354 名前:その1[sage] 投稿日:2011/05/04(水) 23:30:05.77 ID:56R+wnNl0 [9/14]
- ツンデレに「SM」の意味を聞かれたら
- ツンデレに「サービスと満足」って意味だと説明したら
「のう、タカシ……?」
「どうした?」
「『えすえむ』とは、何なのじゃ?」
「ぶっ――――バカ、往来で何てこと言いやがる!」
帰り道で隣の少女から突然かけられた言葉に、思わず飲んでいたジュースを噴き出す
タカシ。
「む、何を焦っておるのじゃ? わしはただ『えすえむ』というものを教えてほしいだ
けなのじゃが……?」
「ば、バカ、連呼すんじゃねぇっ!!」
「なぜじゃ?」
「なぜも何もあるかっ、少し黙れっ!」
下校中の小学生から買い物帰りの主婦まで、様々な角度から向けられた視線が、えら
く効いたらしい。
「わしはただ質問をしておるだけなのに……黙れとは何じゃっ! わしはただ『えすえ
む』という言葉の意味が知りたいだけなのじゃぞ!」
「お願いだから黙って下さいぃぃっ!?」
そんなタカシの悲痛な願い(?)に気が付いたのか、――老人、主婦、子供……刺さ
る視線がどんどん増えていくことに、ようやく纏も気が付いたらしい。
「……むぅ? さっきら何か、妙な視線を感じるのじゃが……?」
「全部お前が原因だこの横文字オンチがっ! ――いいから、ちょっとこっち来い!」
「だれが横文字オンチじゃ――わわっ!? いきなり引っ張るでないっ!」
強引に腕を引っぱって走り出すタカシには、纏も逆らえなかったようだ。
355 名前:その2[sage] 投稿日:2011/05/04(水) 23:32:25.91 ID:56R+wnNl0 [10/14]
「……はぁ…ん、ふ……ぅっ……た、タカシ、どうして……いきなり、走ったの、じゃ?」
荒い息をつきながら、纏はいきなり走らされたことに戸惑い、タカシに訊いた。
「お前が路上で『SMSM』うるさいからだっ! 恥というものを知らんのかっ!」
「……わしは……ただ、質問した……んぅ……だけ、じゃろっ! ……けほっ」
「いいか、纏。お前がさっきから言ってるSMってのはだな――――あ」
人気のないところまで纏を連れ込み、いざSMの説明をしようとしたタカシだが、今
の状況は……
・裏通りに女の子を連れ込む。
・ちなみにその子は、壁際で少し汗ばみ、呼吸を乱している。
・これからその女の子に、『SM』の何たるかを教えてあげる。(タカシによる曲解
――――見事なまでに犯罪スレスレっ……ほぼ完全犯罪。いや、完全に犯罪。
そこまで考えがたどり着き、タカシはストレートに伝えることをやめた。
とにかく纏がギリギリ理解できるように、かつ、自分の良心的な何かが吹き飛ばな
いで済むように、細心の注意を払うつもりで、しどろもどろに説明を始めた。
「SMってのは……そう、需要と供給だ。つまり、サービスのSと満足のM、分かるな?」
「んぅ……? よく分からんのじゃが?」
ようやく呼吸を落ち着けた纏だが、タカシの表現が婉曲的過ぎて、SMについては、ま
るで合点がいかないようだ。
「いいか、ようするにだ。……パートナー同士でな、需要と供給を満たすんだよ」
「おお、それなら分かりやすいのじゃ!」
纏はタカシの言葉が意味する本当のところなど、全く分かっていない。ただ純粋に新
しい言葉を知って、ちょっぴり嬉しがっているだけである。
――そんな経緯があった翌日。学校は休みだが、タカシの家には一人の来客が。
「タカシぃっ!!」
言わずもがな、纏である。
「な、なんだ纏……なんでそんな怒ってんだ? 顔真っ赤じゃねぇか」
「や、喧しいっ! よ、よくも騙しおったな!?」
「はぁ? ……俺、なんかしたっけか?」
356 名前:その3[sage] 投稿日:2011/05/04(水) 23:33:02.06 ID:56R+wnNl0 [11/14]
「 え す え む じゃっ!!!」
タカシの部屋に置いてある、来客用の折りたたみ式テーブルをバンバンと叩きながら
恫喝するように大声をあげる纏。
「ちょっ、だから大声でSMとか言うなっての!」
「喧しい! あの後、わしは大恥をかいたのじゃぞ!?」
「…………」
『今もだいぶ恥かしいこと言ってますが』と言うのは火に油だと思い、タカシは黙り込
みをきめた。
「あの後、夕餉の最中に家族の前で……」
「……まさかお前……話したのか?」
「タカシとは、お互いに需要と供給――えすえむの関係じゃ――と」
しかも単純に話したのではなく、誤解した意味のまま『SMだ』と言ってしまったの
だった。
「……はぁ……まあ。途中からそんなもんだろうと思ったが……」
額に手を当て、ため息をつくタカシ。
纏の両親に、どう説明したらいいのか……などと考えた時だった。
「……それもじゃ、あろうことか――」
「あろうことか?」
「わしの両親も……その、……アレ……じゃった」
皆まで言われずとも、タカシは何となく気付いていた。
「……その上……本当の意味を教えこまれての。……そして……わしの目の前で……」
「お、おぉぅ、そいつは……スゴいな」
「……父上が、母上を……その……、アレで……して、おったのじゃ」
「あ、ああ……そりゃスゴい……」
始めは単なる笑い話で済むかと思って聞いていたタカシだが、いまや完全に引き攣っ
た表情になっていた。
「で、まさか……それ、全部見たのか?」
「う、うむ。『やる気がある以上は、ちゃんとした「やり方」を覚えなさい』と……」
「その、なんだ、ご愁傷様」
「……それで、なのじゃが……」
357 名前:その4(おわり)[sage] 投稿日:2011/05/04(水) 23:34:45.15 ID:56R+wnNl0 [12/14]
「ああ、その、まあ……気晴らしくらいは付き合ってやるよ」
超展開すぎて、フォローも何も、正直どう声をかけていいか分からないタカシだった。
しかし、
「そうではないのじゃ!」
「??」
「その……実は……わし……」
「ああ、何だ?」
「少し……母上が羨ましかったのじゃ」
伏し目がちの纏から出たのは、とんでもない爆弾発言であった。
「……………………おい纏、お前まさか……」
「……縛られてるのを見て、その……わしも……タカシとあんな……」
「(今までの纏のイメージが崩壊中につき絶句)」
「その、嫌でないなら――――えすえむ、してほしいのじゃ」
(省略されました。続きが気になる方は存分にえすえむして下さい
最終更新:2011年05月10日 00:48