47 :名無しさん:2005/09/24(土) 22:00:03 ID:lo33z49.
老成試作。

男「…で、でけえ屋敷だな。こ、ここなら…今月のノルマ分くらいは…!」
”コンコン”
男「す、すいませーん。○×化粧品のものですがー…」
”ゴトゴト…”
老「表の張り紙が見えんのか。『セールスお断り』と書いておるじゃろ?」
男「…は、はぁ(随分と変わった口調の女のコだなぁ)」
老「なんじゃ。儂の話しかたが、そんなにおかしいか」
男「え?!あ、あのそのような…(やべ、口に出して言っちまったか?)」
老「ふん、顔に書いておるわい。そのような事で、よくセールスが勤まるのう」
男「う、うう…すいません、それ主任にも言われました…」
老「はっ、情けない男じゃな。まあ、お主の顔を見ておると頷けるがの」
男「…はぁ、こんな小さい女のコにまでバカにされるなんて…」
老「なんじゃ。そんなところで落ち込まんでくれ。迷惑じゃ」
男「え、あの…すいません、それでは失礼しました…」
老「待たんか。儂は上がって行けといっておるのじゃ。早とちりするでない」
男「い、いいんですか?」
老「かまわん、どうせ儂しか居らぬからの。ちょいと話し相手になってもらうぞ」

男「う、うわ…中から見ても広いお屋敷だな……あ、その、広いお屋敷ですね」
老「広すぎるのも考えものじゃぞ。さっきも言ったが、儂ひとりじゃからな」
男「え?こ、こんなお屋敷を一人…じゃなかった、お一人で?!」
老「見た目で判断するでない、このたわけ」
男「…え、えっと。その…こんなこと言うのはアレなんですけど…」
老「化粧(けわい)の道具なら要らぬぞ。紅を引く歳でもないのでな」
男「う…」
老「しかし、まあ…久しぶりに”外”の人間と話したが、いいものじゃな。うむ」
男「は、はぁ…(外?)」
老「それに、お主のなんとも情けない顔が気に入った。暇があれば、また来るがいい」
男「は、はぁ…はい、分かりました。それでは…」

男「た、ただいま…はぁ…(売れなかったってバレたら、またドヤされるなぁ)」
主任「おかえり。…その……今朝は馬鹿にして悪かったわ。やるじゃない」
男「へ?な、なにを…?」
主任「それって謙遜?あれだけの契約、そう取れるものじゃないわよ?」
男「だ、だから何の話なんすか?」
主任「電話があったのよ。一個10万以上する最高級化粧品、あるでしょ?」
男「あ、あれっすか?あれが何か…?」
主任「注文してくださったお客が居るのよ。貴方の言葉に惹かれたってね。
   随分と変わった口調のお客様だったけど…自分の事を『儂』とか言って」
男「はぁ…え、それって……ま、まさか?!あの、昼間の……」
主任「大手柄ね、係長も探していたわ。今夜はきっと宴会よ?」
男「…そうですか…あのコが……」
最終更新:2011年10月25日 16:23