それでも……嬉しいお( ^ω^)」
かなみ「フン……(/////)」
19 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その5):2005/09/18(日) 12:45:16 ID:0Kkx74/.
『――だけど…… あの年頃って、そういう事するとすぐからかわれたりするでしょ? あたしもやっぱり、そういう風になって――』
女子A「かなみちゃんって、絶対山田の事好きだよね」
かなみ「やめてよね。何でそういうことになるのよ!」
女子B「だってさ。運動会の時だって、自分から手を繋いでたじゃん」
女子C「そうそう。それにさー、なんかいろいろ話ししてたし。好きじゃなきゃ出来ないよねー」
かなみ「違うわよ! あれは、山田君がヘタクソだから、いろいろ言ってただけで……」
女子B「それにさー。山田もかなみちゃんの事、好きだと思うよ」
かなみ「な……なんでよ!」
女子A「あー、そうだよねー。だって、山田って、かなみちゃんの言う事だと、素直に聞くんだよ」
女子C「うわー。もしかして、相思相愛、ってやつ? やだーっ!」
女子B「かなみちゃん。頑張りなよー」
かなみ「も……もう! いい加減にしてよね! あたし……あたしは、あんな気持ち悪い
奴、だいっきらいなんだからっ!!」
女子A「かなみちゃん…… 後ろ……」
かなみ「……え?」
山田 「……( ^ω^)」
かなみ「あ……」
20 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その6):2005/09/18(日) 12:45:56 ID:0Kkx74/.
『――その時……すぐにでも謝っておけば良かったな、って今にしてみれば思うんだけど、
あの時は、何かからかわれてた手前、カッコ悪くて…… で、一度タイミングを逃すとど
んどん気まずくなって、そのままクラスが変わっちゃって…… 結局、謝れなかった……』
「そのこと……今でも後悔しているんだね」
『……うん……』
「だったら、今からでも遅くないと思うよ。小学校のアルバムとか見れば、昔の住所くらい……」
『……もう……遅いのよ……』
「え?」
『……今日、当時のクラスの同窓会だったの…… でね。山田君に会ったら、あの時はゴ
メン、って謝ろう。そう決めて行ったんだ。でも……』
かなみ「あれ? 今日、山田君は来ないの?」
女子B「かなみちゃん、知らなかったの?」
かなみ「何が?」
女子B「山田君…… 高二の時に、自動車事故で亡くなったのよ。トラックが信号無視で
突っ込んできて……」
かなみ「……え……」
21 :うん。実はパクリなんだ(´・ω・`) 済まない(その7):2005/09/18(日) 12:46:24 ID:0Kkx74/.
『もう……遅いのよ…… あたしって、いつもそうなんだ。後悔して……後できちんとし
よう、って思ったときには……もう……手遅れになっちゃってて……』
「……気にしてないよ」
『……え? ちょ、ちょっと! 何でアンタがそんなこと言うのよ。全然関係ない、赤の
他人なのに……』
「今日が……同窓会だったんだろ? で、その日にさ。その、山田君って人とよく似た僕
に、初めての店で出会う。これって……偶然なのかな?」
『……』
「多分……きっと、僕と山田君の間には、何かの繋がりがあると思うんだ。だから、彼の
代わりに、僕が言うよ」
『……』
「大丈夫。気にしてないから」――( ^ω^)
『あ……ぐっ……ごめ……やま……君……ウッ、ウッ……ありが……エグッ、ヒック……
グスッ、グスッ……』
終わりです(´・ω・`) 皆さんも、心を和ませたいと思うときは、どうぞ、当店へお
越しください。
最終更新:2011年10月25日 16:14